風祭文庫・アスリートの館






「敦子の夏」


作・風祭玲

Vol.304





「ま・わ・せ!」

「ま・わ・せ!」

熱気渦巻く会場内にその言葉が響き渡る。

レスリング・団体戦、決勝…

会場内に設けられたマット上で、

「くぅぅぅぅ」

赤のシングレット(吊りパン)を身につけた新田敦夫は

汗でずぶ濡れになりながらも

マットにへばりつく対戦相手の身体を必死になって持ち上げようとしていた。

試合は第2ピリオド、ポイントは3対4…

そして試合の残り時間は20秒を切っていた。

既に第1ピリオドで勝っている敦夫はこのピリオドで勝てば

彼の東雲高の優勝が決まる。

「うぉぉぉぉっ」

顔を真っ赤にして彼は筋肉をはち切れんばかりに盛り上げると、

ついに相手の身体を浮かすトコに成功した。

「行けぇぇぇ!!」

じっと試合を見守っていた俺の口から声があがる。

すると、

「くぉのっ」

敦夫はあらん限りの力を使って粘る対戦相手の身体を回した。

1回、2回…

ついにポイントを逆転する事が出来た。

と同時に

ブーッ!!

試合終了を告げるブザーが響き渡ると、

「やったぁ!!」

俺はマットへと飛び出し

そして、試合を終えたばかりの敦夫に抱きついた。



夜…

祝賀会の後、

俺は合宿所を抜け出すと、

ザッ

月明かりの中、

Tシャツにジャージのズボンと言った。

レスリング部の部員にとってはごく普通の格好で

部の練習場へと向かっていった。

ジャリ

ジャリ

通い慣れた砂利道を歩くと、

程なくして俺の目の前に散々汗を流した練習場の建物が見えてきた。

すると、建物の前の階段に一人の男が座っているのが見えてきた。

敦夫である。

「よっ、やっぱココにいたか」

そう言いながら俺が話しかけると、

「うん、あたしにはあぁ言う場はちょっと苦手…」

と彼は視線を自分の足元に向けつつ女言葉で返事をした。

しかし、俺はそんなことに構わずに、

「なに言ってんだよ、

 我が東雲高優勝の立役者じゃないか」

と言いながら敦夫の肩を叩きながらその横に座ると、

すっ

敦夫の手が俺の腕を掴むと身を寄せてきた。

「おっおいっ

 こんな所人に見られたら変な誤解をされるじゃないか」

敦夫の行動に俺がそう囁くと、

「変なコトって?」

と敦夫が聞き返した。

「そっそりゃぁぁ…

 …まぁな…

 お前が女の子だったら

 誤解も勲章の一つなんだけどな…」

ポリポリと頭を掻きながら俺がそう言うと、

「後悔している?」

と敦夫が尋ねた。

「……うんまぁ…」

少しの間をおいて罪悪感を感じながら俺はそう返事をした。

そして、

「で、敦子…お前、元の女の子に戻れそうなのか?」

やや心配気味に尋ねると、

「判らない…」

と敦夫は首を横に振って返事をした。

「判らないって…

 じゃぁ…」

そう俺が言ったところで、

「ねぇ…

 そんなことよりも、久々にやろうよ」

そう敦夫は囁くと、

バッ

着ていたTシャツを脱いだ。

キラリ…

月の明かりを受けて敦夫の汗ばんだ肉体と、

試合の時に来ていたシングレット・吊りパンツが浮かび上がる。

「ったくぅ」

そんな彼を見ながら俺は呆れると、

「やるかっ」

と言いながらTシャツを脱ぐと、

シャツの下に着ていた吊りパンツを見せた。

キュッ!!

キュッキュッ!!

人の気配の無い練習場にレスリングシューズの音が響き渡る。

「行くぞ」

「いつでもどうぞ」

マットの上で吊りパンツ姿の俺と敦夫は構え合うと、

バッ!!

っと敦夫の足下めがけて速攻を掛けた。



1年前…

「くはぁぁぁぁ」

「どうだ、気持ち良いかっ」

「おっ押忍…」

合宿所の物置でレスリング部に入ったばかりの俺は、

屈強の3年の先輩達による洗礼を受けていた。

「おいっ俺のチンポはなかなかの味だろう?

 シッカリと味わうんだぜ」

そう言いながら三沢先輩はスパッツを膝まで引き吊り下ろし、

俺の肛門に硬く勃起したペニスを押し込み、

盛んに腰を振りながらうっすらと汗が浮かぶ俺の肌に舌を這わせる。

そして、

その一方で俺は目の前に突き立てられている他の阿部先輩・塩崎先輩のペニスを

次々としゃぶらされていた。

そう、俺が入ったこの東雲高校レスリング部は県下一の強豪だが、

しかし、その中では3年の先輩が”個人授業”と称して、

こうやって新入りの1年生を食い物にしていたのだった。



「ははは…巧い巧い、

 もぅコイツはこれ無しにはいられないようだな」

「押忍っ」

「うぅ締まる…

 流石は中学から鍛えてきただけのことはあるぞ」

「ありがとうございます」

先輩達は次々にそう言うと俺の身体を嬲り続ける。

すると、

「…せっ先輩…

 こう言うことは、

 やめませんか」

苦痛に耐えながら俺は思わずそう言うと、

「なんだとぉ!!

 1年のクセに生意気を言うんじゃねーぞ」

俺の言葉にムッとした三沢先輩がそう怒鳴ると、

「ようし…お前に良いモノを見せてやる」

と言うと、

顎で阿部先輩に指示を出した。

その途端、

「勝山くんっ」

と言う言葉と共に新田敦子が彼の前に連れてこられた。

「にっ新田さんっ」

予想外の彼女の登場に俺は驚くと、

「お前…彼女とつき合って居るんだって?

 忘れたのか?

 レスリング部の規則を…」

と三沢先輩は激しく突き上げながら俺に尋ねた。

「ぐわっ!!

 おっ押忍!!」

俺は直腸を襲う激痛に耐えながらそう返事をすると、

「ようし…知っているなら話は早い…

 さっさと彼女と別れろっ

 まっ、こんな姿を見られれば彼女もこの男とつき合うのってイヤだろう?」

そう言いながら三沢先輩が敦子に尋ねると、

「なによっ

 この、鬼・悪魔っ

 さっさと勝山君を離しなさいよ」

と敦子は怒鳴り声をあげた。

「ほぅ…」

彼女の言葉に先輩達は一斉にそう呟くと、

「おいっ、女を取るか、

 これを取るかどっちにする?」

とニヤケながら阿部先輩が俺の前に勃起したペニスを突き出した。

このまま部に残るには選択肢はなかった。

「敦子…ごめんっ」

俺はそう敦子に言うと、

突き立てられたペニスをしゃぶり始めた。

「だとよっ」

「こいつはお前よりも、こっちが良いって」

笑いながら先輩達は敦子にそう言うと、

「そんな…」

敦子の身体は見る見る震え始め、

一歩一歩下がっていった。

すると、

「おっと、何処に行くんだ?

 俺達のこの姿を見られた以上、逃がすわけにはいかないんだよ」

と言うなり、塩崎・阿部の両先輩が敦子に迫る。

「先輩っ、

 もぅ新田さんは関係ないです。
 
 だから」

俺はそう訴えると、

「なんだって?」

ズンッ!!

三沢先輩は激しく俺を突いた。

「(ぐ)にっ新田さん、逃げるんだ!!」

ただならない雰囲気に俺が声を上げるが、

「いっいやぁぁぁ!!」

しかし、敦子は塩崎先輩達に掴まると、

俺の前に引き吊り出された。

「せっ先輩っ、何をするんですかっ」

先輩達の行動に俺が食ってかかると、

「やかましいっ!!

 おいっ、1年っ

 いま、部に残っている1年は何人だ?」

と三沢先輩は俺にに尋ねた。

「押忍っ、よっ4人ですが…」

憮然としながら俺はそう答えると、

「なるほど…

 大分辞めたな…

 これじゃぁ、団体戦にはでられないな」

と三沢先輩は呟くと、

手を伸ばすと棚に置いてあったビンを取り、

キュウポッ

ジャラッ!!

中に残っていた5粒ほどの錠剤をすべて取りだした。

「先輩っ、それは…」

錠剤を見ながら俺が尋ねると、

「ふふふ…お前の彼女を5番目の部員にしてあげようというのさ」

と言いながら、

三沢先輩は塩崎先輩にその錠剤を手渡すと。

「いっいやぁぁ」

「さっさと飲めっ」

無理矢理こじ開けた敦子の口にその錠剤を流し込むと飲み込ませてしまった。

「新田っ」

「かっ勝山くん…あたし…のっ飲んじゃった」

薬を飲まされた敦子は2・3歩近づくと、

「うぐっ」

急に苦しくなったのか自分の手で首元を押さえると、

その場に両膝を落とした。

「先輩っ、敦子に何を飲ませたのですかっ」

敦子のただならない様子に俺は声を上げると、

「あぁ?、ただの筋肉増強剤だよ」

と三沢先輩はあっさりと答えた。

「筋肉増強剤?

 でっでも…」

震える手で苦しむ敦子を指さしながら聞き返すと、

「そうそう、このクスリはな

 実はとある制約会社の試作品でな、

 動物実験では面白いコトが起きたんだよ」

と面白そうに俺に話す。

「え?」

その言葉に思わず聞き返すと、

「知りたいか?

 あのな

 メスに飲ませたらチンポが生えてオスになったんだってよ」

と三沢先輩は俺にそう告げた。

「女を男に?」

三沢先輩の言葉が信じられないような顔で俺は敦子を見ると、

「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!!」

敦子は滝のような汗を吹き出しながら、

その場に蹲ってしまった。

そして、

ビクン!

ビクン!!

彼女の身体がまるで心臓の鼓動に飛び上がるかのように震え出すと、

メキメキメキ!!

体内の骨が軋むような音を立て始めた。

「おっ始まったな…

 よく見ておけっ

 お前の彼女が男になっていく様をなっ」

そう三沢先輩が俺に告げると、

モリ…モリモリ!!

敦子の腕がまるで呼吸をするかのように、

間を空けながら盛り上がり始めた。

「敦子…」

智紀は呆然としながら敦子の変身を眺めていた。

そして、敦子の身体は智紀の目の前で、

肩幅が広がっていくと両肩を頂点とした綺麗な逆三角形を描いていった。

ミリミリミリ!!

肉体の変化についていけず、

彼女が着ていたセーラー服が悲鳴を上げる。

そして、ついに、

バンッ!!

セーラー服が引き裂けると、

その下から鍛え上げたような背筋が姿を見せてきた。

無論、さっきまで敦子の胸を形作っていたブラも弾き飛んでいた。

「敦子…」

「うっうっうっ…」

喉仏が飛び出し、低いうなり声をあげながら、

敦子はゆっくりと顔を上げた。

「うっ」

それを見た智紀は思わず驚く、

首が太くなり、

ビシビシビシっ

安産型だった彼女のヒップは引き締まりながら小さくなっていった。

そして、その両側にはクッキリとした窪みも出来上がっていた。

「ぐぅぅぅ…智紀ぃ…」

乳房を吸収して横に広がっていく胸板を両手で隠しながら、

敦子は智紀の元に這いずっていくと、

ガシッ

すっかり太くなった腕で智紀を犯し続けている三沢先輩の腕を握りしめた。

「なんだぁ?!」

縋ってきた敦子に三沢先輩が迷惑そうにそう言った途端。

「ふんっ」

ムキッ!!

敦子の腕が一瞬太くなると、

三沢先輩の姿が俺の後ろから消えると、

スダン!!

と壁に叩き付けられていた。

「なっ」

異様な気配が物置を飲み込んでいく。

「おもしれぇ…」

「やるか」

白目を剥いたままの三沢先輩を横目でみながら、

阿部先輩と塩崎先輩が速攻で敦子の元に飛びかかったが、

しかし、

ビンッ!!

股間に太いペニスを勃起させた敦子は、

「ふんっ」

ガシッ!!

二人のタックルを凌ぐと、

そのまま次々と腕を捻りあげた。

「いててて」

「わっわかった…」

「やめてくれ!!」

阿部先輩と塩崎先輩は悲鳴を上げて乞うが、

しかし、敦子はその言葉には耳を貸さずに一気に二人の腕をへし折ると、

倒れたままの三沢先輩の腕も脚を振り下ろして折ってしまった。



こうして…

先輩達の悲鳴を聞いて駆けつけてきた顧問や部の連中に俺達は発見されると、

学校の名誉のためにもこの事件は内密にされ、

そして、敦子は病院へと連れて行かれた。

結局、先輩達はそのまま退部し、

それから暫くして、敦子は敦夫となって俺の前に戻ってきた。

「女に戻れない?」

コクリ…

部活の後、俺の声に敦夫となった敦子は静かに頷いた。

「うん、だからね…あたし、いや、俺、

 男として、淳也と一緒にインターハイに出ようと思っているの」

と敦夫はかつて女の子だったとは思えない肉体をしおらしく捻った。

「俺と一緒って…

 まさか、レスリングを?」

彼の言葉に俺が聞き返すと、

コクリ

敦夫は頷き、

「あのとき、先輩達を投げ飛ばした快感が忘れなくてね」

とウィンクをした。

こうして、敦夫となった敦子は俺と共にレスラーとしての練習に励んだ。



「どうした!!」

「ぐっはぁはぁ…」

ブリッジをして必死に堪える俺を、

上から覆い被さった敦夫が、

グッグッ

っと身体を揺すりながら潰していく、

「くっそう!!」

滝のような汗を流しながら俺が必死で堪えていると、

スルリ

突然、敦夫の腕が俺のまたの間をくぐり抜けると、

ムギュッ

っと俺のペニスを鷲掴みにした。

「うわっ」

思いがけない股間への攻撃に俺は声を上げると、

一気に力が抜けると、

ズシッ!!

ものの見事に潰されてしまった。

そして、敦夫はその隙に一気に体制を固めると、

「フォールッ」

と俺の耳元で囁いた。

「反則だぞ!!」

敦夫の使った手に俺は抗議すると、

「ふふ…」

敦夫は悪戯っぽく笑うと、

いきなり俺に抱きつき、

そのまま、俺の頬にキスをした。

「ふふ…しょっぱい…」

口を離すなり敦夫は俺にそう言うと、

スッ

俺の股間で硬くなっているペニスに手を這わせた。

「うっ」

俺もお返しにと敦夫の股間で起立しているペニスを握りしめる。

そして、もぅ一回抱き合うと、

「好きだよ、敦子…」

「あたしも…」

そう囁き合いながら俺達はゆっくりと倒れていった。



おわり