風祭文庫・異性変身の館






「ドリンク剤」


作・風祭玲

Vol.659





ユサッ!

「おいっ見ろよ」

”…………”

ユサッ!

「すっげー」

”男って…”

ユサッ!

「はぁ…あの胸に埋もれたい」

”男って!…”

ユサッ!

「ねぇねぇ、彼女!!

 ちょっと、

 ちょっとてばぁ」

”男ってぇ!…”

「なによっ

 どうせ、この”胸”目当てなんでしょう!!」

学校帰りの夕方、

声を掛けてきたイケメン大学生風の男に向かって、

あたしは思わず怒鳴り飛ばしてしまうと、

「はっはいっ!」

その男は震え上がりながら飛んで逃げ出していく。

ハァハァ

”やっぱり…

 この胸が目当てだったんじゃない…”

そんな男の後ろ姿を見ながらあたしは息を荒げていると、

「もぅ、美保ったら…」

と隣を歩く親友の桑野夏子が呆れた表情であたしを見ていた。

「ふんっ

 まったく、男共って…

 ハエのようにたかってくるんだから…」

そんな夏子にあたしはそう返事をすると、

「そんなこと言わなくても…」

と彼女は呟く、

「だってそうでしょう。

 連中ったらあたしでは無くって、
 
 この胸に寄ってくるのよっ
 
 もぅ、うざったいったらありゃしない!」

見事に成長し、

制服を下から押し上げる自分のバストを指さして、

あたしは文句を言うと、

「そうかなぁ…

 あたし…美保が羨ましいよ」

と夏子はため息混じりに返事をする。

「羨ましい?」

「だってさ、

 美保ってスタイル良いじゃない。

 出るところは出て、
 
 引っ込むところは引っ込んでさ、
 
 それに比べてあたしっさ、

 出るところは出てないし、
 
 引っ込むところは引っ込んでいないし…

 いつも思っているのよ、
 
 美保みたいになれたらって…」

「そんな…

 あたしこそ夏子が羨ましいよ。

 こんなに胸があったって、

 肩は凝るし、
 
 走れば揺れて走りずらいし、

 ちょっとでもテストの成績が悪かったら、

 胸がデカイからって陰口言われるし、
 
 胸が大きくて良かった事なんて一度もないよ」

あたしの胸を羨ましがる夏子に向かって悩みを打ち明けた。

「そうなんだ…

 美保も大変なのね」

あたしの悩みを聞き、

夏子が頷くのを見ながら、

「そうよっ」

”まったく…

 神様の意地悪…”

とあたしは心の中で神様を恨んだ。



あたしの名前は山中美穂。

17歳の高校2年生。

コレと言った部活には入っていない

勉学に恋に生きるごく普通の乙女なんだけど、

でも、そんなあたしの大きな悩みがある。

それは、このバスト。

生理が始まった小学生の頃から成長を始めたあたしのバストは、

すでに90cmを超えた存在になっていたのであった。

無論、そこそこのサイズまではあたしも喜んではいたけど、

でも、限度を超えてくると厄介者になってくる。

さらにその巨大さ故、

日々の生活にまで支障が出る始末。

小さめのブラを付けて小さく見せようとしたり、

バストの発達に良いとされる食物を

ワザと摂らないで成長を抑えようとしたり、

色々試してみたけど、

でも、あたしのバストは頑とはねつけ

成長をしていったのであった。

そして、

”いっそのこと、整形手術か何かで小さくできないか…”

最近そう考えるようになったあたしは

インターネットでバストの縮小手術のことを調べてみたが、

高校生のバイト代程度ではとても手術代を払えるわけもなく…

ただ、指をくわえて画面を見ている日々が続いていた。

けど…

バストがない男達にとってはあたしのバストはとても魅力的らしく、

まるで甘いものにたかるアリの如く言い寄り、

そして、触ろうとする。

まったく…男ってやつは…



「元気を出してね」

あたしのことを気遣う夏子と別れたあたしは

ただ1人、自宅に向かって行く、

ユサッ

ユサッ

ブラで押さえているにもかかわらず、

歩みを進める毎にあたしのバストは山が動くように左右に揺れる。

”はぁ…

 小さくならないかな…”

そう思いながら歩いていくと、

程なくして一軒のディスカウントストアが目にとまった。

最近開店したばかりのこの店の看板を見ているうちに、

「あっそうだ…」

あたしは乳液を切らしていることを思い出すと、

躊躇いなくディカウントストアに入っていく。

「いらっしゃいませ」

店員の声に迎えられ、

あたしが向かった先は併設されているドラッグストア、

「んーと、

 あぁこれね」

そのドラッグストアでいつも使っている乳液を手に取ったとき、

ふと、隣の棚を見ると、

そこには健康ドリンクを思わせるドリンク剤の瓶が並んでいて、

「汗ばむバストがすっきり」

の文句と共に、

ハナマルが付けられたポップが貼り付けられていた。

”へぇぇ

 バストスッキリか…

 あっそういえば、
 
 アセモが出来ていたんだっけ”

ポップを見ながらあたしはバストの下に、

アセモが出来かかっていることを思い出すと、

手を伸ばし、

そのドリンク剤を手に取る。

 ”ふぅぅん、

 黒蛇堂製薬かぁ…
 
 聞いたことがない名前ね、
 
 新手のメーカーかしら…”

あまり聞いたことがないメーカーの名前に思わず不安になるが、

でも、棚の商品はそこその売れているようであるので、

とりあえず2本を買い物カゴに入れ、

レジへと向かっていった。

「(ぼそ))毎度ありがとうございます。

 この商品の効き目は一度きりですのでご注意ください」

「は?」

レジに店員の蚊の鳴くような声にあたしは聞き返してしますと、

「使用上の注意を良くお読みになって、

 ご使用ください!」

突然、店員は大声を張り上げ、あたしにそう告げた。

「なっなに?

 この店員は…」

店員の声にあたしは驚きながらお金を支払うと、

”もぅ、店長にクレームのメールを出してやろう”

と思いながらディスカウントストアを後にした。



「えーと、

 ふむ、一本飲めばいいのか。
 
 二本買っちゃったけど、
 
 まぁいいか」

自宅に帰り、説明書を読んだあたしは、

さっそくドリンク剤のキャップを外し、

グビッ

っと一気飲みの要領で飲んでみる。

ヒヤッ…

あたしの喉を冷たくそして甘い感覚が一気に駆け抜け、

そしてそのまま胃の中へと収まっていく。

「ふぅ、

 なんか甘くて美味しかったわね」

ドリンク剤を飲み干したあたしはそう感想を言うと

ぐるるるぅ…

お腹が鳴るような奇妙な音があたしの胸の辺りから鳴り響いた。

「え?」

突然響き渡った音にあたしは驚くと、

ぐるるるるぅ…

またしてもその音が鳴る。

「なっなにかしら?」

二度鳴り響いた音にあたしは自分の身の回りを確かめてみるが、

しかし、音に繋がるものは何処にもなかった。

「なっ

 なによっ
 
 気味悪いわねぇ」

正体のわからない音にあたしは気味悪がるが、

けど、音はその2回のみでそれ以降は響くことなく、

「?」

あたしは不安半分にきつめのブラを外し、

そのままはベットにうつ伏せになって転がった。

「ふぅ…」

こうしてベッドに転がっているときが一番楽だ。

ゴロゴロ転がりながらあたしはマンガを読んでいると、

ぐるるるるるるぅ…

鳴りやんでいたはずのあの音がまたしても響き渡った。

バッ!

その音にあたしは慌てて飛び起き、

「なんなのよっ」

と叫び声を上げた途端。

ジュブジュブと音を立てながら、

あたしのバストが萎み始め出したのであった。

「え?

 うっそぉ!!」

視界に突き出す二つの膨らみが引っ込んでいくように

小さくなっていく様子にあたしは驚いていると、

ジュブジュブ

ジュブジュブ

あたしのバストは風船がしぼむように小さくなっていき、

ついに真っ平らになってしまった。

「うっそぉ!!

 なくなっちゃった!!」

散々邪険にしてきた巨大バストが影も形もなくなり、

さらに乳首も小さく、

そして扁平になってしまった自分の胸に

あたしは目を見張っていると、

ムズッ!

今度は股間で何かが蠢き始めた。

「なっなにぃ?」

今まで感じたこともないムズムズした感覚に

あたしは戸惑っていると、

ムリッ!

グッグググググ…

いきなり股間が突っ張り始めた。

「いやっ

 やめて!!」

身体の中から棒が突きだしてくるような感覚と共に

モリッ!

モリモリモリ!

穿いていた下着が膨らみ始めた。

「うっそぉ!!!」

グィグィと膨らんでくる下着にあたしは目を剥いていると、

ググググググ!!

下着はさらに膨らみ、

思いっきり張りつめていく、

そして…

その限界を超えたとき、

ブルン!!!

張りつめ切った下着を一気に弾くと同時に、

ムリンッ!!

「!!!!っ」

あたしの股間から肉の棒が飛び出し、

さらに、その勢いで先端が剥けてしまうと、

赤黒く、大きなエラを張った肉の固まりが姿を見せた。

「うっそぉ!!

 これって、男の人の
 
 オチンチン!?」

縦に開く口を持った肉の固まりを見ながらあたしは驚いていると、

ジワジワ

ジワジワ

腕や脚、

バストが消え平らになった胸に毛が生え始め、

さらには、顎の周りからも髭が伸び始めだした。

「いやっ

 いやっ
 
 いやいや」

指にまで生えてくる毛にあたしは悲鳴を上げるが、

その間にも、

ブラン

オチンチンが生えた股間に玉を納めた袋が垂れ下がり、

さらに、平らだった胸から筋肉が盛り上がると、

細い手足にも筋肉が張りつめて行く。

「そんなぁ

 ひどいよぉ…
 
 なんで、
 
 なんで、
 
 あたしが男にならないとならないのよ」

ひげ面の毛むくじゃらの頑健な男の肉体になってしまったあたしは、

呆然と座り込みながら、

股間から勃起するオチンチンを見つめていたが、

いつの間にかそのオチンチンを握りしめてしまうと、

シュッシュッ

その握りしめた手を上下に動かしてしまっていた。

「あっ

 気持ちいい…」

シュッシュッ

シュッシュッ

「あっ

 あっ
 
 あぁっ
 
 いぃ
 
 いぃよぉ、
 
 女の子のひとりエッチよりも気持ちいいよ」

手を動かしながらあたしはオチンチンが起こす快感に次第に溺れ、

そして、さらに激しくオチンチンを扱いた。

すると、

ググググ…

最初は掌に収まるほどの大きさだったオチンチンがさらに大きくなり、

あたしの手の動きもその分大きくなっていく、

「あぁっ

 いぃ
 
 でっ出ちゃう。
 
 出ちゃう。
 
 出る。
 
 出る」

身体の奥から込み上がってきた衝動にあたしの口からその言葉が出てきてから、

程なくして、

「あぅぅぅぅ」

あたしの雄叫びを共に、

ビュッ!!!!

握りしめるオチンチンから生臭い臭いと共に白い線が一直線に伸びていった。



ハァハァ

ハァハァ

噴き上げた粘液でベトベトになってしまった手を持ち上げながら、

あたしは虚脱感を感じていたが、

しかし、ケータイを握りしめると、

あるところに電話を掛ける。

「あっもしもし、

 夏子ぉ、
 
 ちょっと家にこない?
 
 とっても気持ちいいコトしようよ」

もぅ一本残っているドリンク剤を見つめながら、

あたしはそう告げていのであった。

そして、その夜。

「あっ

 あっ
 
 あっ」

「おっ

 おぉ…」

毛むくじゃらの頑健な男達が上げる雄叫びが

何時までも響き渡っていた。



「なぁ、夏子

 またドリンク買ってこようか…

 クラスの女達にチンポと髭を生やしてやろうぜ」



おわり