風祭文庫・アスリートの館






「相撲部」


作・風祭玲

Vol.474





キーンコーン…

放課後を告げるチャイムが鳴り響く中

ガラッ

タッタツタ

先生への礼もそこそこに僕は一目散に教室を飛び出すと目的の場所へと向かっていく、

そして、

「よしっ

 一番乗り!!」

誰もいないのを確かめながら僕が飛び込んでいったのは旧校舎にある美術室だった。

2年前、正面に見える新校舎が出来てたとき、

この旧校舎は多目的用途用に改装され、

一部授業などで使われるようになったが、

しかし、生徒数の減少とかで新校舎に余裕が出来ると、

授業の殆どが新校舎で行われるようになってしまい、

今ではすっかり忘れられている存在になっていた。

けど、忘れられている存在=落ち着いた環境でもあることであり、

特にこの旧美術室は新校舎の美術室とは違い、

静かな環境で絵をかくことが出来る恰好の場所だった。

「はぁ…

 やっぱりここだと落ち着くなぁ」

新校舎によってグランドの音が遮られ、

殆ど無音に近い中で、僕は絵筆を握り、

書きかけのキャンバスに向かって下ろした。



静かなときが過ぎていく、

そんななかで僕は絵筆を動かしていると、

バシッ

ダァン!!

「うぉりゃぁ」

突然、男の声と共に、階下から叩きつけるような音が響き渡った。

「あれ?

 相撲部の稽古って今日だっけ?」

響き渡る音に僕は絵筆を止めると苦々しく廊下を眺め、

そして、曜日を確認するが、

しかし、今日は相撲部の稽古が無い曜日であることを確認すると、

「ちっ

 なんだよぉ

 今日は稽古の日じゃないかよぉ」

と文句を言いながら腰を上げる。

この校舎の1階に残っている相撲場での相撲部の稽古日は月水金土であり、

今日は木曜日であった。

しかし、

バシッ

ドォン!!

「しぁぁぁっ」

相撲部員達の声と振動は文句を言う僕に否応無く相撲の稽古であることを告げていた。

「仕方が無い」

響き渡る音に僕は今日の作業は中止することにし絵筆を仕舞い、

そして、美術室を出ると相撲部の稽古場がある1階へと降りて行くと、

「一体、そんな稽古をすればあんな音が出るんだ?」

単に好奇心で僕は自分の足を相撲稽古場へと向けていた。

そして、稽古の音が響き渡る稽古場を見たとき、

「あっ」

その光景に僕は思わず息を呑んだ。

「おらっ

 どうした」

「くっ」

男の怒号が響く中、

こげ茶色に変色した極太の褌・廻しを締めた相撲部員が土俵の中で組み合い、

汗だくになって相手を投げ投げ飛ばそうとしている。

その光景に僕はあるものを感じるとただジッと見つめてしまっていた。

「うりゃぁっ」

硬直した取り組みだったが

しかし、一瞬の隙をついて右側の部員が左側の部員の廻しを取ると、

その部分をテコにして重心を崩し、一気に投げに打って出る。

「あっ」

あっけなく投げ飛ばされる部員。

その姿に僕はふと綺麗だなあ…

と思い見ていると、

「おいっ

 何だお前は」

僕が見ていることに気づいたのか、

土俵脇で勝負を見ていた一人が僕に声をかけて来た。

「え?

 いっいや」

掛けられた声に僕は困惑をしながらそう返事をすると、

「あんだぁ?

 あに見てんだよ、お前は!」

と怒鳴りながら別の相撲部員が出てきた。

「え?

 すっすみません」

予想外の展開に僕は慌てて逃げ出そうとすると、

ポンッ

僕の肩にテーピングされた太い手が乗せられ、

「まぁ、見て行けや」

と言いながら僕の後ろに廻し姿の相撲部員が睨み付けるように立っていた。

「え?
 
 あっいやっ(いつの間に後ろに…)」

相撲部員の姿に僕は飛び上がるようにして驚き、

そして慌てて体裁を作ろうと、

「ふぅぅん…」

ジロッ

相撲部員は僕をゆっくりと見下ろした。

「あっ

 あのぅ」

にらみつける相撲部員からすこし間隔を置いて僕は聞き返すと、

「しらばっくれるなっ

 手前ぇだろう?
 
 うちの道場に忍び込んで悪さをするモーホー野郎は?」

とさっき僕に言いがかりをつけてきた相撲部員が僕を恫喝する。

「え?

 ちっ違う、
 
 僕じゃない。

 僕は何も知らないです。

 ただ、そこを通りがかっただけで」

相撲部員の言葉を慌てて僕は否定すると、

「んだとぉ?」

その相撲部員は凄みを利かせて僕に迫った。

そして、

「おうっ

 言いたいことは土俵の上で聞こうじゃないか、

 こっちこいっ」

という怒鳴り声と同時に僕の腕を強引に引っ張り

「ちっ違います

 僕はただ、
 
 稽古を見ていただけで」

「うるせー」

否定する僕を相撲部員は相撲場へと引っ張って行ってしまった。

そして、相撲場に入った途端、

「おらっ」

っと僕を土俵へ突き飛ばすと、

「え?

 うわっ!!」

僕は前つんのめりになりながら土俵に頭から突っ込んでしまった。

「痛たたた」

土俵に巻かれている砂で顔をこすった僕が起き上がると、

「おらっ」

バシッ!!

起き上がった僕にとぐろを巻く布束が投げつけられた。

「うっ」

布束から発せられる猛烈な汗の臭いに僕は思わず顔を背けると、

「なにやってんだ、

 お前の好きな廻しだろうが、

 さぁ、それを締めろ、

 俺たちがお前のその根性を叩きなおしてやる」

と相撲部員が怒鳴る。

「そんな…

 ちっ違う、

 僕は…」

相撲部員の声に僕はなおも否定すると、

ザッ

僕の周りに相撲部員が立ち並び、

そして腕組をしながら、

「よしっ

 お前が無実だというのなら俺達と勝負をしろ」

と一斉に命じてきた。

「そっそんなぁ!!」

相撲部員のその言葉に僕は悲鳴をあげるが、

しかし、この場からは逃げ出すこともままならず仕方なく

「判りました…」

と返事をすると腰を上げた、

そして、さっき投げつけられた廻しを手に取ると、

「あのぅ…

 どうやって締めればいいのですか?」

と尋ねた。



「なんだよっ

 お前、

 廻しも締めたことが無いのか」

「だって、知らないんです」

「ふん、どうだか」

僕の言葉に呆れる相撲部員と疑う相撲部員とが僕の両脇に立ち、

シュルリ…

裸になった僕の腰に廻しを巻きつけていく、

最初、僕の股間に縦回しを通されたとき、

僕の股を引き裂かれるようなその感覚に僕は思わず声を上げると、

「あはは

 なんだ、やっぱり感じているんじゃないかよ」

とそれを見た相撲部員は声を上げる。

そして、

僕の腰に次々と廻しが巻かれていくと、

最後にギュッと締め上げられた。

その瞬間、

ギュッ!!

僕の腰を強烈な力で押しつぶして来きた間隔に、

カァァァ

僕は顔を真っ赤にする。

「よしっ

 ほらっ

 見てみろ、お前は相撲部員だ」

廻しを締め終わったと同時に僕にその言葉が投げかけられると、

「え?」

稽古場の隅に置かれた鏡に廻しを締めた僕の姿が映っていた。

「あっ…

 本当だ」

その様子を僕は眺めながら呆然としてると、

「さて、廻しも締めたし

 じゃぁ稽古をつけてやろうか」

準備運動をしながら力士たちが僕に迫ってきた。



バシッ!

「おらっもぅ終わりか?」

ゼハァゼハァ…

あれから約1時間後…

そんな言葉が浴びせられながら僕は汗と砂にまみれ土俵の真ん中で這い蹲っていた。

元々こうなることは判っていた。

第一運動が苦手な僕が相撲部員を投げ飛ばせられるわけがない。

しかし、何も出来ないでの敗北に悔しさを感じると、

「くそぅ」

という言葉が僕の口から漏れた。

すると、

「おいっ」

一人の相撲部員が声をあげると、

「うぃっす」

その返事とともに別の相撲部員が干してある廻しを2本手に取り僕に迫ってきた。

「なっなにを…」

迫ってくる相撲部員に僕は怯えながら声を上げると、

「立て…」

相撲部員は低い声で僕に命令をした。

「え?」

相撲部員がこれからやろうとしていることが判らずに僕は立ち上がると、

どんっ!!

いきなり僕は突き飛ばされると、

あっという間に土俵の反対側に滑っていった。

「うわっ

 とっとっと…」

そんな声を上げながら尻餅をつかないようにバランスを立て直していると、

ザザザザ

別の相撲部員がすり足で僕に迫り、

そして、そのまま僕を押し出すと、

バシン!!

土俵の外で聳える”てっぽう柱”に僕を押し付けた。

「痛たぁ」

背中で感じる痛みに僕は悲鳴をあげると、

グィッ

相撲部員はさらに僕を柱に押し付ける。

そして、

「さぁて、

 じゃぁ新入部員の歓迎会をしてやるか」

相撲部部長のその言葉が響き渡ると、

「うぃっす」

相撲部員の声が響き渡った。

「え?

 なに?

 僕は相撲部になん入ら…」

その声に僕は困惑しながらそう叫ぼうとすると、

バサッ

いきなり僕の顔に廻しが押し付けられると、

呼吸が出来るように鼻の部分を空けながら、

グルグルと”てっぽう柱”に縛り付けるように巻かれ、

さらに、胸、太ももと別の廻しが巻かれると、

僕は廻しで”てっぽう柱”に固定されてしまた。

「うっ動けない…」

廻しから漂う臭気に耐えながら、

僕は身体を動かそうとするが、

しかし、微動だにすることは出来なかった。

その途端、

サワッ

無数の手が僕の身体に取り付くと一斉にモゾモゾと動き始めた。

「え?

 うわぁぁぁ

 やっヤメ!!」

動き回る手の感触に僕は悲鳴をあげるが、

しかし、それから逃げる術は僕には無かった。

そしてさらに、

シュルリ…

僕の腰を締め上げている廻しが解かれると、

ギュッ

股間のペニスが鷲づかみにされ扱かれ始めた。

「いやっ

 ヤメ

 ヤメテくれ」

自分のペニスを乱暴に扱かれるその感触に僕はさらに悲鳴をあげた。

しかし、

ムクリ

そんな僕の気持ちとは裏腹にペニスが見る見る硬くなっていくと、

「おいっ

 なんだかんだ言っても、

 チンポ硬くしているじゃねぇかよ」

「へへ

 好きなんだろう?

 こうされるのが」

という言葉を僕に投げかけ相撲部員は僕のペニスをさらに扱いた。

「あっあぁ

 駄目ッ

 お願いです、

 コレを解いてください」

衝撃的な感触に誘発され射精が近いことを感じ取った僕はそう懇願するが、

「なんだよ、

 もぅ出すのかよ、

 早漏だな」

「はは、

 じゃぁ俺たちがたっぷりと仕込んでやるからな」

という返事が返り、

そして一段と激しく扱き始める。

「あっあっ

 でっ出る

 出ちゃう

 出ちゃうよぉ」

廻しで目隠しをされた僕はその中で涙を流しながら訴えると、

「どうだ、相撲は好きか?」

と部員達は僕に尋ねてきた。

「すっ相撲…なんて」

最初はイヤだと返事しようとしたが、

しかし、

グッ

っとペニスが握りしめられると、

「あっあぁ…」

僕は汗の臭いを放つ廻しの中で思わずもだえてしまった。

そして、

「いっいぃ…」

あれほど臭かった廻しの臭いが気にならなくなり、

代わりにこの廻しを締められ、

そして、扱かれることに嫌悪感を持たなくなり始めた。

「どうだ?」

「返事は?」

なおも続く相撲部員の叫び声が響き渡ると、

「あっあぁぁぁぁ

 いっいぃぃぃです!!!」

シュシュッ!!

僕はそう返事をしながら相撲部員の前に白濁した精液を飛ばしてしまった。



「ふふふ…

 そーか、
 
 相撲部に入ってくれるか、

 よーしっ

 このザーメンはお前の入部の証としてやる」

「コレでお前は我々と同じ栄えある相撲部員だ」

「よろしくな、新入り」

はぁはぁはぁ

射精後力が抜けぐったりとしている僕に相撲部員達は声を掛ける。

その一方で、

「くはぁ…

 あっあぁ…

 ぼっ僕…

 相撲部に…」

僕は掛けられたその言葉をいつまでも反芻していた。



おわり