風祭文庫・アスリートの館






「チアガール」
(第1話:屈辱)


作・風祭玲

Vol.423





ワー!!!!

そのとき、スタジアムは熱気に包まれていた。

国民的スポーツと言われている野球程ではないが、

Jリーグやワールドカップの開催で人気を博したサッカーに続けとばかりに

アメリカン・フットボールの人気も年を追うごとに高まり、

かつては母校の応援と熱烈なファンしか見に来なかった高校生の大会にも

大勢の人が足を運ぶようになっていた。

そして、人気の高まりは各学校より有望な選手を生み出し、

彼らが繰り広げる試合にスタンドは大いに沸き立っていた。



「アメリカンフットボール 南関東高校選手権大会・決勝戦」

関西で開かれる全国大会を目指し、

強豪校がしのぎを削ったこの地方大会もすでに2チームに絞られ、

そしていま、

わずかな点差をつけ赤いユニフォームの西高が全国大会の切符を手に入れようとしていた。

けど、それに対抗する青いユニフォームの東高もまだゲームを捨てては居なかった。

そう東高の唯一の希望…クォーターバック、藤堂丈二。

「任せたぞ、藤堂…」

「お前を信じる」

高校に入って初めてアメフトのボールに触った彼にチームのメンバーは自分達の運命を託送としていた。

高校に入るまでアメフトの経験などまったくない丈二だったが、

しかし、少年サッカーで鍛えきた勘とその天才的ともいえるプレーでチームのみならず、

全校生徒から熱い信任を得ていた。

「大丈夫、

 丈二ならきっと…」

フィールドでプレイをしているメンバーも

そして、観客席で応援をしている生徒達もみなそう思っていた。

「………さて、行くか」

周囲の期待を一身に背負い、

丈二はそう思いながらサイドラインの外側にある時計に視線を送る。

彼に残された時間はわずか5秒。

スゥーと大粒の汗が首の後ろを流れていく、

しかし、このゲームに勝つ為にはあと4点を取らなくてはならない。

ふと、試合開始前監督が彼に言った言葉が脳裏をよぎった。

「おいっ、藤堂、見て見ろ、

 スタンドに○大、□大、△大…

 お前目当てのスカウト達がいっぱい来ているぜ。」

監督は観客席をグルリと見回しながら丈二に告げた。

しかし、丈二は

「判ってますよ、監督」

と関心のない素っ気ない返事をしただけで関心を示そうとはしなかったが、

でも丈二自身、これが自分の人生にとって大きい機会であったことを十分に承知していた。

もし、この試合に勝てば強豪大学のアメリカンフットボールチームからの勧誘の申し出があり、

その先にある社会人…

さらにはアメフトの本場アメリカへ…

まさにこの試合は丈二にとってこれからの人生の展望が開ける大事な試合だった。

言いようもない重圧が彼の両肩にのしかかってくる。

「くっそう…

 緊張してきやがった…」

緊張に潰されていく自分を感じながら丈二はそう呟くと

それから逃げるようにして自分のチームを応援しているチアガール達の方へと視線を移動させていった。

自分達のユニフォームと同じ色合いの衣装に身を包み、

両手にボンボンを持った彼女たちは

このゲームに勝利することを祈るかの如く必死にチーム名を叫び

そしてプレーヤを勇気づけるように飛び跳ねていた。

そんな彼女たちをまるで陳列棚に並ぶ品物を見定めるようにして

丈二は右から左へと視線を動かしていくと

中央で叫ぶ一人の少女…

そうチアリーディング部キャプテンを務める羽村恵美のところで止まった。

『○○○○!!』

『○○○○!!』

大勢の部員達を従えて恵美は口を大きく開け、胸を8の字形に動かす。

恐らく、胸の動きで校章の形を描いていると思われるが、

しかし、胸を突き上げ、持ち上げた乳房を描くようにゆっくりと動かし、

そして描ききったところで肩を軽く揺するその手法に

「へぇぇぇ…」

丈二は思わず唇の周りに舌を這わせ乾いた汗を舐め、

そして、自分の肉体の上にまたがった恵美の姿を妄想をした。

『あっあっ、

 いっいぃ…』

豊満なバストを揺らし、

あえぎ声を上げながら絶頂を上り詰めていく恵美…

そしてその下では己の肉棒で彼女の体を壊さんがごとく突き上げていく自分の姿があった。

「へへっ

 いいなぁ…」

そんな妄想の中に丈二が浸っていると、

「おい!

 そこでボケッっとしているヤツをたたき起こせ!!」

とキャプテンの怒鳴り声が響いたとたん、

ガツン!!

丈二は強烈なジャプを喰らった。

ハッ!!

衝撃と同時に我に返った丈二は流れ落ちる汗を振り払うようにして頭を振り、

そして、ヘルメットを上に引き上げると、

「あっ」

目の前で出来上がっていた円陣に気づき慌ててかがみ込んだ。

「いいか、藤堂っ

 お前はプレー、
 
 そして、パスをコールして…」

丈二が円陣に加わわるのと同時に

キャプテンは地面に図を書きながら指示をし、

「よしっ

 この試合、勝つも負けるもお前次第だ、

 頼むぞ、藤堂」

丈二に向かってキャプテンはハッキリと試合を決めるのは丈二である事を告げると、

「東高!!勝つぞぉ!!」

「おぉっ!!」

皆に気合を入れ円陣は崩れた。

まさに丈二にとってこれからの未来はこの5秒の間に起こることですべてが決る。

「ひゅー」

目を瞑り、そして息を大きく丈二が吐きながら再び目を開けると、

カチッ

カチッ

次第に丈二が感じる時間は遅くなり、

それに合わせるように観客からの声援が途切れ、

飛び跳ねるチアリーダ達が静かに静止し、

やがて色が消えた。

極限の集中だった。

「よしっ!」

時が来たことを丈二は直感で感じ取ると一気にフィールドの状態を把握する。

試合再開の笛が鳴ったのだろう、

審判の手がゆっくりと挙がると

一本の線を境ににらみ合っていた2つのチームは一斉に動き始め、

相手チームは味方のディフェンダーに行く手を阻まれようとしている。

「いける」

その様子に丈二はそう感じると、

自分の進むべき道を進もうとした。

しかし、ディフェンダーの壁を崩し自分に向かって突進して来た相手の姿に、

「くっそぉ!!」

ダッ!!

丈二は歯を噛み締めボールを懐に抱えると一気に飛び出していった。

「うわぁぁぁぁぁ!!」

待ち構える相手チームの懐深くに丈二は飛び込み、

そして、活路を切り開いていく、

「どけぇぇぇぇ!!!」

心の中で思いっきり叫びながら丈二は自分の腕を上下に動かしながら

相手からのタックルをかわすと、

防御の薄い方薄い方へと逃れるように右手に身をかわす。

「うらぁぁぁぁぁ!!!(もぅどうにでもなれぇ!!)」

そのとき丈二は自暴自棄に陥っていた。

しかし、勝利の女神はそんな彼にそっと手を差し伸べた。

「ゴール?!」

気がつくと二本のポールが立つゴールが丈二の目の前に迫って来た。

そしてそのポールに惹かれるようにして丈二は突き進んでいくと、

丈二を追って相手チーム、

そして味方チームが一気になだれ込んできた。

敵と味方、赤と青が入り混じる混沌とした世界…

そんな世界の中を丈二は必死で掻き分け、ゴールに向かって突進していく。

その姿は子宮に放たれた精子が

自分に与えられた遺伝子を抱きかかえ奥で待ち構えている卵子に向かって突き進んでいく様子にも思えていた。

「ふっ、

 男と本能以前にこういうのが好きなのかもな…」

抱きかかえているボールを狙って襲い掛かる相手をなぎ倒しながら丈二はそんな事を考えていた。

一歩、

また一歩、

ゴールが近づいてくる、

試合再開からどれくらい時間がたったのだろうか?

すでに5秒はとっくに過ぎているんじゃないのか、

そんなことも丈二の頭の中を通り過ぎていく。

もはや、丈二は無敵になっていた。

そのとき、

ガッ!!

何者かが丈二の下半身に飛び掛ってきた。

「しまった!!」

一瞬、気を許してしまった自分に後悔をするが、

そう思ったときには目の前に芝か迫ってきていた。

「くっそう!!

 あと一歩!!」

もがく様に丈二は片手を伸ばしてみる、

しかし、そこから先一歩も前に出ることは無かった。

「待て、

 あと少し、
 
 あと少しだ!!」

そんな絶叫が丈二の頭の中に響き渡る中、

一本の白いラインパスが自分の足の後方にあることが見えた。

と同時に、

ドサッ!!

ズザザザザザ!!!

丈二の体は思いっきり芝が生える地面に叩きつけられ、

前方へと滑って行くが、

それでも丈二はボールを手放さず

しっかりと抱きかかえたまま痛みに耐える。

「くぅぅぅぅぅ」

呼吸が出来ないほどの痛みに丈二が戦っていると、

ピーー!!

笛の音が丈二の耳に中に飛び込んできた。

「くはぁ!!

 はぁ

 はぁ」

その音を合図に丈二は思いっきり息を吐くと、

丈二は音と色のある世界の中でずっと抱えていたボールを離し、

そして仰向けになると空を眺めた。

「終わったのか…」

もはや、ゲームの勝敗は丈二にとってどうでもよくなっていた。

とにかく試合が終わった。

その開放感に丈二は浸っていた。



試合は丈二が決めたタッチダウンで東高が西高を下し、

ついに全国大会への切符を手に入れたことで終了していた。

「よっ体、大丈夫だったか?

「えぇ、大丈夫です」

「そりゃぁ良かった」

「最後は大活躍だったな!!」

「いやぁ!」

「はは、お前に連れて行ってもらったようなものだな」

「そうでもないですよっ

 僕が試合を決められたのもみんなの力のためですよ」

やや不自然な形のタッチダウンだったために

大事をとって医師の診察を受けていた丈二がロッカールームに戻って来ると、

着替えが終わったチームメイトからの盛大な祝福が丈二を待ち受けていた。

「じゃぁ俺たちは先に戻っているから、

 お前はゆっくりしてこいや」

「でも、あんまりのんびりしていると、

 祝勝会終わってしまうからな」
 
チームのメンバーは丈二にそう言い残すと一人また一人とロッカールームから消え、

やがて、ロッカールームには丈二一人となってしまった。

「ふぅ…」

誰も居なくなってしまったロッカーで丈二は大きく息を吐くと

「よっ」

試合の間身に着けていたユニフォーム・プロテクターを次々と脱ぎ、

そしてすべてを脱いでしまうとシャワールームへと入って行った。

ジャァァァァ…

ノズルから噴出すお湯が丈二の汗と砂で汚れた体を一気に洗い流していく、

「はぁ…

 全国大会だなんて…
 
 はは、夢のようだ…」

シャワーを浴びながら丈二はそうつぶやくと、

ふと、試合中見た恵美のあのポーズを思い出してしまった。

「へへ…

 恵美のヤツ、意外と胸が大きいじゃないか」

プルンっ

と揺れる恵美のバストを丈二が思い浮かべると、

ムクッ!!

彼の股間のペニスがムクムクと大きくなると硬くなってく、

「あぁ…

 あいつのマンコにコレをぶち込んでやりてー」

シュシュッ!!

自分のペニスで恵美を犯している様子を思い浮かべながら

丈二は棍棒のように勃起したペニスを扱き、

やがて…

「ウッ!」

かみ殺したようなその声と共に、

シュッ!!

丈二のペニスの先から白濁した粘液が噴出すと、

シャワールームの壁を汚してしまった。

「はぁはぁ、

 あぁ…
 
 へへへ…
 
 恵美…
 
 いい締りだったぜ…」

ペロリ…

口の周りに舌を這わせながら丈二はそうつぶやくと、

残った精液を搾り出すように萎みつつあるペニスを扱く。



カシャン!!

着替え終わった丈二がプロテクターやユニフォームが入ったバッグを肩に掛け、

人気の無い廊下を鼻歌を歌いながら歩いていると、

キィ…

目の前の女子更衣室のドアが揺れるのが見えてくると、

その先には丈二の学校の制服を着た女性…

そう羽村恵美が一人で歩いていた。

サッサッ

彼女のトレードマークとなっているポニーテールを左右に揺らし、

恵美は振り向きもせずに出口に向かって歩く、

「羽村…」

その後姿を眺めながら丈二はふとそう呟くと、

これまでに彼が掛けてきた誘いを彼女がすべて断ってきた事を思い出した。

…あるときは試験勉強があるから、

 またあるときはアルバイトの時間が迫っているからと言い、

様々な理由をつけて恵美は丈二の誘いをことごとく断り、

その事がチームメイトから丈二がからかわれる材料にすらなっていた。

「ったく…

 相変わらず、気が強そうな歩き方をしているな…
 
 まるで男みたいな歩き方をしやがって…」

試合中、自分に見せたあのセクシーな姿とは裏腹のその様子に丈二はそう呟くと、

「あぁ…そうだ、

 高橋が言っていたが、
 
 恵美の奴って俺を見下していたとか言っていたよなぁ…
 
 まったく、医者の娘だからといってお高くとまりやがってよ」

シャワールームで思い描いていた恵美の姿と、

現実の恵美との落差に丈二は次第に苛立ち始めていた。

そして、

「あっ」

いまこの広大な空間に自分と恵美の二人しかいないことに気づくと、

「へへ…」

丈二は不敵な笑みを浮かべ、

そしてペロリと舌で唇を舐めた。



「おいっ、

 羽村っ」
 
丈二の声が廊下に響き渡る。

「ん?」

その声に恵美はピタリと足を止めるとおもむろに振り返った。

すると、

「待てよ」

と言う声と共に大きなバッグを担いだ藤堂丈二が自分の所へ駆け寄ってきた。

「…藤堂…まだ残っていたの?」

笑顔を見せながら自分に寄って来る丈二の姿に恵美は一瞬イヤそうな表情をすると、

クルリと振り返り再び歩き始めた。

「待てよっ」

丈二は手を伸ばすとそんな恵美の肩を掴み、

そして、再び振り返らせた。

「何か用?」

自分の肩を掴む丈二の手を払いのけながら恵美は自分を引きとめた理由を尋ねると、

「いやっ

 まぁなんだ、
 
 お互いに最後同士だろう、

 だから一緒に行こうと思ってな」

恵美と自分を相互に指差し、

丈二は当たり障りの無いような笑みを浮かべながらそう返事をする。

しかし

「あっそう…

 悪いけど
 
 あたしはあなたと一緒に歩く気はありませんから、

 お先にどうぞ」

恵美はそっけなくそう言うと壁際に寄り丈二に道を譲った。

「なっ」

「さぁ、どうぞ」

恵美の行為に丈二があっけにとられると、

「あっ行かないの?

 じゃぁあたし、先に行くからついてこないでね」

動かない丈二の様子に恵美はそう言うと、

彼を置いて先に歩き出してしまった。

「あっおいっ」

置いていかれた形になってしまった丈二はそう怒鳴ると、

歩き始めた恵美の肩を再び掴む。

「なによっ!!

 やめてよっ」

きつい口調で恵美は丈二の腕を振り解くと、

バンッ

その恵美を挟むようにして丈二は両腕を壁につき、

恵美の進退を遮った。

「なんの真似よ」

キッ

キツイ視線で恵美は丈二を睨みつけると、

「なぁ、そんな目で見るなよ

 さっきの試合っ
 
 俺の大活躍を間近で見てくれたんだろう?
 
 ありがとうの一言ぐらい言ってくれよ
 
 なぁ」

警戒している恵美に対して丈二は慣れ慣れしくそう言うと、

「なんであたしが、あなたにお礼を言わなくてはならないのよっ

 あなた一人の力でチームが勝ったとは思わないことね」
 
「はは、これは厳しいや、

 でも、俺の活躍が無かったらうちの勝利は無かったぜ、
 
 これは事実だ」

「そう

 で?

 何が希望なの?」

「はぁ?」

「あたしがここで、

 ありがとう。
 
 と言えばこれを解いてくれるの?
 
 判ったわっ
 
 じゃっ”あたし達を勝利に導いてくれてありがとう”
 
 クォータバックさんっ」

丈二に向かって事務的にそして頭も下げずに恵美はそう言うと、

「おっおいっ

 何だその態度は」

「なによっ

 ちゃんと言ったでしょう、
 
 だからさっさとあたしを自由にしてよ、
 
 いいこと?
 
 これ以上のこの行為を続けるとストーカー行為として警察に突き出すわよ」

「なんだ?

 この俺をストーカー呼ばわりするのか?」
 
「あら、ストーカーじゃぁ不満?

 それなら監禁で訴えようか?」

あくまでも恵美は強気だった。

しかし、すのときキレ掛かっていた丈二にその言葉は逆効果になっていたことに恵美は気づいていはいなかった。

「ちょっと来いっ」

ついにキレてしまった丈二が恵美の腕をねじ上げると、

「やだ、

 離してよっ」

嫌がる恵美を強引に引っ張り、

さっき出てきたばかりの男子更衣室のドアを開けその中に放り込んでしまった。

「痛い!!」

放り込まれた勢いで腰を打った恵美は制服のスカートを捲り上げながら腰を擦ると、

その前に丈二が立ちはだかる。

「なっなによっ

 こんな事をしてただで済むと思っているの?
 
 人を呼ぶわよ」

なおも気丈さを失わずに恵美は丈二に向かって怒鳴るが、

「何を言っているんだよ、

 明日の朝に係員がここの鍵を開けるまで、
 
 この更衣室には俺とお前の二人しか居ないんだよ」

「え?」

丈二にそう指摘されて恵美は一気に青ざめる。

「どうした?

 さっきまでの勢いはよ、
 
 いいんだぜ、

 大声を出しても…
 
 でもなぁ、
 
 その声を聞いて駆けつけてくる奴なんて居やしないんだよ」

この場を支配しているのが自分である事を丈二は恵美に向かってそう告げると、

恵美の胸元をねじりあげ、彼女の顔を自分の顔と同じ位置にまで引き上げた。

そして、

「なぁ、俺、

 お前の事、前から…」

丈二はそう言いながら恵美に迫ると、

「いやっ離して!!

 離してよっ!!」

恵美は精一杯の抵抗をしてみるが、

けど、鍛え上げられた丈二の腕を振り切る事は出来なかった。

すると、

「おっとそうだ」

丈二は何かに気づくと、

「なぁ恵美…

 あの格好をしてくれないか?」

と恵美の耳元で囁いた。

「え?」

それを聞いた恵美は恐る恐る丈二を見ると、

「俺がタッチダウンを決めたときにお前がしていた格好だよ」

と丈二は彼女にチアリーダーの服装をするように迫った。

「いやよ」

彼の言葉に恵美が即答をすると。

「なに?」

彼女の返事を聞いた途端、

丈二の口がへの字に曲がると、

握られた拳が恵美の両頬に炸裂した。



「うっうっ」

両頬を腫らし、鼻血を流しながら恵美が声を殺してすすり泣く中

「えーとっ」

丈二は恵美のバッグを開け、中を物色する。

そして、

「おぉ、あったあった」

喜びの声を上げながら、

青のストライプが入ったチアリーダーのユニホームを引きずり出すと、

「ほらっ、

 これに着替えるんだよ!!」

と乱暴に言いながら恵美の頭の上に降らせた。

グズッ

頭に振ってきたユニフォームを払いながら恵美が顔をあげると、

「何をしている、

 さっさと着替えろ!!」

丈二はそう命令する。

すると、

「うっうっ」

恵美はユニフォームを握り締めながら

腰を上げてロッカーの陰の方に向かおうとすると

「ここで着替えるんだよ、

 ここで」

丈二は自分の目の前を指差した。

「えっ」

彼の指示に恵美は驚いた顔をすると、

「なんだ?

 文句があるのか?」

丈二は拳を上げ威嚇した。

「………はぃ」

丈二の威嚇に恵美は弱弱しく返事をすると、

制服を脱ぎ、チア・リーディングのユニホームに着替えを始めた。

「へへ…」

それを見ていた丈二は小さく笑うと、

「じゃぁ俺も…」

と言いながら、自分のバッグからアメフトのユニフォームを引き出し、

そして着替え始めた。



「へへ…」

「………」

着替え終わった丈二と恵美は向き合うと、

「おらっ

 どうした、
 
 チームを勝利に導いた勇者を称えないのかよっ」

と丈二は恵美にそう命令をする。

「うっ………」

恵美は顔を真っ赤にして、

そして、手にしたボンボンを降り始めると、

「声はどうした、

 声は!!」

丈二の怒鳴り声が響き渡った。

目をギュッと瞑り、

恵美は応援の声を上げる。

「体が動いてないぞ!!」

「なんだそれは!!」

次々と来る丈二からの注文に恵美は汗だくになって舞い踊る。

そして、あの胸で8の字を描くポーズを取ったとき、

「へへへ…」

丈二は舌なめずりをしながら、

股間から勃起したペニスを引き出した。

「ひっ」

それを見た恵美が驚き、

そして、一瞬身を引くと、

「馬鹿やろう!!

 止める奴があるか!!」

丈二の怒鳴り声が響き渡る。

「うっ」

響き渡った声に恵美が再び踊り始めると、

「よーし

 そうだよ、
 
 へへ、いい胸しているじゃないかよ
 
 え?」

丈二は棍棒のように勃起したペニスを扱きながら、

胸を揺らせ舞い踊る恵美をジッと見つめる。

そして、

グイッ!!

恵美が腰を前に突き出したとき、

丈二は恵美に徐に近づくと、

突き出した恵美の股間に己のペニスを当てる素振りをした。

クワッ!

その様子に恵美が目をむくと、

「続けろ!!」

丈二の声が響き渡り

それに従うように恵美は目を瞑り、

そして横を向く、

この後、何が起きるか恵美は理解していた。

「くやしい」

その思いが恵美の心の中を駆け巡っていく、

しかし、手にボンボンを持ち、

チア・リーディングのユニフォームを着る恵美には

百戦錬磨のプレーヤーである丈二を押しのけ、

ここから逃げ出す事など不可能な話だった。

ズリッ…

履いていたスカートが捲りあげられ、股間を覆う下着がずり下ろされる。

ヒヤッ

室内の空気が絵里のむき出しなった秘所を軽く撫でる中、

グニュッ!!

丈二の指が荒々しく恵美の秘所に忍び込み、

そして、左右に広げた。

「………」

恵美は歯を食いしばりこの屈辱に耐える。

「へぇ…

 綺麗なピンク色じゃないか」

グニグニと秘所をかき回しながら丈二は感想を言うと、

「おらっ

 もっと腰を動かせ!!」

と怒鳴りながら、恵美の尻をぴしゃりと叩いた。

「うぅっ」

恵美は涙を流しながら腰を動かすと、

「そうだそうだ、

 へへっ
 
 すっかり濡れてきたじゃないか

 じゃぁ、そろそろ頂くとするか」
 
まるで目の前に置かれたご馳走に箸をつけるかのように、

丈二はそう言うと、

恵美の秘所を引き裂くようにして己の赤黒い肉棒をねじ込んできた。

「うわぁぁぁ!!」

更衣室に恵美の絶叫が響き渡るが、

丈二にとっては至福の恵美にとっては地獄の宴が始まりにしかすぎなかった。

そして、夜が更けた頃、

「うっ!!」

これで十数回目となる精液を丈二は恵美の体内奥深くに放出をした。

既に二人は全裸になっていて

一方的に犯された恵美は股間は元より、

口や鼻からも精液を垂れ流し、丈二の攻めが如何に凄かったかを物語っていた。

「ふぅ

 どうやら今夜は打ち止めか

 よかったぜ、恵美っ
 
 やっぱり俺が思っていた通りだったよ」

自分の攻めで気を失い白目を剥いたままの恵美の顔をそっと撫でながら丈二はそう囁くと、

「うわっくっせー」

恵美の体から漂う臭気に丈二は鼻を抓み、

足早にシャワー室へと入って行った。

そして、シャワーを浴びたのち、

着替え終わった丈二が倒れたままの恵美に視線を送ると、

「じゃぁなっ恵美っ

 お前からの祝福、しっかりと頂いたぜ」

と言い残しドアを閉めた。



「うぐっ」

恵美が気がついたのはその直後だった。

ゲホゲホゲホ!!

恵美は激しく咳き込み、

胃の中に溜まっていた精液を吐き出すと、

「ううっ…」

その場でむせび泣いた。

丈二に犯されつくした秘所からは感覚が無くなり、

また体中からは幾重に塗りこめられた精液の匂いが発散していた。

ズルッ

ズルッ

恵美は這い蹲りながらシャワー室へ向かうと、

頭から熱いシャワーを浴びた。

汚された自分を洗い流すように…

そして、その中で思いっきり泣きながら、

「警察に訴えよう…」

と一時は考えたものの、

しかし、直に首を横に振ると、

「だめよっ

 警察に行っても、
 
 仮にあいつが捕まっても
 
 仮にあいつが牢屋に放り込まれても

 仮にあいつが死刑になっても

 でも、あたしが受けた屈辱は消えない…
 
 同じ…
 
 そうよっ
 
 同じ屈辱をあいつに…」

恵美はそう考えると、

震える手でシャワーを止め。

そして、その日を境に恵美はみんなの前から姿を消した。



「本当にいいの?

 恵美ちゃん?」

「うんっ、

 覚悟は決めているわ」
 
「でも…」

「何を言っているの?

 お姉ちゃんっ
 
 最初に言い出したのはお姉ちゃんの方でしょう?
 
 あたしは覚悟を決めたのよ、
 
 あたしを滅茶苦茶にしたアイツに同じ屈辱を味合わせてやるって
 
 だから、お願い」

「…判ったわっ

 恵美がそこまで言うのならあたしはもぅ何も言わない…
 
 さっ腕を出して…
 
 これが最初の注射よ、
 
 恵美の復讐のための…」
 
「ありがとう、

 お姉ちゃん」



つづく