風祭文庫・アスリート変身の館






「白アシの香織」
(第16話:直継の悩み)



原作・風祭玲

Vol.925





「さぁーて、どうしようかな」

部員達がすべて帰宅した部室。

人気が途絶えた部室の中で新水泳部キャプテン・水上香織はそう呟くと、

男子用競泳パンツ一枚・トップレス姿であるにも構わず、

頭の後ろに手を組み大きく身体をそらして椅子に身体を預けて見せる。

ギシッ

ギシッギシッ

香織の体重を受けて椅子が軋み、

乾いた音が人気の無い部室に広がっていく中、

「うーん」

香織は一人考え込み、

「初心者も大分増えたし

 やっぱり、経験者がもぅちょっと欲しいわねぇ」

と呟く。

そして、

トントントン

「いま一番生きの良い男子水泳部の倉橋君をこっちに引きこみたいけど、

 これ以上露骨に動くわけには行かないし、

 いっそ、向こうから押しかけてくれればねぇ…」

そんな独り言を呟きながら香織は指で目の前のテーブルを叩いてみせる。

そう、香織が率いる新水泳部は現在指導する者が不足していたのであった。

無論、水泳経験者なら俊輔や瑞穂といった面々がいるのだが、

しかし、他の部活より多くの部員をスカウトして急激に部員を増やしまったために、

新水泳部は著しくレベルが下がってしまっていたのであった。

「うーん、

 困ったなぁ」

無論、新水泳部の性格上、

記録や成績にさほどこだわる必要は無いのだが、

しかし、香織がひそかに抱いている野望を実現するためには、

これ以上のレベルの低下は避けたかったのである。

そして、そんな香織の悩みなど関係なく翌日が来てしまうと、

香織達が練習に使ったプールに初夏の日差しが光り輝き、

ピッ!

競泳パンツ姿の男子部員達が行きかうプールサイドにホィッスルの音が響き渡る。

すると、

タンッ!

紺色に白のストライプが入った競泳パンツを輝かせながら、

男子水泳部員達が横一直線となって水面の中へと飛び込むと、

一斉にプールサイドから声援が響き始めた。

ザバッ

ザバッ

ザバッ

その声援に呼応するかのように倉橋直継はプールの中を駆け抜けるように泳ぎ、

タンッ!

一着でゴールインしてみせる。



「ちっ負けたよ…」

「さすがは倉橋だな」

「余裕だな」

勝負が終わり水から上がった直継に向かって先ほどまで競っていた部員達が話しかけるが、

「そっそうか…」

直継はどこかよそよそしく返事をする。

すると、

「そういえば、倉橋、

 最近お前の身体、丸くなったか?」

と直継を見ていた野島光男が口を挟んできた。

「え?」

光男のその声に直継の表情が硬くなると、

「あぁ、そういえばそうだなぁ、

 なんかぷっくりとしちゃって、

 太ったか?」

光男の指摘に話しかけていた他の部員達も口を揃える。

「そっそんなんじゃ…

 ないよ…」

周囲からじろじろと見られながらも直継は言い返すが、

と、その時、

「おっぱいもこんなに膨らましちゃって、

 お前、女だったのかぁ?」

そう言いながら佃健也が直継の後ろから抱きつくと、

下から上に向かって直継の胸の膨らみを左右から持ち上げて見せた。

「うわぁぁぁ

 やめろ!」

胸の膨らみを強調させられ、

さらにその先端で紅色に染まる乳首を健也に弄ばれ始めると、

それを拒むように直継は悲鳴を上げるが、

だが、

「…あんっ」

ビク

ビクビク

健也の行為に感じてしまったか直継の身体は細かく痙攣し始め、

ジワッ

競泳パンツからはプールの水の他に淫らな体液が漏れ始めだしてくる。

「あんっ

 あふんっ」

顔を高潮させながら乳首を弄ばれることに直継は感じていると、

パッ!

いきなり手が離され、

「こんなので感じるなよっ、

 気味悪いなぁ」

と呆れたような健也の声が響く。

「やっ、やめな…」

そんな健也に向かって直継は懇願しかけたが

すぐに両手で自分の口を覆ってしまうと、

ダッ!

まるで逃げ出すようにプールサイドから飛び出してしまうと、

全力で部の更衣室へと駆け込んでしまったのであった。



カタンッ!

部室と壁一枚隔てた更衣室にロッカーを開ける音が響くと、

「はぁはぁ

 はぁはぁ」

ロッカーに寄りかかるようにして直継が粗い息を繰り返していた。

「はぁはぁ

 はぁはぁ」

プールサイドから全力で駆けて来たのか直継の息の乱れは続き、

そして、それがようやく収まり、

ガックリとその場に座り込んでしまうと、

プルンッ!

座り込んだ直継の胸の左右から少女を思わせる膨らみが飛び出し、

その先では充血をする乳首が紅色に染まっていた。

「どうしよう…

 みんなにも判るようになってきた」

左右の膨らみを両手で包みようにして手を当てながら直継は呟くと、

キュッ

キュッ

っと乳首を抓り始める。

「っ!!!

 あんっ、

 あはんっ」

人気の無い更衣室に直継の艶かしい喘ぎ声が響き、

「ぁはぁは」

両乳首を抓りながら直継を仰向けに寝転ぶと、

さらに強く乳首を引っ張り始める。



「あふんっ

 あふんっ」

自分の乳首を弄りながら喘ぎ声をあげていた直継だが、

突然乳首を弄るのをやめてしまうと、

キョロキョロ

と自分以外の人の気配が無いこと再確認しはじめる。

そして、誰も居ないことを確認すると、

穿いていた競泳パンツを脱いで立ち上がると、

ガチャっ

自分のロッカーより女性用競泳水着を取り出した。

そして取り出した水着に脚を通し、

肩紐を肩に通すと、

ピチッ!

男性スイマーの身体に女性用競泳水着がピッタリと張り付いてみせる。

綺麗な逆三角形のシルエットを見せる直継の身体だが、

しかし、その胸にはAカップほどの小さな乳房が膨らみ、

さらに乳首の先では二段ロケットのような乳首が膨らんでいたのであった。

「こんなことばかりしているから罰が当たっちゃったのかな」

小さく膨らむ自分の胸を触りながら直継は呟くと、

「ここもこんなになっちゃったし…」

競泳水着が覆う股間に指を入れ、

硬く勃起しているイチモツの後ろで

ピンク色の肉花を開くもぅ一つの口を弄り始めた。

クチュッ

ビクッ!

「んんっ!」

クチュッ

「あふんっ!」

胸の膨らみと股間に開く縦の口…

女の子にだけ認められたそれらが直継の身体に出てきたのはひと月前のことだった。

これまで何事も無かった直継の胸が痛み始め、

そして、膨らみを持ち始めてくると、

同じようにして股間に”口”が開いたのである。

突然始まった体の女性化。

水泳のためだけに身体を鍛え、

そしてライバルだった青葉俊輔が理由を言わずに部活をやめて以降は、

直継は文字通り男子水泳部のエースとなっていた。

その直継の身体に異変が起きたのである。



日に日に筋肉が失われ、

代わりに脂肪が付き身体が丸みを帯びてくる。

その現実と戦うようにして直継は身体を鍛え、

必死になって体型を維持しようとするが、

しかし、膨らんでくる胸の膨らみに逆らうことは出来なかった。

さらに股間の口からも上気するたびに粘液を漏らしはじめ、

直継の心の奥に男の体液を求める欲望がこみ上げてくるようになると、

「あはぁん…

 んんっ

 欲しいの…

 男の人のオチンチンが欲しい…」

直継の頭の中には男性のイチモツのことでいっぱいになっていく。

女性用の競泳水着を身につけ、

膨らんだ胸を揉み、

股間を淫らな体液で濡らす直継の様はまさに”女”そのものであった。

「あはぁん」

「はぁぁん」

男の体臭が篭る更衣室に女を思わせる声が響き、

直継は徐々に高まりへと上っていく。

そして、

「いっイク…」

その高まりに上り詰めようとしたとき、

ガヤガヤ

外から部員達の声が響き渡ってきた。

「!!!っ」

迫る声に直継は我に返ると、

「あっあっ」

慌てふためきながら左右を見渡し、

追い詰められるようにして直継は自分のロッカーの中に身を隠した。



「あれ、倉橋は…」

「先に帰ったのか?」

更衣室の中に直継の姿を探すかのように光男や健也の声が響き、

「どうしたんだろうなぁ、あいつ」

「さぁな、

 なんか具合が悪かったんだろう、

 顔色青かったし」

と二人は結論付けると、

ロッカーの中に直継がいることも知らずに濡れた身体を拭き、

着替えを始めだした。

「そういえばさっ

 倉橋の胸、

 あれはなんだ?」

と着替えながら突然光男は直樹の胸のことを指摘した。

ビクッ!

光男の指摘にロッカーの中の直継は緊張すると、

「さぁな、

 まるで女のオッパイみたいだったな。

 乳首も勃っていたし」

その指摘に健也はそう答えると、

「俺、思うんだけどさ

 倉橋って実は女なんじゃないかな…と思うんだけど」

とそれを受けて光男はそう指摘した。

「はぁ?」

その指摘に健也は呆れた声をあげると、

「だってさ、

 あいつの声、最近女が喋っているようにも聞こえるし、

 体つきも男というより女だぜ」

と光男は言う。

「まぁ、そういわれればなぁ…」

健也も半分認めてたとき、

「ん?」

何かを見つけたのか光男の声が響くと、

「どうしたんだ?」

光男に向かって健也が声をかける。

すると、

「これ、倉橋のじゃないのか?」

と光男は何かを拾い上げて見せた。

「おいおい、

 競泳パンツを忘れていくかぁ、ふつう」

直継が女子用競泳水着に着替えたときに

置きっ放しにしてしまっていた競泳パンツを持ち上げて笑うと、

「しまった…」

ロッカーの中の直継は全身から血が引く思いで成り行きを見守った。

すると、

「お先に失礼します」

と下級生部員が去っていく声が響き、

「おうっ」

その声に二人は応えると、

「それその辺に置いておけよ、

 明日来た時に気づくだろう」

健也が光男にいう。



やがて、光男達も含めて皆が更衣室からでていくと、

カチャッ!

誰の気配も無いことを確認しながらロッカーのドアが開き、

そっと直継が姿を見せる。

そして、慌てて置かれている競泳パンツを拾い上げると、

ポィッ!

っとロッカーの中へと放り込み、

ぺタリとその場に座り込んでしまった。

「はぁ…

 どうしよう…」

以前は座ることが無かったペッタンコ座り…

女の子の特権でしかなったその座り方を直継はしばしの間していると、

「汗かいちゃったな…」

と呟きながら徐に立ち上がり競泳水着姿のままプールへと向かっていく、



ザブンッ!

人気の無くなったプールに人が飛び込む音が響き渡ると、

ザブッ

ザブッ

夕焼けに水着を輝かせながら直継はゆっくりと泳ぎ、

プールの中を何往復かしてみせる。

そして、スタート台の下で浮かんでいると、

「あら、居残り?」

という女性の声が響いたのであった。

「キャッ!!!っ」

その声に直継は慌てて飛び上がると、

スタート台に上には男性用競泳パンツのみを穿きトップレス姿の少女の姿があった。

「え?

 あっあなたは…」

驚きながら直継は見上げていると、

「あれ?

 あなたは…

 男子の倉橋君じゃない。

 どうしたの女の子の水着なんて着ちゃって」

と言いながら、

タンッ!

スタート台を蹴ると綺麗なフォームを描きながら水の中に飛び込んできた。

そして、泳ぎながら近寄ってくると、

「女の子の競泳水着に興味があるの?」

と尋ねてきた。

「ちっ違いますっ!」

その問いに直継は力強く否定すると、

チラリ、

トップレスの少女を眺め、

「あなたは…

 女子部の水上さんでしょう?

 あなたこそ、おっ男の競泳パンツなんて穿いて何をしているんですか?」

と少女の正体を言い当て聞き返す。

すると、

「ご名答!

 うふっ、

 あたしは男の子の競泳パンツが好きだからこうして穿いて泳いでいるの、

 男の子は良いわねぇ、

 あんな締め付けられて息苦しい水着なんて着なくて、

 こうしてパンツ一枚で大会に出られるんだから」

そう香織は言いながら背泳ぎを始めだす。

「それがなんですかっ」

背泳ぎをする香織を横目で眺めつつ直継は呟くと、

一瞬、香織の姿が見えなくなる。

と同時に

ザバッ!

直継の背後で水が撥ねる音が響くと、

ムギュッ!

いきなり背後から抱きしめられ、

直継の胸を香織の手が覆った。

「きゃっ!」

直継の口から甲高い悲鳴が上がり、

ムニュムニュ

弾力性を持つ胸がもまれてしまう。

すると、

「あら、知らなかったわ、

 倉橋君ってオッパイがあるんだ。

 乳首を硬くしちゃってぇ」

と笑いながら香織は直継の敏感な部分を競泳水着の上から抓りあげる。

「いやっ、

 やめてぇ」

乳首を弄ばれながら直継は訴えると、

「あらあら、まるで女の子ね。

 じゃぁ、下はどうなっているのかな?」

悪戯っぽく香織は尋ねながら、

右手を下にもって行き、

素早く水着の中に潜り込ませると、

クチュッ!

直継のイチモツの下で開いている”口”へとたどり着いた。

「あれ?

 男の子と女の子が両方あるわ、

 倉橋君って男だと思っていたけど、どっちなの?」

イチモツと”口”の両方を確認しながら香織は尋ねると、

「うっ…

 それが…

 僕にも判らないんですぅ」

と直継は泣き顔になりながら訴えてきた。



「ふぅーん、そうなんだ」

プールサイドの上で香織は直継から一部始終を聞くと大きく頷き、

改めて直継を見つめる。

「半陰陽って奴か…

 しかも真性の…

 まれにいるとは聞いていたけど、

 まさかこんな身近にいただなんて、

 しかも、男子水泳部のエース級の倉橋君がだったなんて…」

キラリ

目を輝かせて香織は直継を見据えると、

「僕は、

 ずっと、男だと思ってきました。

 でも、身体が、

 身体が段々女の子になって来てしまって、

 女の子の水着なんて着たりするから罰が当たったのだと思います」

と直継は泣きながら話し続ける。

すると、

「ダメよ、

 罰なんかじゃないわ、

 倉橋君は元々”倉橋さん”だったのよ」

そう囁きながら香織は直継を背後から抱きしめ、

「その水着は女子水泳部の大会用の水着でしょう?

 とっても似合っているわ」

と続けながら、

クリッ!

直継の乳首を弄ぶ。

「あんっ」

香織の指の動きに直継は思わず身をよじってしまうと、

「でも、あなたにはもっと相応しい水着があるわ」

と告げたのであった。

「え?」

その言葉に直継は振り返ると、

「うふっ、

 そ・れ・は白アシよっ、

 女の子は白アシを着てこそその美しさに磨きが掛かるの、

 さぁ、倉橋さんも白アシを着なさい」

と囁きながら香織は先に立ち上がると、

直継の手を引いて見せた。

「でも、

 僕は男…」

香織に向かって直継はそういいかけると、

「違うわ、

 倉橋さんは女の子…

 これまでずっと男の子の皮を被らされてきた女の子よ、

 だけど、もぅ男の子のフリをすることを身体が嫌がっているの。

 だから、オッパイが膨らんだりしてきているの、

 さぁ、本当の自分の姿に戻りなさい」

と香織は告げ、

直継の手を引いて新水泳部の部室へと向かっていく。



ピッ!

夕暮れのプールにホィッスルの音が鳴り響くと、

膨らんだ胸を突き出し

股間に縦溝を刻んだ部員が白アシの競泳水着を輝かせながら水の中へと飛び込んでいく。

「頑張ってぇ!」

「負けるなぁ」

そしてプールサイドからモッコリと股間を膨らませた、

競泳パンツ姿の部員が声援を送り、

その声援に応えるようにして、

激しいデットヒートの末、

タンッ!

タンッ!

女の子の身体になった直継と俊輔は同時にゴールしたのであった。



つづく