風祭文庫・アスリート変身の館






「薬瓶の罠」



原作・風祭玲

Vol.812





夕暮れ時のハンバーガーショップ。

「はぁ」

テーブル席に頬杖をつきながら、

あたしは最後に残ったフライポテトを口に運ぶと、

意味もなくため息をついた。

すると、

「どうかしたんですか?」

という男性の声が響き、

「え?」

慌ててその声が響いた方を見上げると、

「お疲れ様です。

 幸田さん」

と言う声と共に

ハンバーガーを満載したトレーを片手に持った水神君があたしに挨拶をした。

「あぁ…水神君」

彼の顔を見上げながらあたしは身を起こすと、

「ため息なんてついちゃって、

 何か思わしくない事でもあるのですか?」

日に焼けた顔に笑みを浮かばせ水神君はため息の意味を尋ねてくる。

「あっ…

 うぅん、

 そういう意味では」

彼に向かってあたしは取り消すように両手を振り、

ため息の件を否定しようとするけど、

そんなあたしを横目に

「前よろしいですか?

 よいしょっ」

半ば強引に彼はあたしの向かい側の席に着き、

カタン

トレイをテーブルに置いた。

そして、

「幸田さん、

 タカノゾミに嫌がらせを受けているんですって?

 俺たちの間でも噂になっているよ」

とフライポテトを口に運びながらそう尋ねてきた。

「え?…

 いや、そんなこと…」

彼のその指摘にあたしは身を小さくしてしまうと、

「いいんですよ、

 もっと堂々としても」

と水神君は励ますようにあたしそう言ってくれた。



あたしの名前は幸田幸。

このハンバーガショップが入っているビルの中にあるスイミングスクールでインストラクターをしている。

そして、目の前に座った水神正美君は同じスイミングスクールのインストラクターだけど、

そのイケメン風のルックスと気さくな人柄から

彼のファンになっている女性もまた結構いるのである。



「しっかし、

 タカノゾミにも困ったものですね、

 いくら社長令嬢だからといっても、
 
 全てにおいて優れているわけでも無いのに」

フライポテトを食べ終わった水神君は

ガサガサとハンバーガーの包装紙を広げながらそういうと、

「!!っ」

彼のその台詞に驚いたあたしは、

慌ててキョロキョロと周囲を伺い、

「ダメじゃない、

 タカノゾミなんてことを大声で言っては」

と小声で嗜めた。

すると、

「大丈夫ですよ、

 いまここには関係者なんていませんよ」

そんなあたしに水神君は軽く笑って見せると、

「いただきまーす」

というや否や、

売り切れが続いていると言われる、

超巨大ハンバーガーをガブリと噛み付いた。



タカノゾミこと高田望さん。

お嬢様系の女子大に通う傍ら、

あたしと同じスイミングスクールでインストラクターのアルバイトをしているんだけど、

でも彼女の実家はお金持ちで、

このスイミングスクールは彼女の実家が経営する企業グループの1つであった。

まさに彼女は”お嬢様”。

でもそのお嬢様がなんであたしたちと同じ、

スイミングスクールでのインストラクターをしているのかよく判らない。

しかも、中学、高校と水泳部に所属していたらしく、

また、なにか目標があるみたいだけど、

プールを我が物顔に泳ぐのはどうかな…っと、

そんな彼女から距離を置くあたしたちは、

彼女のことを”タカノゾミ”と陰で言うが、

そのタカノゾミはいま別荘で避暑だとか、

彼女自身はそう呼ばれることが気に入らないみたいであるが、

こうも恵まれた人もいると、

思わずそう言いたくもなる。



「はぁ…

 良く食べるわねぇ」

ハンバーガーを貪るように食べる彼の姿を見ながらあたしは感心すると、

「あぁ、

 ごめんなさい。

 幸田さんもどうです?

 運動した後はいくら食べてもお腹が空くでしょう」

そんなあたしを見ながら水神君はトレイに載っているハンバーガーを差し出した。

「あのね、

 お気持ちは嬉しいけど、

 あたしはいまダイエット中なのっ、

 そんなにバカバカ食べたら、

 折角消費してきたのを水の泡にさせる気?」

差し出されたハンバーガーを指差しながらあたしは注意すると、

「あははっ、

 でも、

 食べられるときにちゃんと食べておかないと、

 プールの中でバテますよ」

と彼は軽く笑い飛ばした。

「全く…」

その言葉にあたしは頬添えをつきながらそっぽを向くと、

「あつそうだ、

 先輩っ、

 この薬知ってます?」

あたしに向かって不意に尋ねながら、

水神君は着ているパーカーのポケットに手を突っ込むと、

コトッ

白い錠剤が入っている小瓶を差し出した。

「なにこれ?」

見た目から胃腸薬か何かを連想させる薬が入っている小瓶をあたしは物珍しげに見ていると、

「それ、

 新開発のダイエット食品なんですよ」

と彼は説明をした。

「へぇ?」

この手の話はよく聞くので、

話半分で聞きながらもあたしは大きく頷いて見せると、

「先輩、

 使ってみてはどうです?

 それなりに効果はありますよ」

と水神君は笑みを見せながら小瓶をあたしに渡した。

「えぇ?」

素性を知らない薬瓶をいきなり渡されたことにあたしは困惑すると、

「実は僕も飲んでいたんですよ、

 お陰でこんな身体になりましたけどね」

そう言いながら水神君はポンと胸を叩いて見せる。

「へぇ…

 そうなの?

 それは知らなかったな」

そんな水神君を見ながらあたしは笑って見せると、

「そういえば…

 水神君の経歴ってあたしはあまり良くは知らないなぁ」

と思い出す。

男子でもあり、

あまり言葉を交わさないのもあるけど、

でも、同じバイトのインストラクター仲間、

入社や退職者と言った人の出入りについては記憶に残るはずである。

だけど、彼は…

いつの間にかそこに居たのである。

ふと気が付いたときにあたしたちの仲間になっていたのであった。

「どうしたんです?」

考え顔のあたしに向かって水神君は尋ねると、

「うん、

 そうだ、

 水神君ってお姉さんか妹さんが居る?」

とあたしは何気なく尋ねた。

別に深い意味は無いんだけど、

ただ、ほんの一時期水神という名前の女の人が

このスイミングスクールに居たと記憶していたからである。

「え?

 いえ…」

あたしの質問に彼は怪訝そうな顔で首を横に振ると、

「あはっ、

 ゴメンね、気にしないで」

あたしは笑ってごまかし、

硬くなってしまった場を和ませるように、

「これ、

 ありがたく頂いていくわ」

とあの薬の瓶をバッグに入れた。




「うぅ…

 なんか身体中が痛い」

翌朝、ベッドから起き上がったあたしは、

身体の節々が猛烈に痛いことに気づくと、

「うーん?

 なにか無理な運動をしたっけ?」

とこの痛みの原因となる無理な運動をしたかどうかを思い出し始めた。

しかし、いくら思い出してみても

それに繋がるような無理な運動をした覚えはなく、

ただ、布団の中で特にミシミシと痛む手足の関節を庇っていた。

「いたたたた…

 うーん、

 痛いよぉ」

まるで関節炎を起こしてしまったかのような痛みに耐えていると、

「痛み止め、

 痛み止め」

ついに堪えきれなくなったあたしは起き上がり、

カーテンを開けると、

日の光に照らし出された部屋の中の様子が手に取る様に判るようになった。

そして、その中でベッドから降りてみると、

「あれ?

 なんで?

 パジャマが小さくなっている…」

とややブカブカ気味だったはずのパジャマの袖口が引き上がり手首が露出すると、

「あっ脚もだ…」

脚も同じように足首が顔を覗かせていたのである。

「一晩経ったら、

 パジャマが縮んだ?」

キョトンとしながらあたしは鏡に自分の身体を映し出すと、

ミシッ!

ミシミシ!

再び関節が痛み始めた。

「うぅっ」

痛む関節を押さえながらあたしは痛み止めの塗り薬を探し始めたとき、

ついテーブルに身体が当たると、

コロッ

テーブルの上で昨日水神君から貰った薬瓶が転がっていく。

「あっ、

 いけない…」

転がっていく薬瓶を拾い上げ

あたしはそれをTVの上に置いた。

そして、

「まさかこれを飲んだせいかな?」

と夕べ部屋に帰ってから、

この薬瓶の入っている錠剤を3粒飲んだことを思い出すが、

スグに痛み止め探しを始めだした。



「あれ?

 幸田さん?

 背が伸びた?」

スイミングスクールの更衣室でそう話しかけられたとき、

あたしは丁度競泳水着の肩紐を引き上げようとしていたときだった。

「え?」

その指摘にあたしは振り替えしながら、

「そっそう?」

と返事をすると、

「うん、

 確かに伸びているよ」

インストラクター仲間はそう指摘すると、

あたしの真横に立ち、

見比べる。

確かに彼女の指摘の通り、

あたしの身長は高くなっていて、

肩紐を肩にかけた水着は大きく引き伸ばされてしまっていた。

「なに?

 いきなり成長期?」

そんなあたしを見て彼女は小さく笑うと、

「うっうん、

 そうじゃないかな…

 あぁでも、何かこれってみっともないね」

その指摘に少しショックを受けながらも

あたしはそう返事をすると、

手早くジャージを被り、

「下のスポーツショップで水着買い換えてくるね」

と言い残してあたしは更衣室から飛び出していった。



「はぁ、

 それにしても一体あたしに何がおきているんだろう」

女性用L寸の競泳水着を着たあたしはそう思いながら、

プールから上がると一休みをする。

スイミングスクールまでまだ時間があり、

プールにはインストラクター達が思い思いに泳いでいた。

そんな姿をあたしは見ていると、

ムラッ…

胸の奥で何か言い様も無いモヤモヤしてモノが湧き上がってくるのを感じ始めた。

「なに…

 かしら、この変な気持ち…」

振り払っても振り払ってもへばりついてくるような気持ち悪い感覚を

振り切るようにしてあたしはスタート台に立ち、

そして、飛び込もうとする。

そのとき、

「あっ幸田さん」

突然あたしを呼び止めることが響くと、

「はい」

あたしは飛び込み姿勢をやめ振り返った。

すると、

「あのね、

 今日のスイミングスクールだけど…」

と言いながら、

あたしと共にインストラクターを勤める佐賀美由紀があたしのところに来ると、

打ち合わせを始めた。

だが、

トクン…

トクン…

プールの水のシットリと濡れている

競泳水着姿の美由紀を見ているうちに、

あたしの心臓は次第に高鳴り始め、

知らぬうちに鼻息も荒くなってくる。

そして、

ムリッ!

あたしの股間で敏感なそれが剥けた時。

「?

 どうしたの?

 幸田さん?

 顔が赤いけど」

「え?」

そんなあたしの変化に気づいた美由紀がそう指摘してきた。

「あっいえっ

 なっなんか、

 そう暑くない?」

思いがけない指摘にあたしは誤魔化すと、

「ごめん、

 ちょっとトイレに行ってくるね」

と言い残してあたしはトイレへと駆け込んだ。

そして、便器に座ったあたしは、

「ハァハァハァ

 ハァハァハァ」

荒い息をしながら水着の上より、

プクッ!

っと膨らんでいる股間の突起を摘んで見ると、

ビクンッ!

「あんっ」

声を上げて身体を跳ねらせるが、

スグにその突起を弄り始めると、

「あっあぁぁん、

 んぁぁぁぁ」

トイレの中でもだえ始める。

そして、

ビクビクビク!!

「あっあぁぁぁぁぁぁ・・・」

絶頂に達してしまうと、

ビシャッ!

サラサラとした透明な体液を吹き上げて、

あたしはイッてしまったのであった。



「一体、どうしたんだろうあたし…

 いくらなんでもプールのトイレであんなことをするだなんて、

 もし、誰かに見られたら…」

インストラクターのアルバイトを終え、

自室に戻ったあたしは夕食を食べながら、

あのトイレでのことを思い出していた。

「佐賀さんの姿を見ているうちに変な気持ちになってしまって、

 それがどうにも止まらなくなって…

 あんなことをしちゃって…

 誰かにも見られてないよね」

不安になりながらあたしは自分の痴態を他の人に見られていないかどうか思っていると、

ミシッ!

落ち着いていた関節が痛み始めた。

「痛い…」

手足は元より、

全身の関越という関節が痛み始めてくると、

「そうだ、

 今度お医者に行こう…」

と思いつつ、

あたしは食卓を片付け、

お風呂の用意をする。

しかし、

その夜、

ミシッ

メリッ

ミシミシっ

「痛たたた…

 うー痛いよぉ…」

布団の中であたしは関節の痛みに耐えるが、

だが、痛みはさらにキツクなってくると、

あたしは痛み止めの塗り薬を体中の関節に塗り捲った。

だが、

痛みは中々治まることなく、

「うーっ」

「うーっ」

布団の中であたしはうなり声を上げていると、

無意識に手を股間へと潜り込ませ、

ムリッ!

股間の淫裂から飛び出している肉の突起を弄り始める。

「あふっ

 あふんっ

 あぁ、

 なにこれ、

 だめっ

 指が止まらない…

 気持ちいい、

 気持ちいいよ」

弄るごとに伸びてくる敏感な突起をあたしは引っ張ったり、

摘んだりしながら身体の痛みを紛らわせる。

そして、

「あっ

 あっ

 あっ!

 あひっ!!」

ついにイッてしまうと、

ビシャッ!

布団の中で体液を放ってしまったのであった。



翌朝。

「うーっ、

 ゲホゲホゲホ…

 なんか喉がおかしい…」

目を覚ましたあたしは喉を摩りながら起き上がった。

コリッ

コリコリ

摩るごとにあたしの喉のところになにか盛り上がる塊があり、

それを弄っていると、

ザラッ…

喉の周りに小さな毛が生えていることに気づいた。

「なにこれ?」

小さな毛は喉の周りは元より、

顎、

揉み上げ、

口の周りと生えていて、

手を動かすごとに、

ザラザラ

っとした感触が手に走った。

一方で、あれほど痛んだ関節の痛みは大分小さくなっていて、

この分ならたいした問題は無いように思えた。

「うんっ」

口の周りの毛についてはあまり考えることなく、

あたしはベッドから降りるが、

「え?」

昨日小さくなっていたパジャマはさらに小さくなり、

毛が覆う肘や脛が露出していたのであった。

「なっなにこれぇ!」

かれた声を上げながらあたしは自分の腕や脚を見ると、

グゥ…

急にお腹が空き始め、

あたしは自分の体のことなど横において、

急いで食事の支度を始めだした。

だが

「うーん、

 なんだろう

 食べたのにおなかが空いてくる…」

箸を咥えながらそう呟くと、

スグにあり合わせのもの作って食べ始めるが、

しかし、いくら食べても食べてもあたしのお腹は瞬く間に消化してしまい、

「あぅぅぅ…

 なんで、こんなに食欲が止まらないのぉ?」

とあたしは涙を流しながら食べ続けていた。

そして、買い置きしていた食料品をほぼ食い尽くしてしまった時には昼を回っていて、

あたしは空きっ腹を抱えながら近所のスーパーに行くと、

手当たり次第に買い捲った。

そして、部屋に戻ると再び食べ始める。

「なにかが、

 あたしの何かがおかしい…」

食べながらそう思うが、

しかし、食欲は中々止まらず、

ようやくブレーキが掛かったときには、

夕暮れに近くになっていた。

「あぁ、困ったなぁ…」

スイミングスクールには体調不良を理由に休みの届けを出していたが、

でも、明日も今日と同じことが起きたら…と思うと、

あたしは気が気ではなかった。

すると、

ミシッ!

止まっていたはずの痛みが再び体を襲い、

さらに今回は関節だけではなく、

体中の筋肉までも痛み始めたのである。

「いたたたたた!!!!

 痛いよぉ!

 誰か、

 誰か助けて…」

のた打ち回りながら、

あたしは夢中になって助けを呼ぶが、

しかし、その声を聴きつけて駆けつけてくれる人の姿はなく、

ミシッ!

ギシッ!

ミシミシッ!

あたしはひたすら襲ってくる痛みに耐え続けていたのであった。

夜は更け、

朝日が昇ってもあたしは苦しみ続ける。

そして、その朝日が西に傾いた頃、

「うぅ…」

ようやく痛みは引き、

あたしはなんとか起き上がることが出来た。

飲まず食わず、

まさに一日の間、

あたしは激痛に耐えていたことになる。

「はぁはぁ…

 そっそうだ、

 スイミングスクールに行かなきゃ…」

野太い声を上げながら、

あたしは服を着ようとするが、

だが、これまで着られた服はなぜか小さくなっていて、

無理に着ようとすると、

ベリッ!

縫い目が裂けてしまった。

「あぁ、

 どうしよう…」

上半身裸になったあたしは、

薄暗い部屋の中で着られる服を探すと、

昔、ビンゴ大会で貰った男性向けのジャージを引っ張り出し、

それを着てみた。

すると、

「うん、

 これなら着られる…」

全くブカブカで着ることが出来なかったジャージは、

いまのあたしにはジャストフィットしていて、

あたしはそれを着ると水着が入ったバックを手に表へと出て行った。

しかし、いつもよりも頭一つ以上高い視野、

「うわっ、

 なにあれ?」

「きもーぃ」

歩いていくあたしを指差して眉をひそめる女の子達、

まるで、違う人の身体に乗り移ったかのような錯覚に陥りながら、

あたしは職場へと向かっていく、

そして、更衣室に入ろうとしたとき、

ふと男子更衣室が気になると、

意味もなく男子更衣室の中へと入っていった。

部屋に立ち込める男の体臭に、

「うっ」

あたしは思わず鼻を塞ぐが、

次第にその臭いに慣れてくると、

ムクムクムク…

あたしの股間が盛り上がり始めた。

そういえばさっきからあたしのお股では

何かがぶら下がっているようなそんな感覚がしていたのである。



股間を膨らませながらあたしは片っ端からロッカーを開けていくと、

「!!っ」

一つのロッカーの中に置きっ放しになっていた小さな布を見つけ、

思わずそれを手に取った。

「ハァハァ

 これって…

 男の人の?」

あたしが手に取ったのは男性用の競泳パンツであり、

さらにこのスイミングスクールが運営しているライフセーバーのマークがついていた。

「ら、ライフセーバー?

 ハァハァ

 ハァハァ」

海水浴場などで見かける屈強の男達を連想しながら、

あたしは鼻息荒く競泳水着を咥えると、

ジャージのズボンの中に手を押し込み、

シュッシュッ

シュッシュッ

っとあたしの股間で硬く伸びている肉の棒を扱き始めた。

シュッシュッ

シュッシュッ

「ハァハァハァ

 ハァハァハァ

 一体、あたしはなに?

 何でこんなことをしているの?

 口に咥えたライフセーバーの競泳パンツに臭いをかぎながら、

 吹き上がってくる男みたいな汗の臭いを撒き散らして、

 股間から伸びる肉の棒を扱くあたし、
 
 いつの間にか胸のオッパイが消えているあたし、

 腕や脛に毛を生やしているあたし、

 口から顎にかけて毛を生やしているあたし、

 こんなあたしは一体何?」

そう自問自答しながらあたしは扱いていると、

ジワッ

ジワジワ

股間に何かが溜まり、

肉棒が痺れてきた。

「あぁ出る

 出る出る出る」

身体をピクピクと震わせながら、

あたしはズボンを下ろすと、

ブルン!

あたしの股間から生臭い臭いを放ちながら、

丸い肉球の頂を持った棒がそそり立ち、

ドロッ…

っと液体を流し始めた。

そして、

「あぁぁ、

 ハァハァハァ

 でっ出るぅ」

うわ言のようにあたしはそう叫びながら扱き続けていると、

ビクンッ!

一瞬身体を硬直させた後、

ビュッ

シュンシュンシュン!!

男子更衣室の中で放物線を描いてしまった。



「ハァハァ

 ハァハァ

 あっあたし、

 なんてことを…」

ドロッ!

っと股間から粘液を垂らしながらあたしは呆然としていると、

パサッ

あたしの口から競泳パンツが落ちていく。

そして、それを見ているうちに、

あたしは立ち上がり、

競泳パンツに脚を通し始めた。

スススス…

すね毛が覆う脚を競泳パンツは上へ上へと引き上げられ、

勢いを無くしてダランと下がる肉棒を包み込むと、

キュッ!

っと股間にフィットする。

「あぁ…」

ライフセーバーの競泳パンツを穿いてしまったあたしは思わず声を漏らすと、

上着を脱ぎ、

自分の裸体を晒す。

そこには女としての面影はどこにもなく、

広い肩幅。

厚い胸板。

逞しく膨らむ筋肉、

6つ割れた腹筋と、

見事に凹んでいるお尻、

そうあたしの身体は男性スイマーになっていたのであった。

「あぁぁ…」

モッコリと膨らむ競泳パンツを見下ろしながら、

あたしは一歩、二歩と歩き始めると、

シャワー室へと向かい、

そこに誰かが置いた安全剃刀を手に取った。

このスイミングスクールでトレーニングをしている

男子スイマーの中にタイムを上げるため坊主頭の人が居ることを思い出すと、

あたしはその剃刀を自分の頭に当てる。

もぅ止まらない。

この長く伸びている邪魔な髪の毛を剃り落して、

あたしは…スイマーにライフセーバーになる。

もはやそれだけしか考えることが出来なかった。



髪を剃り落したあたしは、

青い剃りを見せる頭を見ながら、

「はぁはぁはぁ」

大きく膨らんだ股間を扱き始める。

ムキムキの男の身体、

剃り揚げた坊主頭、

そして、股間を覆う競泳パンツ…

以前のあたしとは全く違うその姿にあたしは興奮していたのである。

誰に仕組まれたのかわからないけど、

あたしは男になってしまったのである。

あとはここで自分の姿をおかずに思いっきり精液を飛ばすだけ。



「ふふっ、

 また一人、ライフセーバーが増えたか、

 とにかくもっと人数は集めないとな、

 さぁ、次は差し詰め”望”お嬢様がターゲットだな」



おわり