風祭文庫・異性変身の館






「カットサロン“ドリーム”」
(第1話:カリスマ美容師)

作・あむぁい

Vol.T-139





そう言えば、月曜日は床屋の定休日だったっけ?

久々の3連休、

時間をもてあました僕、佐々木満夫は散髪に出かけたものの、

しかし、行きつけの店に掛かる「定休日」の札に足を止めると、

少し考えた後、ちょっと街の方に足を伸ばしてみた。

「うーん、

 いつも日曜日に散髪していたから気がつかなかったなぁ」

伸び放題の頭を掻きなが街ちを歩いていくと、

「カットサロン ドリーム」

「カリスマ美容師 鏡矯路の店」

「カット 1万円」などなどと書かれた看板と

「ヨソ様ご用達」の貼り紙が張られた店が目に飛び込んできた。

「はぁ…」

その店の前で思わず足を止めた僕はあたらめて店を眺めると、

二階建ての建物は一階が駐車場でガラス張りの二階が店になっている。

そう言えば雑誌か何かで見た事がある気がする。

建物や内装もセンスを感じさせるし、

いま大人気の俳優「ヨソ様」が使っているのなら良い店なのかもしれない。

1万円は結構痛いけど…

暇なのかナース服似の白い服を着たショートカットの女の子が窓ガラスを拭いている。

すごく可愛い子だ。

目が合うとはにかんで会釈してくれる。

だからと言う訳でもないのだが、僕はこの店に入ってみる。

階段ではイケてる男の人とすれ違う。

やっぱりセンスが良さそうだ。

自動ドアが開くとさっきの女の子がとびっきりの笑顔で出迎える。

「いらっしゃいませぇ」

ミニスカートから見える素足に釘付けになる。

「初めての方ですね。

 すぐ入れますのでこちらにどうぞ」

女の子のお尻の後について奥の席へと向かう。

ふかふかした席はゆったりとしてとても座り心地が良い。

「先生、お客様ですぅ〜」

彼女の声に奥から男が出てくる。

鋭い目つき。

整った顔立ち。

彼がカリスマ美容師なのだろう。

僕は座ったまま会釈をする。

「えーっと、ヨソ様のような感じで…」

僕はさっき思いついた注文を付ける。

「…」

美容師は黙ったまま僕の肩に手を置き、

そしてそのまま揉み始める。

ぽきぽきぽき。

「あ…」

思わず声が出る。

凝っている所を的確に掴み、

ベストの強さで揉まれて、

僕はたちまち身を委ねる。

30秒ほど夢見心地の時間が続いて、やっと美容師は口を開く。

「どうして欲しいかをキミが言う必要は無い。

 キミと言う素材をどう仕上げるかが私の仕事だ。
 
 プロの仕事に口を挟むな。
 
 客はただ待ち、
 
 結果を賞賛すれば良い。
 
 仕上がりが不満なら金を払ってもらう必要は無い」

「ふぁい…」

僕は彼の言葉に頷いてしまう。

傲慢な美容師の物言い。

しかしその自信は確かな技術と信念から来ている…のじゃないかと思える。

よく考えたら、本気でどんな髪型にするか考えていた訳じゃないし。

ショートの女の子が僕の口のよだれをぬぐってくれる。

「ユウくん、準備にかかりたまえ」

「はい。先生」

先生の指示でユウさんはてきぱきと準備を始める、

僕はシーツをかぶせられる。

椅子が傾く。

なんだろう?

加湿器のようなものかな?

ホースが向けられそこから蒸気が僕の顔に向けて噴出する。

かすかにバラか何かの甘い匂いがする。

多分、蒸しタオルの代わりなんじゃないかと思う。

彼女が色々な容器から液を出してブレンドを始める。

丸い刷毛でしゃかしゃかとかき混ぜる。

僕はぺたぺたと顔に白い液を塗られる。

すると彼女は何やら見慣れない道具を取り出すと、僕の顔の上に転がし始める。

きゅぱきゅぱ。

きゅぱきゅぱ。

どうやら、それは吸盤のような道具で、

多分脂肪分とか、

角栓とか取り除いているんだと思う。

これがなかなか気持ち良い。

彼女は一生懸命真剣に道具を操る。

やがてそれが終わったのか、ユウさんはタオルを持って来て僕の目の上にのせる。

「お耳を掃除させて頂いてよろしいでしょうか?」

「あ、うん」

耳元で甘い声がささやく。

冷やりとした感触にぼくはびっくりする。

「アルコールではないんですけど、

 薬液を使ってお掃除するんです」

そうなんだ。

薬を付けた綿棒がこちょこちょと耳をくすぐる。

すーすーして気持ち良い。

「気持ち良いですかぁ?」

「ハ、、い」

僕は裏返った声をあげてしまう。

綿棒が奥へと入って行く。

くすぐったくって気持ち良くって。

ユウさんの息が間近にかかる。

やべ。

勃って来ちゃった!?

「動いちゃ駄目ですよぉ」

綿棒が更に奥へと入ってくる。

と、その時。

僕の口に柔らかい感触が押し当てられる。

な!?

びっくりする僕。

でも耳に綿棒を奥深く突っ込まれているのでどうする事もできない。

こちょこちょと綿棒が動き、僕の口が緩んだ隙を衝いて舌が入ってくる。

あうう。

生暖かい感触が僕の口の中を這い回る。

なんとかゆっくりと逃げようとする僕。

「動いちゃ駄目ですってば」

首の周りにベルトのような感触。

胴体に金属のような感触。

え、え!?

僕は首と胴体を固定されてしまう。

そして、もう片方の耳にも綿棒が挿入されて動きはじめる。

僕は完全に逃げられなくなってしまう。

耳を掻き回され、舌を吸われる。

「耳は脳に近いから結構ダイレクトにクるでしょ?」

「ん、んんっ」

体重がお腹にのしかかる。

犯されてる。

女の子に犯されちゃってる。

視界を遮られた中、僕は陵辱されるがままだ。

僕はあまりの気持ち良さ

に舌を絡めはじめる。

口の中の色々な所に舌がはう。

今まで触れられた事の無い部分の新鮮な刺激が僕を翻弄する。

「あ、この子勃っちゃってますよ。

 未だオードブルなのに」

彼女の指摘に僕は真っ赤になってしまう。

息ができない。

気持ち良くって何も考えられない。

二本の綿棒が僕の耳の中を掻き回し、

僕は思いっきり舌を絡める。

ああっ!?

耳の奥の何かに綿棒が触れた途端、僕は射精してしまう。

大量に吐き出される精液。

やっと綿棒が引き抜かれて僕は解放される。

「んんっ」

「あー、たっくさん出ましたねえ」

足元の方でユウさんの声が聞こえる。

あれ?

じゃあ、僕がキスしてるのは…

「ふむ。

 分かった」

口が離れ、顔の上で声がする。

うわ、先生だ。

お、男とキスしてたんだ。

うげっ。

とまどう僕の腰に近寄り女の子が僕のベルトを外し、ズボンを脱がせようとする。

「ちょ、ちょっと!

 何を…」

「何をって、汚れちゃいましたし…」

異様に手際よく彼女は僕を脱がす。

あっと言う間にパンツまで脱がされてしまった。

シーツの中でもぞもぞしている彼女が僕のペニスを丁寧に拭いてくれる。

気持ちよさにじっとしていると、

カチリッ。

足も片方ずつ固定されてしまう。

「こっちを頼む」

先生と彼女が位置を交替する。

椅子が動き、僕はへの字型に固定される。

頭の下に洗面台が移動してきて、

シャワーが頭にかけられる。

シャンプーがたっぷりかけられて、ユウさんの指が僕の頭を掻き回す。

一方、見えないが、

僕の下腹部には何やらクリームのような、

シャボンのようなものが塗り込められる。

先生の繊細な指が僕の下腹部をまさぐり、

僕はすぐに気持ち良くなってしまう。

ところが、今度は勃たずに、

僕のペニスはだらんとふにゃふにゃの状態になる。

頭を、髪を掻き回す指がとても気持ち良い。

なんだかむずむずしてしまう。

カシャン、カシャン。

腰のほうで鋏の音が聞こえる。

陰毛に鋏が入れられる。

そ、そんな所まで…、

なんだかしびれるような感覚。

ペニスに金属が当たっている。

持ち上げられて…

「や、やめて…」

「ユウくん!」

「了解です!」

頭に新たなシャンプーがかけられると僕の意識はすぅーっと遠くなってしまう。

すっごく眠い…そうして、僕は意識を失ってしまった。



こ、これが…僕?

夢うつつでまどろむ僕の目の前の鏡に美少女が映っている。

髪の毛はまっすぐなストレート。

なんで長くなってんだ?

そう言えばなんか体も一回り小さくなっちゃったような気もするし。

素敵な先生が髪を梳かしてくれる。

なんだか良い匂いがする。

ゆったりとした気分。

とっても落ち着く。

「あ、目が覚めましたか?

 どうです、素敵でしょ?」

「はい」

完璧な仕上がりだ。

さすがは先生だ。

僕は尊敬の眼差しで鏡に映る先生を見る。

先生が腰を落として僕に囁く。

「長さの希望は?」

僕は何を言われているのか分からない。

長さ?

何の?

きょとんとした僕のシーツを女の子が外す。

僕の下腹部が丸見えになる。

「あ」

素敵にカットされたそこには最早ペニスは無く。

変わりに細くて長い赤いクリトリスがあった。

勿論そばには、膣が形成されている。

「クリちゃんの長さ、どうするかって?

 先生はおっしゃってるの。
 
 そのままでも良いけど、
 
 気持ちよすぎて、
 
 一般社会で働くのは難しいかもね。
 
 カットしちゃう?」

彼女の指が僕のミミズのように長いクリちゃんを絡めていじる。

僕は甘い声をあげてしまう。

「それとも、こんなに長くて剥き出しのを付けたままの方が良いかしら?」

「は、はい」

僕は思わず真っ赤になって答える。

彼女が僕を固定していた枷を外して、

僕は鏡の前に立たされる。

鏡の前で一回転。

うん。

ばっちり。

いつの間にか僕は内股になっている。

僕は楽しくなって鏡の前で百面相を始める。

か、かわいい…

先生も僕の出来に満足なのかしきりと頷いている。

「剥き出しクリちゃんだと男物はちょっとキツいんで、

 下着はサービスしときますね」

初めての女物の下着に僕はどきどきして足を通す。

「あう」

女物でもクリちゃんが触れた所がじんじん痛い。

そーっと、

そーっと、

僕はズボンを穿く。

ふぅ。

「カットが1万円と下着8千円で1万8千円になります」

サービスって言ってたのに。

僕はちょっと抗議したかったが、

今更しょうがないのでお金を払う。

すっからかんになっちゃった。

でも、すっごく素敵になったし。

来て良かった。

「有難うございましたー。

 2週間ほどしたら又、生えてきますので、
 
 その時は予約して来てくださいね」

「え!?

 生えて?
 
 くるんですか…」

自然にトーンが下がる。

「だって、生えないと困るでしょ?」

「あう」

そっか。

困る…かも。

あ、でもでも。

生えたらまた先生にカットしてもらえるんだし。

いっか♪

そう思うと気分が明るくなった。

「ありがとうございました」

僕は先生とユウさんにお礼を言う。

「はい、また来てくださいね」

先生も無言で手を挙げてくれる。

素敵な先生…

僕はなんだかわくわくしながら街へと出る。

色々買い物しなくっちゃ。



つづく



この作品はあむぁいさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。