風祭文庫・異性変身の館






「性転換施設」



原作・nao(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-267





資源の枯渇や環境破壊など複数の要因が絡み合って

連邦政府と国家連合の二大勢力との間に大規模な戦争が勃発し、

この戦争によって双方の人口の3分の1が亡くなり、

環境破壊がより一層進行する結果となった。

そして5年にわたる戦争に連邦政府は勝利したが、

国家連合を構成していた一部の国家の独立を認めざるを得ないなど、

勝利の代償はあまりに大きなものであった。

特に戦争によって多くの男性が兵士として動員された事によって

男女比が大きく偏ってしまったため、

連邦政府は労働力を確保するためにも苦肉の策としてある法案を成立させた。

それは性転換法というものであり、

10年限りという条件で無作為に選択した少年少女を性転換させるというもので、

連邦議会では反対意見も少なくなかったが、

わずかな差で法案が可決されたのであった。

性転換法は各地の施設で性転換するための治療を行い、

それから一カ月間、施設での生活を強いられる。

これは精神も肉体に見合うように変化させていく趣旨があった。


「夏希、体に気をつけるのよ」

「はい、行ってきます」

「お前、よく呑気でいられるよな」

両親や友人の心配をよそに立川夏希(17)は性転換施設へ向かうバスに乗り込んだ。

バスに乗り込むと、

夏希は自分より少し背の低い少年が隣の席に座っている事に気付き、

「あなた、早く降りた方が良いわよ」

「ぼ、僕も施設に行きますから」

「あら、施設に行くのは

 女の子だけかと思っていたわ」

「じ、実は…」

飛鳥が恥ずかしそうに耳打ちすると、

「えぇ!あなた、女の子になりたいの」

「そ、そんなこと大声で言わないで」

「ごめんなさい」

と会話をする。

少年の名前は太田飛鳥(14)、

彼も夏希と同じ施設に向かおうとしており、

以前から女の子になりたいと思っていたのであった。


実は性転換法は飛鳥のように性同一障害に悩む人々の救済策としての一面を持っており、

男でも性同一障害を理由に施設で性転換するための治療を受けられるのだ。

「飛鳥君はきっと可愛い女の子になれるわよ」

「そ、そうですか」

「男でも女でも自分に自信を持たないとダメじゃない」

夏樹と飛鳥が初対面にも関わらずすっかり仲良くなり、

二人はバスから降りると、

「飛鳥君、がんばってね」

「夏希さんもがんばってください」

と言葉を交わしながら別れる。

夏希は他の女の子達と一緒に飛鳥が向かった建物と向かい側の建物に向かい、

治療室で性転換薬を注射された後、

一ヶ月の間、生活する部屋へと案内された。

部屋は三人一組を原則とした相部屋で、

「俺、黒田正枝、よろしくな」

「私、小野田光恵です」

「私は立川夏希」

と自己紹介をしてみせる。

黒田正枝(17)は男勝りで、

小野田光恵(16)は少し腰の低い感じだったが、

三人はすぐに仲良くなった。



夏希、正枝、光恵の三人にはそれぞれ、

夏樹、正敏、光昭という男としての名前が与えられ、

基本的に施設では部屋で共同生活している者同士で行動する。

日を追うごとに夏希達の男性化は進んでいき、

ある日、風呂場で、

「一週間前より5センチも伸びたよ」

「光昭、急に背が伸びたな」

「確かに三人の中で一番背が低かったのに、

 今じゃ三人とも同じくらいの高さだよ」

「それにしても、夏樹、

 お前の大きいな」

正敏が勃起している夏樹のペニスを見てそう言うと、

「は、恥ずかしいじゃないか」

「恥ずかしがるなよ」

「それにしても、

 たった一か月で色々教え込まれて頭がおかしくなりそう」

「一日の半分が勉強なんて冗談じゃないよ」

「それに規則が多いし、

 外出もできないし、

 早く施設から出たいよ」

「そうだね」

といった声が飛び交う。

すると、夏樹はふと飛鳥の事が頭に浮かび、

「彼、いや、今は彼女か今頃どうしているのかな」

「夏樹、好きな奴がいるのか?」

「ずるいぞ

 僕らに黙って向かいの建物に行ったな」

光昭が夏樹の肩に手を置くと、

「ち、違うよそんな事してないよ」

「でも、好きな子はいるだろう?」

夏樹は光昭の質問に口をつぐんでしまった。

部屋に戻ってからも飛鳥の事が頭から離れない夏樹だったが、

正敏が光昭と夏樹に、

「おい、エリア2に行かないか?」

「おい、大丈夫なのかよ」

「大丈夫、ここだけの話だけど、

 許可を取らずにエリア2に行っている奴もいるみたいだぜ」

「施設の職員も意外と甘いな」



夏希達が生活する建物はエリア1、

向かいの半分ほどの規模の建物はエリア2と呼ばれ、

エリア1では女から男になった者、

エリア2では男から女になった者が生活しているのだ。

こうして三人が向かいの建物に向かおうとすると、一人の少女に目が留まり、

「どうした、夏樹?」

「何でもないよ」

「夏樹、あの子に声を掛けろよ」

「ち、違うよ」

「照れるなよ」

「僕と正敏は向こうへ行っているからご自由にどうぞ」

正敏と光昭が向かいの建物に向かうと夏希は少女に近づき、

「君はもしかして太田飛鳥ちゃんだよね?」

「はい、そうですが、あなたは?」

飛鳥は最初、目の前にいるのが夏樹とは気付かなかったが、

夏樹の顔を見て、

「もしかして、立川夏希さん?」

「そうだよ」

飛鳥が生活している部屋で二人はお互い裸になり、

「すっかり逞しくなりましたね」

「君も可愛くなったよ」

夏樹が飛鳥の胸を揉んでいると、

「アーアーン」

「飛鳥の胸、まだ小さいけど感度が良いみたいだね」

「恥ずかしい」

「恥ずかしがらなくていいよ、

 それより痛いと思うけど我慢してね」

そういいつつ飛鳥のクリストスを軽く弄って見せた後、

クッ!

っと秘所に夏樹のペニスが挿入された。

「い、痛い」

「大丈夫かい?」

「ええ、お腹の中でピクピクってしていますよ」

夏樹が腰を強く動かすと、

「アアーン、き、気持ち良い」

「俺、もう我慢できないよ」

ペニスから精液が噴き出すと、

「ごめん、中に出しちゃって」

「私、夏樹さんの子供なら産みたいな」

そう言って飛鳥は夏樹と唇を重ね合わせた。



おわり