「温水洗浄便座…ですか」 「はい。 弊社の新商品です。 それをあなたには売って頂きたい」 その言葉ににこやかに社長、堀口孝雄は頷いた。 株式会社ドリーム・ベンチェアを一代で築き上げた男である。 「ふむ…」 一方、こちらはやり手の営業マン、津村俊夫。 若いが色々な会社で様々な商品を売り歩いて来たセールスのプロ。 口八丁手八丁な上に顔も良く、訪問販売の技に長ける。 しかし温水洗浄便座は高額商品である。 そして、欲しい家庭は既に持っている。 2台はいらない商品でもある。 訪問販売の商品としてはあまり筋が良いとは言えない。 津村はここに転職するかどうかを決めかねていた。 「まあ、使って見れば分かる事ですよ。 弊社の商品の良さを。 そろそろ薬も効いてきたでしょ」 「え?」 猛烈な腹痛が津村を襲った。 「弊社の温水洗浄便座は超AIを内臓しておりまして、 その人その人の好みに合わせて、最適の温度と圧力でお尻を洗浄いたしまして…」 説明する男、 東と名のった開発担当者の説明を聞く余裕は最早津村には無かった。 腹を押さえて、東と社長の後に続いてトイレに向かう。 信じられなかった。 温水洗浄便座を使わせる為にわざわざ面接に来た採用希望者に下剤を飲ませるなんて。 脂汗が額を伝う。 「さあ、ここです」 様々な電気装置やコンピューターで一杯の開発室と書かれた部屋にトイレは有った。 東と社長を後に津村はドアを開ける。 「イラッシャイマセ。 アナタノオ尻ノ恋人。 BK−01デス」 銀色のボディに赤青の電球が明滅している。 腹痛が無ければ、絶対後ろを向いて帰っていただろう。 どうだと自慢げな東と社長。 とりあえず、ドアとカギを閉める。 「ズボンヲオロシテ下サイ。 座ッテ下サイ」 いちいちうるさい。 この商品は駄目だ、と津村は思った。 「ウンコヲ出シテクダサイ」 マジで駄目だ。 「ふぅ」 人心地付いた。 「洗浄ヲ開始シマス」 ぶぅんと振動音がして、温水が尻を濡らす。 ぷるっと気持ち良さに震えてしまう。 温度と圧力が確かに素晴らしい。 強弱を微妙に調整し、リズミカルに動く。 ふむ。全く駄目な商品では無さそうだ。 「どうです、弊社の製品は」 「気持ち良いでしょう」 「わわっ!?」 カギを掛けたはずのドアが開いて社長たちが入ってくる。 なんてやつらだ。 「ナカノ洗浄ヲ開始シマス」 しゅるるるっと、 足に何かが巻きついたかと思うと便座に固定されてしまう。 そして温水で緩んだアヌスに適温に保たれた洗浄筒がゆっくりと挿入される。 「ひっ」 油分をまとった洗浄筒は驚くほど滑らかにアヌスの奥へ奥へと進んで行く。 様々なセンサーが津村の快楽を内部から感知する。 津村の反応に合わせて、緩やかな温水が腸の内部を優しく洗っていく。 「あ。あ。あ」 「どうです。最高でしょ」 「これを一度味わったらもう他のトイレではイケなくなりますよ。」 津村の快楽を最大にするために、洗浄筒は蛇のように津村の中を自在に動き回る。 「前立腺ノ刺激ヲ開始シマス。」 中と外の両方から、温水を使った前立腺のマッサージが開始される。 超音波が作った微細な気泡が前立腺に連続的な刺激を与え続ける。 「や、やめ…」 「おや、先走りが出てきましたね」 「そういう時はこのスイッチです」 東がペニスと書かれたスイッチを押す。 「ペニスノ洗浄ヲ開始シマス。 センサー作動。 ペニスノ位置確認。 洗浄開始」 銀色のカバーがせり出し、津村の下腹部を覆ってしまう。 温水と超音波の刺激がペニスを襲う。 「射精ヲ確認シマシタ。 洗浄ヲ続ケマス。 射精ヲ確認シマシタ。 洗浄ヲ続ケマス。 射精ヲ確認シマシタ。 洗浄ヲ続ケマス」 「あ、 はう、 だめ、 やめ、 ああ、 ああああ」 「はあはあはあはあ」 「精液ノ残量ゼロヲ確認シマシタ」 最早津村には何がなんだか分からなくなっていた。 どの位の時間、陵辱が続けられたのか。 「そして、これからが最高なんですよ」 「この、ビデのボタンを押すと…」 ボタンが押された。 「ビデノ洗浄ヲ開始シマス。 センサー作動。ビデノ位置確認。 エラー。 ビデガ検出出来マセン。 ビデノ形成ヲ開始シマス」 「あがっ、 あっ。 がっ。 ぐわっ。 ぎ。 ぐわああああ」 「ビデノ洗浄ヲ開始シマス」 「あっ。 ああっ。 あはん。 あう。 ああああ。 はああ。 あっ。 だ、だめええええっ」 「さあ、うちの製品の素晴らしさは分かっただろう。 とっととパンツを穿いて売って来い」 「あ。 いや。もっと」 「もうお終いだ」 びりびりびり。 便座に電流が流れ、津村の体は飛び上がる。 ぱしんっぱしんっ。 「あ」 東が津村の顔に平手打ちを二、三発食らわす。 「一台売れば、もう一度してやるから。」 「え?ええ」 ようやく、津村の目に光が戻る。 「ぜ、絶対ですからね?」 「ああ。分かってる。行け」 「は、はいっ」 よろよろと立ち上がる津村。 その下腹部には最早全く毛が無く、 綺麗なスリットが怪しいぬめりを帯びていた。 津村はつんのめりながらもトイレを出て、営業に出かける。 便座を売るために。 「ふふふ。これでまた新たな奴隷が誕生したな」 「ええ」 BK−01の洗浄筒は鎌首をもたげ、二人を睥睨する。 赤青のランプが明滅すると、二人は跪く。 「では、BK−01さま。私めの洗浄をお願い致します」 「あ、社長。ずるいですよ。今度は私の番ですよ。 BK―01さま、今回は私めを」 ズボンを脱ぎながら争う二人の男。 その下腹部も無毛で、スリットから淫らな液が溢れ続けるのだった。 おわり この作品はあむぁいさんより寄せられた変身譚を元に 私・風祭玲が加筆・再編集いたしました。