風祭文庫・アスリート変身の館






「信子の悩み」


作・風祭玲

Vol.719





「はぁ…」

夕日を背にして多賀信子は大きくため息をついた。

「あーぁ、

 またダメだったか…

 折角頑張ってきたのに」

そう呟きながら信子はトボトボと歩いていくと、

ふと立ち止まり、

「やっぱりあたしには無理なのかな?」

と言いながら振り返った先には、

夕日に輝きながら威風堂々とした姿で聳えつ体育館と共に、

先ほどまで新体操の大会が開かれていたこと告げる

横断幕が正面玄関に掛かっていた。



「えぇ!

 またダメだったの?」

翌日、信子にとってキツイ声が頭から浴びせられた。

「そんな、ストレートに言わなくっても…」

机の上にかじりつくように伏せながら、

制服姿の信子は言い返すと、

「はぁぁぁ…」

彼女の親友であり、

同じ新体操部の千歳智世は残念そうにため息をつき、

「昨日、部の予算を纏めてて、

 信子の演技をみることは出来なかったけど

 でもまっ、仕方がないわね。

 信子も信子なりに頑張ったんでしょう?」

とねぎらいの言葉をかける。

「いいよ…

 無理に慰めてくれなくても…」

智世に向かって信子はそう言い返し、

「はぁぁぁ、

 やっぱり身長が欲しいよぉ、

 この手足があと10cm長ければ、

 得点もあと少し加算できたかも知れないのに」

顔を突っ伏せながら愚痴をこぼした。

「まーま、

 あたし達、まだ中学生よ、

 信子の身長も伸びるって」

愚痴をこぼす信子の肩を叩きながら、

智世は困惑気味にそう言い聞かせようとすると、

ズィッ!

「それって本当?」

突っ伏していたはずの信子が飛び上がるようにして顔を上げ、

真剣な表情で智世に迫る。

「いっ…

 そっそりゃぁぁ…

 うん、

 大丈夫よ、

 大丈夫

 信子ながら絶対に大丈夫だってぇ」

信子の迫力に押されながら

冷や汗まみれの智世はそう言い切ってしまった。

「………」

一瞬の沈黙が二人の間を支配した後、

「…ってそんなこと無理だよなぁ」

信子は崩れるようにして机の上に突っ伏してしまった。

「信子ぉ」

「あぅぅぅぅ…

 身長が伸びる薬があったらなぁ」

目から涙を盛大に流しながら信子はぼやいていると、

「!」

何か気づいたのか、

急に智代の表情が変わり、

「そうだ、

 ねぇ、今日の部活は休みでしょう?

 だったら帰りにちょっと付き合って」

と話しかける。

「今日の…

 帰り?」

智代からかけられた言葉に信子は顔を上げて聞き返すが、

「うふっ」

智代は笑顔で答えるだけであった。



ゴワァァァ!!!

放課後、

トラックなどが頻繁に行き交う国道脇の歩道を

信子と智代が連れ立って歩いていく。

「ディスカウントストア?」

智代から目的地を知らされた信子は驚いた声を上げると、

「うん、

 ほらっ、

 この先にあったでしょう。

 黒ナントカとか言うディスカウントストアが、

 それがね、改装されて新装オープンしたのよ。

 で、一昨日寄ってみたんだけど、

 あれ?

 知らなかったのぉ?」

智代はいま向かっているディスカウントストアが

改装をされたことを告げた。

「はぁ…

 新体操の練習ばっかりしていたから知らなかったよ。

 うー…

 なんかすっかり置いていかれてる感じ…」

ディスカウントストアの改装を知らなかった信子は、

そのまま自己嫌悪に陥ってしまうと、

「まーま、

 大丈夫だって、

 早く行こう」

と励ましながら智代は信子の手を引いた。



「いらっしゃいませ」

店員の声をともに信子と智代は店内に入ると、

ドワッ!

前にも増して山と詰まれた商品が二人を迎える。

「うひゃぁぁぁ」

「すっごぉぃ」

天井まで届く勢いの商品の山に二人は驚きながらも進んでいくと、

程なくして併設してあるドラッグストアの前に出た。

「ドラッグストアね」

掲げられている派手な看板を見上げながら信子はそうつぶやくと、

「ちょっと見ていこう」

という智代に引っ張られて中へと入っていった。

商品で埋もれているディスカウントストアと比べて

ドラッグストアは整然としており、

欲しい薬を一発で見つけ出すことができるようになっていた。

その商品だなの列の中を二人は歩いていくと、

「ねぇねぇ、

 ちょっと見て」

何かを見つけたのか智代が商品棚を指差した。

「?」

彼女が指差したほうへと向かっていくと、

そこには花丸印のポップとともに

身長が伸びることを謳った薬の箱が置かれていたのであった。

「はぁ?

 本当に身長が伸びるの?」

半信半疑ながら信子が箱を手に取ると、

「”あなたの身長がグングン伸びる”

 って書いてあるわ」

同じように箱を手にした智代が

箱に書かれている効能書きを読み上げる。

「本当かな?」

やや真剣な表情で信子がつぶやくと、

「そうねぇ、

 この手の商品って例え1cmでも身長が変われば、

 オーバーに書くでしょうし」

と智世は冷淡につき放つ。

だが、

「よっよしっ

 一つ買ってみよう」

そんな智世の言葉を無視するように、

信子は箱を握り締めると、

そのままレジへと向かっていってしまった。

「あっちょっと…早っ

 まっ溺れるものは藁をも掴むか、

 これに書いてあるとおり身長が本当に伸びるのなら、

 あたしも買うけどね」

そんな信子の後姿を見ながら、

智代はこぼすと手にしていた箱を棚に戻した。



そして翌日、

「あれ?

 信子、身長伸びた?」

新体操部の練習でレオタードに着替えた智代が、

横に立つ信子の背の高さに違和感を覚えると思わずそうたずねた。

「えぇ?」

智代の言葉に信子は驚くと、

「ありがとう、

 そう言ってくれるとうれしいよ

 あの薬は確かに飲んだけど、

 でも、いきなり伸びるなんて、

 ことはないでしょう?」

とややうれしそうに言い返す。

「うん、それはそうだけど…」

信子の言葉に智代は見間違えたかと、

思いながら幾度も見比べてみるが、

確かに昨日までの信子の感じと、

今とは違っていたのであった。

そうして、日々が過ぎていく間に、

信子の身長はグングンと伸び、

あの大会の日に147センチだった信子の身長は

この1週間で158センチにまで伸び、

制服のサイズが合わなくなってしまったために

新体操部のジャージで登校するようになってしまっいた。



「ちょちょっと…

 一体どうなっているの?

 信子、急に背が伸びたけど、

 何か秘密があるでしょ?」

信子の変身振りに驚きながら、

新体操部の飯島栄美が信子に詰め寄ってきた。

すると、

「実は…」

智代が前に出てくるなり、

栄美に向かって事情を説明し始める。



「うそぉ!

 身長の伸びる薬だってぇ」

智代から話を聞かされた栄美は驚きの声を上げると、

「しーっ

 大きな声を立てないで?」

と栄美よりも身長が高くなってしまった信子が口止めをした。

すると、

「ねぇねぇねぇ、

 一体どこの薬なの?」

と尋ねながら栄美は信子に掴みかかると、

「これよ…」

智代があの日信子が購入した薬の箱を見せた。

「こっこれぇ?」

ごく普通に薬局で売られていそうな箱を見て栄美が驚くと、

「ドラッグストアにおいてあったの、

 ほら、国道沿いにある黒ナントカっていう…」

と智代が購入場所を教えた。

「へぇぇ…

 そうなんだぁ

 あたしも帰りに買ってみようかなぁ」

箱を観ながら栄美が呟くと、

「あっ

 でも、もぅ品切れになってしまったの。

 昨日、あたしが買ったのを少し分けてあげるね」

と言うなり智代は箱を開け栄美に薬を分けた。

「へぇぇ、

 これが身長が伸びる薬かぁ

 で、1日どれくらい飲めばいいの?」

薬を手に処方を尋ねると、

「えぇっと、

 ちょっと説明書が見にくいんだけど、

 1日3粒で良いみたい…」

と智代は箱から説明書を取り出し、

そう説明をした。

「へぇぇ、

 そうかぁ」

それを聞いた栄美はしきりに関心をすると、

「んじゃ早速飲んでみよう」

と渡された薬から3粒をより分け、

それを口へと運んだ。



その日を境に信子・智世・栄美の3人の身長はグングンと伸びていった。

だが、最初のうちこそ伸びていく身長に3人とも喜んでいたのだが、

しかし、その勢いはとまらず、

「ちょちょっと、

 やばいんじゃない?」

伸びる身長に恐怖感を感じたときには、

3人とも160センチを越え、

170センチに迫ろうとしていた。

そして、薬の副作用からか

ムキッ!

3人の体から筋肉が盛り上がっていくと、

膨らみつつあった乳房は

分厚くなっていく胸板の中へと飲み込まれてしまい。

また、肩には筋肉が盛り上がってくると、

厳つい形へと変わり、

腹筋は6つにキレイに分かれていった。

「どっどうなっているの?」

「あたしにもわからない」

変貌していく体をさらす事になる新体操の練習には出られず、

3人は寄り集まってお互いに喉仏が盛り上がらせながら、

変身してゆく自分の体に驚愕していると、

「やっやだぁ、

 なにこれぇ」

突然、野太い智代の悲鳴が上がった。

そして、

ムクムクムク

レオタードが覆う股間を押し上げながら、

太い肉の棒がせりあがり始めると、

「智世!」

「そんな…」

「いやぁぁぁ!!

 誰がこれを取ってぇ!!」

股間をモッコリを膨らまして悲鳴を上げる智代の姿に

信子と栄美は呆然とするが、

だが、そんな二人の股間からも、

ムリッ!

ビキビキビキ!!

追って智代と同じ肉の棒がせりあがってしまうと、

「いやぁぁぁぁ!!!」

部室から男の悲鳴が響き渡っていった。



「なんで…こんな」

股間から起立する肉棒を見ながら信子は呆然としていると、

「もぅ、こうなったのは

 あなた達に貰った変な薬のせいよ。」

と栄美が泣きながら怒鳴るが、

「そんなことを言っても

 どうしても欲しいって言うから上げただけよ」

それを聞いた智代が言い返す。

ところが、

「なにをっ」

その言葉を聞いた栄美が怒り出してしまうと、

パァン!

その太い手が振りあがり智代の頬に炸裂した。

「やったなぁ!!」

叩かれて痛む頬を智代は庇いながら、

すぐに飛びかかると、

「このぉ!」

「このぉ!」

たちまち部室の中で取っ組み合いのけんかが始まってしまった。

そして、その脇では、

「やっやめて、

 やめなさいよ」

信子がオロオロしながら仲裁をしようとするが、

「うるせー」

「引っ込んでいろ!」

野太い怒鳴り声が響くのと同時に、

ドンッ

「あっ」

信子は突き飛ばされるとよろけてしまった。

そして、その際に

ドシンッ!

自分の着替えなどを入れたバッグを払ってしまうと、

ポロッ

バッグから薬の説明書が落ちた。

「あっ説明書…」

それを見た信子が説明書を拾い上げ、

そして、その文面に目を通したとたん。

「え?」

驚きの声を上げた。

「ん?」

「どうしたの?」

信子のその声に智代と栄美は喧嘩をやめて、

そのそばに立つと、

同じように説明書を読み始めた。

そして、ほぼ同時に、

「うそっ」

っと二人は声をそろえる。



信子が持つ説明書にはこの薬を過剰に摂取すると、

女性の場合、心身ともに男性化すると書かれていて、

それを知った三人は顔を見合わせるながら愕然とした。

そして、次の日から三人は薬を飲まなくなったが、

だが、体の変化は止まず、

背は三人とも180センチを越すようになってしまうと、

筋肉はさらに発達してまさに鎧の如く肉体美を作り上げ、

さらには盛り上がった肉棒の皮が剥けきってまうと、

シュッシュッ

シュッシュッ

「うっ!」

ビュッ!!

3人はその剥けきった先端より白濁した体液を

吐き出すようになってしまったのであった。

「はぁはぁ」

「はぁはぁ」

「ねぇどうしよう…

 おちんちんから白いオシッコがとまらないよ」

「だめよ、

 オチンチンを弄っちゃ

 じゃないと、また

 出ちゃうっ」

薄暗い体躯倉庫の中、

饐えた臭いを撒き散らしながら、

新体操のレオタードを窮屈そうに着た男3人が股間をしごき続けている。

「はぁはぁ

 ねぇ、これからどうするの?」

股間の肉棒から白い粘液の糸を垂らしながら、

信子がこれからのことを尋ねると、

「もぅ新体操部にはいられないよね」

と智代がこぼす。

すると、

「あっあたし…

 相撲部にいくわ」

一際大きな肉体になってしまった栄美がそう決心すると、

「うん、

 じゃぁ、

 あたしは柔道部にいく、

 なんか、取っ組み合って暴れたい気分なの」

と智代が口走る。

そして、

「じゃぁ、

 あたしは剣道部にいくわ、

 思いっきり棒きれで叩き合いたくなったから」

二人の話を聞いた信子はそういうと、

三人はレオタードを脱ぎ、

信子は剣道部、

智代は柔道部、

栄美は相撲部へとそれぞれ転部していったのであった。



「はぁはぁ」

「はぁはぁ」

それから数ヵ月後、

体育倉庫の中に荒い息遣いが響き渡っていた。

「よぅ、ノブ、

 お前、臭くて仕方がないぞ」

「うるせー、

 防具ってぇのは臭うもんなんだよ、

 それよりもトモ、

 お前柔道着ちゃんと洗っているか?

 酸っぱい臭いを撒き散らしやがって」

「ふんっ

 エミに比べれば臭わない方だよ」

「なんだとぉ、

 廻しは洗わないものなんだよ、

 しかもこの廻しは先輩からのお下がりだから、

 くせーのなんの」

剣道着、柔道着、廻し姿の男3人が、

人気のないこの体育倉庫の中で、

それぞれ股間から硬く伸びている、

ペニスをしごきあっていた。

「はぁはぁ、

 あぁいいぜ、

 お前のしごきかた最高だぜ」

かつて信子と呼ばれていた剣道着姿の男が、

面を被った顔を上げると、

「そうか、

 じゃぁ、しゃぶってやるよ」

柔道着姿の智世はそういうと、

はかまの中に顔を突っ込んだ。

そして、その横では、

イガグリ坊主頭の栄美が廻しの横から飛び出したペニスを

持ちながら智代に迫っていくと、

「へへっ

 先輩仕込みの一発を食らわせてやるよ」

と言いながら智代の柔道着をずり下ろし、

その硬くなったイチモツを智代の体内へと挿入する。

「うおっ」

「うぐぉ」

こうして、

3人の男達が奏でる宴はいつまでも続いていたのであった。



おわり