風祭文庫・アスリート変身の館






「部屋を継ぐ者」
(第3話:澪の場合 −技−)


作・風祭玲

Vol.620





「ただいま」

「いまもどった」

学校に退学届けを提出しに行ってきた澪と柴田が自宅に戻ると、

「澪ちゃん…

 いや、澪、

 荷物を置いたら稽古場に来なさい」

と柴田は言葉短く告げるなり

スタスタと稽古場のほうへと向かっていく。

「はい」

その後姿を見送った澪は

自分の部屋へと戻り、

学校から持ち帰った私物を置くと、

ふと部屋に置いてある姿見を見た。

するとそこにはセーラー服に身を包んだ女子高校生の姿があり、

じっと自分を見つめている。

それを見ながら澪は握り拳を作ると、

胸元にそれをつけながらクッと何かをこらえた後、

険しい表情をすると、

柴田が待っているが稽古場へと向かっていった。

トタトタ…

今日以降、もはや着ることが無くなるであろう、

セーラー服を靡かせながら澪は稽古場へと向かうと、

稽古場の桟敷には柴屋が明美が並んで座り

そして、柴田の前には黒い布束となにか棒のようなものが置かれていた。

「うっ」

それらを見た途端、

「ま・わ・し」

布束の名称が澪の脳裏を駆け回り、

と、同時にこの稽古場で髷を結い

汗と砂まみれになって稽古をしていた力士達の姿を思い出すと、

「あっあたし…

 あの人たちと同じ姿に…」

澪は廻しを締め、大銀杏を結う力士となった自分の姿を思い浮かべる。

「いっいやっ…」

汗と砂まみれの力士になる…

この現実に澪は一瞬恐怖するが、

「来たか、澪」

その途端、柴田は澪の名前を呼ぶと、

「あっはいっ」

賢の声と同時に澪の恐怖心は吹き飛び、

返事をすると、柴田の前に立った。

「本来はこういう事は…

 君のお父さんである親方がすることだが、

 親方が入院中の為、
 
 私が代理として執り行う、
 
 いいね」

と話しかける。

「はいっ

 よろしくお願いします」

父親の代理を宣言する柴田に向かって澪は頭を下げる。

すると、

「よしっ、

 では、いま着ている服を脱ぎなさい。

 これから澪に廻しを締めてあげます。

 廻しは昨日も締めたが、

 あれは、女の子として土俵に上がるために締めたもので、

 力士として締めたものではない。

 いまから締める廻しは力士になるために、
 
 男となるために締める。
 
 と言うことを肝に銘じて欲しい」

と柴田は澪に告げると、

「はいっ」

澪は返事をし、

震える手でセーラーのタイを掴んだ。

シュルリ…

澪の胸からタイが取り外されると、

続いて上着に手を掛けた。

そして、スカートを脱ぐときには一瞬ためらったものの、

澪は制服をすべて脱いでしまうと、

「……」

下着姿で柴田の前に立った。

しかし、

「何をしている。

 下着もすべて脱ぐんだ。
 
 力士は廻し以外なにも身に着けてはいけないんだ」

と諭されると、

「うっ

 は…はい」

澪は泣きそうな声で返事をしながら下着に手を掛けた。

すると、

「なんだ、その声は!!

 力士が泣きだしそうな声を出すなっ」

柴田の容赦ない声が響くと、

クッ

澪は歯を食いしばりながら下着とブラを取り、

柴田にその肉体を晒す。

幼少の頃から柔道で鍛え、

高校からは新体操で鍛えられた澪の身体は、

筋肉質な上に出るところと引っ込むところが明瞭な

まさにプロポーションのいい肉体になっていた。

「うっくっ(かぁぁぁ)」

一糸纏わぬ裸体を柴田に晒していることに

澪は恥ずかしさを感じつつ、

歯を食いしばり、目を背けるが、

しかし、柴田はそんな澪の事情など構うことなく、

「では、よろしいですね」

と隣に座る母親・明美に了解を得ると、

「廻しを締める前に澪にはコレを付けて貰う」

と言いながら布束の上に置いてある長さ5cm程の棒のようなもの手に取り

それを差し出した。

「え?」

それの意味が判らずに澪は目を凝らすと、

それは男性器…

そう男の人のペニスであった。

「ひっ!」

ペニスを見た途端、

澪は悲鳴を上げると、

「ふっ」

柴田は小さく笑い、

「これは、本物のチンコじゃない。

 作り物だ」

と説明する。

「作り物…ですか?」

柴田の言葉を復唱しながら澪はシゲシゲと見つめると、

「そうだ、

 だが、
 
 ただの飾り物とは違う。
 
 ちゃんと立ってション便も出来る優れものだよ」

柴田はそう説明をする。

そして、

「さらに、使い込めば、

 勃たせることさえ出来る。
 
 まぁ、その辺は澪が何処まで使いこなせるかだけどな」

と言い、

「さぁ、股を開け、

 付けてやる」

と指示をした。

「え?

 え?
 
 えぇ!!」

予想外の展開に澪は困惑すると、

「ホラ、何をしている、

 他の力士達と一緒にいるときに立ちションが出来なければ、
 
 怪しまれるだろう。
 
 男になるためにはコレを付けないとならないんだ」

と柴田は急かした。

「あっはっはい…

 でっでも…」

なおも澪は踏ん切りが付かないで居ると、

「澪…」

明美の声が響いた。

「はっはい…」

その声に澪はうなだれると、

柴田の前に近づき、

そして、股を開くと、

澪の陰毛の中に隠れているクレパスが露になった。

すると、柴田は澪に近づき、

ゆっくりと手を伸ばすと、

クニッ…

閉じているクレパスを指で開いた。

「うっ」

澪の顔は恥ずかしさで真っ赤になり、

額に湧いた汗が滴り落ちる。

その一方で、柴田はそんな澪の気持ちを解せずに、

作り物のペニスから出ている2つの管を伸ばし、

その中の太い管を澪の秘肉の中にある穴の一つに押し込んだ。

ニュル

ニュルニュル…

球形に加工された太めの管は澪の膣をさかのぼり、

「あっ

 うっく」

その遡ってくる感覚に澪は思わず声を漏らす。

「(うっ

  なにこの感覚…静香とのエッチよりも感じちゃう)」

歯を食いしばりながら澪は辱めに耐えていると、

ニュッ

管の動きが止まり、

今度は一回り細い管が澪のオシッコをする穴に差し込まれた。

ヌヌヌヌヌ…

「あっ

 あはっ」

痛いような不思議な感覚に澪は声を漏らすと、

トットロトロトロ…

まだ澪の身体から離れているペニスの先から小便がこぼれはじめだした。

「おいおいっ

 稽古場で小便をするなよ」

それを見た柴田が注意をすると。

「だって…」

と澪は上気した顔で柴田を見る。

すると、

パンッ!

いきなり柴田の平手が澪の頬を叩くと、

「なに甘えている。

 お前は男になるんだろう?
 
 男が小便を漏らすんじゃない!」

と怒鳴った。

「はっはいっ」

その声に叩かれた頬を押さえながら澪は返事をすると、

「股を開け、

 チンコを填めてやる」

柴田はそう告げ、その言葉通りに、

2本の管を差し込み終わったところで、

柴田はペニスをゆっくりと澪の身体へと近づけていった。

そして、澪のクレパスを自分の指でさらに開かせると、

皮の中に隠れているもっとも敏感な核を露出させた。

「くっ」

敏感な核を露わにされ、澪は歯を食いしばる。

すると、露わになった核にかぶせるようにして、

柴田は作り物のペニスを押し当てると、

さらに、クレパスを開かせていた指を外した。

その途端、

「あんっ!」

澪の叫び声が稽古場に響き、

クニ…

澪の秘所に押し当てられた作り物ペニスはがっしりと固定された。



「あぁ…」

自分の股間から飛び出すペニスの姿に澪は困惑する。

股間から突き出す男の証…

その証を付けられた以上、

もはや女であるとは言えない…

その事実に澪の心は打ちのめされていたのであった。

「うん、

 これなら、少し見ただけでは女ってわからないな」

やや白目に着色されているためにペニスは元から生えていたかのように、

澪の身体に密着すると、

「よしっ

 廻しを締めるぞ」

と言いながら柴田は折りたたんである廻しを手に取り、

「もっと股を開け」

と命じると、

シュルッ…

開かれた澪の股間に廻しを通した。

「あっ」

グニッ!

ヒタッ

女性用の下着しか当てたことが無い澪の股間に

硬くごわごわした廻しが当てられると、

付けられたばかりのペニスをゆっくりを押してきた。

その感覚に澪は身をよじろうとするが、

「これを持て」

柴田に廻しの端の片方を持たされると、

グルグル

と澪の身体に横廻しを巻いていく、

そして、明美の見守る中、

澪の腰に一重二重と廻しが巻きつけられ、

最後に

グイッ!!

ギュッ!!

廻しが締め上げられると、

ミシッ!

「うっ」

澪の股間は廻しによってきつく締め上げられ、

そして、それと同時に澪の股間には

力士の象徴である廻しが締められてしまった。



「あぁ…」

自分の股間に締められた廻し…

女の子では絶対に締められることがない廻しの姿に澪は困惑するが、

「おいっ、

 様になってきたじゃないか!」

と柴田に言われ、

「あっありがとうございました」

澪は頭を下げる。

すると、

「よしっ

 じゃぁ、次は髷だ。

 髷を結ってこそ相撲取りだ。

 まぁ、普通の男なら髷を結うまで時間が掛かるが、
 
 お前は直ぐに結えるな、
 
 そこに座りなさい」

と柴田は澪に力士の証である髷を結うことを告げた。

「はっはい…」

廻しを締められて開き直ったためだろうか、

その時の澪は躊躇いもせずに

柴田に背を向けると

「よろしくお願いします!」

と声をかけその場に正座をした。

すると、

「力士なら胡座をかかないか」

と柴田の声が響く。

「はっはいっ」

柴田のその指摘に澪は慌てて胡座を組むと、

ヒタッ

澪の肩まで伸びた髪に柴田の手が触れた。

ビクッ!!

身体を走ったその感覚に澪は一瞬身体を強ばらせると、

「コレも本来なら床山の仕事だがな」

と言いながら、

ギュッ!!

柴田は澪の髪は強く引っ張り、

その髪に瓶付け油と蝋を練り合わせた力士用の油が塗りこめられ始めると、

やがて澪の髪に満遍なく行き届く、

そして、器用に澪の頭に髷を作り上げていく

キュッ

髷が結われ、

そして、きれいに髪が切りそろえられると、

澪の頭には力士の象徴である髷が出来上がっていた。

「よしっ

 立派な力士だ」

廻しを締め、

髷を結った澪の姿に柴田は満足そうにうなづくと、

「おいっ、入ってこい!」

柴田が声を上げた。

すると、

「ごっつあんです」

の声と共に、

ノッシッ

巨体を揺らしながら一人、

また一人と黒廻しを締め、

髷を結った巨体の男達が稽古場に入ってきた。

「こっこの人は…」

「あぁ、この部屋には世話になならなかったもののの

 君のお父さんになにかと世話になった者達だ、

 事情を話したら、
 
 是非、強力をしたいと申し出てくれたのだよ」

と柴田は説明をすると、

「初めまして、

 わたし、親方には何かと面倒を見てくだされました。

 もしよろしかったら、

 お手伝いをさせてください
 
 お願いします」

と力士は澪に向かって頭を下げた。

すると、

「お願いします」

「お願いします」

と他の力士も頭を下げ、

「はっはぁ

 わたしこそ…お願いします」

そんな力士に澪は頭を下げた。

「さて、私も…

 ふふっ
 
 久しぶりだな…こうして土俵に立つのは」

シュルッ!

ギュッ!

そう言いながら柴田もまた服を脱ぎ廻しを締めると、

「よしっ、

 さぁ、私を含め、

 この者達が今日からの稽古相手だ、

 少なくとも、
 
 此奴らを全員投げ飛ばせるようになって貰わないとな」

柴田はそう言いながら、

パン!

と締めた廻しを叩き、

「良いか、澪。
 
 お前のフンドシの下にはチンコがついているんだ。
 
 チンコを付けたお前はもぅ立派な男だ。
 
 女だったことは忘れろ。

 相撲以外のことは考えるな。
 
 勝つことのみを生き甲斐にしろ」

と力士としての心得を告げると、

「よしっ

 土俵に上れ!!」

と命じた。

「はいっ」

柴田の言葉に澪はそう返事をすると、

一歩…

彼女の細くて白い足が力士として土俵へと踏み込んだ。

シャリッ…

巻かれた砂が澪の足を軽く刺激する。

「あっ

 あたし…
 
 土俵に入ったんだ」

その瞬間、澪は一線を越えてしまったことを実感すると、

もぅ新体操部で汗を流した日々には戻れないことも実感する。

しかし、柴田は感慨にふける澪にそんな暇を与えることなく、

「なにをぼさっとしている。

 稽古の前の四股踏みだ」

と言い放ち、

「四股踏み200回!」

と澪に告げ、

「いーちっ!」

念入りな四股踏みをはじめだした。

そして、

汗だくになりながら澪が四股を踏み終えると、

「よしっ

 こぃっ!」

と土俵に仁王立ちになり澪に向かって三番稽古を告げた。

「はいっ」

柴田のその声に突き動かされるようにして、

澪は腰を落とすと柴田を始め、

力士達に向かって渾身の力を込めてぶつかっていった。



「よし、今日の稽古はこれまで」

稽古の終わりを告げる柴田の声が響き渡ると、

「あっありがとうございました」

土俵の中には体中に痣と擦り傷を作り、

そして全身、砂まみれの澪が息も絶え絶え立っていた。

「うんっ、

 良く頑張ったな…」

そんな澪の髷がほつれた髪を撫でながら柴田は褒めると、

キッ!

澪は柴田を気丈に見つめ、

「明日も頑張ります」

と言う。

「そうか、

 それを聞いて安心したよ」

澪のその言葉に柴田は澪の肩を叩くと、

「うっ」

稽古で打ち付けた所が痛むのか一瞬顔が歪んだ。

そしてスグにほうきを手に取ると、

力士達と共に土俵の整備をはじめだした。



「いたーぃ」

土俵の整備後、

澪は廻しを外し、

シャワーを浴びる。

ノズルより吹き出すお湯が澪の傷を洗うと、

澪は思わず飛び上がりそうになった。

そして、そんな身体をいたわるように、

澪は慎重にお湯を身体に掛けていくと、

プルン!

股間に付けられたペニスが手に触れた。

「あっ」

自分の手の甲に触れたペニスの存在に澪は気づくと、

「あっあたしのオチンチン…」

と呟きながら作り物のペニスをそっと握りしめる。

フニャッ…

握りしめたペニスはまるでスポンジを握ったかのように柔らかく、

これが女性の局部に挿入されていくとことなど、

とても想像は出来なかった。

「…本物のオチンチンってもぅ少し硬いのかな?」

作り物のペニスを握りしめながら澪はそう呟くと、

ジワッ

体の奥が妙に熱くなりはじめた。

「あっ、

 ダメ…」

以前ならこのまま一人エッチをするところだが、

しかし、女としてのアソコはこのペニスが付けられたときに、

ペニスの中に隠されてしまい。

いまさわれるのはペニスの周囲に顔を覗かせている

一番外側のクレパスの縁であった。

ギュッ!

ペニスを握る手の力を強くし、

澪はゆっくりとペニスを引っ張りはじめた。

出来るものなら外したい。

そう思いながら澪は作り物のペニスを引っ張るが、

しかし、

ミシッ!

澪の局部に付けられたペニスは外れることがなかった。

「え?

 うそっ
 
 そんな…コレ取れないの?」

ぴったりとくっつくペニスに澪は驚き、

さらに力を込めるが、

それでもペニスは外れなかった。

「そんな…

 取れないだなんて…」

自分の力ではこの作り物のペニスを取ることが出来ない。

予想もしなかった事態に澪は衝撃を受けると、

ペタン!

シャワーが降りしきる中、座り込んでしまった。

そして、

自分を抱きしめながら、

「イヤッ…

 イヤッ
 
 イヤァァ!!」

と泣き叫ぶが、

その声を聞きつけて飛び込んでくるものは誰も居なかった。

一通り泣いたのち、

ブルッ!

澪は尿意を催しはじめた。

「え?

 そんな…」

稽古の間に溜まった尿が出口を求めて

膀胱を押しはじめたことに澪は困惑した。

「どっどうしよう…

 オシッコ…
 
 でっでちゃう…」

以前ならこのまましゃがんでしてしまうところだが、

しかし、いまはその出口をペニスが塞いでいる。

澪は股間を押さえながら右往左往しているうちに、

プッ!

ペニスが一気に膨らむと、

プシャ!

その先から尿が吹き出してしまった。

「あっあっあぁ…」

ペニスの先から吹き出す尿に澪は驚き、

そして、立ったまま右手でペニスを持ち変えると、

シャァァァァァ!!!

澪の股間から勢いよく水の流れが伸びていく。

「あぁ…

 あたし…
 
 立ってオシッコしている…
 
 男の人みたいに立ってオシッコを…」

タイル張りの壁に左手を付き、

右手をペニスに添え、

澪は生まれて初めて立ちションを経験してしまったのであった。

こうして、澪が力士として、

男として第一歩を踏み出したが、

しかし、さらに澪には過酷な肉体改造が待っていたのであった。

澪の秘所に填め込まれた作り物のペニスの睾丸部分には

特殊な男性ホルモン剤が仕込まれていて、

激しい稽古と共にホルモン剤が徐々に溶け出していく仕掛けになっていた。

そして、溶け出したホルモン剤は澪の身体の中にはいると、

彼女の女性としての機能を止め、

男性としての筋力の増強の働きをするものであった。

その為、

「あっ熱い…

 身体が熱い…」

激しい稽古が終わるのと同時に

澪は体の中から湧き出してくる熱さに悶え苦しみ出すようになり。

「うっくっ

 熱い…
 
 熱いよぉ
 
 かっ体が燃えるみたい
 
 それに、
 
 ちっ力が
 
 あぁ沸いてくる
 
 うっうぅ…
 
 だっだめっ
 
 我慢が出来ない」

稽古後にもかかわらず、

澪は湧き出してくる熱さとパワーから逃れようと、

逆に一人四股を踏み始める。

100回

200回

300回

澪は四股を踏み続け、

さらに、それでも足らないとなると、

いつ覚えたのか、

テッポウ柱に向かってのテッポウ打ちや、

土俵の周りをグルグルとすり足で回り始めた。

そして、体を動かせば動かすほど澪のパワーは増し、

それを消費させるためにさらに澪は稽古を続けると言う、

筋力増強の循環に陥ってしまった。

そして、食欲もまた旺盛さを増し、

以前の数倍の食事をすべて平らげるようにまでなってしまうと、

澪の身体は水を得た魚のごとく筋肉が盛り上がり、

体重も急カーブを描いて増えていった。

まさに、力士へ向かってまっしぐらに突き進んでいったのであった。



また、

ビンッ!

澪の秘所に付けられていた作り物のペニスも、

徐々に勃起するようになり、

「ハァハァ

 ハァハァ」

稽古後…

トイレの中に隠った澪は作り物のペニスを扱くようになっていった。

「クハァ

 あぁ…

 いいっ、
 
 いいよ」

ズルッ

ペニスの先は完全に剥けきり、

ピンク色をした亀頭が飛び出しているが、

これも、そのように作られたものであり、

勃起すれば剥ける。

と言うギミックが澪に男としての本能を植え付けていたのであった。

そして、

「あぁ…

 へへへへ…」

ペニスを扱きながら澪の脳裏に浮かぶのは、

かつて汗を流した新体操部の仲間の姿。

「はぁ…

 由美子ぉ…
 
 もっと、股を開け、
 
 そうだ、
 
 小百合ぃ
 
 乳を揺らせ」

シュッシュッ

シュッシュッ

ペニスを扱きながら澪は妄想の中に浸る。

そして、最後は決まって

「あぁ…静香ぁ

 俺…こんなになったけど、
 
 いいのかよぉ」

と声を絞り出しながら、

「うっ」

ビュッ!!!

ペニスの先から熱い粘液を噴き上げていたのであった。

無論、本来女性である澪は射精をすることは出来ない。

しかし、澪に装着されたペニスは膣から流れ出る愛液を溜め、

それを射精するかのように吹き出すことが出来るのであった。



「うしっ」

バァァン!!

男としてのオナニーを覚えた澪は

締めている廻しを自分の汗でずぶぬれにしながらも

さらに稽古に打ち込むようになった。

もはや、その姿は相撲に狂っている。

としか言いようが無いくらいに澪は猛稽古を続ける。

そして、それは…

ミシッ…

メリッ…

ムクッ…

澪の骨格は再び成長をはじめ出すと、

全身の筋肉も成長する骨格を追いかけ発達していった。

「あっあぁ…

 こんなに…
 
 あたし太って…
 
 あぁ手も…
 
 足も…」

澪は日に日に太くなっていく自分の身体の姿に恐れおののくどころか、

変化していく身体に酔いしれるようになると、

「あたし…

 お相撲さんになっていく、
 
 あぁ、筋肉がこんなについて、
 
 あたし…
 
 …あぁ戦いたい…
 
 みんな投げ飛ばしてしまいたい」

と彼女の心の中に確実に闘争心を確実に植えつけていき、

やがて、湧き上がる闘争心が澪を支配していく、

また、その一方で、

澪の人相も稽古と共に変わり、

新体操選手時代はパッチリした二重瞼で周囲の人気者だった澪の目が、

猛稽古によって一重に潰されてしまうと、

額の周りも皮膚が厚くなり、

そして、その変化は女としての恥じらいをも忘れさせてしまうと

澪の心は吹っ切れたかのように心も男性化していった。

こうして柴田から稽古後のランニングを命じられても

以前は廻し姿のままで稽古場から出るのを躊躇っていた澪だったが、

しかし、その廻し姿でのランニングを平気でこなすようになり、

タッタッタッ!!

廻し姿で町内を巡る力士の姿はいつの間にか景色の中に溶け込んでいた。

澪は一人前の相撲取りとして成長していったのであった。




「よしこいっ!」

「ぅしっ!!」

バシン!!

ズザザザザザ…

すっかり力士となった澪は柴田はもとより、

彼が助っ人として呼んだ他の部屋の力士達とも

互角の相撲を取ることが出来るところまで成長すると、

「はぁはぁ

 まっ待ったぁ!」

力士達の間からギブアップの聞こえるようになった。

まさに、この力士がほんのこの間までレオタードを身に纏い、

まるで妖精のごとく舞っていた少女だったという事に気づく者は誰も居なかった。



こうして、力士へと変貌していった澪は新弟子検査の前日には体重は90kgを超え、

また乳房も厚く盛り上がった胸板に溶け込み目立たない程度になってしまっていた。

その甲斐あって澪は無事新弟子検査に合格し、

いよいよ初土俵を踏むことになった。

そしてその前日、

澪は父親が入院する病室の前で廻し姿になっていた。

「よしっ」

パァァン!!!

頭には大銀杏を結い、

そして腰には化粧まわしを締めた姿で澪は気合いを入れると、

病室のドアへと向かっていく、

すると、

カチャッ…

澪がドアを開ける前に病室のドアは開き、

まるで澪を招き入れるかのように大きく広がる。

すると、

ノッシ…

ノッシ…

それの臆することなく澪は病室へと入っていくと、

中では着物姿の母・明美と、

紋付き袴姿の柴田がベッドを挟んでおかれている椅子に座り、

じっと澪を見つめている。

そしてその真ん中では人工呼吸器が付けられた父・賢の姿があり、

うつろな目で病室に入ってきた力士の姿を眺めていた。

「………」

なにか明美が賢の耳元で囁くと、

クッ!

一瞬、賢の目に輝きが灯ったように見えた。

その光景に澪は胸を熱くしながら、

賢の前に立ち、

そして、腰を落とすと、

ザッ!!!

大きく右足を上げた。

「見てパパ…

 あたしの土俵入りよ…
 
 あたし…
 
 お相撲さんになったのよ」

じっと自分を見ている父親を見つめながら、

ビシッ!

澪は鋭く脚を下ろす。

そして、その感覚を味わいながら

ビシッ!

ビシッ!

澪は四股を踏み続けていたのであった。



そして迎えた場所の初日、

澪は柴田達と軽く稽古を付けると国技館へと向かっていく、

無論、自家用車で行くわけはなく、

他部屋の新弟子達と同様にJRでの移動だった。

タタンタタン…

稽古の汗が染みこんだ廻しを風呂敷に詰め、

澪は久々に電車に乗る。

「あれ?

 こんなに小さかったっけ?」

女子高校生時代とは打って変わった視界に澪は戸惑うと、

「あっ、

 ママ見て
 
 お相撲さん」

と言う声が下から響いた。

ニコッ

その声に澪は笑みを浮かべると、

ニコッ

澪の下に立つ幼児は笑みで返し、

「ママ…」

と叫びながら傍の椅子に座る母親の元へと走っていく。

「はぁ…母親か…」

親子の光景に澪は女を捨てたことを一瞬後悔するが、

ピクッ

外れることが無くなった股間のペニスが小さく揺れると、

「あっ…」

澪は力士としての自分に引き戻された。

「そうだ、

 あたしは…
 
 力士…
 
 相撲取りなんだ」

そう再確認しながら澪は駅を降りる。

目指す目標は

横綱!

支度部屋でこれまでの稽古による汗と砂ですっかり色が落ち白灰がかった廻しを締め、

澪は土俵へと向かっていく。

ここが、あたしの新しい舞台…

ここが、あたしが生きていく舞台…

そう心に決めながら澪は土俵へと登って行く、

一人の力士として、

一人の男として…



つづく