風祭文庫・乙女変身の館






「うららの受難」
(Yes!プリキュア5・二次創作作品)



作・風祭玲


Vol.844





「えぇ!、

 サ●ケにあたしがですかぁ?」

春日野うららの驚いた声が控え室に響くと、

「しーっ

 うららちゃんっ

 声が大きいよぉ」

周囲を気にしながら彼女のマネージャンである鷲尾は口に人差し指を立てる。

「あっ

 すっすみません」

鷲尾の姿を見たうららは慌てて口に手を当てると、

「うん、

 それと、うららちゃんが出るのはサ●ケでじゃないよ。

 サ●ケはあくまで大人の男性が腕を競うもので、

 うららちゃんに話があったのは、

 小中学生の体力に合わせてグレードを落とした特別番組なんだよ」

と鷲尾は番組の説明をする。

「え?

 そうなんですか?」

それを聞いたうららは少しガッカリしてしまうと、

「いっいや、そんなにガッカリしないで、

 これでも結構視聴率が期待できる番組なんだから」

それを見た鷲尾は慌てて励ますが、

すると、

「いっいえっ、

 ガッカリなんてしまいませんって、

 鷲尾さんぜひ、その番組に出させてください」

うららはすぐに表情を切り替え、

目を爛々と輝かせてせがんで見せる。

「そっそうこなくっちゃね。

 うん、

 うららちゃんの気持ちはよく判った。

 じゃぁ、そのように手続きを進めておくから、

 あっそれと、

 他の出演予定者の中には空手の有段者とか、

 いろんなスポーツをやっている子が居るそうだから…

 うららちゃんも頑張らないといけないかもね」

うららの気持ちを知った鷲尾は喜びながらも、

他の出演者についての情報を伝えると、

ピリリ…

鳴り出した携帯電話を取り出し

「はい、鷲尾です」

と話を始めだした。

ところが、

「(え?

  空手の有段者?)」

鷲尾から他の出演者についての情報を得た途端、

うららは驚き、

そして、

「うーん、

 こっ困ったなぁ…」

と一人呟いたのであった。



「え?

 うららちゃん、サ●ケに出るのぉ?」

翌日のNattu Houseに夢原のぞみの興奮したような声が響くと、

「いえ、サ●ケじゃないです。

 サ●ケの姉妹番組と言いますか、

 小中学生向けにグレードを落とした番組なんです」

とうららは番組の説明をするが、

しかし、その表情はどこか曇っていた。

「あれ?

 嬉しくないんだ?」

それを見たのぞみはうららの消極的な様子に驚くと、

「いっいえ、

 そんなことはありませんよ」

のぞみの指摘にうららは驚きながら否定する。

すると、

「サ●ケって、

 体力勝負のTV番組でしょう?

 うらら、大丈夫なの?」

話を聞いていた水無月かれんがそのことを指摘するが、

「まぁ、大丈夫といえば大丈夫なのですが、

 ただ、結構スポーツかなんかやっていた人が出るみたいで…」

うららは身を小さくしながら事情を話し始めた。

「つまり…

 体力に自信が無い。というわけか」

うららの話を聞き終えた後、

瞳を輝かせながら夏木りんが話しかけると、

ギクッ!

うららは少し驚いてりんを見る。

「そっかぁ、

 プリキュアに変身すれば余裕なんだけどね」

驚くうららを見ながらのぞみはそう呟くと、

「夢原さんっ

 そんなこと簡単にできるわけ無いでしょう」

すかさずかれんが嗜めた。

「はぁ…」

のぞみとかれんの話を聞きながらうららはさらに身を小さくすると、

ポンッ

うららの肩が叩かれ、

「そんなに深刻な顔をしなぁいしなぁい。

 ここにスポーツ万能のコーチがあるでしょうにぃ」

とりんはニッコリと微笑みながら自分を指差した。

「おぉ!、

 りんちゃんがコーチしてあげるなら百人力だわ!」

りんの言葉にのぞみは手を叩くと、

「まぁ…

 確かに夏木さんならトレーニングに精通していますし、

 思い切って鍛えてもらったらどうかしら」

とかれんもりんの提案に賛成してみせる。

「うららちゃんのトレーニングコーチは

 りんちゃんにけってーぃ!」

かれんの言葉を受けてのぞみが高らかに叫んだとき、

「あれ?

 こまち、さっきからずっと黙っているけど

 どうしたの?」

自分の隣で俯き加減に頬を赤らめている秋元こまちにかれんが話しかけた。

しかし、

「ハァ…

 ハァ…

 ハァ…」

こまちは小さく吐息を吐きながら、

モソモソと股間を押さえた手を動かすだけで、

かれんの言葉に返事をすることはなかった。

「?」

「こまちさん?」

「おーぃ」

そんなこまちの姿を見た4人は代わる代わるこまちに話しかけると、

「!!っ、

 え?」

ようやく気がついたのか顔を上げたこまちは慌てて左右を見ると、

「こまちさん。

 顔が赤いですけど…

 体の具合が悪いんですか?」

とうららが話しかけてくる。

「え?

 ううん、

 だっ大丈夫よ、

 あっ、もぅこんな時間。

 いっけなーぃ、

 あっあたし用事があるからこれで失礼するね」

こまちはスカートの前を手で押さえながらカバンを取り出して支度を整えると、

逃げるようにNattu Houseから飛び出してしまった。

「なんか、このところこまちって変ね…」

「うん、どうしちゃたのかな?」

街の中に消えていくこまちの後姿を見送りながら4人は頷くと、

「追いかけてみるココ?」

とモコモコ姿のココが提案する。

その途端、のぞみ・りん・うららの目が輝くが、

「こまちは大丈夫だと思うわ、

 それよりもいまは春日野さんのトレーニングが先じゃない?」

とかれんが指摘すると、

「うーん、そうか…」

「確かにこまちさんも気になるけど、

 うららちゃんのトレーニングの方が先よねぇ」

未練そうにりんとのぞみは頷き、

クルリとりんが振り返ると、

「じゃぁ、早速始めますか。

 このあたしがうららが優勝できるように鍛えてあ・げ・る」

と指をボキボキと鳴らした。



「何事も基礎体力が無くっちゃダメよ、

 まずは軽く腕立て伏せから行ってみようか」

Nattu house からほど近い公園の一角で

トレーナー・パンツ姿のうららに向かってりんはそう言うと、

「よーしっ、あたしも頑張るぞぉ」

「はいっ」

気合十分のうららはのぞみと共に運動を始めだすが、

「もっもぅダメですぅ」

開始から10回も持たずにギブアプしてしまったのであった。

「そ、そう、

 じゃぁ次行ってみる?」

とりんの指示を受けて次々とメニューをこなそうとするが、

バタッ!

ついに二人ともギブアップしてしまうと、

「うーん、

 まっまぁ、最初はこの程度で十分よ…

 (のぞみもそこまで付き合うこと無いのに)」

予想もしなかった早いギブアップにりんは困惑した表情をみせていた。

しかし、それ以降も粘り強くうららはトレーニングを続け、

その甲斐あってか、

「はっけよーぃ、

 残ったぁ!」

「ふんっ!」

バシッ!

「うぉぉぉっ!」

ズザザザザ…

「たぁ!」

ドスーン!

「勝負あり、うららちゃんの勝ちぃ」

土俵際でりんを投げ飛ばしたうららにのぞみは軍配をあげると、

高々と勝ち名乗りをあげたのであった。

「あんた達は…一体何の稽古をしているの?」

砂まみれになっている3人をかれんは呆れた顔で見ると、

「いやぁ、のぞみが朝○竜と白○のどっちが強いのかって言い出だしてね」

うららに負けたりんは苦笑いをしながら経緯を話しはじめ、

そして、

「はーぃ、あたしが白○役でしたぁ」

とうららが声を張り上げると、

「うんうん、

 いやぁ、

 うららちゃんは強かったぁ」

幾度ものぞみは頷いてみせる。

と、そのとき、

「あれ?

 こまちさんは?」

りんは姿が見えないこまちの事を尋ねると、

「うん、

 最近、こまちったら学校を休んでいるのよ」

りんの質問にかれんはそう答え、

心配そうな顔を見せる。

「体の具合が悪いんですか?」

かれんのその表情を見たうららが聞き返すと、

「みんなでお見舞いに行ってみようよ。

 けってーぃ!」

そうのぞみが声を上げたとき、

「うららちゃぁん!!」

うららのマネージャである鷲尾が姿を見せ、

「こんな所に居たの?

 探したよぉ」

息を切らせながら駆けつけてきた。

「鷲尾さん、

 どうしたんですか?」

鷲尾の姿を見たうららは驚きの声を上げると、

「あぁ、うららちゃん。

 例の番組の収録が早まっちゃって、

 明日になってしまったんだ」

と申し訳無さそうに鷲尾は番組の収録期日の変更を言う。

「えぇ!」

それを聞いたうららは驚くと、

「大丈夫だって、

 自信持ちなよ」

驚くうららの肩をポンポンと叩いてりんが言うと、

「それはそうですけど(コホッ!)」

励ますりんに向かってうららは咳をしながら返事をしたのであった。

「うららちゃん?

 まさか、風邪を引いちゃったの?」

思わず鷲尾が心配そうに尋ねると、

「うそぉ、

 体の具合が悪ければ言ってくれれば良かったのに」

のぞみが驚きの声を上げる。

「え?

 あぁ、そうじゃないです。

 ちょっと埃が喉に入っただけです。

 大丈夫ですって」

のぞみやりんのことを気遣いながらうららは言い、

「さっ、Nattu Houseへと戻りましょう」

と皆を引き連れてNattu Houseへと戻っていった。



「うーん、

 喉がいがらっぽいなぁ」

途中、鷲尾と別れてうららたちは Nattu House へ戻るが、

制服に着替えてからもうららは咳をしていると、

「今日は早く帰ったほうが良いわよ」

「そうよ、

 明日は大切な日なんだから」

りんやかれんが帰ることを勧める。

その時、

「あっそうだ、

 あたし、咳止めのトローチもっていたんだ」

咳止めの薬を持っていたことを思い出したのぞみはカバンを開け、

トローチが入っている容器を取り出すと、

「はい、うららちゃん、

 手を出して」

そう言いながらトローチを一粒うららに渡そうとしたとき、

コロッ!

「あっ!」

容器から出たトローチがうららの手に弾かれてしまうと、

「わっとっと」

「あっえっっと」

のぞみとうららは二人揃って落ちるトローチを拾おうと手を差出し華麗に舞い始めた。

「二人して何やっているのよ」

そんな二人を見ながらりんはあきれた表情をしてみせるが、

「とったぁ!」

なんとか床に落ちる前にうららが掴みあげると、

「のぞみさんっ、

 ありがたくいただきます」

そう礼を言いながらトローチを口の中へと運んでみせた。

ところが、

「あれ?

 うららちゃん。

 トローチならこっちに…」

キョトンとしながらのぞみは自分の手の中にあるうららにトローチを見せると、

「ってことは

 うらら?

 何を…いま食べているの?」

りんは心配そうに尋ねた。

「え?

 何って…

 あれ?

 あれ?

 ウグッ!」

驚くうららが急に胸を押さえると、

メリメリメリメリ!!!!!

見る間にその体が膨れ始め、

膨れ上がり発達していく筋肉がうららの身体を覆いつくし、

さらに股間が勢いよく伸びてしますと、

「うわわわん、

 なにこれぇ!!!」

股間をモッコリと膨らませるマッチョな肉体美を晒しながら

うららは泣きだし始めてしまった。

そして、

「まさか…

 うららちゃん。

 まだあの錠剤を持っていたの…」

のぞみ達は呆気にとられながら

股間を逞しく起立させギリシャ彫刻を思わせる筋骨隆々な姿となったうららを眺めていたのであった。



おわり