風祭文庫・異性変身の館






「理想の温泉」



原作・あむぁい(加筆編集・風祭玲)

Vol.T-150





混浴…

それは男のロマン。

「でね、先輩〜。

 すごい温泉があるんですよ〜。
 
 僕もう、はまっちゃって〜。
 
 毎週かよってんですよ〜」

馬鹿みたいなしゃべり方。

後輩の笹方だ。

こんな奴でもちゃんと仕事を教えないといけない。

給料はそんなに変わらないのに…

「混浴なんですよぉ〜。

 もう、すごいんですよ〜。
 
 ぴちぴちギャルばっかりなんですよぉ〜」

ぴちぴちギャルって、お前…死語だろ。

「一緒に行きましょうよ〜。

 勿論先輩のおごりで〜♪」

「却下」

混浴で当たりが出ることなど滅多に無い。

おばはんとかばばあばっかりだ。

たまたま行った時にあたりが出ればラッキーなのだ。

たまの休みになんでこいつなんぞと…

「これが映像なんっすよ〜」

最近の携帯は動画も録れる。

「うおっ!?」

なななな、なんで!?

全員美女!?

ロリもおにゃのこもねーちゃんもおくさんも全員美人!?

なんでなんでなんで?

ありぇなーい!?

ってゆーか、何でこの娘オナニーしてんの?

録られてるの!?

「へへっ。

 いいでしょ?」

俺の食いつきに、ついーっと奴は携帯を遠ざける。

「どこ?」

「先輩のおごりなら教えましょう」

「本当にいるんだろうな?」

「大丈夫!

 いつでも美女で一杯ですよ」

「んー…

 とりあえずさっきの俺にメールで送っといて」



んで、

来ちゃったよ。

来ちゃったよ。

口車に乗せられて来ちゃったよ。

ほんとに女の子いるのかな。

俺たちは早速温泉に入る事にする。

タオルをもらって中へ。

脱衣所も男女一緒かよ!

マジかよ!

ビバ!混浴!

ジーク!混浴!

混浴っ万歳!!

嬉しさのあまり思わず両手を挙げそうになるが、

いきなり隣で顔をほんのり赤らめたお姉さんが着替え始めると、

俺はあわててタオルで股間を隠す。

ふふふふ…

そうだ、まさにこれこそ混浴なのだ…

感動した。

実に感動した。

よしっ

行くぞ、

いざ!

いざいざいざ!!!

入浴!!!



ぷ〜んっと良い匂いがする。

中は結構広い。

いるいる。

ロリもおにゃのこも(以下略)いっぱいいる。

男はまばらだ。

白いお湯だ。

泉質はどんなのかな。

美人になる。

ああ、それでか。

それで女の子がたくさんやって来るのか。

温泉につからなくってもみんなすごい美人だけどな。

俺はかかり湯をして湯船につかる。

ん〜最高。

程よい温度。

あまい匂い。

疲れが取れ、体の芯からぽかぽか温まる。

はぁ疲れがとれる…

力が抜けていくぅ〜

うにゅ〜、

脱力感を感じつつ俺は湯船の中で思いっきり手足を伸ばす。

はあ。

なんか良い気持ち。

なんか…眠くて…くぅ〜。



「すいませ〜ん」

あら、ちょっと寝てたみたい。

声がした方を見ると、

20歳そこそこの綺麗な女の子が湯船に入ろうとしているではないか。

しかもノーガードだ。

うほっ。

「あ、ごめんなさい」

俺は慌てながら、

ちょっと場所を空けてやる。

そうそう、当初の目的を忘れていた。

女の子を目で追うと、その娘も振り返ってニコリと笑う。

うむ、他の娘も見てみよう。

湯船から出た俺はとりあえず体を洗う事にする。

あれ?

俺の腕ってこんなに細かったっけ?

それになんか身体も随分と柔らかくなったような…

まぁいいか…

空いている椅子に腰掛けて、

シャンプー出して、

ところで奴は何してるんだ?

目で笹方を追うと…

オナニーをしてる馬鹿女を発見。

…まっ見なかった事にしてやるか。

それにしてマジで馬鹿かあいつ、

あんなに声出して、

胸揉みまくって、

指突っ込んで…

あきれ半分に周囲をよくよく見て見ると、

あちこちでオナニーしている女の子が居るではないか。

てゆーかレズってるカップルも発見。

どうなってんだ。

それどころか俺をおかずにオナってる女も発見。

目が合ったら目を逸らされた。

あ、イッた。

うむむ。

これは。

すると、近くに新たな女が座る。

ごくりっ。

俺は生つばを飲み込む。

巨…巨乳。

俺よりでかい。

俺は自分のおっぱいと彼女のおっぱいを見比べる。

あれ?

俺っておっぱいあったっけ?

まぁいいや、

でも、すげえ…

触りてぇ…

俺は換わりに自分の胸を揉んでみる。

ん…声が出そうになる。

んんっ気持ち良い。

癖になりそうだ。

俺の指はシャボンで隠した秘部へと向かう。

そおっと、クリにさわる。

あふん。

気持ち良い。

俺は巨乳女を見ながら、

巨乳女になって男にやられるイメージでオナニーに没頭する。

ああっ。

あはん。

ああああっ。

……



いやー、あいつがはまるのも分かるわ。

この温泉。

さっき飲んだ温泉のお湯も美味しかったし。

すいません。

温泉で5回もオナニーしちゃいました。

湯船の中でもやっちゃいました。

俺は誰かに謝る。

こんなにオナニーしたのは中学生の頃以来か。

なんかいつもよりずっと気持ち良くって…

さすがにのぼせそうになったので出ることにする。

笹方を探すとオナニーしすぎて気絶している馬鹿を発見。

ちょっと胸にムラムラしてきたので揉んでやる事にする。

「あ、せんぱいっ!?

 や・やーん!」

意外と可愛い声で鳴いた。



結局、俺もあいつものぼせてしまい。

脱衣所でしばらくぐったりしていた。

しゅるしゅるしゅる

のぼせた体が冷え、
 
抜けていた力が次第に戻ってくる。

はぁ…気持ちよかった…

心地よさを感じながら俺は起き上がると、

いつも見慣れた自分の身体が目に映る。

あっ男に戻っている…

ふと、そんな台詞を呟くが、

まっ細かい事はいいか、

で、休憩後、俺たちは帰途についた。



「先輩っ、大変っすよぉ!」

今週もあの温泉に行こうかなーと思っていたところに笹方が飛び込んでくる。

「あの温泉ニュウヨク剤を入れてたって、営業停止になってますよ!」

「にゃにー!」

俺は笹方からスポーツ新聞をひったくる。

××温泉、乳欲剤を湯船に添加!

「なんと…」

俺たちは二人で途方にくれる。

「温泉はどうでもいいんだよー。

 女の子がいればー」

「そうですよ」

「なんで閉鎖すんだよー」

「まったく」

あーあ、可愛い女の子ばっかりの理想の温泉だったのになー。



おわり



この作品はあむぁいさんより寄せられた変身譚を元に
私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。