風祭文庫・アスリート変身の館






「白アシの香織」
(第26話:雪菜)



原作・風祭玲

Vol.996





「ただいまぁ」

夏の夕暮れ

昼間の熱気を残す住宅の玄関先に青葉俊輔の声が響くのと同時に、

カラリ…

東と書かれた表札が下がる引き戸の玄関が乾いた音を立てて開けられる。

「………あれ?

 居ないのかな…」

屋内に人の気配が無いことを察した俊輔は一瞬意外そうな表情を見せるが、

直ぐに何かに気付いた表情を浮かべると、

「ははーん」

と何か心当たりがあるような言葉を呟きながら靴を脱ぎ、

いそいそと中へと入っていく。



俊輔はかつて男子スイマーとして水泳部の中では一目置かれていたが、

だが、新水泳部を率いる水上香織の魔手に掛かかってしまい、

男子特有の汗の臭いを放つ制服の下には

淡いピンク色に染まる乳首を頂きに持つ二つの膨らみが隆起し、

括れたウェスト。

ムッチリと張り出すヒップ。

そして、それらを包み込む女子の競泳水着・白アシの股間には

縦に刻まれた溝がその存在を誇示していたのであった。

俊輔は女性化してしまったこの肉体のことは

新水泳部に所属する部員達以外には秘密にしているのだが、

しかし、両親には隠し通す事は出来なかったため、

彼、いや彼女は追い出されるようにして実家から出ると、

娘として俊輔を養子縁組をしてくれた叔父の自宅で生活をしているのであった。



「ちょっと出かけてくるので、

 後はよろしく…か」

キッチンのテーブルの上においてある書置きを眺めつつ

世界を股に掛ける冒険家を名乗る俊輔の義父からの言葉に俊輔は小さく笑うと、

「ちょっと…ねぇ

 まったく…

 年頃の女の子をひとり残して出かけるだなんて、

 なにを考えているんだか」

と呆れるように呟きながらYシャツのボタンを外していく、

そして俊輔がYシャツを脱ぎ捨てた途端、

中に隠されていた白アシが見事な曲線美を描きながら露にされたのであった。

「はぁ…」

胸の膨らみを上下に動かしながら俊輔は大きく背伸びをして見せた後、

濃紺のズボンに手を掛け脱ぎすてると、

日に焼けた褐色の肌と対照的な白アシの全貌が姿を見せる。

白アシ姿になった俊輔は人の目が無いことを良いことに、

そのままの姿で家の中を動き回り家事をテキパキとこなしていく、

そして全てが一段落すると、

俊輔は自室として使っている部屋へに戻り、

カチッ!

机に置かれているパソコンのスイッチを入れたのであった。



カチッ

カチカチ!

いつもチェックしているサイトやブログなどを巡った後、

メールを開けた途端、

そこには何通ものメールが溜まっていた。

「あはっ、

 博からね…もぅ」

メールの差出人の名前がすべて同じことを見ながら、

俊輔は口に手を当てて笑ってみせ、

直ぐに未読メールでもっとも古い時間のメールを開けてみせる。

その途端、画面には送信主からの強烈なラブコールで満ち溢れだすが、

その一言一言には目をくれずに、

「はぃはぃ」

と呟きながら俊輔は次々をメールを開けていく、

しかしメールを流し読みしていくうちに、

そこに書かれているラブコールが俊輔の頭の中に溜まり始め、

徐々に俊輔の頬が赤らんでくると、

パッ!

画面に競泳パンツ姿の選手が一人映し出される。

山田博。

隣町にある高校の男子水泳部員で、

俊輔がこの身体になってしまう前はライバルの一人でもあった。

だが、今ではライバルではなく、

俊輔にとって博は彼氏になっていたのである。

クチュッ…

競パン姿の博を見た途端、

俊輔の股間は一気に湿り気を帯び始めシミを作っていく

するとずっと留守になっていた左手がその股間へと割り込み、

クチュッ

白アシに淫らなシミを広げている縦溝を弄り始める。

そして、

「…んっ

 んくっ

 はぁん

 あはんっ」

俊輔の口から喘ぐ声が漏れはじめたのはそれからスグのことであり、

「はぁん、

 はぁん、

 博ぃ

 博ぃ」

クチュクチュ

クチュクチュ

博の名前を幾度も口走りながら俊輔は縦溝を刺激する指を激しく動き始めた。

「はぁぁん、

 はぁぁん、

 あぁぁん、

 はぁぁん」

ツンと固くなった乳首で胸を覆う白アシを持ち上げて俊輔は喘ぎながら、

左手で一気に股間を覆って見せると、

中指を白アシの下にある穴へと導いていく、

その途端、

ビクッ!

「うっ

 はぁぁん!」

その途端、俊輔の体が一瞬耐える姿を見せるが、

口から音量を上げた声が漏れると、

「あぁ…

 突いてぇ

 あたしを思いっきり突いてぇぇ」

と自分を抱きかかえ突き上げてくる幻の博に向かって懇願するのであった。

「はぁぁん

 はぁぁん」

チュクチュク

チュクチュク

俊輔は指を動かしながら腰をくねらせ、

ビクビクビク!!!

「はぁぁぁぁぁん…」

ついに絶頂を迎えてしまうと、

ビシャッ!

指を入れていた穴より盛大に潮を吹いてしまい、

座っていた椅子を濡らしながらガックリとうな垂れてみせる。



「はぁはぁ

 はぁはぁ

 またしちゃった…

 女の子のひとりエッチ…」

股間よりあふれた雫が床に水溜りを作っていくのを感じながら、

「……また…女の子になっちゃったのかな?」

俊輔はそう呟きながら汗と愛液まみれになってしまった白アシと、

それに包み込まれた女性化した肉体を見下ろし、

「もぅ…博がエッチなメールをよこすから、

 あたし、また一歩女の子になっちゃったじゃない」

と小言を言って見せる。

いまの俊輔にはかつての性の痕跡はどこにも無く、

白アシをに包まれた身体はどこを見ても女性…

しかも小麦色に日焼けし、

プロポーション抜群の女子水泳選手になっていたのであった。



小言を言いつつ俊輔は最後に送られてきたメールを開けたとき、

「え?」

そこに書かれていた文面に思わず釘付けになった。

それは…

今度の日曜日にプールへ行かないか。と言う博からの誘いである。

「へぇ…

 プールかぁ…」

文面を読みながら俊輔は試合や練習ではない、

遊びとしてのプールの誘いに感心して見せ、

「よしっ、

 行こう」

と即決すると俊輔は博に初デートを快諾する返事を出した。



「おーぃ、

 雪菜ぁ!」

休日の朝、

市営プールの入り口前に立つ俊輔に向かって、

一人の男性が声をかけながら息を切らせて駆け寄ってくると、

「遅いっ

 5分遅刻よ」

と俊輔は右手首の時計を見ながら怒ってみせる。

「いやいや、

 バスが遅れてさ」

そんな俊輔に向かって謝ろうとした瞬間。

「そ・れ・と、

 いつからあたしを名前で呼んで良いって許可をした?

 山田博君」

と俊輔は男性、いや博に向かって小言を言う。



俊輔は博には自分の名前を雪菜と名乗っている。

その名前は俊輔が小学校のときに憧れていた少女の名前であり、

自らそう名乗ることで、

女性化してしまった自分と憧れの少女とを重ね合わせているのであった。



「え?

 いいじゃないかよぉ、

 ひと月も付き合っているんだからお互いに名前で呼ぼうぜ、

 俺のことを”博”って呼んで良いからさ」

博は水泳の為に鍛え上げた肉体を誇らしげに隆起させながら俊輔に言う。

「まだ早いわよ、

 さっ行きましょう」

周囲に居る女性たちが博を注目し始めたことに俊輔は気付くと、

そう言いながら博の手を引き入り口から更衣室へと向かって行く、

そして着替えをしている大勢の女性の中で俊輔はバックから一着の水着を取り出すと、

「へへ…

 今日の為にこれを買っちゃった」

と言いながら笑みを見せたのである。



「雪菜ぁ!」

着替え終わり更衣室から出てきた俊輔に向かって博が声をかけると、

「あっ」

俊輔はその声が響いた方に振り返るが

その途端、

逞しく発達した胸筋と見事に割れた腹筋が目の前に立ち、

さらにその下で身体に張り付くオレンジ色の競泳パンツが

強烈な印象を与えたのであった。

「うわっ」

十分すぎるほど見事な肉棒を包み込み盛り上がる競泳パンツを間近に見て

俊輔は思わず頬を赤らめてしまうと、

「何赤くなっているんだよ」

博は悪戯っぽくささやき、

ギュッ!

と俊輔を抱きしめてみせる。

「わっ、

 やっ

 いやっ!」

いきなり抱きしめられたことに俊輔は抵抗をするが、

だが、かつて隣のスタート台に立ち闘志を燃やしていた相手との

身長や体格・体力差を認識させられる。

「やだ…

 ドキドキが止まらない…」

博から離れてもなおも動悸が止まらないことに俊輔は困惑していると、

「ごっごめんよ」

と博はばつが悪そうに謝るが、

「もぅ、

 知らない!」

そんなに博に向かって俊輔は口を尖らせ、

一人でプールへと向かって行く。

市営プールは波が出るプールや流水プールなど充実した施設が揃っていて、

それらで遊んでいるうちに次第と俊輔の気持ちは落ち着き、

手を握り締めながらプールサイドを歩くようになっていく、

とそのとき、

「なぁ雪菜、その水着…」

ふと博が声をあげて俊輔が着るブルーの競泳水着を指差すと、

「やっと気付いたか」

と俊輔は水着を指摘されたことを嬉しく感じながら返事をする。

「あっあぁ…

 いや、あまり見ないからな…」

その返事に博はそう呟くと、

「ふふっ、

 今日の為に探したんだぞぉ」

と俊輔は言いながら博の競泳パンツを改めてみたとき、

ドクンッ!

「!!!」

俊輔の胸が大きく高鳴り、

そして、

『まぁ、なんて逞しい…』

と言う声が俊輔の口から漏れたのであった。



「!!!」

「え?

 いま何か言った?」

思いがけない言葉が自分の口から出たことに俊輔が驚くのと同時に、

その言葉が聞き取れなかった博は聞き返す。

「なっ何でもないよ」

小首を傾げる博に向かって俊輔は取り繕うとするが、

『我が名は雪菜、新水泳部がキャプテン・香織様の僕…

 さぁ、香織様のためにこの者を新水泳部の部員にしなければならない。

 きっと香織様も喜ばれるに違いない。

 この人を女の子にしてしまえば新水泳部ももっと強くなれる。

 この人を女の子にしなくちゃ…

 ううん、絶対にこの子を女の子にしなくちゃだめ』

という言葉が俊輔の体の中を駆け巡り、

『俊輔っ、何をしているのっ、

 早く博を女の子にしてさせあげなさい』

と俊輔の脳裏に直接命令したのであった。

「やめてぇ!」

その途端、俊輔はそう叫びながらその場にしゃがみこんでしまうと、

「!!っ、

 どうした?」

突然の変化に驚いた博が心配そうに声をかける。

すると、

『うっ、

 ううん、

 なっなんでもない、

 あたし疲れた…の

 プールから上がりましょう』

俊輔はどこか焦点の合わない目で博を見ながら笑みを見せると、

ヨロヨロと立ち上がり女子更衣室へと向かっていくが、

「え?

 あっあぁ…」

さっきとは様子の違う俊輔の姿に戸惑いながらも博もまたプールから上がっていく。



「本当に大丈夫か?」

プールの出口で博は心配そうに尋ねると、

『あたしは大丈夫よ、

 そうだ、これ余っちゃったからあげるね』

と相変わらずどこか焦点の合ってない目で俊輔は返事をし、

そして、自分のバックの中に入っていたスポーツ飲料のペットボトルを差し出してみせる。

「え?

 あぁ、でもこれが必要なのは雪菜じゃないか?

 目がちょっとおかしいぞ」

ペットボトルを受け取りながらも博は俊輔の心配をして見せると、

『あたしは大丈夫…

 じゃぁ』

と言い残して立ち去っていったのであった。



翌朝、

「うん?

 あれ?

 あたし…なにをして…」

ベッドから飛び起きた俊輔は自分が自室に居ることと、

ベッドに居ることが理解できず、

頭を抱えながら記憶を整理し始める。

だが、

「確か博とプールに行って…

 あれ?

 あれあれ?

 そこから先が全く思い出せない…」

昨日の午後からの記憶がブッツリと途絶えていることに気付くと、

「なんで?

 思い出せないの?」

腕を組みながら小首を傾げてみせる。

その直後、

「やだぁ!

 プールの水着着たままじゃない!!

 もぅなにやっているのよ」

と俊輔はプールで着ていたブルーの競泳水着を着たままだったことに気付くと、

「もぅ…」

文句を言いながらベッドから飛び起き、

急いでバスに向かうと水着を脱ぎシャワーを浴びる。

そして、バスタオルで胸から下を覆いながら部屋に戻ったとき、

起動していたパソコンにメールが到着しているのが目に入った。

「あれ?

 香織様から?」

それに気付いた俊輔がメールを開くと、

【雪菜、俺の身体がおかしいよ】

の一文があるだけだった。

「?

 なにこれ?」

唐突なその一文に俊輔は考え込むが、

「あぁ、もぅこんな時間!」

時計を見るなり俊輔は悲鳴を上げると、

手早く放課後に会う約束と場所を打ち込み送信をする。



新水泳部の部活を終えた俊輔が新水泳部のジャージ姿で待ち合わせの場所に行くと、

博も向こうの学校の水泳部のジャージ姿で立っていたが、

だが、いつもの覇気が感じられない様子だった。

「?

 お待たせぇ

 どうしたの?

 元気が無いみたいだけど」

思いもよらない博のその姿に俊輔は驚きながら声をかけると、

「雪菜ぁ、

 おっ俺、

 大変なことになっちゃった」

と博はかすれた声を上げ、

今にも泣き出しそうな表情で訴える。

「ちょちょっと博ぃ、

 どうしたのその声、

 それに…」

声もそうだが

どこか女性のものを感じさせる体つきになっている博の姿に俊輔は驚くと、

「とっとにかくうちに来てくれ」

と言うなり博は俊輔の手を引き、

自宅へと連れ込んでみせる。

「ごっごめんっ、

 急にこんなことをされて驚いただろう」

博の自宅には家族が不在らしく、

部屋の中に博と俊輔の二人っきりとなっていた。

「あの…」

そんな状況に怯えることなく俊輔はずっと立ったままの博に声をかけると、

「せっ雪菜ぁ、

 おっ俺の身体こんなことになっちゃったんだよぉ」

と博は泣き声のような声を上げ、

着ていたジャージを過ぎ捨てて見せた。

するとジャージの下にはあのオレンジ色の競泳パンツを穿いていたが、

だがバストは大きく膨れ、

ウェストも括れ、

股間の競泳パンツには男子の膨らみが消え

代わりに女子の縦溝が刻まれていたのであった。

「どっどうしよう

 俺、どうしたら良いんだ」

俊輔に向かって博はそう訴えると、

最初はびっくりしていた俊輔だが、

だが、

『彼を女の子にしたのはあなたよ』

と言う声が脳裏に響くなり、

俊輔の記憶から消えていた部分が鮮やかに蘇ってくる。

そして、

「そんな。

 あっあたしが…

 そうだ…

 あたしが彼を…

 博を香織様に捧げるために薬を仕込んだドリンクを渡したの…」

と呟くが、

「これからあたしがしなければならないことは…

 そう、博に競泳水着のすばらしさを教えること」

そう結論付けてしまうと、

「大丈夫よ、

 女の子になったのなら、

 そんなパンツじゃなくて水着を着ましょう」

と囁きながら腰を上げ、

そっと後ろから博を抱きしめると、

縦溝が刻まれた股間に手を這わせ

「心配しないで、

 博は博子になるの。

 そして、あたし達の新水泳部に来ると良いわ。

 大丈夫、博子は立派な女子スイマーになれるって」

と耳元で囁き、

クチュッ!

シミを広げる競泳パンツの溝に指を押し込んでみせる。

すると、

「あはっ

 あぁぁっ」

その刺激に感じてしまったのか、

身体をピクピク小刻みに動かしながら博は喘いでしまうと、

「さぁ、全てをあたしに任せて、

 女の子になろう」

そう告げながら男の汗のにおいが篭る博のベッドに押し倒し、

二人は優しく、

そして激しく愛し合ったのであった。



その数日後、

新水泳部の部活に博子の姿があり、

「他校からの転入生が新水泳部に入ったけど、

 誰?

 彼に手を下したのは?」

「さぁ?」

白アシに身を包んで水しぶきを上げる博子を不審そうに眺める香織の横で、

俊輔はしらばっくれてみせるが、

「どうしよう…

 …あたしの中にもう一人のあたしが居るみたい」

と自分の心の奥底で息を潜ませているもぅ一人の自分の存在に困惑していたのであった。



おわり