風祭文庫・アスリート変身の館






「ボディビルダー」


作・風祭玲

Vol.715





ジッジジジ…

怪しげに揺らめく炎の明かりが

明かりが落とされた薄暗い部屋を照らし出している。

ジッジジジッ…

炎がかすかに揺らめくと、

トッ

トトッ

っと数人の人影が部屋の壁に映し出され、

そして、その影はゆっくりと散っていった。

「ふふ…」

「ふふふ…」

響き渡る不気味な笑い声が響く中、

「部長…

 ご紹介いたします。

 今度の獲物…

 いえ、今度の新入部員です」

と甲高い少女の声がそう響くと、

「ご苦労様です」

その声よりやや低い返事が返った。

すると、

「ふふっ

 ねぇ、どんなビルダーになるのかしら」

「あたしが思うには、

 そこそこいくと思うわ」

「でも、いくら逞しくなっても

 部長には叶わないよね」

影の一つ一つからそのような声が聞こえ、

その会話を制するように、

「で、この者の名前は?」

と部長と呼ばれたの女性の声が響く。

「はい、森上明美…

 1年3組、剣道部所属。

 中学時代、地区大会で準優勝した経験あり」

部長の問いかけにはじめに声を上げた少女の声が響くと、

「そうですか」

女性の満足そうな声が響く、

そして、

「この子なら、

 我がボディビルダー部で十分に働いてくれると

 思います」

と声を上げると、

ほぼ同時に、

「うっ

 うん…」

巨大なバーベル・マシンに両腕を縛られ拘束されている

制服姿の少女・明美が目を覚ました。



「うっ

 うん…

 え?

 ここは?」

記憶が混乱しているのか、

明美は寝ぼけ眼で辺りを見回し。

「えぇっと」

と直前の記憶を呼び起こし始めた。

そして、

剣道部の部活が終えて更衣室から出て来たのと同時に

突然、強いショックを受け、

気を失ってしまったことに気がつくと、

「そうえいば…」

明美はあわてて腕を引くが、

だが、

「!!

 え?」

ギシッ!

両腕は大きく開かされ、

さらに、

何かの棒に強く結びつけれられていることに気がついた。

「なっなに?

 これ?」

引いても押しても動かない自分の腕に明美は驚いていると、

「ようこそ、

 ボディビルダー部へ」

と声が響くと、

スッ

ススッ

オレンジ色に統一したタンクトップとスパッツを履き

髪をポニーテールに纏め上げた女性達が明美の前に立った。

「だっ誰?」

鎧の如く逞しく肩を盛り上げ、

誇らしげに分厚い胸板を見せ付ける女性達の姿に、

明美は怯えながら声を上げると、

「うふっ」

笑みを浮かべる女性が明美に一歩近づいた。

「いっ、

 かっ上嶋友子…

 ボディビルダー部の…」

目の前に立つ女性が

ボディビルダー部の女部長であることに気づくと、

「はじめまして、

 剣道部のホープ・森上明美さん」

と笑みを絶やさずに友子は話しかけてきた。



「あっあたしをどうする気?

 おうちに帰してよっ!」

友子に向かって明美はそう言い返すと、

「うふっ、

 いまは無理ね」

友子は横を向きそう返事をする。

そして、

「森上明美さん。

 あなたのボディビルダー部への入部を認めますわ」

と告げると、

「なっ

 何を言っているのよっ

 ボディビルダー部への入部を認めますぅ?

 誰が入りたいって言ったのよっ」

明美は激しく捲くし立てながらそう反論した。

だが、

「うふっ、

 入部は認めてもその華奢な体では無理ね、

 ボディビルダーは逞しくないとね」

明美の反論を無視しながら、

友子は

ムンッ!

と腕や足に力を込めると、

ボコッ!

ボコボコボコ!!

その手足に巨大な力瘤が次々を影を作り、

友子の手足は見る間に極太の肉隗と化していくと、

モリモリモリ!!

その体もまた筋肉が盛り上がり、

友子の肉体はまるで筋肉の小山のようになってしまった。

「ひっ」

大きく膨らんだ筋肉に引っ張られ、

引き裂けんばかりに張り詰めているウェアを見せつける友子の姿に

明美は思わず顔を伏せると、

「なに、下を向いているのですか?

 ボディビルダー部員ならこれくらいのことは当たり前ですよ」

と友子が言うなり、

「うふふふふ…」

「クスクスクス」

ボコボコボコボコ!!

ムキムキムキ!!!

彼女の周りの部員達も笑みを浮かべながら

次々とその体を大きく膨らませていった。

「………」

とても女性の肉体とは思えない彼女たちの姿に、

明美は呆然としていると、

「さぁ、

 あなたもあたし達と同じ体に変身するのですよ。

 ボディビルダー部員として恥ずかしくない姿にね」

と言うなり、

コトッ

友子は青く輝く小さな小瓶を片手に明美に近づいて来た。

「いっいやぁぁ、

 こっ来ないで」

近寄ってくる友子に向かって明美はそう言うものの、

ギシッ!

明美の両腕はバーベル・マシンに縛り付けられていて、

その場から逃げ出すことなど不可能であった。

「来ないで!

 こっちに来ないで!」

唯一自由に動かせる足を使い、

明美は裕子に向かって蹴りあげようとするが、

パシッ!

男子ボディビルダーなど可愛く見えるくらいの

筋肉隆々の姿を見せ付ける友子の前には抵抗ではなかった。

そして、

グイッ

横を向く明美の頬を頑健な手が伸びると

押さえ込み、

無理やり口をこじ開けてしまうと、

「さぁ、部長、

 どうぞ」

と部員の声が響いた。

「ひゃめえ!

 ひゃめれ!

 いひゃぁぁぁぁ!!」

小瓶のふたが開けられ。

迫ってくる様子に明美は泣きながら許しを請おうとするが、

コプッ!

友子は容赦なく、

手にした小瓶の内容物を明美の口の中へと注ぎ込んだ。

「うごわっ」

「吐き出したらお仕置きよっ」

「うぐっ」

ゴクン

ゴクン!

友子から警告を受け、

明美は仕方が無く注がれた溶液を飲み干してしまうと、

「うっ

 あっあっ…

 熱い…」

と額から幾筋もの汗の筋を光らせながらそう訴える。

「(ムンッ)

 ふふっ、

 即効性ね」

「(ムッ!)

 あたし達のときよりも早くない?」

ボディビルのポージングをしながら

部員達が飲ませたモノの効き目が早く出たことに驚き、

囁き始めると、

「うっ

 うっ

 うがぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

部室に明美の悲鳴が上がり、

ビクンビクン!

両腕を縛り付けられている彼女の体が大きく跳ねた。

だが、

「……」

友子はそんな明美に構うことなく、

ただ、笑みを見せながら明美の姿を見ていると、

メリッ!!!

跳ね上がる明美の胸から異音が響き渡った。

「見て、

 始まったわ」

「ホントホント、

 始まったよ」

微かなのだが、

でも、ここにいるもの全員が明美の体から響いた音に気がつくと、

ボコン!

ボコン!

体の中から突き上げるような音が響くと、

彼女が着ている制服が大きくはね、

モコッ!

モコモコ!

と見る見る体が膨らみ始めた。

そして、

一瞬の静寂を置いて、

ボコボコボコボコ!

モコモコモコモコ!

筋肉が暴れる音が響いた後、

制服がパンパンに張り詰め、

ついに、

ビンッ!

思いっきり引っ張られていたボタンが弾け飛んでしまうと、

ベリベリベリ!!!

可愛いと評判の制服の上着がブラとともに四分五列に引き裂け、

モリッ!

逞しく盛り上がった胸板がその姿を見せる。

「おぉ…」

「あたしのよりも大きいわ…」

「はぁ…

 いきなりこれですか」

「あたし、もっと鍛えなければ」

蔦のような血管を絡ませ巨大な岩盤を思わせる明美の胸板の姿に

部員達からは一斉にため息が漏れるが、

「ふふっ」

そんな部員達とは対照的に友子は笑みを浮かべていた。



やがて明美の変身は下半身へと移り、

ビシッ!

足に筋と血管の影が走ると、

モコモコモコモコ!

白い肌の太ももが大きく膨らみめ、

肌のすぐ下にまで血管を伴った筋肉の繊維が迫ってきた。

剣道部で日々の猛稽古をしていたとはいえ、

女性らしいふくよかさを持っていた明美の肉体は、

すでに体脂肪率はヒト桁かと思われるくらいに絞り込まれ、

折り重なる筋肉の筋と太い血管が浮かび上がり、

異形の姿へと変わり果てていた。

「…うぅ…

 …うぐぅぅぅ…」

スカートと下着を弾き飛ばし、

全身筋肉の塊と化した明美が

投げ出していた足を折りたたんで踏ん張ると、

体の中に溜まった力を腕に集中しはじめだした。

「あら…

 あれを持ち上げる気?」

「うわぁぁ、

 300kgよぉ」

ギシッ

ギシギシッ

変身前はビクともしなかったバーベル・マシンのバーベル棒が

音を立て始めたことに部員が気がつくと、

「ふぐぅぅぅぅぅ!!!!」

明美は白目を剥きながら、

全身の力をこめる。

ムリムリムリムリ!

ムキムキムキムキ!

明美の背中から背筋がさらに膨らみを増していくと、

ブチン!

彼女の手を拘束していたベルトが弾けとんだ。

そして、

グッ!

ようやく手が自由になった明美は、

その棒を握り締めると、

「うごわぁぁぁぁぁぁ!!!」

の雄たけびとともに、

グッグィィィィン!!!

っと300kgの目方があるバーベルを持ち上げてしまったのであった。

「うふふっ、

 おめでとう、

 森上明美さん、

 これであなたは立派なボディビルダー部員よ」

バーベルを持ち上げる明美の姿を見ながら、

友子は微笑むと、

コトッ

手にしていた瓶をテーブルへと置いた。




それから3日後…

「ったく、

 明美の奴、

 どこに消えてしまったんだ?」

明美とは双子の弟である森上明雄が、

姉の手がかりを求めて校内を歩いていた。

「剣道部の部活には出ていたことは間違いないか、

 ふぅむ」

野球部の部活を終えた明雄は何所ぞの少年探偵のような表情で

3日前、姉がたどったであろうルートを歩いていくが、

だが、ゴミ箱の中をのぞいても、

姉・明美の手がかりとなるものは何所にも無かった。

「ったく、

 明美ったら、

 3日も学校に出てこないで何をしているんだよ、

 警察沙汰になったら大騒ぎだよ」

これまでにも明美は1日や2日くらいふらりと姿を消し、

何事も無かったかのように帰ってくることはあったが、

だが、さすがに3日目となると、

周囲が心配をし始めていたのであった。

そんな心配をしながら、

明雄は使われなくなった旧校舎へと来ると、

ボディビルダー部と書かれた古ぼけたプレハブの前に来た。

「あれ?

 ボディビルダー部?

 こんな部活、うちの高校にあったっけ?」

プレハブを見上げながら明雄は首を捻り、

そして、おもむろにドアノブに手をかけようとすると、

「うちに何の用?」

と背後から声をかけられた。

「え?」

突然響いたことに明雄は驚きながら振り返ると、

「にこっ」

明雄の背後にはオレンジ色のタンクトップにスパッツ姿の女性が立っていて、

「なぁに?」

と尋ねながら、

ポニーテールに纏め上げた髪を軽く揺らしてみせる。

「え?

 あっいえっ

 その…

 っていうか、

 なんかスゴイ体…」

声やポニーテールの髪、

そして、美人に見えるその顔からは

明雄の背後に立つ人物は女性であることは間違いは無いのだが、

だが、

その肉体を盛り上げる筋肉の量に明雄は恐れおののいてしまっていた。

「うふっ、

 ここはボディビルダー部の部室兼トレーニングルームよ、

 うちに何の用かしら?」

顔を引きつらせる明雄に向かって女性はそう尋ねると、

「あっ、

 いえっ

 僕はその…」

しどろもどろになりながら明雄は返事をした。

すると、

「あっ、

 入部希望者だったの?」

そんな明雄を見ながら女性は聞き返すと、

「ちっ違いますっ」

明雄は即座にそう言い返し、

「しっ失礼します」

と言いながら部室を後にしようとした。

ところが、

「あっひょっとして、

 森上さんの」

と女性が声をかけると、

「!!っ、

 明美を…姉を知っているんですか?」

明雄は驚きながら聞き返した。

「あぁ、やっぱり…

 えぇ、もちろん知っているわ」

明雄のその言葉に女性は微笑みながら返事をすると、

「いっいま何所にいるんですか?

 もぅ3日も帰ってこないんです。

 せめて、連絡ぐらい…」

女性に掴みかかるように明雄はそう声を荒げる。

「うふっ

 大丈夫よ、

 明美さんなら3日前に私達のボディビルダー部に入ってくれて、

 ここで、体を鍛えているわ、

 そうねぇ、

 確かに何の連絡もしないのは困ったわねぇ」

そんな明雄をよそに女性は眉を寄せると、

「ボディビルダー部に入ったぁ?

 なんで?

 明美…姉に会わせてください」

明雄は姉の思いがけない行動に首を捻りつつ詰め寄った。

すると、

「あら、

 会わせるも会わせないも、

 どうぞ、

 この中にいるわよ」

女性はあっけらかんとしながら部室のドアを開けた。

「あっ明美!」

その途端、明雄は部室へと飛び込むが、

「うっ、

 クセー!

 なんだよ、

 野球部の部室よりも汗クセー!」

と中に漂う臭気に明雄は悲鳴を上げ鼻をつまんでしまった。

「うふふっ、

 みんなここでいっぱい汗を流すからね、

 その臭いが溜まってしまったんでしょう」

そんな明雄の姿を笑いながら女性も部室へ入りドアを閉める。

「そっそうですか?」

相変わらず鼻をつまみながら明雄は返事をすると、

「さぁ、トレーニングルームはこちらですよ」

そんな明雄を導いていくように、

女性は部室の奥にあるドアを開け、

「お入りなさい…」

と指示をする。

「うっ」

その指示に従い。

明雄がトレーニングルームへと入っていくと、

ガチャンッ!

ギシッ!

グッグッ!

その中では招き入れた女性と同じトレーニングウェアに身を包んだ、

女子部員達が黙々をトレーニング機器を使っている姿が目に入った。

「うっ、

 女子ばかり…

 でも、

 なんだ、こいつらの体は…

 男でもこんなにムキムキに鍛えている奴はいねーぞ」

筋肉の小山のような女子部員達の姿に明雄は驚いていると、

「あっ部長っ

 お帰りなさい」

と女性に気がついた部員の一人が声を上げた。

「え?

 ここの部長なんですか?」

その声に明雄はこの女性がボディビルダー部の部長であることに気がつくと、

「森上さん…」

と女性は声を上げた。

すると、

「はい…」

一番奥のトレーニング機器から明雄が良く知っている声が返ってきた。

「あっ明美ぃ、

 こんなところで何をやっているんだよ!」

その声を聞いた明雄がすかさず声を上げると、

「もしかして、明雄なの!」

と明美からの返事は驚いた様に上ずってみせる。

「何を驚いているんだよっ

 こんなムキムキの女達と一緒にトレーニングなんて、

 明美はそんな趣味があるのかよ」

上ずる返事に明雄は抗議しながら明美のところへと向かっていくと、

「うっ、

 うわっ

 なっなんだ、

 明美、その体は!!!」

と双子の姉の姿を一目見るなり、

明雄は腰を抜かしてしまったのであった。

「いやっ

 見ないで…」

弟・明雄が上げた悲鳴っを聞いて

明美は両手で筋肉で大きく膨らむ体を隠そうとするが、

だが、明美の発達した肉体は手などでは隠せるはずもなく、

膨らみきった筋肉の筋一本一本を明雄に見せつけている。

「ふふっ、

 双子なの?

 どうかしら、

 お姉ちゃんの体の素晴らしさは?」

そんな明雄に向かって部長…いや、友子は勝ち誇ったように尋ねると、

「あっ明美を

 明美を元に戻せ!!」

そう怒鳴りながら明雄は友子に殴りかかるが、

だが、

「あら、

 それでも、全力なの?」

と筋肉隆々の友子には昭雄のパンチはまったく効き目が無かった。

「うっ

 くそっ

 これならどうだ!」

高校では野球部に入っている明雄だが、

小学校までは明美とともに剣道をしてきたため、

落ちている棒を拾い上げると、

友子の顔面めがけて面打ちを放った。

だが、

「うふふふっ

 まったく駄目ね…

 いいわ、あたしが鍛えなおしてあげるわ」

まったく無傷の友子はそういうと、

「はっ!

 部長っ、

 何をする気ですか?」

何かに気づいた明美は友子に尋ねた。

すると、

「何って、

 あたしと勝負が出来るように弟さんを改造してあげるのよ」

友子は明美に告げ、

「アレを…」

と声を上げた。



「何をするっ

 放せ!」

筋肉ムキムキの屈強の女子部員達に取り押さえられた明雄は抵抗を試みるが、

だが、多勢に無勢の上に、

彼女達の半端ではないパワーに完全に押さえ込まれてしまい。

その口を大きく開かされた。

「やっやめて!!

 やめてください、

 弟は関係ないですから」

明雄と同様に明美の懇願する声が響く中、

キュポッ!

友子はあの青い小瓶の蓋を開けると、

「うふっ、

 ダメよ、

 一度でもボディビルダー部の部室に入った以上、

 あなたもボディビルダー部員よ。

 この中にはね、

 あたし達がここで流した汗から作った、

 特別なお薬が入っているのよ。

 あなたのお姉さんはこれを飲んであの素晴らしい体になったわ、

 さぁ、あなたもお姉さんと同じようになるのよ…」

と言い聞かせながら、

友子は目を剥いて怯える明雄の口の中へと、

瓶の薬を流し込んだ。



「うっうがぁぁぁぁぁ!!!

 あっ熱い…

 体が熱いよぉ!!!」

程なくして明雄の悲鳴が部室の中にこだますると、

「うぐぐぐぐぐぐぐ!!!」

大粒の汗を噴出し、

喉を掻き毟りながら明雄は苦しむ。

だが、

モリッ!

モリモリモリ!!!

野球部の練習で日に焼けた手足から

筋肉の瘤が盛り上がり始めると、

バリッ!

ビキビキビキ!!!

ムキムキムキ!!!

高校生らしい胸板がさらに盛り上がり、

明美と同等の胸板を作り上げていく、

その一方で、

6つにくっきりと割れ、

さらに腹筋の瘤が盛り上がっていく下腹部では、

ズル…

ズルルル…

明雄の男のシンボルが瞬く間に萎縮してしまうと、

同時に開き始めた縦溝の中へと潜り込み、

そして消えていってしまった。

「うがぁぁぁ…

 あんっ

 あぁっ」

明雄は筋肉隆々の体へと変身するのと同時に、

乳首をピンク色に染まらせ、

そして、女へとなって行く。

「あっ明雄…」

自分と同じ女子ビルダーへと変身していく弟の姿に、

明美は驚愕していると、

「ふふっ、

 どうしたの?」

と友子が話しかけてくる。

「明雄は…

 明雄はどうなっていくのですか?」

そんな友子に向かって明美は弟について尋ねると、

「そうねぇ…

 あの薬を男の子に飲ませたらどうなるか見たかったんだけど…

 うふっ

 どうやら、女の子に…

 あたし達と同じ女子ビルダーになっちゃうみたいね。

 まぁ、いいじゃない。

 双子のビルダーなんてそう居ないし、

 ふふっ、

 とっても注目を浴びると思うわ」

と答えると、

ポンっ

と盛り上がっている肩に手を置いた。




深夜…

「明雄…

 明雄、大丈夫?」

巨大なダンベルマシーンの下でぐったりとしている、

弟・明雄に向かって明美は声をかけると、

「あっ明美…」

明雄はトーンの上がった声で返事をする。

「ごっごめんね、明雄…

 こんなことになっちゃって…」

筋肉が盛り上がる体を小さく丸めながら明美は侘びを入れると、

スッ

明雄の太い腕が動き、

「いっいいんだよ、

 僕達…

 同じ体になっちゃったね、

 僕、女の子になっちゃったんでしょう?」

と聞き返した。

「うっ」

明雄のその言葉に明美は顔を赤らめながら、

彼の股間を見ると、

ピチッ!

明雄の股間を覆うスパッツには男のシンボルの盛り上がりは無く、

くっきりと刻まれた縦溝がその姿を誇示していた。

「明雄…

 そうなのよ、

 明雄は女の子になっちゃったのよ」

それを見ながら明美はそう言い聞かせると、

「そう、

 僕、女の子になっちゃたんだね」

と明雄はあきらめに似た台詞をつぶやき、

その頬に一筋の涙が流れ落ちていった。

すると、

「大丈夫よ、

 あたしが明雄を守ってあげるから…

 だから、泣かないの」

と明美はささやくと、

ギュッ!

っと筋肉で膨らむ弟の体を抱きしめた。

そして、その夜、

「明雄のここの筋肉すごい…」

「明美こそ、そんなに盛り上げて」

「いや、くすぐったいよ」

「あぁ、そこ触らないで」

「うふっ、可愛い…」

「姉ちゃんこそ…」

部室では筋肉隆々の女子ビルダー二人による

狂宴はいつまでも繰り広げていたのであった。



おわり