風祭文庫・アスリート変身の館






「なりきりレオタード」



原作・風祭玲

Vol.901





とある休日。

ピンポーン!

部屋の中に呼び鈴の音が鳴り響くと、

「菅田さぁん、

 宅配便でーす」

と言う声がドアの向こうから響き渡る。

「あっはいっ」

その声に俺はディスプレイを向いていた顔を上げて返事をし、

「おっとぉ」

散らかっている部屋を避けながら歩いて玄関にたどり着きくと、

すぐに玄関ドアを開けてみせた。

すると、

「菅田…直人さんですね」

宅配便の制服姿をした男性配達員が僕の顔を見るなり尋ねてくる。

「はい、そうですか」

その声に俺は返事をすると、

「お届けものです。

 こちらに印鑑をお願いします」

と配達員は品物と伝票を俺に手渡す。

「あっはい」

品物と伝票を受け取った俺はすぐに伝票に判を押し配達員に返すと、

「ありがとうございましたぁ」

の声を残して配達員は去って行った。



「ふふっ」

配達員が去った後、

包みを手にした俺は笑みを浮かべつつパソコンの前へと戻ると、

ガサガサと厳重に梱包されている包みを開けはじめ、

やがてビニールに包まれたあるものが中から出てきた。

N女学園体操部…

そうこの手のマニアの間では常に高い評価を受けている一着のレオタード。

しかも、現役選手が試合後に脱いだものというプレミアムものなのである。

「くくっ

 ついに手に入れたぞ」

落札するまでの壮絶な入札合戦を思い浮かべながら

俺はレオタードを包んでいるビニールを開くと、

フワッ

まるでついさっきまで体操選手が着ていたかのような汗のにおいと共に

ピンク地に可憐な花をあしらったレオタードが俺の手の中へと落ちてきた。

クンクン

クンクン

早速俺は股間を硬くさせつつレオタードの匂いを嗅いで見せると、

「ぷはぁ!

 これぞまさしく乙女の汗の匂い。

 うん、体操に青春を掛けた体操選手の香りだ。

 もぅこれだけでも十分だよ」

と目を輝かせながら感心し、

早速、パソコンのキーを操作すると、

とあるオークションサイトを開く。

そして、そこの出品者の評価欄にある一覧の”最も良い”にチェックと入れると、

”縁がありましたら次の取引もお願いします”

とコメントを打ち込み書き込みボタンを押してみせる。

「それにしてもこんなすばらしいレオタードが手に入るなんて、

 出品者は関係者なのかな?」

レオタードの入手ルートに思いを巡らせながら

俺はレオタードを大きく広げて改めて確認すると、

いくつかの試合で使われてきたらしくレオタードには新品には無い使用感があり、

さらに最後に使われてから直ぐにしまわれたのか、

レオタードの腰周りには滑り止めの粉が付いていたのであった。

「なるほど…

 ここに乳首が、

 そしてここにはあそこが密着していたのか」

レオタードの胸と股間のあたりに視線を移しながら

俺はこのレオタードを身に付け、

平均台や平行棒、

床演技で汗を飛ばし舞った体操選手に思いを馳せる。

そしてレオタードを眺めているうちにふとある考えが頭の中をよぎった。

それは、

”このレオタードを着てみたい”

と言う衝動であった。



俺には元々女装の趣味は無い。

このレオタードを手に入れたのも、

現役女子体操選手が着ていたレオタードを手に入れたい。

という欲求からであり、

偶然、人気の高いこのレオタードが入札されていたためにそれに参加したのであった。

でも、いまはなぜかこのレオタードを着てみたいと思う欲求が

俺の胸のうちで騒いでいるのである。

「まぁいいか…」

俺の口からその言葉が出るのと同時に

俺は着ていた服を脱ぎ始め、

やがて全てを脱いでしまうと

ゴクンっ

生唾を飲みながら恐る恐るレオタードに足を通しはじめる。

そして、

スルッ

スルッ

両足をレオタードに通すと引き上げて見せる。

キュッ!

その途端、レオタードは俺の股間を静かに覆い隠し、

さらに引き上げられるにつれ俺の体を隠して行く。

そのまま俺は両袖に手を通すと、

ピチッ

レオタードが俺の体に密着し、

「うっ」

俺はレオタードに体を覆われる快感と、

胸元で輝く体操部のマークに股間をさらに硬くしてしまう。

「はぁはぁ

 はぁはぁ」

荒い息をしながら俺は椅子に座り込むと、

そのまま

シュッシュッ

シュッシュッ

っと硬くなった股間を扱きレオタードの感触を堪能するが、

だが程なくして

チクチク

と胸の乳首辺りで変な感触を感じ始めると、

「あふんっ」

俺は股間を扱くことよりも乳首を弄ることに夢中になってしまった。

「ふんっ

 んっ

 あんっ」

淫らに股を開き俺はレオタードの上から乳首を弄り続けるが、

弄り続けるうちに、

ムクムクと乳首が大きく膨らみ、

さらに心持ち胸の周りが膨らんできたように感じ始める。

「あんっ、

 気持ち良い…」

いつの間にかプルンと膨らんだ胸を揺らしつつ、

俺は乳首を弄り続けていると、

胸の周りから肌が敏感になり、

次第に股間から突き出す力が消えていくのを感じてきた。

しかし、そんなことは気にせずに俺は乳首を弄り続けているうち、

股間がムズムズ疼きはじめ。

キュッ!

それをいさめるように俺は股間を閉じて見せる。

とそのとき、

「あれ?」

俺は閉じた足に股間のイチモツの感覚が無いことに気が付くと、

「え?

 あれ?

 あれれ?」

太ももをこすり合わせながらその感覚を追い求めるが、

だが、いくら足を動かしてみてもイチモツの感覚は無く、

代わりに

ジワッ

と来る奇妙な感覚を感じたのであった。

「うそっ!」

そのときになって俺はようやく自分の体の異変に気が付くと、

ガバッ

と起き上がり自分の体を見た。

すると、

「こんなことって…」

レオタードに覆われている俺の体は腰の辺りが括れ、

胸には盛り上がった乳首を頂く左右二つの膨らんでいた。

「え?

 え?

 えぇ?」

揺れる胸に驚きながら俺は股間に手を入れると、

股間にはイチモツの膨らみが消えていて、

代わりに縦に刻まれた溝が走っている。

「なっなにこれぇ!」

体毛が薄くなってムッチリと張り出す太ももを見ながら俺は声を上げるが、

だが、その声は男というより女性を思わせる甲高いものになっていたのであった。

「!!っ

 そんなっ、

 おっ女になっている…」

慌てて口を閉じ、

俺は心の中でそう思うとふと自分の姿を写し出しているガラス窓を見る。

すると、そこにはレオタードを身に付け、

髪を後ろにまとめた女子体操の選手の姿が映し出されていたのであった。

「えぇぇぇ!」

驚いても遅かった。

唖然としながら俺は女子体操選手となった自分を見つめていると、

ハラリ

一枚の紙がレオタードを入れていたビニール袋か落ちていることに気づき、

それを拾い上げて目を通すが、

すぐにその紙が俺の手元から落ちていくと、

「なりきりレオタードって何によっ」

と困惑した口調で呟く。

だが、程なくして

ハッ

あたしは気が付くと、

「あれ?

 なんであたし

 こんなところにいるのかしら…

 やだぁ、

 急いで練習場に戻らないと、

 試合は明日のなのよっ」

という声を残して急いで部屋から飛び出していったのであった。



『毎度ありがとうございます。

 ”なりきりレオタード・女子体操選手”をお届けいたしました。

 このレオタードを身に着けるますと

 あらかじめ設定した人生を送ることが出来るすばらしいレオタードです。

 女子体操選手としての送りくださいますようお祈りしております。

 業屋・オークション店』



おわり