風祭文庫・アスリート変身の館






「螺旋」
(第2話:相撲部屋の秘密)


作・風祭玲

Vol.1031





「相手?

 処置?

 何を言っているのこの人は…」

あたしはAYAを諭す老人・斉藤が口にした言葉に不審に思っていると、

「そうですわねぇ…」

立ち上がったAYAは考えるそぶりを見せつつあたしへと視線を動かします。

すると、

「さっお嬢様、

 どうぞこれをお使いください」

それに応えるようにして斉藤は懐からなにやら意味ありげなものを取り出すと、

AYAの前に広げて見せたのです。

それを見た途端、

パッ!

彼女の表情が明るくなりますが、

スグに頬を染めると、

「いやですわぁ、

 わたくしにそんな恥ずかしいものを堂々と見せないでください」

純情な乙女のように幾度も身をよじり両頬に両手を当てて見せます。

そして、

ニタァ

あたしに向かって不気味な笑みを見せると、

「くふっ、

 今日はクリスマスイブ。

 わたくしから泥棒猫さんに取って置きの贈りものを差し上げますわ。

 喜んで受け取ってくださいね」

とやさしく告げるや、

AYAは男が差し出したそれを手にとり、

腰をかがめてあたしに見せたのです。

「なっなにこれ?」

AYAの手の中にあるもの細長く黒い肉塊の様なものでしたが、

「ひっ!」

スグにあたしはそれの正体に気づくと声を殺した悲鳴をあげました。

あたしに見せられたそれは肉塊などではなく間違いなく男のシンボル、

そう、紛れも無いオチンチンだったのです。

まさか、あたしに見せつけようと彼のオチンチンを切り取ってしまったのか。

そんな考えも一瞬浮かびましたが、

しかし、よく見てみるとそれは本物のオチンチンではなく、

よく見てみるとオチンチンに似せて作られた作り物だったのです。

でも、血管が浮き出る茎部の表現。

剥けている亀頭のテカリ具合。

根元にある袋の皺まで精巧に表現され誰が見ても本物と見まごうばかりです。

ただ、本物と違う点は血が流れ出ていないことと、

そして茎の下から捻るように伸びる2本の管でした。

この時、AYAは何の理由があってあたしにこんな作り物を見せたのか判りませんでした。

するとAYAは顎で斉藤に命じますが、

それに応えたのは待機していた黒スーツの男たちでした。

置物が粉砕されたショックで起き上がれないあたしの体を男達は押さえ込んでしまうと、

さらにあたしの脚を大きく広げたのです。

「やめて!」

あたしはありったけの声で叫びますが、

そんな声を無視してAYAはあたしに背を向けて跨ぐと、

ドッカッ!

とお腹の上に腰を落としたのです。

「(うげっ)

 …何をするの、

 …やめて、

 …お願い」

お腹を押され満足に出ない声で必死になって許しを請いますが、

「くふっ…」

背中を見せたままAYAは小さく笑って見せると、

「泥棒猫さん…

 あなたをわたくしの相手として生かしてさしあげます。

 命を奪われないことに感謝するのですよ」

と低い声で告げたのです。

「相手?

 さっきから何を言っているの?」

AYAに言葉の意味を尋ねたとき、

すでに無防備状態のあたしのオマンコは大きく見開かれると、

グニュッ!

子宮へと続く穴に柔らかいモノが押し込まれました。

「ひゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」

まだ男性との性的な経験は無く、

激痛とともに進入してくる異物の感覚にあたしは悲鳴を上げますが、

「うるさいですわ」

背中であたしの悲鳴を聞いていたAYAは短くそう言うと、

腰を少しあげて

ドスン

と落としたのです。

「うげっ」

衝撃とともにあたしの息が詰まりますが、

しかし問答無用とばかりにそれはグィグィと奥へと押し込まれてきます。

そして、その先端が子宮にまで達したとき、

パンッ!

子宮の中で何かが中で膨らみました。

「(ゲホッ)なっなに、いま…何かが膨らんだわ」

モッコリと子宮の中で膨らんだものを感じつつあたしは問い尋ねますが、

AYAは一切答えず、

グニュッ

今度はオシッコの穴にも異物を押し込みました。

「あっあぁ…

 いやぁぁ」

抵抗することも出来ずに異物はオシッコの穴を進んでいくと、

ボンッ!

今度は膀胱の中で何かが膨らんだのです。

グィグィ

「くふっ」

AYAは挿入した異物を引っ張ってみせるとその手応えを感じながら笑い声を上げます。

しかし、それだけでは終わらず彼女の手がなおも蠢くと、

ヌプッ

ヌルゥゥゥ…

子宮に続く穴に今度は太くて大きな異物が押し込まれ子宮へと上り始めたのです。

「あぁぁぁ…」

まさにされるがままでした。

やがて、

コツン!

異物は子宮の入り口に当たると、

その入り口を巻き込むようにして固定されたのです。

「何かが着けられた」

股間から響いてくる感覚にあたしはそう思っていると

ムリムリムリ…

挿入された異物は見る見る固くなりながら膨張していき

あたしの中から元気良く突き出して行きます。

「なに?

 なにこれぇ

 いやだぁ、

 取ってぇ!

 お願いだから取ってぇ!」

オマンコから突き出すものがプルプル揺れる感覚を感じつつあたしはAYAに請うと、

「くふっ

 なんでです?

 折角、男性になられたのに?

 ほら。よく御覧なさい。

 自分のチンコを!」

と笑いながらAYAは腰を上げ、

そして、AYAの姿と入れ替わるようにして、

ビンッ!

あたしの視界には股間から突き出す色黒い肉棒・オチンチンが姿を見せたのです。

「いやぁぁ、

 いやぁぁ、

 いやぁぁ」

部屋にあたしの絶叫が幾度もこだまします。

しかし、AYAは顔色一つ変えずに、

「よくお聞きなさい。

 このチンコはね、

 一度填められたら外科手術でもしない限り絶対に取り出せないのよ。

 もぅ男性に抱かれないどころか、

 チンコを入れて貰う穴を無くし、

 子供すら産むことすら出来ない身体になったの。

 くふ…これはわたくしが泥棒猫さんに下した罰です」

勝ち誇ったようにあたしに言います。

そして、

「さらにその身体も段々と変わって行きますわ、

 くふっ、この袋にはですねぇ…

 あなたの体をこのオチンチンにふさわしい姿に改造してしまう素敵なお薬が入っていますの。

 変身していく様を見せてもいますわ」

とオチンチンの下で垂れる袋を掴み上げてそう告げたのです。

「そんな…改造するって…」

AYAの口から出たその言葉にあたしの頭はパニックになります。

しかし、

「さぁ、わたくしと来るのです。

 あなたがこの先、

 生きていくところへと連れて行って差し上げまわすわ」

あたしに向かってAYAはそう言うと、

引き裂かれたドレスから顔を出し反り返るオチンチンを隠すことも許されずに

あたしはマンションから引きずり出されてしまうと、

待機していた黒塗りのリムジンへと押し込んだのです。



「一体…あたしはどうなるの?」

街中を疾走するリムジンの中であたしは呆然としていると、

ムクッ

ムクッ

股間につけられた偽りのオチンチンが蠢いてみせます。

「ひぐっ」

まるで自分の体の一部でもあるかのように蠢く薄気味悪さに、

あたしは思わず涙を飲み込んでしまうと、

キッ!

ある建物の前でリムジンは停車します。

「どこ?」

窓の外を観ますとどうやら下町のようです。

「着きましたわ、

 さぁ、降りなさい」

外を見るあたしに向かってAYAはそう指示をすると、

あたしはその言葉に従い

引き裂かれたドレスを身に纏ってリムジンから不安そうに降り立ちます。

そして、あたしの目の前にライトで照らされる木の看板が出迎えていました。

「富嶽部屋?」

力強い毛筆の書体で”富岳部屋”と書かれている看板をあたしは力なく読み上げると、

「そうですわ、

 泥棒猫さん。

 あなたはここで力士として生きていくのです…」

とAYAはあたしに言い放ちます。

「ここで…力士?」

彼女の言った意味がわからないで居ると、

「さっ、

 ぼさっと立ってないでさっさと入りなさい。

 ここの戸はあなたが開けるのよ」

とAYAは閉じられている格子戸の引き戸を指さしました。

「いっイヤです」

その言葉にあたしは抵抗をすると、

AYAの口がへの字に曲がり、

彼女の手が動いたと思うや、

パァンッ!

あたしの頬が叩かれました。

「うっ」

相変わらず女性とは思えない強い力です。

そして、

グッ

あたしの手を掴み上げるや、

「お前の手で開けるのですっ、

 こうやって!」

と怒鳴りながら戸を掴ませると、

引き戸を開けさせたのでした。



「お待ちしておりました。

 AYA様」

あたしの視界に飛び込んできたのは頭に髷を結い黒いフンドシを締めた屈強の男達…

そう力士と呼ばれる男性達が左右に分かれて立ち、

あたしたちに向かって一斉に出迎えの声を上げたのです。

「え?」

まるで映画の一シーンを思わせるその光景にあたしは呆気にとられると、

「さっさとお入りなさいっ!」

AYAの怒鳴り声が背中から響くと、

ドンッ!

あたしのお尻が蹴り飛ばされたのです。

「あぐっ」

お尻を蹴飛ばされ、

転げるようにして敷居をまたいでしまうと、

そのまま玄関の土間の真ん中で倒れこんでしまいました。

そして、急いで体を起こすと、

立ち並ぶ力士達をマジマジと見てしまいます。

「うわ…」

筋骨逞しくてイケメンの今風力士と、

でっぷりと太り、垢抜けない顔をしている昔風の力士。

両極端な構成の力士達を見ていると、

「…可愛そうに」

「…もぅチンコ付けられているよ」

「…またあの子の仕業ね」

というヒソヒソ声言葉があたしの耳に飛び込んできます。

「え?」

その言葉にあたしは驚くと、

「よぅ、お前さんかいっ、

 新弟子希望って奴は…」

頭が禿げ上がった中年男性があたしの前に立ち声を掛けたのです。

「え?

 新弟子?

 え?

 え?」

その言葉が理解できない状態であたしは困惑していると、

「紹介しておきますね。

 彼はこの相撲部屋の親方で元・大関の嶽富士よ」

後から入ってきたAYAは中年男の紹介をします。

「相撲部屋の親方?」

それを聞いたあたしは改めて親方を見ると、

「なるほど…

 随分と立派なチンポを着けているじゃないか」

と親方はあたしの股間から飛び出している偽りのオチンチンを眺めながら言います。

「いっいやっ」

彼のその言葉を聞いた途端、

あたしは恥ずかしさで一杯になり思わず両手でオチンチンを隠しますが、

しかし、

キュンッ

なぜか反応してしまうと、

グンッ!

オチンチンは逆らうように力強く伸びてしまい、

隠そうとするあたしの手を押しのけてしまいました。

「あっあっあっあぁぁ

 なっなんでぇ」

股間からニョキッと突き出すオチンチンにあたしは困惑していると、

「くくっ、

 さすがは相撲取りになろうって奴だ。

 これだけの相撲取りに囲まれているのにもぅチンポをおっ勃てやがった。

 判ったよっ、

 お前のその心意気を買ってやる」

と親方は笑いながら言います。

「ちっ違う!」

あたしは思わず声を上げますが、

「おうっ、

 こいつに相撲取りとしてのたしなみを教えてやれ!」

と親方が力士達に命じると、

なぜかイケメン力士達の表情が一瞬歪みますが、

スグに

「ごっつぁんですっ」

声をを揃えて返事を返すと、

「さぁ、稽古場に連れて行ってやる。

 こっちに来るんだ」

とあたしの腕を荒っぽく掴み上げたのです。

「あっいや、

 やめてぇ」

嫌がるあたしを無理やり担ぐようにして

力士達はズンズンと廊下を進んでいくと、

板張り壁の土間がある部屋へと連れ込んだのです。

「ここは…」

丸く俵が仕込まれている土間を眺めながらあたしはつぶやくと、

「なんだ知らないのか、それは土俵。

 そしてここは相撲の稽古場だ」

後から部屋に入ってきた親方はあたしに言います。

「そっそんなこと…知っています。

 なんであたしをここに連れ込んだのですか?」

振り返りながらあたしは声を上げますと、

「何を寝ぼけたことを言っているんだ。

 お前は力士になるんだろう?

 さぁ、これがお前が締める廻しだ。

 さっさと締めろ!」

親方は言いながら手にしていた黒い布束を放り投げたのです。

「力士って…あたしがですか…」

目の前に落とされた布束を見つめながらあたしはつぶやくと、

「まだ判らないのですか?

 さっきの言いましたが、

 泥棒猫さんはここでお相撲さん…

 そう、彼らと同じ力士になるんですよ」

と悠然と稽古場に入ってきたAYAは告げたのです。

「イヤですっ、

 なんでお相撲さんにならないとならないんですか?

 理由を…理由を聞かせてください」

泣き声に近い声を上げてあたしは訴えると、

「理由ですか?」

それを聞いたAYAはジロリとあたしを見下ろし、

そして、

「いいですわ、

 土俵の中でご説明いたしましょう…」

そう言いながら腕のリストバンドに手を掛ける素振りをして見せます。

すると、

「バカ野郎っ!!」

の怒鳴り声とともに

突然、力士達がわたしに飛び掛ってくると、

彼らはあたしからドレスを奪い取り、

体を抑え、

股を無理やり開かせると、

グッ

オチンチンが伸びる股間にあの布束の端を通したのです。

「いやっ!

 なにをするのっ

 やめて!」

必死に抵抗をするあたしの悲鳴が稽古場に響きますが

しかし、力士達は4つに折った布をお尻に通し、

腰のあたりで2つ折に戻して巻き付けていきます。

そして、お尻の上で織り込んで締め上げると、

ギュッ!

布はあたしの股間から外れないように締め上げてしまったのです。

「あっあっ

 そんなぁ…

 お願いですっ

 このフンドシを取ってください」

腰を締め上げる褌を引っ張りながらあたしは力士達に訴えると

「フンドシじゃねぇ、

 さっきも言ったろう。

 それは廻しと言うんだ。

 たったいまよりお前さんは相撲取り・力士になったんだ。

 いいか、その廻しはお前さんの分身でもあるんだ。

 勝手に外すことは許されないんだよ」

と親方はあたしに向かって怒鳴り飛ばします。

「そんなぁ

 じゃぁあたしは…

 本当にお相撲さんにならなくてはいけないんですか」

それを聞かされたあたしは泣きながら訴えると、

「まだ判らないのですか?

 相撲部屋に来て、

 廻しを締めた以上、

 泥棒猫さんはもぅ相撲取りなんですよ。

 さっ、シコ名をあげないとけないわね」

泣き叫ぶあたしに向かってAYAが口を開きます。

「シコ名…」

その声にあたしは震えながらAYAを見ますと、

「相撲取りにはシコ名が必要よ。

 そうねぇ…

 玉の輿を狙って彼に近づいてきたのだから、

 うん”玉乃輿”が良いわ。

 くふふっ

 たった今からお前は”玉乃輿”と言うシコ名の相撲取りよ。

 そのシコ名に負けない相撲取りになるのね」

あたしに向かって彼女がそう告げると、

「玉乃輿かぁ…

 なかなか風流なシコ名だな」

と親方は豪快に笑って見せます。

そして、

「さぁて、シコ名が決まったし、

 早速土俵で相撲を取って貰いたいが、

 だが、その長い髪はいけねぇなぁ」

と言いながら親方はあたしの髪を指さすと、

「おいっ、

 床山っ」

と奥に向かって声を掛け、

「はいっ」

の返事と共に白い作務衣姿の男性が姿を見せると、

「玉乃輿に髷を結ってやれ」

と親方は彼に向かって命じたのです。

「髷って…

 あたしにチョンマゲを結うっていうの?

 やめて!

 それだけはやめて」

彼の言葉を聞いたあたしは頭を押さえながら逃げようとしますが、

「じたばたするな」

たちまち力士達に押さえつけられてしまうと、

「さっ、玉乃輿。

 髷を結わせてもらいます」

床山のその声と共に一流の美容師がまとめ上げたあたしの髪に鬢付けが練り込まれ、

引っ張られながらまとめ上げられて行きます。

そして、

キュッ!

と紐で縛られ余分な髪が切り落とされてしまうと、

大相撲でおなじみの髷があたしの頭に結われてしまったのでした。

「あっあっ

 そんなぁ…」

ピタッ

と崩れることなく結い上げられた髷の感触を幾度も確認しながらあたしは震えていると、

「くふっ、

 汗まみれ、砂まみれ、傷だらけになって横綱を目指すことね」

とAYAはあたしに耳打ちをしてみせます。

「横綱って…

 そんな…」

彼女の言葉に絶望感を感じていると、

「さぁっ、

 お前は富岳部屋の新弟子だ。

 前らっ、祝ってやれ!”

力士達に向かって親方は声を上げます。

「ごっつぁんですっ」

力士達は威勢の良い返事とともに

「おらっ、玉乃輿っ

 こっちにこいっ」

と怒鳴りながらあたしの手を引き土俵の中へと押し込みます。

そして、

「たっぷりとかわいがってやるぜ」

と話しかけながら

パァンッ!

力士達は一斉に足を叩き、

高々と上げたのでした。



クリスマスイブの夜。

あたしは初めて廻しを締め、

初めて髷を結い、

そして、初めて土俵の上で相撲をとりました。

あたしの相手をしてくださる兄弟子達はみな立派な体格の力士ばかりで、

力も半端ではありません。

初めて土俵に立ったあたしが立ち向かってもまるで大きな岩を動かすようなもので、

たちどころに掴み挙げられてしまうと、

そのまま土俵に叩き付けられるのです。

あたしはAYAの目の前で彼女が望んだとおり、

体中に傷を作り、

汗にまみれ砂にまみれになっていきます。

兄弟子達は決して手を緩めずあたしをさらに可愛がってくれます。

可愛がるといっても、

力士達のその言葉が徹底したシゴキの事を指すのです。

張り手を喰らいフラフラになっても竹刀で叩かれ気合いを入れられます。

まさに地獄でした。

パァンッ!

柏手の音が響き、

力士達が土俵から去っていくと、

「うぐっ

 はぁはぁ」

髷を乱し廻しも大きくずらしているあたしはボロ雑巾のごとく土俵上に突っ伏していました。

指一本動かすことができずに突っ伏していると、

ツンツン

と頬が突かれます。

「うんっ」

腫れ上がった瞼を開い見ますと、

そこにはAYAの顔がありました。

「なに…か…よう?」

薄れ掛けた意識であたしは声を掛けますと、

「くふっ、

 ボロボロですわね」

とAYAは哀れむように話しかけます。

「だから…なに?」

その言葉にあたしはぶっきら棒に返事をすると、

グッ

倒れていた体が持ち上げられたのです。

「AYAが介抱してくれるの…まさか」

信じられないことが起きた…とあたしは半信半疑でしたが、

あたしを担いでいるのは居残っていた一人の力士でした。

そして、

「さぁ、稽古の後はこっちですわ」

と言うAYAと共に担がれたあたしは奥へと向かっていきます。

ガラッ!

建物の奥、突き当たりにある引き戸が開けられると、

4畳半ほどの板張りの部屋に

背もたれがある大きな椅子が置かれている様子が目に飛び込んできました。

「なに…ここ?」

医務室…とはとても思えないその佇まいにあたしはイヤな予感を感じると、

ドサッ!

廻し姿のままあたしはその椅子に座らされ、

力士の手によって手足が備え付けのベルトを固定されたのです。

「なっ何をするんですかっ!」

呂律の回らない口であたしは声を上げますと、

パタンっ

AYAが戸を閉めます。

と同時になんとAYAの特大ヌードポスターが姿を見せたのでした。

「なにこれ…」

ヌード写真集などは一切出したことがなく、

ある意味お堅いキャラで売っているはずのAYAのヌードポスター。

しかも、AV女優がしてみせるような大胆な構図にあたしは唖然としていると、

「やだぁ、恥ずかしですわ」

とAYAは恥ずかしがって見せます。

「なっなんなの、これは…」

声を震わせながらあたしは改めて尋ねると、

「くふっ、

 人間の体は痛めつけられると次には痛めつけられないようにって、

 強くなりながら傷を治していくそうですわ」

とAYAは話しかけます。

「しっ知っているわよ、

 そんなこと…」

彼女に向かってあたしはそう言い返しますと、

「あら、博学なのですね。

 でも、この袋の中に入っている薬が

 その回復する力を大きく手助けをする効果がある。

 ってことまでは知らないでしょう」

とAYAは外れかけた廻しから顔を出している袋を突いて告げたのでした。

「それって…」

彼女のその言葉を聞いてあたしはイヤな予感を感じ取ると、

「くふっ、

 でも薬だけではだめ、

 体を治すには相応の素材もまた必要なの。

 でも、安心してくださいな。

 ちゃぁんと準備をしてありますの。

 ほらっ、ここにはお前の血となり肉となる高タンパクの特製プロテインが入っていましてね」

とAYAは説明しながら天井に備え付けられているポリタンクを指差し、

そして、そのポリタンクから伸びる管をあたしに向かって伸ばしたのです。

「やめて…」

そう言うだけで精一杯でした。

でもAYAはその管にマスクのような器具を取り付けると、

「クフッ

 さぁ、稽古の後は体造りですわ。

 これをたっぷりと飲んで、

 立派な相撲取りになりなさい」

と言いながらあたしの口に押し当てたのです。

グニュッ

「うごっ」

口の中に柔らかく巨大な塊が潜り込み、

さらに喉の奥に向かって管が伸びていきます。

「ぐぉ

 ぐぉ

 ぐぉ」

呻き声をあげあたしは首を左右に振りますが、

でも、それを自分の力で外すことはできません。

首を振りながらあたしがもがいていると、

「あらっいけないっ

 泥棒猫さんのスイッチを入れるのを忘れていたわ」

とAYAは言うと、

いきなりあたしの前で腰を落とすと腕を伸ばし、

ギュッ

こともあろうか外れ掛けている廻しの隙間から顔を出しているオチンチンを握ったのです。

「うぐぉ」

彼女の行為にあたしは呻き声を上げると、

「よくお聞きなさい。

 いまから男のオナニーを覚えるのよ。

 オカズはわたくしのお写真…

 くふっ

 お前はわたくしをオカズにして射精をするのです。

 あら、初めてだから精通になるかしら?

 するとですわ、

 この袋の薬が出てくるとあなたの体の中を巡りだし、

 筋肉細胞や脂肪細胞一つ一つに作用をしますのよ。

 そうなるとあなたの細胞は通常の人の数倍の素材を欲しがる様になるのです。

 それに併せてお前の口の中に特製・高タンパクのプロテインが流れ込む仕掛けになっていますの。

 どうかしら?

 とっても素晴らしいでしょう。

 あっ、それと薬の副作用で、

 あなたの卵巣は精巣へと作り変えられ、

 男性ホルモンも出すようになりますわ。

 そうなったらもぅ泥棒猫さんは本物の男に…

 そして相撲取りになるのです。

 くふっ

 さぁ、始めますわよ」

あたしに向かってAYAはこの部屋に仕組まれたこと恐ろしい事実を告げ、

シュッシュッ

とあたしのオチンチンを扱き始めたのです。

「!!っ

 ふごぉ(ひゃっ)!

 ふごぉ(ひゃめてぇ)!

 うぉ(お願い)っ、

 うごあぁぁぁ(オチンチンに触らないでぇ)」

腰を幾度も動かして抵抗を試みますが、

でも、AYAの手はオチンチンから離れず、

それどころか、

無理矢理着けられたはずの偽りのオチンチンがビンビンと響いてくるのです。

すると、

「くふっ、

 感じます?

 気持ち良いですか?

 それが男の快感ですよ、

 玉乃輿ぃ、

 ほらほら、

 射精をするまでこれはやめませんよ」

とAYAはいたぶるようにして手を動かします。

「ふごぉぉ(いやぁぁ)…

 うぉっ、うぉっ(でも、なんで)…

 うぐぐぐぐぐううう(なんで、こんなに感じちゃうの?)

 うごぉうごぉ(だって、これって…)

 うごぉぉぉ(つっ作り物なんじゃないの?)」

まるで自分の体の一部のように感じてくる快感に翻弄されながら、

あたしは頭を振り、

乱れた髷を頭の上で躍らせます。

「感じているのでしょう?

 もぅこのチンコはあなたの一部なんですよ。

 ほら、AYAちゃんが見て居いますわ。

 男なろうとしているあなたを…

 お相撲さんになろうとしているあなたを…

 さっさとお出しなさい。

 溜まっているあなたご自身の精を、

 熱いマグマと化しているあなたのエキスを…

 目の前のAYAちゃんに向かってぶちまけるのですよ」

そんなあたしに向かってAYAはやさしく、

乱暴な言葉を投げかけます。

「うごっ(出すって)…

 うごっ、うごぉぉ(だって、あたしは…おっ女…)」

その囁きにあたしはそう言い返そうとしたその時、

ビリッ!

突然股間に電気のようなものが走ると、

グググググッ

体の奥から熱いマグマが頭をもたげてきました。

「うご(あっ)、

 ごわっ(くっ)、

 ふごぉぉ(いっいや…)

 ふごぉぉ(うぐぐぐ…)

 うごぉ(だめっ)”

飛び出そうとするマグマをあたしは必死になって堪えて見せると、

「出したいのでしょう?

 我慢してはいけません

 さぁさぁ

 さぁさぁ

 出すのですっ」

あたしの変化を感じ取ったAYAはそう言い、

シュッシュッ

シュッシュッ

さらにあたしのオチンチンを激しく扱きます。

そして、

「うわっっ、

 先走りがドクドクと出て来ましたわぁ」

とオーバーに驚いて見せたとき、

「うぉぉぉぉぉ(あっあっああああ…)」

あたしは声にならない声を上げながら最後の抵抗を試みましたが、

でも、それは長くは続きませんでした。

ミシッ

ミシッ

ミシミシッ

ひたすら堪えていた最後の砦を打ち破るようにマグマはその力を増し、

ついに限界点を突破してしまうと、

「うごぉぉぉ(あっあっ)

 うぉぉぉぉぉ(あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)」

口を塞がれているあたしは大きな呻き声を張り上げ、

ビュビュビュッ!!!

あたしはAYAの目の前で、

彼女のポスターに向かって勢い良く射精をしてしまったのです。

「まぁ、すごいっ

 見て下さい。

 玉乃輿があたしに向けて射精しましたわ」

それを見たAYAは興奮気味に同室している力士に話しかけると、

「ごっつぁんです」

と力士は返事をして見せます。

すると何を思ったのでしょうか、

AYAは自分のポスターに掛かるあたしの精液を指先で掬うと、

それを軽く嘗めて見せ、

そして、

「くふっ、味も素っ気もないわ。

 でも、スグに濃厚な味に変るのね」

と囁いたのです。

でもその時のあたしは

「(しちゃった…

  あたし…

  射精をしちゃったぁ…

  AYAに向かって、射精をしちゃった…)」

と全身を覆う倦怠感を感じつつ涙を流していて、

言葉の事なんて考える余裕はありませんでした。



あたしが感傷に浸る時間はそんなには続きませんでした。

ジワッ

股間からわき上がった黒い何かが体を包み込んでいくと、

それに呼応するように

グルルルル…

急にあたしのお腹が空いてきたのです。

射精と共に袋にしこまれていた薬が溶け出し

それに呼び覚まされたように細胞が素材を求めだしたのです。

「あっはいはい」

腹の音を聞いたAYAは嬉しそうに返事をしながら、

ポリタンクから伸びるスイッチを入れますと、

ジュルルルル…

口を塞ぐチューブの中を通ってジェル状の物体があたしの胃の中へと流れ込んできます。

「うぐっ

 うぐぐぐっ

 うぐっ」

それを飲むことを拒否することは出来ません。

あたしの異の中にそれは絶え間なく流し込まれると、

そのまま腸へと送り込まれ体は吸収していきます。

あたしの頭が拒絶しようとしても、

体はそれを求めている以上どうすることも出来ないのです。

「さぁ、ここから先はあなたお一人の仕事ですわ。

 頑張って筋肉と脂肪の鎧を身に纏いなさい」

あたしに向かってAYAはそう言い残して部屋から去ると、

ポンッ!

付き添っていた力士は無言であたしの肩を叩き去って行きます。

「うごぉっ

 うごぉ

 うごぉ」

あたしは一人ぼっちで椅子に縛られうめき声を上げ続けていました。

そして、

「うぐっ

 うっ

 うっ

 うぐぐぐ」

部屋の中にあたしのうめき声を響かせると、

次第に、

ジワッ

ジワジワ

ジワジワジワ

体の芯から火照てり、

やがて身を焼き尽くすような熱さへと変わり、

「(熱い…

  熱いよぉ…

  誰か…

  助けて…)」

あたしは唯一動く首を左右に振りつつ、

滝のような汗を流しながら熱さに耐え続けたのです。

そして、

ムクムク

ムクムクムク

稽古で痛めつけられた部分が蠢き出し、

それに合わせて全身の筋肉も蠢き出したのです。

「うぐぐぐ…

 ぐぅぅ」

ポスター写真のAYAに見つめられながら、

あたしの体は蠢きながらゆっくりと張り出して行きます。

そう一枚目の肉の鎧があたしの体を覆い尽くしていきます。

そして翌朝。

「まぁ、なんてことでしょう」

感心してみせるAYAの前で

あたしは昨日よりも逞しく変身した肉体を披露していたのでした。



つづく