風祭文庫・アスリート変身の館






「肝試しの顛末」


作・風祭玲

Vol.993





「へ?

 肝試し?」

不意にその話題が振られたのは練習後のミーティングが終わった時のことだった。

「そうなのよっ、

 ほら、学校の近くに昔相撲部屋があった建物があるでしょう」

皆でゾロゾロと更衣室に向かいつつ、

練習用のレオタード上に新体操部のロゴが入るジャージを羽織った遠藤詩織は

目を耀かせながらアップで迫ってくると、

「その建物に夜な夜なお化けが出るんですって…」

彼女の後に続く菅尾久美が嬉しそうにメガネを光らせ説明をし始める。

「やっやめてよっ

 そんな話」

元々お化けなどの話が大嫌いなあたしは

乗り気の二人を押し戻すかのようにして声を上げると、

「あはは、

 洋子は怖がりだからねぇ」

とあたしを小バカにするように塚本美佐江が笑ってみせる。

「なによっ、

 そんな言い方しなくても良いじゃない」

その指摘にあたしはプッと両頬を膨らませながらへそを曲げて見せると、

「じゃぁ、この肝試しに参加してくれるのね」

と詩織は念を押すようにしてあたしに言う。



あたしの名前は牟礼洋子。

新体操に汗を流す16歳なんだけど、

こんな経緯の結果、肝試しをすることになってしまったのであった。

一旦帰宅後、

再度学校前で詩織たちと合流すると、

「とほほほ…なんで…」

ガックリとうな垂れながら歩くこと約5分、

学校に程近い廃屋へと向かっていく。

かつて相撲部屋があったという廃屋は

マンガなどで見られる傾きかけた廃墟と言うものではなく、

窓の破れも無いこぎれいな建物であった。

無論、この建物が全く知らないものてわけでもない。

あたしが小さかった頃、

この建物の中にあった相撲部屋には大勢の力士達がおり、

廻し姿で稽古する彼らの姿は地域の名物でもあった。

しかし、この相撲部屋ももっと環境の良いところに移転したため、

無人となった建物が残されてしまったのである。

「いーぃ、

 目指すは奥にある稽古場よ。

 そこにある土俵脇に行ったことを証明するこの蝋燭を置いてくるの」

遅い日の入りもとっくの昔に過ぎ闇が支配する夏の宵。

相撲部屋があった建物の前に立つあたしは

この肝試しを取り仕切る詩織から注意事項を聞かされていた。



「やっぱやめようよ、

 こういうの」

手渡された蝋燭を手に持ちあたしは小声で呟くと、

「何を言っているのか聞こえないわよぉ」

と詩織は意地悪そうに言う。

「大丈夫、

 お化けなんて出ないって」

そんなあたしを宥めるように美佐江は声をかけると、

「ねぇ知っているぅ?

 学校上にある神社から夜な夜なお相撲さんの幽霊が出るって話」

顎下から懐中電灯の光を当てながら詩織は囁いて見せた。

確かにその話は聞いたことがある。

なんでも神社にある土俵に夜、相撲取りの幽霊が出て、

朝まで黙々とシコを踏み続けているって話で、

さらに、その噂を確かめに夜神社に向かった人は神隠しにあうとか…

「ひぐっ」

湧き上がってくる恐怖感のためかあたしは目からは涙が溢れ出させると、

それに追い討ちをかけるように

「うちの生徒会長もその噂を確かめに行って、

 神隠しにあったそうよぉ」

ダメを押すかのごとく行方不明になっている生徒会長のことを言う。

「やっやめてぇ!」

すっかり耐え切れなくなったあたしは耳を塞いで悲鳴を上げてしまうと、

「それに比べたらここは可愛いものよ。

 うふっ

 さっ順番を決めるくじを引いて」

嬉々としながら詩織は握り締めた手から覗く紐をあたしに向ける。

全く、父親がどこかの大会社をオーナーだというお嬢様育ちのせいか、

詩織の性格は極めて悪い。

この新体操だって退屈しのぎで始めたせいか日々の練習は適当にこなし、

そのくせ練習用のレオタードは特注品。

さらに大会に出られないのは気に食わない。と我がままの言い放題。

もっと腹が立つのはそんな詩織の演舞が部で一番美しい。と言うこと、

「詩織なんか…」

まさに向かうこと敵なしの詩織の不幸をあたしは密かに願っていたのだが、

「げっ、

 これって最後じゃない」

詩織のくじで見事ラストを引き当ててしまったあたしは思わず声を上げると、

「良かったね、

 一番手じゃなくて」

と詩織は残念がって見せる。

しかし、最後と言うことは皆は肝試しを終えているわけで、

当然、暇つぶしに最後に入っていくあたしに何かをするはず…

「とほほほ…」

がっくりと肩を落とすあたしを横目に、

「一番、いっきまーす」

一番手を引き当てた美佐江から建物の中へと入って行き、

「はー怖かった」

とワザとらしく怖がって彼女が出てくると、

バトンタッチして次の者が入って行く。

そういうことを繰り返してついにあたしの番となってしまった。

「じゃっじゃぁ行きます」

行った証の蝋燭を手に、

声を震わせながらあたしは手を振る皆に背を向け建物へと向かっていく、

すると建物の中に入るのと同時に空気が変わりカビ臭さが鼻を突いてきた。

「カビ臭い…

 もぅ移転したのならさっさと取り壊せばいいのに…」

かつて屈強の男達が暮らしていたであろう建物の中を

手で鼻を覆いながら歩きながらあたしは文句を言いながら進んでいくと、

呆気なく奥の稽古場に着いてしまった。

「なんだ、もぅ到着か」

窓から差し込む低い月明かりに照らし出される土俵を眺めつつ

あたしは肩透かしをされたかのようにがっくりとして見せるが、

「えーと、

 蝋燭の置き場は…」

皆が置いていったはず蝋燭の場所を探した時、

モリッ!

うち捨てられていた土俵の中央部がこんもりと盛り上がった。

ギクッ

突然の出来事にあたしは硬直してしまうと、

モリッ

モリッ

土俵に出てきた盛り上がりは息を継ぐように、

確実に盛り上がっていく。

そして、

ピッ!

その頂点から何かが顔を出した途端、

ピタッ!

活発だった動きを止めてしまったのであった。

静寂という名前の時が静かに過ぎていき、

「?」

相変わらず変化を見せない盛り上がりを

あたしは不思議そうな目で見つめながらゆっくりと近づき、

そして伸ばした手で盛り上がりから顔を出しているモノを摘んでみた。

すると、

スルスルスル

まるでトイレットペーパーを引き延ばすかのようにそれは伸びていく。

「なっなにこれ?」

あたしの腕の動きと共に土俵の中から出てきたもの…

それは黒くて長い布束だった。

キョトンとしながらあたしは布束を眺めてみると、

ツンッ

と汗臭さが漂ってくる。

「臭っ!」

まとわり付いて来るような臭いにあたしは思わず顔を背けると、

スルル

スルル

っと稽古場の壁に摘んでいるモノと同じ布束が何本も下がり、

ムワッ

っと汗臭さが漂う出してきた。

「うっそぉ!

 何よこれ?」

周囲を漂う汗臭さに鼻をつまみながら悲鳴を上げて見せると、

フッ

暗かったはずの稽古場がほんのりと明るくなり、

さらに土の中から湧き上がるようにして頭に髷を結う屈強の男達が姿を見せたのであった。

「!!っ」

半透明の男達の姿を見てあたしは上げかけた声を飲み込みガタガタと震え始めるが、

しかし、彼らは振るえるあたしを無視して、

次々と壁にかけてある黒いそれを手に取り、

股間に締めこみ始める。

「えぇっ、

 これってもしかしてお相撲さんの褌ぃ?」

その光景を見た途端、

あたしは思わず声を上げてぺたんと座り込んでしまうと、

『ん?』

さっきまであたしを無視していた男達はいっせいにあたしの方を振り向き、

『おいっお前、

 そんなところで何をしている』

とその中の一人の男…いや力士が声をかけてきた。

「(しまった)

 なっなにをしているって、

 あたしは…その…っていうか、

 えーと」

力士に見つかってしまったことへの後悔と、

押しつぶしてくる恐怖感とが胸の中でせめぎ合ってくれたおかげで、

あたしはパニックにならずに力士に向かって声を上げる。

すると、

『んー?』

力士は首を軽く捻った後、

二つの目をあたしに合わせると、

『お前か、

 長く眠っていたわしらを起こしたのは?』

嬉しそうに言いながらあたしの前に腰を下ろし、

パンパン

砂が付いた大きな手であたしの両肩を叩いて見せる。

「さっ触らないで、

 服が汚れちゃうじゃない」

砂だらけにされてしまったジャージの肩を見ながらあたしは怒鳴ると、

『え?

 あぁスマンスマン

 長い間土俵の中に居たからのぅ』

と力士は軽く謝り、

『どれ…』

の声を共に、

パァン!

稽古場に尻を叩く音を響かせた後、

ズシンッ!

地響きを立たせてシコを踏み始めた。

「だっ誰なんです、あなたは」

震える声であたしは問いかけると、

『んー?

 お前はわしらのことを知らないのか?』

シコを踏みつつ力士は聞き返し、

『ここの稽古場に宿る力士の魂だ』

と返事をするのと同時に

ズシンッ!

地面を大きく揺らしてみせる。



「力士の魂って…

 うっそぉ…」

それを聞かされたあたしは顔を青くして見せると、

『まったく、

 わしらを残して勝手に引越しおって、

 汗を吸い込んだ土俵がすっかり荒れ放題ではないか、

 まったく親方を呼べっ、

 とくと説教をしてくれる』

と力士は不機嫌そうに命令する。

「おっ親方って、

 そんな人…どこにいるのか知らないわよ」

力士に向かってあたしは声を張り上げると、

『んー?

 どこにいるのか判らんのか

 じゃぁ仕方が無いのぅ』

ポリポリと頭を掻きつつ力士は

ズシンッ

と腰を下ろし胡坐を掻いてみせると、

『おいっ、

 お前っ

 相撲を取れ』

とあたしに命じてきたのであった。

「はぁ?

 何を言っているの?

 あたしは女の子よっ、

 見ての通りのただの女の子よ、

 相撲なんて取れないに決まっているでしょう」

力士に向かってあたしは言い返すと、

『はぁ?

 何を言っているのはお前の方だろう。

 女は土俵には登ることは出来ない。

 ここに入れるのは男子のみだ』

とあたしが座り込む土俵を指差して言う。

「だぁーかぁーらぁ」

頭に血を昇らせて反論しようとした時、

「あれ?」

あたしは自分の体の異変に気づいた。

「…胸が…軽い…」

そう、巨乳とまではいかなくても、

それなりの大きさがあり、

レオタード姿を引き締めてくれたバストが軽くなっていたのであった。

「そんな…」

そう思いつつ恐る恐る胸に手を当ててみると、

スカッ

朝まで確かにあった膨らみが消えていて、

「うそぉ〜っ!」

信じられないこの事実にあたしは悲鳴を上げてしまうと、

『あーっ、

 うるさいなぁ…

 土俵に上ってしまった以上。

 お前は男だ。

 さっさと廻し締めてわしと相撲を取れ、

 新弟子として可愛がってやろう』

バストを失いパニクるあたしを眺めつつ、

力士はそう告げると、

『どせいっ』

とシコを踏み始めた。

「おっ男ぉ〜?

 あたしがぁ〜?」

シコを踏む力士に向かってあたしはドアップで迫ると、

いきなり力士の腕があたしの股間に潜りこんで来るなり、

グニッ

ジャージのズボンごと股間が掴みあげられてしまうと、

そしてそこから下がっているものが引っ張られる。

「ぐえっ、

 痛い!」

同時に響く女の子の体で感じるはずの無い痛みにあたしは悲鳴をあげると、

股間を掴みあげている力士の腕を振り解き、

あたしは股間を押さえながら歯を食いしばる。

「ほっ本当にオチンチンがある…」

ありえないことに目を剥きあたしは股間から伸びる逸物を触っていると、

『立派なマラを持っているではないか、

 いつまで待たせる。

 ならばわしがお前を相撲を取れる格好にしてやろう』

蹲るあたしに向かって力士はそう言い放った途端、

フワッ

あたしの体は宙に浮き、

シュルンッ!

着ていたジャージが瞬く間に解されてしまうと、

腕を上げさせられ、

露となった股間にさっき土俵の中から引き出した黒く染めの木綿布が押し当てられる。

そしてその残りが腰の周りに巻かれてていくと、

ギュッ

と締め上げたのであった。

「きっきつい…

 それに潰れるぅぅ」

袋の中身が潰される感覚にあたしは思わず悲鳴を上げてしまうと、

『辛抱、

 我慢』

と力士は言い、

さらに髪が髷へと結われていく。

そして、

ヒタッ

廻しを締めたあたしは土俵の上に立つと、

『はははは、

 それでこそ相撲取りの格好だ』

そんなあたしを見て力士は笑ってみせた。

「ひっひゃぁぁ!!!」

文字通り、相撲取りの姿にされてしまったあたしは悲鳴を上げ、

「おっお願いです。

 男なんてイヤ、

 廻しなんてイヤ、

 元の女の子に戻して」

と泣きながら力士にすがり寄るが、

しかし、

『男の癖に無様だぞ、

 さぁ、体が温まってきたし、

 可愛がってやる』

そんなあたしを力士は一喝して立ち上がると、

改めてシコを踏み始めたのであった。

幽霊とは言えどもこんな大男相手に相撲を取ったら間違いなく殺される…

気合を入れてしこを踏む力士を見上げながらあたしはそう感じると、

「おっお相撲さんっ

 あっあたし一人と相撲をとってもつまらないでしょう。

 相撲は大勢で取らないと」

と話しかけたのであった。

『んー?』

あたしのその声に力士は動きをとめると、

『確かに…そうだなぁ』

と頷きつつ腰を下ろす。

「ねっねぇ…

 あたしの仲間を連れてくるから、

 相撲の稽古はちょって待って」

力士に向かってあたしはそう言うと、

タッ

廻し姿であるにも構わずに稽古場を飛び出し、

表であたしを待っているであろう皆を呼びに行った。

しかし…

「そんなぁ…」

あたしを待っていたのは誰も居ない無人の空間であった。

「みんなの薄情者ぉ〜…」

きっと詩織が皆を帰したものだと思いつつ、

あたしは空しく叫びつつがっくりと肩を落として座り込んでしまうと、

『んーっ

 誰も居ないのなら仕方が無いなぁ、

 さぁ、稽古をつけてやる』

と言う声が背後から響くや、

ガシッ!

締めさせられている廻しの結び目が掴まれると、

あたしの体は軽々と持ち上げられる。

「ひっ、

 いやぁ!」

足をバタバタさせながら抵抗するものの、

『さぁ稽古だ稽古だ、

 これまで溜まっていた分、

 たっぷりと可愛がってやるぞぉ』

嬉々としながら力士はあたしを稽古場へと連れ戻すと、

『おらっ、シコはもっと腰を落とせ』

『返事はごっつあんです。だ』

『テッポウ千回っ』

『もっと力強くぶつかって来い』

『腰が浮いているぞぉ』

『どうしたぁ、

 へたばっている場合かぁ

 気合を入れろ』

大勢の力士達の取り囲まれたあたしはシコを踏まされ、

テッポウにぶつかり稽古をさせらていく。

その一方であたしに稽古を付ける力士達はその思いが果たせたのか、

一体また一体と浄化され消えていった。

だが、

メリッ

ミシッ

力士が浄化されるのと同時にあたしの体に変化が起き、

「はぁはぁ

 はぁはぁ」

砂と汗にまみれるあたしのシルエットは徐々に変化して行った。

そして、

「おらぁ」

パァァン!!

稽古開始から一昼夜が経ち、

夕陽が差し込む稽古場にあたしの声と共に響きの良い音がこだますると、

ズザァァァァァ

ずっとあたしを可愛がっていた力士はすべるようにして土俵の隅へと追いやられていく、

そして、

『ぐぅぅぅぅ』

俵に足をかけ全身の力を込めてあたしを押し返そうとするが、

ついに力負けをしてしまうと、

土俵の外へと押し出されてしまったのであった。

『ぷはぁ…

 うんっ、

 見事だ』

大粒の汗を流しながら満足そうに力士は笑うと、

『これで俺も思い残すことは無い。

 全てお前のおかげだ…感謝するぞ』

と言い残し、

フッ

あたしの前からその姿をかき消していく。

「はぁ…

 はぁ…

 はぁ…

 こっこれで終わりなの?」

皆が消えた土俵の上で大きく肩で息をしながらあたしはそう呟くと、

「こっこれっぽっちの稽古じゃ物足りないでしょう…」

胸が垂れ、大きく膨らんだ腹とその腹の下で股間を締める廻しを叩いてみせる。

そう、一昼夜に及ぶ激しい稽古によってあたしの体は巨漢の力士へと変貌していたのであった。

「物足りない

 物足りない」

大銀杏を頭に掲げるあたしはそう呟きながら

ズシンっ

ズシンッ

とシコを踏み、

さらにテッポウ柱に向かって体をぶつけて見せるが、

しかし、いくら汗を流しても悶えるようにして相手を求める欲求は

体の奥からジワジワと湧き上がってくる。

とその時、

すっかり力士の感情に飲み込まれてしまったあたしの脳裏に詩織たちの姿が浮かぶと、

「あっあたしがこうなったのもあいつらのせい…」

とあたしは呟き、

稽古場から出てると、

廻し姿のまま新体操部の合宿所へと向かっていく、

そして、新体操部の皆が練習をしている練習場へと乗り込むと、

「お前達、よくもあたしを見捨てたなぁ…

 どすこいっ!!」

との声と共に練習場に相撲部屋の看板を掲げて見せた。



それから数日後、

「おらっ、

 もっと足を上げろっ

 そんなシコがあるかっ

 上げた足をピンと伸ばせっ」

竹刀を片手にあたしは怒鳴り声をあげると、

パァン!

と竹刀の音が稽古場に響き渡る。

「そっそんなこと無理です」

腰に廻しを締め、

頭に髷を結わされた詩織が足をプルプル震わせてが涙を流しながら訴えると、

「ほぉ…」

あたしはジロリと詩織を睨みつけ、

「廻しを締めた奴が弱音を吐くなっ、

 チンポ付いているんだろう」

と彼女が触れられたくない事実を言う。

「ひぐぅっ」

その言葉に詩織は体を強張らせてしまうと、

ヒタッ

あたしは竹刀を彼女…いや、彼の股間に押し当て、

「お前のその根性、

 もぅ一度鍛え直してやろうか?」

と優しく囁いて見せる。

「いっいやぁぁ!!」

稽古場に詩織の叫び声が響き渡り、

その声にシコを踏んでいた他の者達も身を縮めてしまうと、

「何だ、お前らの根性も鍛え直す必要があるみたいだな」

あたしは皆に向かって怒鳴り声をあげた。

そして、皆を稽古場の表へと引きずり出すなり、

全校生徒が見ている前で、

「いーちっ」

「うっっすっ」

「にぃーっ」

「うーっすっ」

あたしと元新体操部の部員達はシコを踏み始める。

後に学園名物となる新体操部改め大相撲部の稽古の始まりであった。



おわり