風祭文庫・アスリート変身の館






「レオタードの虜」



原作・風祭玲

Vol.991





「あらら…?」

人気が無くガランとした体育館に大間朋子の驚いた声が響き渡ると、

「あら、大間さぁん」

「こっちでぇす」

既にレオタード姿となって柔軟運動をしていた新体操部員の島野久美子と久保奈緒美が顔をあげ、

朋子に向かって手を振ってみせる。

「あれぇ?

 いまここにいるのは二人だけ?

 1年生は?」

久美子と奈緒美の元に駆け寄った朋子が周囲を確かめながら1年生部員の姿がないことを指摘すると、

二人は顔を見合わせ後に立ち上がり、

「1年生の淺川さんと野津さん、

 そして波多野さんは新体操部を辞めました」

1年生部員3人が辞めたことを伝える。

「…えぇ!!!!」

一呼吸間をおいて朋子の驚いた声が響き渡ると、

「ちょっとそんなに大声を出さないのっ」

響き渡る声に耳を押さえつつ奈緒美は注意をするが、

「だってぇ!

 だってぇ!!

 だってぇ!!!

 あの3人が一度に辞めてしまったらどうするの?

 大会近いんだよ。

 あたしと久美子と奈緒美…

 それにキャプテンだけじゃぁ団体出られないじゃない!」

真剣な表情で朋子は言い寄ると、

「仕方が無いでしょう!、

 辞めたいという人を無理に引き止めることなんて

 出来るわけ無いでしょう」

鼻っ面を突き合わせるがのごとく久美子が言い返す。

「まぁまぁ、

 二人とも」

それを見かねたのか奈緒美が話って入り、

「とりあえず、

 キャプテンが助っ人になってくれそうな人に当たっているから、

 それに期待しましょ」

と新体操部・キャプテンの鹿島洋子が部員確保に奔走していることを告げたのであった。

だが、

「はぁ…」

それから1時間近くが過ぎて

体育館に新体操部のロゴが入るジャージを身にまとった洋子がため息混じりに姿を見せると、

「キャプテン。

 どうでしたぁ?」

彼女の成果を期待しつつ朋子、久美子、奈緒美の3人が駆け寄っていく。

しかし、

「みんなぁ」

それを見た洋子はすまなそうな顔をして見せると、

「ごめんっ!

 新体操に興味を持っていた子や、

 時間的に余裕のありそうな先輩に当たってみたんだけど、

 一人も口説けなかった」

と両手を合わせて洋子は頭を下げて見せる。

「はぁ…」

「ふぅ…」

「だめかぁ」

それを聞いた3人の口から諦めに似た声が漏れると、

「まっまだ団体に出られないと決まったわけではないわ、

 大会まで時間はあるし、

 最悪、あたしたち4人で…」

と洋子は言い出すが、

その声を遮るようにして

「そうですよね、

 まだ0じゃないですけど、

 でも…

 この有様は和泉先輩には見られたくないな…」

と朋子はこの春卒業して行った先輩のことを口にし、

彼女のその言葉を聞いた途端、

皆の表情は一斉に曇ってしまったのであった。

すると、

「あっごめん、

 あたし余計なことを言っちゃったね。

 気にしないで。

 あっ私、個人競技の方の練習をしています」

落ち込んだ空気にしてしなったことを詫びるようにして朋子は声を上げると、

着ていたジャージを脱いでレオタード姿になると手具と共に舞い始めた。

ところがその数日後の練習中、

洋子は快活そうな少女を体育館へと連れてくると、

個人競技の練習をしている朋子たちを指差して、

あれこれ少女に説明をし始めたのであった。

「見学者?」

そのことに気づいた朋子は汗を拭きながら久美子に尋ねると、

「らしいよ、

 やっとひとり口説けそうだってキャプテンが言っていたから…」

と手具の調子を見ている久美子は返事をする。

「入ってくれそうかぁ」

「さぁ…

 とにかく彼女がやる気をもてるように新体操のいいところを見せなきゃ」

見学者を横目で見ながら朋子と久美子はそう話し合うと、

二人は手具を携え、

それぞれの方向へと足を向けた後、

タンッ!

華麗に舞い踊り始めるが、

しかし、その朋子たちの姿を違うところから覗き見ている男子生徒の姿があった。

山下晃。

男子バレー部に所属し、

さらに朋子の彼氏でもある晃はバレー部の練習をこっそりと抜け出すと、

こうして新体操部の練習を覗き見ていたのであった。

しかも、見るだけではなく晃はランニングパンツの股間をモッコリと膨らまし、

「はぁはぁ…

 はぁはぁ…」

鼻息荒く手を股間へと潜り込ませ股間をこすり始めると、

体育館の中でレオタードを輝かせながら大胆に開脚してみせる朋子をオカズにしながら、

「はぁはぁ

 はぁはぁ

 はぁはぁ

 あぁぁっ

 うっ!」

ピクンと体を硬直させた後に男の体液を飛ばしていたのであった。



「すっかり遅くなっちゃった」

部活が終わり、

制服に着替えた朋子は校庭を一気に突っ切っていくと、

「あっお待たせぇ」

校門のところで立っている男子生徒の下へと向かって行く。

「いや、

 そっそんなに待ってないけど」

朋子の声が届いたのか晃は笑って返事をして見せるが、

しかし、

「?」

どこか余所余所しい晃の態度を見て朋子は小首を捻って見せる。

「どっどうしたの?」

朋子が見せるその態度を見て晃は理由を尋ねると、

「はぁ…」

話しかけられた朋子はすぐに大きく息を吐いてみせたのであった。

「聞いたよ、

 新体操部、いま部員集めをしているんだって?」

そんな朋子に向かって晃は新体操部のキャプテンが奔走していることを指摘すると、

「あっ晃にも知られていた?」

朋子はバツの悪そうな顔をして見せた後、

「あっでもね。

 今日一人見学者が来たわよ」

と自分の練習を見学しに来た生徒がいたことを報告する。

朋子と晃は一月ほど前から付き合い始め、

毎日、部活のことなどを話しながらこうして一緒に帰っていたのであった。

「入ってくれそうか?」

「うーん、どうかなぁ…

 あたしは脈はある。と睨んでいるけど」

「それにしても新体操部が部員部不足とは信じられないなぁ…

 1年生が全員辞めてしまったんだって?」

「え?

 そこまで知っているの?

 参ったなぁ…

 大会が迫ってきたのでちょっとキツイ練習をしただけなんだけどね。

 でもそれで音を上げてしまうなんて、

 最近の子は根性が無いのよっ!」

グッ

晃と歩きながら朋子は握りこぶしを握り締め力説をする。

「おぃおぃ」

朋子を横目に見ながら晃は冷や汗を流しつつ、

「まぁそれを言ったら、

 ウチの男子バレー部だって練習についていけないので辞めます。

 って言って辞めていく1年がいるけどな」

と晃は自分が籍を置く男子バレー部でも同じことが起きていることを言う。

「はぁ…

 何処も大変なのよね…」

それを聞いた朋子は肩を落とし嘆いて見せると、

「でもまぁ、

 まだ試合に出られるうちと違って、

 そっちってヤバイって聞くけど?」

朋子に向かって晃は問い尋ねる。

「春にいっぱい入ってきたんだけどね、

 だけど一人二人と抜け落ちちゃって…

 ここで最後に残っていた1年生が一気に辞めちゃって…

 …彼女達なら大丈夫だろうと思って期待していたんだけどなぁ

 あーぁ、3年生が引退した今となっては

 2年のあたしとキャプテンと島野さんと久保さんのみ…

 これじゃぁ団体出場なんて夢のまた夢よ」

と嘆くように朋子は言うと、

「まさに存亡の危機だな…」

話を聞いた晃はそう呟く。

「でも、希望は捨ててないわよっ」

ピンチでありながらも朋子は拳を握り締めて力説すると、

「なぁっ、

 にっちもさっちも行かなくなったら、

 俺がレオタード着てやろうか?」

と晃は自分を指差して見せた。

「え?」

思いがけない晃からの提案を聞いた途端、

朋子は1歩分空間を開け、

「山下君ってそんな趣味があったの?」

と怪訝そうな目で晃を眺める。

「なっなんだよっ、

 俺が新体操しちゃいけないのか?」

自分を見つめる朋子に向かって晃は詰め寄ると、

「もぅ、やだなぁ山下君ったら、

 悪い冗談も程ほどにしないと変態だと思っちゃうぞ!」

と語気を強めながら、

バンッ!

晃の背中を思いっきり叩き、

「あっちょっと用事を思い出したので、

 ココで失礼!」

そう言い残して晃の下から駆け出していったのであった。

「ふぅ…まさか晃にあんな趣味があったなんて…

 知らなかったよ」

晃と別れた朋子はそう言いながら足早に進んでいくと、

やがて、一軒のスポーツショップが姿を見せた。

「こんにちわぁ」

ショップのドアを開けながら朋子が声を掛けると、

「あぁ、大間さん?

 ちゃんと届いているよぉ」

の声と共に店番をしていた女性店員・和泉基子が返事をしてみせる。

「先輩…いらっしゃったんですか?」

思いがけない基子の姿を見て朋子は驚くと、

「講義が無いときは家の手伝いをするのが約束だからね」

と大学に進学した基子は返事をする。

「先輩、あの…」

頬を染めて朋子は上目遣いで基子を見ると、

「やめてよぉ、

 ここではもぅ先輩なんかじゃないわ」

と基子は笑って見せ、

「はいっ、

 注文の新体操用レオタード。

 今度の大会で使うんでしょう。

 試着室空いているから、

 ちょっと試着してみて」

そう言いながら朋子にビニール袋に入っているレオタードを手渡し、

店の奥にある試着室を指差してみせる。

「はっはいっ」

レオタードを受け取った朋子は小走りになって試着室に飛び込むと、

逸る胸を押さえつつ制服を脱ぎ、

レオタードに足を通した。

鏡に映る自分の体をレオタードが徐々に覆っていくのを見ながら、

朋子はレオタードを引き上げると、

「どう?」

の声と共に基子が試着室のカーテンを開けてみせる。

「キャッ!」

店内に朋子の小さな声が響きわたり、

「なに、驚いているのよ」

そんな朋子を見下ろして基子は呆れて見せると、

「うーん、

 きつい所とか、

 動かし辛い所とかある?」

と話しかけながら朋子の背後から肩や腰辺りの関節を触れていく。

「いえっ、

 別に…

 大丈夫…

 あんっ!」

体を触れていく基子の手の動きに朋子は思わず感じてしまうと、

「なんて声を出しているの?

 このエロ娘は」

と言う声が背後から響き、

グッ!

レオタードの股間辺りを左右に持ち上げられたと思った途端、

キシッ!

っと真上に引き上げられてしまった。

すると、

グィッ!

引き上げられたレオタードが朋子の陰裂に食い込んでしまうと、

「あぁっ…」

たちまち朋子の体から力が抜け、

トンッ

と基子に寄りかかってしまった。

「あらあら、

 この程度でもぅ力が抜けてしまったの?」

自分に寄りかかる朋子を抱きかかえながら笑って見せると、

「ごっごめんなさい…」

顔を真っ赤にしながら朋子は謝ってみせる。

しかし、

「んふっ、

 聞いたわよぉ

 新体操部がピンチなんだって?

 こらぁ、

 あたしが居なくなってから君たちは何をしていたぁ?」

と基子は朋子の背後から胸に手を回し、

胸の膨らみの頂点で硬く締まっている肉隗をレオタード越しに摘んでみせる。

その途端、

「あんっ!」

ビクッ!

朋子の体に電気ショックが走ったかのように撥ねてしまうと、

「そっそれは…」

と返事をするが、

「あら、なにを感じているの?

 この変態娘は」

基子は囁き、

「んふっ、

 悪い子はお仕置きよ」

そう言うや否や、

キュッ!

摘んだ指を捻って見せる。

すると、

「あぁっ

 あぁっ

 あんっ!」

朋子は声をあげて悶え、

「はぁはぁ

 はぁはぁ

 せっ先輩…

 お願いです。

 先輩の手でイかせてください。

 あたし、先輩じゃないと駄目なんです」

と上気した目で懇願してきた。
 
「あらあら朋子ったらっ、

 仕方が無い子ね…

 うふっ、

 もっともあなたをこんな体にしてしまったのはあたしなんだけどね。

 いいわ、

 たっぷりとイかせてあげる。

 その代わり…

 ここで汚してしまったレオタードを着て大会で着るのよ、

 んふっ

 朋子は女の淫らな臭いを放つレオタードを着て演技するの。

 約束よ」

と基子は朋子に囁くとそっと着ていた服を脱いで見せると、

その下からレオタードが姿を見せる。

「せっ先輩…

 それは…」

基子のレオタードを眺めながら朋子は尋ねると、

「ふふっ、

 どう、新しいレオタードよ。

 前のは欲しい人にあげたので思い切って新しいのを作ったのよ」

と言いながら基子は朋子の首筋にキスをし、

そのままレオタードを肩から外すと、

乳房を表に出したところで止め、

片手を乳首に、

もう片手を朋子の股間へと這わせると、

クニクニ

クニクニ

っと弄び始める。

「んふっ、

 久しぶりねぇ、

 こうしてお互いにレオタードを着て触れ合うのって、

 どぅ?

 気持ち良いでしょう?」

と尋ねながら基子は自分が着ているレオタードを摺り寄せてみせる。

だが、

「あはっ、

 あぁぁん

 あんっ、

 はぁん

 はぁぁぁん

 あぁぁん」

基子の指技に翻弄される朋子はただ淫らな声を上げるだけで、

質問に答えることは出来ず、

やがて、

クチョクチョ

クチョクチョ

っと湿り気を帯びた音が彼女の股間から漏れ始めると、

「んふっ、

 朋子ぉ、

 下のお口はすっかり洪水よ」

と基子は指摘する。

そして、

「はぁぁん

 はぁぁん

 はぁっ

 んあぁぁぁぁぁ!!」

絶頂へと至る喘ぎ声が響き渡った後、

ビシャッ!

朋子は真新しいレオタードを汚しつつグッタリとしてしまったのであった。

「んふっ

 あらあら、

 もぅイっちゃったのね、

 仕方が無い子。

 朋子ぉ、

 一言言っておくね、

 新体操は練習だけでは駄目よ。

 ちゃんと部員達のケアもしてあげないと、

 みんな欲求不満になっちゃって辞めちゃうのよ」

そんな朋子を眺めながら基子はそう言いつつ、

朋子を奥に置かれたままのソファに寝かせたのであった。



翌日

「やっぱり、練習練習だけでは駄目なのかなぁ…」

昨日の基子との触れ合いを思い出しながら

新体操部のジャージを羽織った朋子が体育館に行くと、

「ねぇねぇ、

 新入部員が入ったんですって」

と奈緒美が話しかけてきた。

「へぇ、そうなんだ…

 昨日の子が入部してくれたんだ」

昨日、見学に来た少女が新体操部に入部してくれたと理解した朋子はそういうと、

「昨日の子じゃないわ」

と久美子が指摘して来る。

「え?

 そうなの?」

それを聞いた朋子は驚きながら聞き返すと、

「何処で見つけてきたのか知らないけど、

 新体操部へ入部したい。

 ってキャプテンに言ってきた子らしいのよ」

と久美子は事情を話す。

「へぇぇ…

 物好き。と言ってはいけないけど、

 そんな子も居るんだぁ」

久美子の言葉に感心しながら朋子は練習前の柔軟運動を始めだすと、



「みんなっ

 ちょっと来て」

の声と共に洋子が体育館にやってくるのと同時に、

嬉しそうに部員達を呼び集めてみせる。

「新入部員が入ってくれたんですってね、

 キャプテン」

洋子の顔を見ながら朋子は返事をすると、

「えぇ、そうよ。

 さっこっちにきて」

と手招きをしてみせる。

そしてオズオズと姿を見せたレオタード姿の少女を見た途端、

「やっ山下…君?」

朋子は思わず絶句してしまったのであった。

「あっあの…」

驚く朋子に少女は顔を真っ赤にして何かを言いかけるが、

膨らんだ胸、

括れた腰、

そして、縦溝を刻む股間へと朋子の視線が動いていくのを感じてしまうと、

「いやっ

 そんなに見ないでください」

と恥じらいの声を残して走り出していく、

「まって、

 山下君。

 一体どういうことなの?

 なんで…レオタード…

 しかもそれって…

 和泉先輩が着ていたレオタードじゃない」

朋子は走っていく少女に向かって声をかけるが、

「………」

その言葉への返事は帰ってこなかったのであった。

そう、洋子が連れてきたレオタードがよく似合う新入部員は

朋子の彼氏であった山下晃の変わり果てた姿であり、

さらに彼、いや彼女が着ているレオタードは

朋子に新体操のすばらしさを教えてくれた和泉基子のものであった。



「ふぅぅん、

 そう…

 まぁ、いいわ。

 なんでこんなことになってしまったのかは判らないけど、

 でも、新体操の先輩としてケアをしてあげなきゃね」

駆け出していった晃を眺めつつ朋子はそう呟くと、

ジワッ

レオタードに覆われた股間を湿めらせて行ったのであった。



おわり