風祭文庫・アスリートの館






「強化合宿」
(第1話:拓人の変身(前編))


作・風祭玲

Vol.310





ゴォォォォォォォォ…

俺を乗せた高速バスは一路高速道路を走っていく、

シャカシャカシャカ

軽快な音楽が流れるヘッドホンステレオを耳に当てて半分眠っていると、

ツンツン

ツンツン

俺の肩を誰かの指が突っつき始めた。

「ん?」

俺は不愉快そうな顔をしてつつかれた方を見ると、

「ねぇ、なにかいいMDあったら貸して」

と後ろの席からポニーテールの髪を揺らせながら中山都が

覗き込むようにして俺に尋ねてきた。

「あぁ、そこに入っているから適当に持って行けよ」

俺は鬱陶しそうに返事をすると背中を向けた。

「じゃっ遠慮なく」

すると、都はそう言うなり、

俺のバックのチャックを開け無造作に突っ込んだMDを漁り始めた。



俺の名は富山拓人、器械体操をやっている高校2年生。

そして、いま俺のバックを漁っている女は中山都と言って

俺とは小学校の頃からの腐れ縁であった。

さて、この高速バスに俺と都が乗車しているのは、

先日開催された大会で堂々入賞し、

そんな俺達に県の体育連盟が毎年開催している夏休みの強化合宿についての

案内が来たためだった。



「合宿ですか?」

練習後、顧問に呼ばれた俺は思わず聞き返すと、

「あぁ…

 富山も知っているだろう?

 県で上位に入った選手を集めての強化合宿の話」

送られてきた書面を見ながらそう顧問が俺に言うと、

「えぇ知ってますとも!!

 昨年に3年の宮山先輩が行かれた合宿ですよね」

と身を乗り出しながら俺は答えると、

「そっか、ついに俺に声が掛かったか」

俺はこの場で飛び上がりたいほど嬉しかった。

そう、この合宿に参加した殆どの人たちは

後にオリンピックの代表に選ばれているだけに、

俺の感激はひとしおだった。

「でだ、

 ウチからはお前の他に女子の中山も選ばれているから…」

「え゛っ?

 中山も…ですか?」

顧問が最後に付け加えたその言葉に俺は不快な表情をすると、

「なんだその顔は?

 顔見知りが居て良いじゃないか。

 まぁ、最も女子と男子が一緒になるなんて事はないがな」

顧問はそう俺に言うと、

「じゃぁ、切符などは女子の方と相談してこっちで手配するから、

 まっ頑張ってこいっ」

ポン!!

と顧問に肩を叩かれた俺は

「はぁ」

やや力が抜けた返事をした。



「まったく…

 なんで、都と一緒なんだクソ!!」

俺は合宿先に顔見知りが居ることが不満だったが、

しかし、都はどうやらその反対だったようだ。

「ねぇねぇ…これ食べる?」

そう言ってポッキーを俺の方に差し出してくると、

「あのな…遠足に来て居るんじゃないんだぞ」

イヤホンを外しながらそう俺が文句を言うと、

「全く、硬いわねぇ…

 そんな事じゃ女の子に嫌われるわよ」

とポリポリと食べながら俺に言う、

「お前こそ、そんなに食べていいのか?

 下手に太って、後で泣いても知らないぞ」

と指摘をした途端、

ウヲォォォン

バスは分水嶺の長いトンネルに入った。

俺はナトリウム灯の明滅を眺めていると、

ゴワァァァァン

バスのすぐ傍をタンクローリーが抜き去っていった。

「なんだ、あのタンクローリー

 ヤケに出しているな…」

そう思っていると、

シュウワァァァァァ…

タンクローリーの脇から小さな煙が吹き出している事に気づいた。

「あれ?

 煙が出ている」

そう思った瞬間、

タンクローリーのタンクがまるで真っ二つに引き裂けていく様子が俺の目に映ると、

まぶしい光が俺の視界を覆った。

「え?」

ゴワァァァァァァン

「あれ?」

気づくとバスは何事もなくトンネルを出ると山間部を走っていた。

「どうしたの?」

俺の様子を見ながら都が尋ねると

「いや…あれ?」

俺はキョロキョロしながら前を見たが、

しかし、前を走っていたはずのタンクローリーの姿を見つけることは出来なかった。

「なぁ…バスの前…タンクローリーが走っていなかったか?」

思わず俺が都に聞き返すと、

「タンクローリー?

 さぁ?

 あたしは気が付かなかったけど?」

と都はきょとんした表情で返事をした。

「なんだったんだ?」

俺はまるで白日夢を見たように呆気にとられていた。



「すみません、城西高の富山と中山ですが…」

無事に宿舎にたどり着いた俺と都は事務所の受付でそう言うと、

「あっはい、

 富山さんと中山くんですね。」

受付の係員はそう聞き返すと手続きを始める。

「?

 富山さん?

 中山くん?」

係員の言葉に俺と都はお互いに顔を合わせるとそう呟いた。

「では、同室となられる方は既に来ていますので」

顔を上げた係員はそう俺達に言うと、

「あっはい」

俺達はそう返事をして受付を済ませた。

「じゃっ」

「頑張ってね」

と言いながら俺は都と別れると、

そのまま宿舎へと向かっていった。



宿舎に着いた俺は

「坂本・富山」

俺と同室者の名前が書かれた紙が貼られたドアをノックすると、

「はーぃ」

部屋の中から返事がするなり

チャッ

ドアが開いた。

「あっ、あのぅ…同室となる富山ですが」

反射的に俺がそう挨拶をすると、

「どうぞ」

と返事をしながら人影が動くと俺を招き入れた。

「失礼します」

そう言いながら俺は中に入って

改めて坂本君に挨拶をしようとしたとき、

「え?」

俺の前に立っている人物の姿を見て思わず驚いた。

「あれ?

 俺…部屋を間違えたのかな?」

俺の前で立っている坂本君の姿は、

赤のジャージのズボンに白のTシャツ姿でありながら、

長く伸びた髪を後ろで括っていた。

「とっ富山君?」

どう見ても女子に見える彼?が驚きながら俺に尋ねると、

「えっえぇそうですか…

 ここって女子の部屋ですか?」

「いいえ、男子よ…」

「男子?

 じゃぁ、君は男なのか?」

「そうよ、あたしはちゃんとした男よ…

 それよりも驚いちゃった、

 いきなり女の子の制服を着た人が入ってきたから」

「はぁ?」

彼?のその言葉に俺は驚くと、

「おれの…これが女?

 なっ何を言って…」

彼?の言葉に俺は自分の身体を指さして反論しようとすると、

『17:00からミーティングを行います。

 各自、ミーティングルームに集まるように』

と言う放送が入った。

「はーぃ」

その放送に坂本はそう返事をすると、

「ほらっ行きましょう」

と言って腰を上げた。

「なんだ?

 どうなっているんだ?」

俺は訝しげに坂本を見みながらも、

とにかくこんなヤツと同室なんてゴメンだと

コーチに抗議しようと思いながら、

着替えもそこそこにミーティングルームへと向かっていった。

しかし、

「え?」

ミーティングルームに集まったメンバーを見て俺は更に驚いた。

そう、ミーティングルームに集まったメンバー全員が

坂本と同じ女の姿をしていたのだった。

「どーなってんだ?」

まさに女装と言ってもいい彼らの姿を眺めながら俺は呆気にとられていると、

「だれ?、彼?」

「さぁ?」

「みてあの筋肉…」

「まるで女ね…」

「あそこまで鍛えちゃ気味悪い…」

俺を見ながら囁く声が聞こえてくる。

「何を言ってんだ…

 お前等の方こそ、おかしいじゃないか」

その声に俺はそう思いながらイスに腰掛けると、

「ミーティングを始めます」

と言う声と共にジャージ姿のコーチが俺達の前に立った。

無論、コーチも化粧をした女の姿をしている。

「はいっ注目

 私が今回の合宿であなた達の面倒を見ることになる。

 コーチの木村です」

と彼は自己紹介をするとこの合宿の方針を俺達に話した。

しかし、その言葉の中にも男には無縁の語句が含まれ、

まるで女子に言い聞かせる話をしているようだった。

そして、話が終わるや否や、

「そこのあなたっ」

っとコーチは俺を指さした。

「はい?」

俺は返事をしながら立ち上がると、

「名前と学校は?」

「城西高の富山ですが…」

コーチの質問に俺は反射的にそう答えると、

「………」

コーチは俺をじっくりと眺め、

「なんですか?、

 その女みたいな格好は…」

と呆れた口調でそう言った。

「あっあのぅ女みたいって、

 これが普通じゃないんですか?」

コーチのその言葉に俺は抗議すると、

「違うでしょうっ

 確かに筋力があった方が良い演技が出来ますが、

 でも幾らなんでもそれは鍛えすぎです、

 ボディビルダーじゃないんだから」

そう言いながらコーチは困った顔をすると、

クスクス

小さな笑い声がミーティングルームに響き渡った。

そして、

「ちょっとあなたとは話し合った方が良いですね」

とコーチは言うと、

ミーティング後コーチの部屋に来るように言われた。



コンコン!!

「富山です」

ミーティング後、俺はコーチの部屋に行くと、

「入りなさい」

コーチの声が俺を部屋に招き入れた。

そして、コーチは俺の身体をジロジロと眺めた後、

「なんで、そんなに鍛えちゃったの?」

ため息を交えながらそう言うと、

「はぁ…でも…」

と俺は反論しようとした。

すると、

「そう言えば、得意種目の部分が空白なんだけど、

 富山君の得意種目って何?」

とコーチは俺に尋ねた。

「え?

 あっそれなら、吊り輪と鞍馬ですが…」

そう俺が答えると、

「ちょっと待て、それは女子の種目でしょう?」

とコーチは俺を睨みながら言う。

そして、

「本当にあなた男なの?」

そう言いいながらコーチは

手を伸ばすといきなり俺の股間を握りしめた。

「うわっ何をするんですか?」

彼の行為に俺は声を上げると、

「うん、確かにあるわね。

 でも、大きいわねぇ…

 まるで女の子みたいじゃない」

とコーチは俺の股間に男の象徴があるのを確認すると

呆れた口調でそう言い、

「あんまり込み入ったことを聞くつもりはないけど、

 富山さんってクスリか何かを飲んでいるの?」

と怪訝そうな視線で俺を見た。

「クスリ…ですか?」

「そうよ、

 ほらっTVかなにかでやっているでしょう?

 女の子になろうとして女性ホルモンを注射して、
 
 筋肉を大きくしている子のこと?」

「ちっ違いますっ」

コーチのその言葉に俺は思わず否定をすると、

「わかったわっ

 とにかく、その筋肉をなんとかしなくっちゃね…

 …シャワーを浴びたら医務室まで来なさい」

とコーチは俺にそう指図をすると腰を上げた。



「じゃぁ、服を脱いでそこのベッドに仰向けになって寝て」

シャワーを浴びて汗を流した俺が言われた通りに医務室へと向かうと

先に医務室で待っていたコーチは俺にそう指示をした。

「え?」

コーチの言葉に俺は思わず戸惑うと、

「なにを恥ずかしがっているの?

 ほらサッサとして」

「はっはぁ…」

コーチに急かされるようにして俺は着たばかりのトレーナとズボンを脱ぐと、

そのまま診察用のベッドの上に横になった。

しかし、

「だめよ、下着も取って」

と言うコーチの声が降ってくると、

「はい…」

俺は恥ずかしさを隠しながらパンツを脱ぎ捨てる。

すると、

「富山さんって本当に女の子みたいな身体をしているのね」

コーチは俺の身体をシゲシゲと見ながらそう言うと、

ヌルッ!!

チューブから絞り出した塗りクスリを俺の身体に塗り始めた。

「え?、あのぅ…」

コーチの手の動きと共にゆっくりと広がっていくクスリの感覚に俺が驚くと、

「ほらっ、くすぐったいかも知れないけどジッとしてなさい」

コーチはそう言いながら俺の乳首周りを丹念に塗り込んでいく。

そして、首のしたから脚の先まで丹念に塗り込められると、

「はいっ、

 じゃぁ俯せに寝て」

とコーチは俺に指示をした。

「はぁ」

俺は言われるまま俯せになると、

ジワッ

薬を塗られた部分がゆっくりと熱くなってくると

痺れるようなくすぐったいような

そんな言いようもない感覚が俺を襲い始めた。

「…くっ……はぁ…」

俺は脂汗を流しながらそれに耐えると、

俺の背中をクスリがゆっくりと覆っていった。



「じゃぁ、

 また明日、シャワーを浴びたらここに来なさい」

俺の身体にクスリを塗り終わったコーチはそう言うと

俺は解放されたが、

しかし、ジンジンと俺の身体を襲う快感に俺はフラフラしながら、

部屋に戻るとそのまま布団を頭から被ってしまった。

「はぁはぁ…

 くそ…なんだこの感覚は…

 あぁ…体中の肌が敏感になっていく…
 
 それに胸が…
 
 熱い」

布団の中で息を殺しながら俺は自分の胸に手を持っていくと、

プクッ!!

俺の胸の両側に付いている乳首がめいっぱいに膨らみ、

そして、

股間ではペニスが痛いくらいに勃起していた。

「はぁ」

キュッ

シュッシュッ

俺は乳首とペニスを弄りながら、

燃え上がる身体を諫めようとするが、

しかし、幾ら諫めても一向に鎮まる気配を見せることはなく、

「うっ…」

いきなり絶頂を迎えてしまうと慌ててテッシュを取ると、

プシュッ!!

精液をその中へと吐き出させた。

そして、

「はぁ…

 こんなオナニーは初めてだ…」

射精の余韻に浸りながら、

俺はまるで身体全身が性器になったような感覚に酔いしれていた。



翌日…

「はい集合!!」

高原の風が吹き抜けていく体育館にコーチの声が響き渡ると、

「では、昨日話したとおり、

 目的意識を持って合宿に臨んでください。

 そして、各々が掲げた目標を必ず達成してください」

と訓辞を言うと、

「はぃ」

ジャージ姿のメンバー全員は一斉に返事をするが、

しかし、殆ど一睡も出来なかった俺は寝不足の目でそう返事をしていた。

そして、念入りな柔軟運動の後、

俺の他のメンバーが次々とジャージを脱いでいくと、

「え?」

俺はジャージの下から出てきた彼らの姿に呆気にとられた。

「レオタード?」

そう、俺以外のメンバーは皆それぞれのレオタードを身につけ、

それどころか彼らの身体はまるで女みたいに胸は膨らみ、

そして、腰はくびれていた。

「どうしたの?」

唖然としている俺の様子を見て坂本が近寄ってくると、

「いやっ

 あの…」

戸惑いながら俺はジャージを脱ぐと、

「ちょちょちょっと!!」

俺の姿を見た坂本は驚いて、

「富山くん、あなた、なんで女のウェアを着ているの!」

と怒鳴ると、

「こっち来なさい」

と言って俺を体育館の更衣室へと引っ張っていった。

そして、

「はいっ、

 コレを着て」

と言いながら俺に赤いレオタードを差し出した。

「こっこれを着るの!!」

彼が差し出したレオタードを見ながら俺は声を上げると、

「なに言ってんの?

 当たり前でしょう?」

と坂本は俺に言う。

「…マジかよぉ……」

そう言いながらも俺は仕方なくレオタードを身につけると、

「はぁ…

 その身体と言い、一体どういう所にいたの?

 あなたって…」

呆れたような口調で坂本は俺にそう言った。

そしてレオタードに身を包んだ俺を待ちかまえていたのは、

床演技の徹底的な修正と

未体験だった平均台と段違い平行棒の特訓だった。



「本当に富山君って女のクセが付いているのね」

練習後グッタリとしている俺に坂本はそう言うと、

「あっあのなぁ…

 俺に言わせればお前等の方がおかしいぞ…」

練習による疲れと睡眠不足が原因と思われる言いようもない怠さと

意識の底から襲ってくる眠気に抗しながら俺はそう反論するが、

しかし、

「?」

俺の言葉に坂本はただクビを傾げるだけだった。

そして、迎えた夜…

俺は再びコーチの手で丹念にクスリを塗り込められた。

その影響かどうかは判らないが、

翌朝には、俺の身体の体毛がゴッソリと抜け落ちると、

次の日には一日中、肌が敏感のままになった。

そうしているうちに、

俺が鍛え上げた筋肉は次第に消えていき、

また胸は徐々にだが確実に膨らんでいった。



そして、合宿も後半に差し掛かった頃、

あっ

ビクン!!

レオタードを身につけようとした俺の手が

すっかりピンク色に染まった乳首にぶつかると、

思わず声を漏らしてしまった。

「どうしたの?」

坂本の声に

「なっなんでもないっ」

顔を真っ赤にして俺は坂本に背中を向けると、

「あら、富山さんの胸…小さいのね」

と坂本は俺に言った。

「そんなこと…お前には関係がないだろう」

坂本のその言葉に俺は反論をすると、

「ふふふ

 まぁそうねぇ…

 でも、折角男で生まれたんだから

 オッパイは大きい方がいいわよ、

 女の人だって、オッパイの大きい人を好むって言うしね」

坂本はそう言いながらレオタードを着ると、

「富山さんも胸を大きくする努力をしてみるべきよ」

と言って俺の肩を叩くと更衣室から出ていった。

「そんな…

 あれじゃぁまるで女じゃないか」

俺はそう呟きながらレオタードを引き上げた。

そして、

その日から日を追う毎に俺の身体は柔らかくなり、

腰回りが膨れていくと女性のような体型へと変化していった。

そして、身体の変化が進むに連れ、

「俺って…

 男なのか?

 それとも女なのか?」

と膨らんでくる乳房と、

女性化していく身体に俺は困惑していた。



「うん、最初に比べて大分よくなってきたじゃない」

平均台の練習をする俺を見ながら坂本はそう言うと、

「はぁ…」

俺は膨らみを増した胸を眺めながらそう返事をした。

既に俺の身体からは余計な体毛はすっかり消え、

その一方で腰に括れが出来つつあった。

そして、練習後、

コーチが俺達の前に立つと、

「さて、長かった合宿もうすぐ終わりです。

 あなた方も大分上達をしたと思います
 
 そこで、明日、ここで男女の合同合宿を行います」

と俺達に告げた。

「合同合宿?」

その言葉を聞いた俺の脳裏に忘れていた都の顔が浮かんだ。

「都が俺のこの身体を見たら…」

俺の脳裏に女みたいな身体になってレオタードを着ている俺の姿を見ながら、

笑い転げる都を思い浮かべた。

「どうしたの?」

ガックリと意気消沈している俺を見て坂本が声を掛けると、

「なんでもない…」

俺はそう返事をすると体育館から立ち去っていった。



「明日…都が俺を見る…」

夜、布団に潜った俺は思わずそう呟くと、

プルン!

と2つの膨らみが膨らんだ自分の胸をそっと抱きしめた。

「どうしよう…

 こんな身体じゃぁ…都に会えない…」

胸を抱きしめながら俺はそう思っていると、

ビクンっ

見る見る乳首が勃起していくと、

ムリムリ

っと小さく萎縮していたチンポが勃起し始めた。

「あっダメッ」

思わずあたしは敏感になっていく乳首を押さえたが、

しかし、

いつの間にか、

クニッ

クニッ

っと硬く勃起している乳首を弄っていた。

そして、

「あぁ…都…おっ俺…女になっちゃったんだ、

 ほらっ、このオッパイ…俺……」

譫言のように俺は呟くと一人で悶えていた。



そして、迎えた男女合同練習の日、

「………」

久々に会う都に自分のレオタード姿が見られるのが恥ずかしくて、

俺はジャージの上下を上から着込むと

合同練習会場となってる体育館へと向かっていった。

「そんなに着ちゃって暑くないの?」

そんな俺の様子を見ながら、

呆れた顔をした坂本が尋ねると、

「まっまぁな…」

俺は適当な返事をした。

そして、体育館に到着後、

俺達が用具類を揃えていると、

一台の鞍馬が俺の目に入った。

「………」

しばし鞍馬の台を眺めていた俺はおもむろに上着を脱ぐと、

バッ

鞍馬に手を掛けた。

「ちょっと…富山…」

俺の行動に驚いた坂本が駆け寄るが、

俺は無言で坂本を押し退けると、

タッ

タッ

タッ

っと鞍馬の演技を始めだした。

しかし、

「あっ」

ドタッ!!

以前に比べて筋力が落ちてしまった俺は自分の体勢を維持出きず

そのまま鞍馬から転落してしまった。

「いたたたた…」

思いっきり打ったお尻を撫でていると、

「ほらっ、いわんこっちゃない

 大丈夫?」

心配そうな声を上げながら坂本が俺の傍に駆け寄ってくる。

「大丈夫だよ

 くっそう、俺の得意種目だったのに」

悔しさを滲ませながら俺が呟くと、

「無理よ、男の子が鞍馬なん出来るわけないじゃない」

と坂本は俺に言う、

「そんなはずはない。

 大体、なんで俺がレオタードを着て練習をしなければならないんだ」

と思わず怒鳴ると、


「あははは…」

体育館に甲高い笑い声が響き渡ると、

ドヤドヤ

っと音を立てながら一団が体育館に入ってきた。

「あっ女子のチームよ」

入ってきた女子チームを指さしながら坂本が声を上げると、

「あっアレが女か?」

俺は呆気にとられながら入ってきた女子のチームを眺めていた。

無理もない。

入ってきた女子達は体格がよく、

バッと一斉にジャージの上着を脱ぐと、

その下から出てきた身体は皆盛り上がった筋肉で

男みたいな逆三角形の身体をしていた。

「おいおい…」

呆然としながら俺は女子を眺めていると

「あっ、小野田先輩だ」

女子の中で一際鍛え上げられていた身体を持つ女性に向かって手を振った。

すると、

「おっオス!!」

俺の近くで聞き慣れた声が響くと、

スッ

ジャージ姿の都が俺の前に立った。

「みっ都か?」

別れたときよりも格段に体格が良くなった彼女を見て、

俺は慌てて上着を羽織ると、

「ちょちょっと時間がとれる?」

と都が俺に話しかけてきた。

「あっあぁ…

 ただ、いまはちょまずいから後で…」

周囲を気にしながら俺はそう返事をすると、

「うん、判った…じゃぁお昼にあそこの倉庫で…」

妙に男っぽい台詞を言いながら

都は体育倉庫を指さすとそのまま女子のチームへと戻っていった。

そんな都の後ろ姿を眺めていると、

ツンツン

俺の脇腹をつつく感触がするなり、

「素敵な人ね…

 彼女なの?」

っと坂本が俺に尋ねてきた。

「そんなんじゃぁ…」

困惑しながら俺は答えていると、

程なくして女子との合同練習が始まった。

俺は女子チームのダイナミックな吊り輪や鞍馬と言った演技を呆然と眺めていた。

そして、その中で都が一人隅の方で黙々と筋力トレーニングをしていた。



「では1時まで休憩です」

その声が挙がると俺は昼飯もそこそこに倉庫へと向かっていった。

体育館の中から人影は居なくなり閑散としている。

ガチャン!!

俺は周囲に誰も居ない事を確認して慎重にドアを閉めると、

足を忍ばせつつ奥へと向かう、

すると、

「拓人…」

薄暗い倉庫に都の声が響くと、

スッ

俺の目の前に都が姿を現した。

「都…か…」

そう言いながら俺は都の身体をじっくりと見る、

ムキッ!!

久しぶりに見る都の身体は男子ほどではないにしても、

女子よりかは筋肉質で逞しくなっていた。

「そんなにじっくりと見ないでよ」

俺の視線に恥ずかしさを感じたのか都は身体をよじる。

「いやっ、すっかり変わったなぁ…」

って俺は白字の男子のユニホーム姿の都を眺めながらそう言うと

「拓人だって、

 オッパイが膨らんでいるじゃない、

 それにそのレオタード…似合っているわよ」

と俺の身体を変化具合を指摘した。

「あっ」

彼女の指摘に俺はレオタード一枚でこの倉庫に着ていることに気づくと、

慌てて股間を両手で隠した。

俺と都は跳び箱を背にして並んで腰を下ろすと、

都の身に起きた事の話を聞いていた。

「そうか…」

両膝を抱え込みながら俺はそう返事をすると、

「拓人も同じ目にあったのね」

と都は俺の身体を見ながらそういう。

そして、

「ねぇ…あたし達、どうなるのかしら?」

と呟くと、

「さぁな…」

蛍光灯が灯る天井を眺めながら俺がそう返事をした。

「このままじゃ

 あたしは男の子に

 拓人は女の子になっちゃうよ」

顔を伏せながら都がそう呟くと、

「おれも、どうして良いのか判らないんだよ、

 逃げ出す訳にはいかないし、

 けど、このまま居たらあたし…じゃなかった俺は女になっちゃう」

そう俺が言うと、

「でも、ここの人たちは

 女子は体を鍛えて吊り輪や鞍馬、

 男子はレオタードを着て平均台や段違い平行をするのが普通と思っているだ。

 はぁ…どうしたらいいんだ?」

いつの間にか都は男の口調でそう喋ると、

再び顔を伏せてしまった。

「………」

無言の時間が流れていく、

すると、

はぁ…

はぁ…

都の方から喘ぐような息づかいが聞こえてきた。

不思議に思って都を見ると、

彼女の手が穿いている短パンに潜り込むと股間を盛んにまさぐっている。

「なにを…」

思わず俺が声を掛けると、

都はハッとすると慌てて手を引っ込めた。

すると、手が退いた後に、

ピクッ!!

都の股間から何かが突き出ていた。

「都…それは…」

そう俺が指摘すると、

「いやっ、見ないで…」

都は股をきつく閉じると両手で顔を覆った。

「みっ見せて」

「いやっ」

嫌がる都を俺は押し倒すと、

両手で彼女の股をこじ開けた。

すると、

ムクリ!!

都の股間にまるでペニスが作る盛り上がりが突き出ていた。

「これは…」

驚きながら俺はそっとそれに触れると、

ビクン!!

都の身体が大きく飛び跳ねる。

そして抓むように

ギュッ

っと握ってみると、

都の股間にあるのはまさしく男の肉棒だった。

「都…お前…チンコが…」

それを見た俺は思わずそう口走ると、

「違うの、違うのよ、

 それはクリトリスよ、

 女子の選手はみなクリトリスが飛び出しているのよ、

 拓人がオッパイを膨らましているように」

と都は俺に訴えた。

「そんな…」

都の言葉に俺は驚くと、

ガッ

今度は都が俺に飛びかかってきた。

「なっ何を!!」

「(はぁ)ねぇ…お願い、いっいっぱつやらせて

 拓人のココ…もぅ穴が開いているんでしょう?」

と俺の股間を揉みながらそう呟く都の目の色はすっかり変わっていた。

「都っ、どうした!!」

都の豹変に俺は抵抗をすると、

まるで俺を押さえ込むかのようにしてキスをしてきた。

むぐぅぅぅ

俺は足をばたつかせながら抵抗をするが、

しかし、すっかり萎えてしまった俺の筋力では都を押し返すことが出来ず、

彼女のなすがままだった。

「はぁはぁ」

耳元で都の激しい息づかいが聞こえる。

バッ

都は俺の上に馬乗りになると、

穿いている短パンを脱ぎ捨て、

そして、

「舐めて…」

と一言言うと、

ビンッ

っと勃起したクリトリスを俺の口に押し込んできた。

「やめろぉ」

俺は必死で抵抗するが、

「(はぁ)ねぇ、感じて居るんでしょう?

 だって拓人の乳首硬くなっているよ」

ギュッ

ギュッ

都は自分の手を後ろに廻しながら、

レオタード越しに俺の乳首を抓りあげてきた。

「あうっ」

これまでに味わったことのない快感に俺は声を上げると、

「ふふ…感じているのね、

 女の子はね、全身が性感帯なのよ」

都はそう言いながら俺と69の体勢になると、

俺の股間で小さく勃起しているペニスをレオタードを脇に寄せて出すと、

チュッ

っと口に含む。

「あぁ…」

まるで沸き上がるような快感に俺は酔いしれると、

無我夢中になって都のクリトリスをしゃぶる。

そのとき、

クニュッ!!

都の指が俺の股間、キンタマの後ろをまさぐると

その先にある排泄用の穴に突き立てられたと思った途端。

ズブズブズブ…

っと俺の体の中に入ってきた。

「ひゃうんっ」

突然襲ってきた予想外の感覚に俺は驚くと、

「…綺麗よ、拓人のオマンコ…」

と都は俺に囁いた。

「(あっ)俺のオマンコ?」

都の言葉に俺が驚くと、

グリグリ

都は俺の中に入れた指を動かし始めた。

「あっ、いやっ

 そんなに激しく動かさないで!!」

と俺は悶えながらそう訴えると。

スッ

都の指が離れていった。

「あっ」

突然消えた感覚に俺は思わず、

「お願い…あたしのここに都のオチンチンを入れて」

っと腰を突き上げながら懇願してしまった。

その途端、

「うん、いくよ」

ヒタッ

都は一言そう答えると俺の膨らんだお尻に手を添え、

メリッ!!

硬く勃起したクリトリスを俺の穴に押し込んできた。

「あっ…熱い…いっいい…」

口から涎を垂らしながら俺は悶えると、

「あぁ…拓人の中に…俺…入っている」

ヌプ…

ヌプ…

都はそう言いながら腰を動かし始めた。

「いや、動かさないで…

 いっちゃう」

津波のように押し寄せてくる快感にいつの間にか俺も腰を動かしていた。

男と女が逆転した二人が絡み合う様子が影になって壁に映る。

すると、

「あぁ…なに?

 何かが溜まって…

 だっ出したい…」

譫言のように都がそう訴えると、

ヌプヌプヌプ!!

都の腰の動きが早くなっていった。

「あぁ…

 いやっ

 いやっ

 ダメ

 いっちゃう

 いっちゃうよぉ!!」

強烈な刺激によって俺は徐々に絶頂へと突き進んでいく、

そして、

「あっ

 出る出る
 
 何かが出るぅぅぅ!!」

都がそう叫ぶと、

「あぁ

 イクぅぅぅ」

そう声を上げながら俺と都は絶頂を迎えた。

そして、その瞬間、

「ぷちゅぅぅぅぅっ」

都のクリトリスからなま暖かい体液が吹き出すと、

俺の身体の奥深くへと注ぎ込まれていった。

「あぁぁぁぁ…

 あたし…

 オンナになっちゃった…」

汗でベトベトになったレオタードの感触を確かめながら俺はそう呟くと、

そう呟きながら俺の意識はうっすらと消えていった。



「おいっ、生きて居るぞ!!」

「しっかりしろ!!」

カッ!!

「うっ…」

煌々と照らされた灯りと叫び声に俺が気づくと、

たちまちオレンジ色のレスキュー隊が俺の身体を担ぎ始めた。

「なんだ?」

突然の声に俺は意味が分からず周囲に視線を移してみると、

「え?」

投光器に照らし出されたのは壊れたバスの車体だった。

訳の分からないまま俺は病院に搬送され、

そして、事の詳細を知ったのはそれの翌日だった。

「え?

 トンネル崩壊?」

駆けつけたお袋達から詳細を知らされた俺は驚きの声を上げた。

そう、俺達を乗せたバスを追い抜いていったタンクローリーが

整備不良が原因の大爆発を起こすと、

その衝撃でトンネルが崩壊してしまったとのことだった。

幸い少し前を走っていたトレーラーの荷台が爆風を遮り、

また、同時に崩壊したトンネルがその後の煙を遮ってくれたので、

後続への被害はさほど大きくはなかったが、

しかし、俺達の救出には時間が掛かったそうだった。

「はぁ…危機一髪か…」

俺は感心していると、

お袋からとんでもないことを聞かされた。

「それってマジ?」

唖然とする俺にお袋は静かに頷いた。

そして、

「拓人だけじゃないのよ、

 都ちゃんもね…
 
 その…身体が男の子になっちゃっているのよ」

とお袋は俺に言う。

「そんな…」

呆然とする俺の胸には確かに2つの膨らみがあった。



それから1年が経ち

レオタード姿のあたしは手を上げると、

正面に据えられた平均台の上に軽々と飛び乗った。

「ねぇあの娘よ」

「事故が原因で女の子になっちゃんだって?」

「そんな事ってあるの」

「さぁ?」

そんな声に耳に貸さずあたしは15cm幅の舞台で華麗に演技をこなしていた。



おわり