風祭文庫・アスリート変身の館






「感換丹」
(純の場合)



原作・風祭玲

Vol.792





「あはんっ」

明かりが落とされた体育館。

昼間、大勢の若人達が汗を流したその空間に艶かしい声が響き渡ると、

「うふっ、

 とっても敏感なのね」

シニョンに髪を結い上げ、

赤紫色のレオタードを身にまとう少女が囁く、

そして光沢を放つレオタードの胸の膨らみ同士を重ね、

さらに縦に黒い染みを浮き上がらせる秘所に手を這わせていくと、

「やっ止めてください、

 先輩」

その手を握り締めながら、

下に押し倒されている少女・望美が訴える。

だが、

「何が止めてなの?

 誘ってきたのは望美、

 あなたでしょう?」

と圧し掛かる少女・由香はそう囁くと、

「誘ってだなんて…

 あたしは先輩に…」

望美はそう言いかけたところで、

キュッ!

股間に差し込まれた由香の手が動いた。

「あんっ」

その手の動きに望美は声を上げると、

由香は望美をきつく抱きしめ、

「嘘をついてもダメ、

 身体はとっても正直よ。

 ほら、レオタードの感触ってとってもエッチでしょう。

 みんなこれが大好きなのよ、

 望美だってそうでしょう」

と囁いた。

「そんな…

 あたしは…」

その囁きに望美は何か言い返そうとするが、

「”新体操に青春の汗を流そうと思っているのよ。”

 とでも言いたいの?

 言ったでしょう。

 嘘はダメだって」

その言葉を封じるように由香は告げると、

クニッ

望美の股間を覆うレオタードを横に逸らし、

真っ赤に熟れている縦溝を晒す。

「うわあぁぁ

 プックリと膨れちゃって、

 相当淫乱なのね。

 望美って」

窓から差し込む明かりに浮き上がる秘所の姿を眺めながら、

由香は呟くと、

「いやぁぁ…

 見ないでぇ」

望美は両手で顔を覆う。

しかし、望美のその行為が由香の心に火をつけてしまい。

その顔を覆う手を力づくでどかすと、

チュッ

望美の頬にキスをする。

「・・・・」

もはや望美はなにも口にすることが出来なくなっていた。

ただ、由香の行為が一刻も早く終わることを祈るのだが、

「猛練習で相当汗をかいたのね、

 望美のほっぺ、

 汗の味がするわ」

望美の頬に舌を這わせつつ、

由香はそう言うと、

ゆっくりと身体を回し、

徐に自分の腰を上げると、

望美の顔のまん前に自分の股間を晒した。

そして、

「ねぇ、望美ぃ、

 あたしのを見てぇ」

と懇願すると、

グリッ

レオタードが覆う自分の秘所を望美の顔にこすりつける。

「うっ」

しっとりと湿っているレオタードから漂ってくる女の臭いに、

望美は顔を背けるが、

ザラ…

ザラザラ…

望美の秘所の元も敏感な部分を

生暖かい何かが幾度も触れた途端、

ビクンッ!

「!!!!っ」

望美の身体は大きく跳ね上がった。

「ふふっ、

 とっても美味しいわ、

 望美の愛液」

彼女が見せた反応を満足げに見ながら

由香はそう呟くと、

「さぁ、

 あなたもあたしにして…」

と囁き、

ベットリと濡れてきた股間を押し付ける。

そして、

ザラ…

再び望美の秘所に触れると、

ピチャピチャ…

と望美の身体の奥から溢れ出る体液を舐め始めた。

「うぅっ

 先輩があたしの…

 そんな…汚い…

 汚いのを…

 いやぁぁ!」

まさにそのときの望美は、

美しき獣に首根っこを押さえつけられている

一頭の草食獣だった。

逃げようともがけばもがくほどその傷は深くなり、

そして、流れる血を猛獣に舐め取られる。

このまま餌食になってしまうか、

それとも…

「いや、いや、いや

 止めてください。

 あたしは…

 こんなことは…」

自分を押さえつける脚を押しのけながら、

望美は抵抗をすると、

「いやぁぁぁ!!」

ついに悲鳴と共に由香を突き飛ばしてしまうと、

脱兎のごとく逃げ出して行く…



ジリリリリリ…

突然鳴り響く目覚まし時計の音に、

ハッ!

純は目を覚ますと、

ガバッ!

慌てて飛び起き、

そして、自分の体を確かめる。

「あっ…

 男だ…」

水泳部で鍛え上げた胸板と、

くっきりと割れる腹の感触を確かめながらホッとするが、

だが、

ヒヤッ…

股間を覆う下着から冷たい感触を感じると、

「あぁぁぁ…」

純はベッドから飛び出し、

大慌てでパンツを押し下げる。

すると、

ビンッ!

純の股間から痛いくらいに硬く伸びきっている男性自身が飛び出してくるのと同時に、

ネトォ…

その肉の棒から糸を引き滴り落ちている精液で、

パンツの中はもちろん、

股間までもベトベトになってしまっていた。

「ちっ、

 たまんねーな」

そんな自分の股間の惨状を眺めつつ、

純は頭を掻き揚げると、

ティッシュで後始末を始めだした。



「はぁ、またあの夢かよ、

 それにしても今朝のは随分とリアルだったな…

 あの望美って女の子…どうなったのかな…」

学校に向かう通学路で純はため息をつきながら、

今朝方見た夢のことを思い出していた。

そう、ここ数日、

純は望美と言う女の子になって

同性の先輩から性的な恥辱を味わう夢ばかり見るのである。

「はぁ…

 でもなんか気持ちよかったなぁ」

股間をもっこりと膨らませながら、

純は夢の中のことを思い出していると、

「よぉ!、

 朝っぱらからなにスケベなことを考えているんだよ」

の声と共に同じ水泳部の達也は声をかけてきた。

「誰がスケベだ!」

達也に向かって純は怒鳴り返すと、

「そんなにチンポをおっ勃てておいて、

 今日の数学の予習をしています。

 とでも言うのか?」

と達也は皮肉を言う。

「うっ」

その指摘に純は言葉を詰まらせると、

「そんなに良かったのかぁ?

 先輩との熱いひと時は…」

と意味深な目つきで達也は純を見た。

カァァァァ!!

それを聞いた途端、

純の顔は真っ赤になり、

「だっ誰が!」

と怒鳴るが、

「判ってる、判ってるって、

 そりゃぁな。

 先輩からの命令とはいえ、

 あんなピッチピチの競泳パンツ一枚で

 先輩と仲良く水の中にいれば、

 愛の一つも育くまない方がおかしいって、

 で、先輩のお味はどうだった?

 もぅこのケツで食べたんだろう?」

ニヤケながら達也は尋ると、

パンッ!

と純の尻を叩いた。

が、次の瞬間。

「誰がぁ!」

怒りが炸裂したのか、

純の怒鳴り声と共に右ストレートが達也に襲い掛かるが、

「おっとぉ」

元々運動神経のよい達也はあっさりと身をそらして交わしてしまうと、

純の拳はむなしく空を切るだけだった。

そして、

「あぁ、思い出したくねぇ!!!」

純はそう叫びながらその場で頭を抱え込んだ。

実は昨日、水泳部の練習があけた後、

純は先輩である博に呼び止められると、

一枚の競泳パンツと渡されながら、

居残り練習を命じられたのであった。



Sサイズの白アシと呼ばれる競泳パンツと共に

先輩から命じられる居残り練習。

すなわちそれは同世代の女性の姿が無い男子校という特殊な環境下における

男の情欲の処理係を意味し、

純はピチピチの競泳パンツ一枚の姿で博の前に立たされると、

博の猛特訓につき合わされたのであった。

そして特訓の締めくくりとして純は博に奉仕をさせられるのだが、

しかし、博が純の肛門を犯そうとしたとき、

「止めてください!」

純は博を突き飛ばして逃げ出してしまったのであった。

ゾワァァァ…

思い出したくないその時の光景を思い出した純は背筋を寒くさせると、

「博先輩、

 結構前からお前に目をつけていたみたいだからなぁ、

 もし、昨日、

 先輩に失礼なことをしたら、

 お仕置きされるかもな、今日の練習後」

そんな純の脇を突付きながら達也はダメを押す。

「やっやめてくれぇ!」

その声に純は悲鳴を上げると、

ダッ!

まるでその場から逃げ出すように

学校の方向とは反対方向に走り出していった。

「いやだ、

 いやだ、

 いやだ、

 何で僕が先輩に抱かれなければならないんだよ、

 抱くなら女の子と…」

そう念じながらただひたすら走り続けていると、

ドンッ!

「あっすみませんっ」

飛び出してきた女性とぶつかり、

純は咄嗟に女性に向かって謝った。

だが、

「あれ?」

「うそ!」

互いにその顔を見たとき、

純は相手の女性が夢の中のあの女性・望美であることに気付くと、

思わず彼女に指を指しながら声を上げ、

女性もまた純の顔を見て、

同じように驚いていた。



「そっそうですか、

 ぼっ僕があなたの夢の中で…」

「あの、あたしのこと…

 夢で見ているんですね」

”早朝からも営業”

の幟が建つディスカウントストアの中で、

純と望美は互いに自己紹介をすると、

互いが見ていた夢の奇遇さに感心をしていた。

「あの…

 夢であたしのことを見ていると仰っていましたが、

 ということは、

 あたしと先輩のことも?」

顔を赤らめながら望美は尋ねると、

「えぇ…

 ほぼ一部始終を…」

と純は返事をする。

「うっ、嫌だわぁ…」

それを聞いた望美は顔を背けると、

「いや、

 あの、ワザとではなくて…」

そんな望美を見て純は慌てて取り繕うが、

「でも、あたしも見ているんですよね、

 純さんと先輩との関係も…」

と望美は言いながら純を見た。

「うっ

 そうですよね。

 あっあの、

 だからと言って、

 僕は…

 その、男性が好き。だなんてことは

 絶対に無いですから」

望美に向かって純はそう強調すると、

「わっわたしも…

 好き好んで女性同士であのようなことはしていません」

と望美も同じように強調した。

「はぁ…」

「ふぅ…」

互いに主張しあったのち、

同じようにため息をつくと、

「このまま学校にいって、

 部活に出れば先輩が手薬煉を引いて待っているだろうし、

 僕は男の人に抱かれるは嫌だよ」

「あたしだって、

 女の人に抱かれるのは嫌」

「そんな時、

 いっそそのときにはこの身体を交換できたらなぁ…」

と声をあわせて呟いた。

その途端、

『聞かせてもらいましたよぉ〜っ!』

ヌゥ!

その言葉と共に二人の前に和服姿の老人が姿を見せると、

ニタリと笑う。

「うわっ」

「ひぃっ」

突然出てきた老人に二人は驚き、

「だっ誰?」

と怯えながら尋ねると、

『ほっほっほ、

 そんなに驚かないで下さい。

 申し送れましたがわたくしはこの店の店長ですので、

 あぁ、これ名刺』

老人は笑いながら自己紹介をすると、

二人にそれぞれ名刺を手渡した。

「”心と身体のお悩み解決します。

  ディスカウントストア業屋

  店長・業屋庵”」

二人は名刺を読み上げると、

『さぁさぁ、

 こちらにおいでください。

 お二方にぴったりの商品がございます』

と告げるなり店長は純と望美を案内しはじめる。

「どうする?」

「うっうん」

そんな店長の姿に二人は一度顔を見合わせた後、

素直に後を付いていくと、

『お二方とも同じ夢をご覧なられているそうですなぁ、

 しかも、相手が体験したことを夢としてご覧になる。

 一見珍しそうで、実は間々ある話なのですが、

 そういう方の場合、

 感換丹という商品をお使いなることをお勧めします』 

店長はそう言いながら、

ディスカウントストアに併設されているドラッグストアへと出向き、

そこの店員に向かって何かを話しはじめた。

やがて、

『これでございますなぁ』

と言いながら店長は包装がされた小さな箱を2つ持って来る。

「これが?」

店長の手に収まっている箱を見ながら純が尋ねると、

『それでしたら、

 業〜ちゃんに代わって

 この私が説明してあげますわぁ』

店長を押しのけてドラッグストアの女性店員が前に出て来るなり、

二人に向かって説明を始めるが、

その口調、態度、

どれをとっても威圧的で、

時には店長を小突いたりもしながら、

とても客商売とは思えない有様であった。

「はぁ…

 こんな人もいるもんだなぁ」

半ば呆れながら純は説明を聞いていたが、

『コホン!』

店員は咳払いをすると、

『さぁーて、ここからがお楽しみよ』

と煽り始め、

『なぁんて言っても、

 この”感換丹”の凄いところは、

 ピンクの粒を粒飲めば、互いの触覚を取り替えちゃって、

 緑の粒を飲めば、嗅覚、

 黄色い粒を飲めば、味覚、

 青い粒を飲めば、聴覚、

 赤い粒を飲めば、視覚と

 五感を取り替えちゃったりしちゃったりしちゃったりする

 とっても凄い仁丹なの』

とボルテージを上げながら説明をする。

「!」

「!」

その説明に二人は顔を上げると、

「じゃぁ、

 先輩の相手をさせられそうになったとき」

「互いに連絡を取ってこの薬を飲めば」

「僕は女の人と」

「あたしは男の人と…」

明るい表情をしながら言い合い、

そして、

「おばさんっ、

 この薬、幾らですか!」

と声をそろえた。

『お姉さんっ

 だっつーのっ!』

水下のネームプレートをつける店員の怒鳴り声をあげると、

『とは言っても、

 いきなり感換丹を飲んでも感覚交換はできないわよぉ、

 飲んだ後に、

 ”デュアル・スピリチュアル・パワー”

 と掛け声をかけたときに発動をするわ』

と説明をする。

『コホンッ

 あまり聞きたくは無い台詞ですな、

 それは』

それを聞いた店長は一言小言を言うが、

『掛け声は別に何でもいいのよ、

 要は二人の心がシンクロすれば交換する。

 って話よ。

 シンクロが外れれば元に戻るわ』

と店員は使用上の注意事項を告げた。

こうして、

二人は嬉嬉してレジへと向かっていくと、

互いにケータイの番号を交換し別れて行った。



そして、

「よっ、純っ

 昨日、随分なことをしてくれたな、

 判っているだろうな…」

部活が終わり人気が消えたプールサイドで、

居残させられた純に先輩の博が近づいてくるなり、

純のお尻を触りながら話しかけるが、

「はい…判っています」

その言葉に純はそう返事をすると、

チラリと博の股間を見た。

すると、

ムクッ!

白アシが覆う博の股間はモッコリと膨らんでいて、

その先端は大きく反り返っているのが見て取れる。

「(はぁ…

  なんで男相手にチンポ勃起させているんだよ)」

それを見た純は小さくため息をつくと、

「では、着替えのため一旦部室に戻りますので」

と言い残してプールサイドから立ち去り、

そのまま部室に駆け込むと、

急いでSサイズの競パンに履き替える。

そして、周りに誰もいないことを確認した後、

徐にケータイを開いて電話をかけると、

『あたしも先輩に誘われたところなの』

と電話口の望美が話しかけてくる。

「じゃぁ、

 感換丹飲もう…

 何色にする?」

と純が尋ねた。

『5粒全部でお願い、

 あたしもぅ嫌なの』

その質問に望美は少し間を置いてそう訴えると、

「え?全部?

 それでいいの?

 判ったよ」

それを聞いた純はそう返事をし、

あの感換丹を取り出すと、

一気に5種類の粒を飲み込んだ。

そして、店員から言われた掛け声を上げると、

ギュンッ!

いきなり純の視界が動き、

パッ!

気付くと純は別の部室の中に立っていた。

「ここは?」

物珍しげに部室の中をキョロキョロしていると、

「あっ」

自分が赤紫色のレオタードを纏っていることに気がついた。

そして、そのレオタードが覆う身体を見ると、

プクッと膨らんだバスト。

キュッと絞られたウェスト。

ムチッと張り出すヒップ。

そして、無駄な毛が全く無いスルリとした脚。

そう、純は新体操部員である望美になっていたのであった。

「おぉ!、

 凄い…

 本当に交換をしたんだ」

そんな自分の姿を見ながら純は感心をしていると、

チャッ!

部屋のドアが開き、

「いつまで待たせるの」

の言葉と共に望美の先輩である由香が姿を見せた。

「(彼女がレズの先輩か…

  結構美人じゃないか)」

レオタード姿の由香を見ながら”純”は呟くと、

「先輩っ、

 待たせしてすみません」

と返事をしながら”純”は由香の腕を取り、

身体を摺り寄せる。

「あらっ、

 随分と素直なのね、

 なんか拍子抜けしちゃうわ」

何時もにも無く積極的な望美の態度に由香は困惑しながらも、

「今日の特別レッスン。

 判っているでしょうね」

と告げながら、

望美のバストを軽く触る。

その由香の行為に

「えぇ、

 判ってますよ」

”純”もまた由香のヒップに手を添える。

その後、体育館では艶かしい喘ぎ声がいつまでも響いていたのであった。



おわり