風祭文庫・アスリート変身の館






「白アシの香織」
(第5話:競泳パンツ)



作・風祭玲


Vol.699





「あっ

 あっ
 
 あっ」

夜の帳が下り、

人気の無くなった女子更衣室に女性の喘ぎ声が響き渡る。

「あっあぁっ

 あはっ
 
 あんっ
 
 んくぅ」

ゆっくりと窓から差し込む月明かりに、

汗だくの肉体を輝かせながら、

水上香織は股間に忍び込ませた指を盛んに動かしながら、

股間に刻まれている縦溝とその上から突きだしている肉塊を刺激し、

その刺激がさらに香織のを絶頂へと押し上げていく。

その一方で

「あはっ

 あぁぁ…」

股間に潜り込ませた手とは別の手が、

ギュッ!!

露わになっている胸の乳首を抓り上げると、

充血をしている乳首は硬く腫れ上がっていた。

そして、その手の動きに合わせるかのように

香織は喘ぎ声を上げ、

身体を小刻みに震わせる。

そのとき、

「あぁっ、

 わっ和田キャプテン…」

乳房を鷲づかみにしながら、

香織はある人物の名前を挙げると、

 あたし…
 
 今日も白アシを穿いています。
 
 だから、
 
 だから、
 
 キャプテン…
 
 あたしを犯してください。
 
 キャプテン!、
 
 男の白アシを穿いているあたしを犯してください」

と天井に向かって声を上げた。

その途端、

高まってきていた絶頂感がさらに一段と高まると、

「あぁっ

 キャプテンぇぇん!

 いっイクぅぅぅぅ!!!」
 
香織はその人物の名前を叫びながら身体を強ばらせ、

絶頂の頂きへと登り切ってしまった。



ツツーッ

縦溝から吹き上がった愛液が、

ぱったりと動きを止めた香織の股間を覆う布をいっそう湿らせていく、

そして、

「はぁはぁはぁ」

寄せては引いていく波のように、

移ろいゆく絶頂感を香織は味わいながら、

「キャプテン…」

と囁くと、

とある週刊誌のページを見つめ、

「和田キャプテン…

 あと少し、あと少しです」

そこに載っている写真を見つめながら呟いていた。



「初めまして…」

そう挨拶をしながら真新しい制服姿の香織は小さく頭を下げた。

2年前の春。

中学での水泳の成績を評価され、

スポーツ推薦を受けた香織は念願の制服に腕を通したのであった。

「水上さんは去年の県大会・中学生部門で2位と言う成績を残しています。

 みんなも油断していると、
 
 あっという間にレギュラーの座を奪われるから気を引き締めるように」

香織を紹介した女性顧問がそう一言付け加えると、

ザワッ

香織と向かい合っていた水泳部の女子達から一斉にざわめきが上がった。

「そっそんな…

 レギュラーだなんて」

顧問の言葉に香織は困惑すると、

「何を言っているんです。

 水上さんはそれだけの素質があるのです。

 頑張れば国体、いや、オリンピックだって夢ではないのですよ」

とかつてオリンピックに出場した経験を持つ顧問はそう言うと、

「はぁ…」

困惑した表情のまま香織は小さく頷いた。



こうして、

香織の高校生活と共に女子水泳選手としての生活が始まったのだが、

「おいっ、

 水上っ、
 
 タオルもってこい」

「はいっ」

「ほらっ、

 モップ掛け」

「はいっ」

「お腹が空いたから、

 食べ物買ってきて」

「はいっ」

香織を待ちかまえたのは厳しい練習よりも、

小間使い同様にこき使う上級生からの雑用だった。

「はぁ…

 あたしって一体、何やっているんだろう」

ほとんどを雑用に取られ、

少ない時間の中での練習中、

香織が愚痴をこぼしていると、

「ねぇ、君っ」

と男性の声が響いた。

「はい?」

その声に香織がプールの中から見上げると、

「百合子…じゃなかった

 狩野キャプテンっていま何処にいるのかな、

 今度の男女合同練習の打ち合わせに来たんだけど」

と水泳部のジャージを着た

水泳部男子キャプテンの和田勇輔が声を掛ける。

「え?

 えぇ…
 
 誰なんだろう…
 
 水泳部の人?」

勇輔とは面識の無かった香織は1人困惑していると、

「あら、

 和田君じゃない」

と女子キャプテンの狩野百合子が声を掛け、

走り寄ってくる。

「キャプテンがあんなに親しそうに話すなんて」

日頃、鬼女とあだ名されている狩野キャプテンの豹変ぶりに香織は驚いていると、

「ちょっと、水上さん、

 なに、ボケッとしているの?」

と女子部員の声が響くのと同時に

グィ

香織の腕が引かれると、

「あぁっ

 ちょちょっと…」

そう言い残しながら香織は離れたところへと連行されていった。



「あの男の人は誰ですか?」

2人のいる場所から大きく引き離された香織はそう問いただすと

「あぁ、彼は男子部の和田キャプテンよ」

と1年の南雲美空が勇輔の紹介をした。

「え?

 男子のキャプテンなんですか?」

それを聞いた香織が驚くと、

「うん、

 なかなかのイケメンでしょう?」

と同じ1年の近藤美保が微笑む。

「でもさっ、

 彼って狩野キャプテンの彼氏なんだから、
 
 手を出しちゃぁダメよ」

と美空がそれとなく注意をすると、

「そこなのよねぇ」

と香織の除く皆がため息をついた。



「え?

 水着泥棒?」

それからしばらく経ったある日、

水泳部の女子更衣室に何者かが侵入し、

洗濯して干してあった競泳水着が盗まれる。

と言う出来事が起きた。

「どうする?

 先生に言おうか…」

女子部員達が集まって相談をしていると、

「ねぇ、

 あたし達で捕まえてみない?」

と日頃、香織達をこき使う2年部員の田端美加が提案してきた。

「え?」

彼女のその提案に皆が驚くと、

「まったく、

 あたしの水着だけ盗まれてないのよっ

 これってバカにしていると思わない?」

と美加は拳を振り上げて文句を言う。

そして、

「どんなヤツか顔を拝んでやろうじゃないのっ

 水上さん、
 
 近藤さん、
 
 今夜ココに張り込んで犯人を捕まえるのよ、
 
 そうそう、
 
 おびき寄せるためにあなた達2人の水着、
 
 この部屋に干しておいてね」

と香織と美保を指さして美加はそう指示をする。

「えぇぇ?」

美加の指示に香織と美保は困惑した声を上げると、

「あたし達のお願い。聞けないの?」

と2人にごり押しをすると、

「はーぃ」

香織はシュンとしながら返事をした。



「ちぇっ」

部員達全員が帰ったあと、

ロッカーの影からジャージ姿の2人の顔が覗くと、

「なぁに、が明日の朝楽しみにしているわ。

 だよ、まったく田端のバカが…調子に乗るな」

ロッカーとロッカーの間に張られた紐に掛けられて

ユラリと揺れる2着の競泳水着を見上げながら香織が文句を言う。

すると、

「まぁまぁ、

 いいじゃないの。
 
 あたしも泥棒さんには興味があるし…」

香織をなだめつつ美保はそう言うと、

「お腹空いたね、

 あっ、ちょっと待ってて、

 お菓子持ってくるから」

と言うなり、立ち上がると置いてある自分のバッグを取りに行った。

ところが、

「あっ、

 お菓子が切れている…
 
 水上さんゴメン、

 あたしちょっと買ってくる」

美保はそう言うなり、

トタトタと更衣室から飛び出していってしまった。

「あっちょっと…」

そんな美保を呼び止めようと香織が立ち上がろうとしたとき、

スッ…

更衣室の窓に人影が動いた。

「!!」

その影に香織は驚いて、

ロッカーの影に隠れると、

カラカラ…

人影が立ち止まった所の窓がゆっくりと開き、

そこに手が掛かると、

ヌッ!

何者かが身を乗り出して更衣室に入り込もうとしはじめた。

「きっ来たぁ!!!」

その光景に香織はモップの柄を抱きしめるが、

しかし、踏み出すことは出来ずにそのまま影の奥で震え続けていた。

そして、

トンッ

侵入者が更衣室内に降り立つと、

トタッ

トタッ

トタッ

と室内をゆっくりと歩き始める。

「どっどうしよう…

 美保っ早く帰ってきてぇ」

迫ってくる侵入者に香織はガタガタ震えながらそう念じるものの、

しかし、一体何処に買い物に行ったのか、

美保はなかなか戻っては来なかった。

すると、

「!!」

侵入者は更衣室の中で乾されている競泳水着に気がついたのか、

香織が待ちかまえている水着の場所へと向かい、

まず一着に手を伸ばすと、その臭いを嗅ぎ出した。

「(やっやだぁ…

  あれって、あたしの水着じゃない!!
  
  この変態野郎が)」

囮用とはいえ、

侵入者に自分の水着の臭いを嗅がれていることに、

香織は不快に思うと、

ギュッ!

手にしたモップを握りしめ、

そして、

ダンッ!

思い切って飛び出すなり、

「この泥棒!!!」

と叫びながら侵入者に殴りかかった。

「なっ!」

ガタン!!

突然響いた香織の怒鳴り度に侵入者は驚くが、

だが、

ガツン!

間髪入れずに香織が振り下ろしたモップの柄が肩を直撃すると、

「くっ

 このぉ!!」

侵入者は逆に香織に飛びかかり、

一気に押し倒してしまった。

ドタァ!

ガタン!

カラカラ…

更衣室に人間が倒れる音と共に、

モップが転がり落ちる音が響く、

そして、その音が落ち着くまもなく、

グッ!

香織は侵入者にのし掛かられると、

その首に手が掛かった。

「(やっ

  やだぁ)」

香織は混乱しながらも、

「いやっ

 殺さないで!」

と叫ぶと、

ピタッ

その手が止まった。

「(え?)」

手が止まったことに香織は驚き、

そして、侵入者を見上げると、

窓から差し込む月明かりに浮かび上がったのは、

紛れもない水泳部の男子キャプテンである和田勇輔であった。

「わっ和田キャプテン!!」

勇輔の顔を見ながら香織は驚くと、

「わぅ見るなっ!」

勇輔は顔を隠しながら悲鳴を上げる。

しかし、香織は構わずに

「どっどうして、

 こんなことを…」

と尋ねると、

「うっ…」

勇輔はがっくりとうなだれながら

その場に座り込んでしまうと、

「ごめん…

 実は女の子の水着に興味があって
 
 なんかこう…
 
 押さえられなくなるんだ…」

と呟いた。

「えぇ!」

それを聞いた香織は驚くと、

「和田キャプテンってそんな趣味があったんですか」

と声を上げる。

「わっ悪いかよっ」

それを聞いた勇輔はそう言い返して、

仁王立ちの香織を見上げた。

「(あーぁ、折角のイケメンが台無しだわ、

  これからどうなるのかな?

  最悪退学になっちゃうのかな

  何かかわいそうね)」

その時の勇輔の顔を見た香織は、

これからのことを考えた途端

急速に怒りが静まり、

「…もぅ、

 仕方がないわね…」

と文句を言いながらも、

勇輔が持っていた競泳水着を取り返すと、

「そこに居てください…」

と言い残してロッカー影へと向かっていった。

そして着ていたジャージを脱ぎ捨てて、

香織はその水着足を通すと、

ピチッ!

発育途中の身体に身につけた。



「和田キャプテン…」

更衣室に香織の声が響くと、

「これでいいですか?」

と競泳水着姿の香織が姿を見せる。

「!!っ

 君…」

突然、水着姿で現れた香織に勇輔が驚くと、

「水上…

 ううん、香織って呼んでください」

と香織は自己紹介をする。

「あ二度とこんな事はしないでください

 その代わり…」

恥ずかしげに横を向きながら香織はそう囁くと、

ヒタッ

身につけた水着に誘われるように勇輔は近寄り、

そして頬摺りを始めだした。

「(ビクン)あっ…」

水着越しにこれまで感じたことの無かった感覚に

香織は身体の奥底から燃え上がってくる感覚を覚えると、

ゆっくりと勇輔の顔を抱きしめ腰を下ろした。

「香織さん…」

「はいっ」

「いいのか?」

「えぇ」

見つめ合いながら勇輔はそう尋ねると、

香織は静に頷く、

すると、

チーッ!

勇輔は着ていたジャージの上着を脱ぎ捨てると、

ムキッ

その鍛え上げられた肉体を晒し、

続いて、ズボンを下ろすと、

ギンッ!

固く伸びきったペニスがテントを作る白い競泳パンツを見せつけた。

「うわっ」

ムッ!

と立ち上る男の体臭と、

その競パンの姿にを香織は胸をときめかせてしまうと、

「さっ触って良いですか?」

と尋ねてしまった。

「あっあぁ、いいよ」

香織の言葉に雄輔はそう返事をすると、

スッ

香織は恐る恐る手を伸ばし、

競泳パンツを突き上げるテントに手を触れた。

「あっ

 すごい…
 
 とっても固くなっている…」

子供の頃、

父親のだらりとしたペニスを見たことがある香織にとって、

猛々しく勃起しているペニスは始めて目にするモノであった。

そして、興味津々にテントをなで回していると、

ススッ

いつの間にか勇輔の手が自分の胸の辺りをさすり始めていた。

「あんっ」

乳首から電気が走ってくるかのようなその刺激に

香織は怯んでしまうと、

「ごっごめん…」

と勇輔の謝る声が響く。

「うっううん…

 もっと…して…」

その声に香織は首を左右に振り、

あえて胸を突き出してみせると、

サワ

サワサワ

勇輔の手が香織の左右の膨らみを触り始めた。

「(あっ…

  和田キャプテンがわたしのオッパイを…
  
  なっなんだか気持ちいい…)」

胸を触られることは同性同士なら幾度か経験をしていた香織だったが、

だが、異性にそれをされることは無論初めてであった。

「うんっ」

「はぁはぁ」

「あぁっ」

「うっ」

互いの胸を股間を触りながら2人は次第に近づき、

そして、声を押し殺しながら抱き合う。

「(うわぁぁ…

  更衣室で和田キャプテンとこんな事をしているなんて、

  狩野キャプテンに知られたら…

  あたし八つ裂きにされちゃよぉ)」

抱き合いながらも香織は脳裏に百合子のことを思い浮かべると、

タラリ…

その背中に冷や汗が流れ落ちてゆく、

しかし、

「香織さん…」

勇輔が香織に声を掛けると、

「はい?」

香織は勇輔の顔を見る。

すると、

「…なぁ…

 水着を交換しないか?」

と勇輔は提案してきた。

「え?」

思いがけない勇輔の提案に香織は驚くと、

「僕が君が着ている競泳水着を着て、

 君は僕が穿いている競泳パンツを穿くんだ」

と勇輔は説明をした。

「そっそんなこと…」

勇輔の説明を聞いた香織は躊躇うものの、

だが、既に水着の肩ひもは外れ、

水着はゆっくりと引き下ろされていく、

そして、香織は拒むことも出来ずに競泳水着を脱がされてしまうと、

その横では勇輔は競泳パンツを脱いで全裸になり、

「さぁ、

 これを穿くんだ…」

と言いながら、その競泳パンツを香織に手渡した。

「これをあたしが…」

つい今し方まで男性の股間を包み込んでいた競泳パンツを香織は見つめると、

「早くそれを穿くんだ…」

と勇輔は命令する。

「はっはいっ」

その声に香織は返事をすると、

競泳パンツに脚を通すと、

ゆっくりと引き上げていく。

スルスル

っと足を登ってくる競泳パンツの感覚に、

ジワッ…

いつしか香織の局部が急速に湿り始め出す。

「感じているのかい」

それを見逃さずに勇輔は指摘すると、

フルフル!

香織は思いっきり首を横に振るが、

だが、うっすらと生える香織の陰毛はしっとりと濡れ、

月明かりに輝き始めていた。

ピチッ!

「!!!っ」

勇輔が穿いていた競泳パンツが股間まで上がり、

男の臭いを放つそれが香織の股間を覆うと、

「どうかな?

 男になった感想は?」

と勇輔が尋ねた。

「え?」

勇輔のその言葉に香織は顔を上げると、

「ふふっ、

 いま君が穿いたのは白アシっていうんだ。

 男子用の白アシを穿いた君は
 
 立派な男子部員だよ」

と勇輔は指摘する。

「あっあたしが男?」

股間を覆う白アシを見ながら香織は困惑していると、

スススッ

ピチッ!

その横で勇輔は香織が着ていた水着に足を通し、

そして、肩ひもを胸まで上げると、

「見て…

 僕は女子部員になちゃったよ」

と香織に水着姿を見せる。

「和田キャプテン…」

水着を交換した2人は改めて見つめ合うと、

互いに股間に手を伸ばし、

そして、敏感な部分を刺激し合いながら抱き合うと、

「プールに行こう…

 男子部員の君が僕を男子プールへ連れて行くんだ…」

と告げた。

「はっはい…」

勇輔が告げた一言一言にピクピクと身体を反応させながら、

香織は返事をすると、

ジャージを手にした勇輔を連れながら更衣室から出て、

そのまま、男子部が使っているプールへと向かっていく、

胸を晒し、競泳パンツ1丁のみの姿で香織は歩きながら、

「(あっあたし…

  男の人の水着で歩いているんだ。
  
  あたし、男の子なんだ…)」

動く景色を見ながら香織はそう思っているうちに、

ジワッ

香織の股間に張り付く白アシには大きなシミができ、

さらに広がって行っていた。

程なくして2人は男子部のプールに到着し、

そして、そのプールサイドに立つと、

ギュッ!

背後から勇輔が抱きついた。

「あっ」

「一緒にプールに入ろう?」

驚く香織に勇輔はそう言うと、

バシャーン!!

香織と勇輔は夜のプールの中へと入っていった。



「香織っ、

 何処に行っていたのっ」

「え?」

髪の毛から水を滴らせながら

ジャージ姿の香織が更衣室に戻ってくると、

その途端、美保の怒鳴り声が鳴り響いた。

「あっごめん…

 ちょっと暇だったので泳いでいた」

やや夢心地気味に香織はそう答えると、

「暇って香織ぃ…

 ?

 あれ?

 どうしたの香織?
 
 顔が真っ赤よ…
 
 それに、目もどこか焦点が合っていないような」

と美保は惚け気味の香織を目の前で手を上下に動かした。

すると、

「美保…

 今日はもぅ泥棒は来ないわよ…
 
 さっさと帰ろう…」

と迫力のない声色でそう言うなり

香織はロッカーから制服を取り出すと、

それをスポーツバッグの中に詰め始めた。

そして、

「じゃぁお先に…」

と唖然とする美保を残し、

香織は先に帰って行ってしまった。



翌朝、

相変わらず顔を赤らめて香織が登校していると、

「おはよう…」

と待ちかまえていた勇輔が声を掛ける。

「あっ

 和田キャプテン…」

それを見た香織はさらに顔を真っ赤にすると、

サワッ

いきなり勇輔が香織のヒップを撫でられ、

「ちゃんと穿いてきているね」

と耳元で囁く。

「はっはいっ

 キャプテンの白アシ、
 
 ちゃんと穿いてきました。
 
 だから、今夜も、
 
 そっその…」

勇輔を見つめながら香織はそう言うと、

「うん、判ったよ、

 じゃぁ、今夜…」

勇輔はそう告げて走り去っていった。

そんな勇輔を香織は見送っていると、

「おはよう、香織っ

 あれ?
 
 いまの、和田キャプテンだよね」

と挨拶をしながら美保が掛け寄ってくる。



こうして、香織と勇輔は急接近をし、

皆が帰った後、

香織は勇輔の競泳パンツで、

勇輔は香織の競泳水着姿で夜のプールを泳ぐようになり、

そして、ついに2人は関係を結ぶようになってしまったのであった。

しかし、その関係も長続きはしなかった。

「水上さん、

 ちょっと」

ある日、部活を終え、

部室に戻ってきた香織に先に戻っていた百合子が声を掛けてきた。

「はっはい?

 何でしょうか?」

百合子の声に呼ばれて香織はその前に立つと、

「あなた…

 毎晩、男子のキャプテンと逢っているようだけど、
 
 一体、何をしているの?」

とキツイ視線を投げながら香織を見つめる。

「何って…」

百合子の突き刺さるような視線に香織は困惑しながら返事をすると、

「ちょっとぉ、

 和田君は狩野キャプテンの彼氏なのよっ

 それ判っているの?」

と取り巻きの2年が声を荒げた。

「え?」

その声に香織は2年と百合子を見つめると、

「あの、失礼ですが、

 狩野キャプテンは和田キャプテンのことを何処まで理解していますか?」

と質問をした。

「なに?」

香織の質問に百合子の表情が見る見る険しくなってくると、

「和田キャプテンは悩んでいました、

 押しつぶされそうなくらいに悩んでいたのに、
 
 狩野キャプテンは救いの手を差し伸べてあげたのですか?」

と問いただす。

「なによっ、

 和田君にあたしじゃぁ釣り合わない…

 っとでも言うの?
 
 随分と生意気を言うのね」

それを聞いた百合子が立ち上がり、

そして、香織の前に立つと手を挙げた。

「うっ」

叩かれる…

それを見た香織は咄嗟に身を構えると、

「出て行って!」

叩かれる前に百合子のその声が響いた。

「え?」

「出て行って!!」

呆気にとられる香織に百合子は再度同じことを言うと、

「はっはいっ」

香織は慌てて飛び出していった。

「どうしたの、香織…」

部室から追い出された香織に皆が寄ってくると、

「判らないよ」

と香織は困惑しつつも、

「そうだ、

 こうなったら和田キャプテンに相談してみよう」

と思うなり、

水泳部の男子部室へと向かって行く、

「もぅ、和田キャプテンは戻っているはずよね」

そう思いながら香織は部室のドアに手を当てると、

「あれ?

 鍵が開いている」

といつも鍵が掛かっているドアが開いたことに不思議に思った。

そして、不思議に思いながらも

「失礼します…

 あのぅ和田キャプテン、
 
 お話が」

と声を掛けるが

いつもなら返ってくる声が返ってこなかった。

「あれ?

 居ないのかな?」

そう思いながら香織が踏み込むと、

スッ…

部室の奥で1人の人影が座り込んでいるのが見える。

「なんだ、

 キャプテン居るじゃないですか、
 
 あれ?
 
 やだぁ、もぅあたしの水着を着ているのですか?
 
 誰かに見られたらどうするのですか?」

安心しながらも既に自分の水着を着ている勇輔の姿に軽く注意すると、

「香織か…」

と女性を思わせる甲高い声が響いた。

「え?」

その声に香織の足が止まると、

スッ

勇輔は徐に立ち上がり、

「かっ香織ぃ

 みっ見てくれぇ、
 
 おっ女になってしまったんだよ」

と水着を突き上げる乳房の膨らみと、

突っ張るモノを失った股間を晒しながらそう訴えた。

「え?

 えぇ?」

それを見た香織が悲鳴を上げると、

「華代とか言う少女が僕を…

 僕を…
 
 うわっ、どうしたら良いんだ…」

と勇輔は泣き崩れるとその場にその場に蹲ってしまったのであった。



「はぁ…あれから2年…、

 結局、狩野キャプテンとは仲直りできなかったし、
 
 和田キャプテンはなんなことになるし、
 
 それにしても華代って女の子は何なのかしら、

 でも、和田キャプテンを元の男の人に戻して上げるのは、
 
 このあたしだけよ。
 
 キャプテン待ってて、
 
 もぅ少し、
 
 もぅ少しで戻してあげるわ」
 
手にした雑誌を見つめ、

そう呟きながら香織は白アシ姿もまま立ち上がると、

その雑誌を棚へと戻すが、

パタン!

と雑誌が倒れてしまうと、

さっきまで見開かれていたページが広がっていく。

するとそこには今度のオリンピックで代表に内定した

大学の女子水泳部で活躍する1人の女性スイマー

そう、かつて和田勇輔と言う名前だった女性の姿が掲載されていたのであった。



つづく