風祭文庫・異性変身の館






「ザクロ」


作・風祭玲

Vol.670





「ハァハァハァ

 ハァハァハァ」

カーテンを閉め切った薄暗い部屋に男の荒れた息が響き渡り、

シュッシュッ

シュッシュッ

シュッシュッ

何かをこすりつける音共に、

壁に伸びる影の一部が激しく上下に蠢いていた。

「あぁっ

 あぁっ

 はぁはぁ

 はぁはぁ

 彼女に…
 
 彼女のアソコに俺のコレを…
 
 あぁ、思いっきりぶち込みてぇ」

汗ばんだ顎を上に上げる金子瞬は

脳裏に一糸まとわぬ女性のあられない姿を思い浮かべると、

その女性に向かって抱きつき、

そして、彼女に抱かれながら固く伸びた己の肉棒を

その女性の局部へと押し込む妄想を展開する。

「あぁっ

 いいぜっ
 
 いい締まり具合だ。
 
 へへ…
 
 あがけ、
 
 もがけ、

 どうだ、俺のチンポの味は、
 
 へへ…
 
 オマンコがグジュグジュになっているぜ、
 
 見てみろよお前の顔、
 
 さっきまでのすました顔も台無しだぜ…」

妄想の中の女性を犯しながら瞬は譫言のようにそう呟き、

「あっ
 
 うっ
 
 うぉぉぉっ」

突然、雄叫びを上げると

シュッシュッ!

灯りがついていない天井目がけて、

白い筋が幾本も伸びていった。

「ハァハァ

 ハァハァ
 
 あぁ……」

射精後の余韻に駿は浸っていると、

ピンポーン!!

突然、玄関の呼び鈴が鳴り響いた。

「(ハッ)え?

 あっ!」

響き渡った呼び鈴の音に駿は慌てて飛び上がると、

バ・バ・バ・バ

コマ送りの如く大急ぎで着替えを行い。

そして、

「あっはいはい」

と何食わぬ顔をしながら玄関のドアを開けると、

「毎度ありがとうございます。

 宅配便です」

と言う声と共に宅配業者の制服も凛々しい女性が

笑みを浮かべながら挨拶をした。

「あっ」

「金子様にお届け物ですが」

「……」

「金子様?」

その時、瞬は宅配業者の女性がさっき自分が

妄想をしていた女性と極めてよく似ていた事に呆気にとられていた。

そして、待つこと約1分後、

「あっ

 え?

 あっはいはい」

ようやく我に返り、

「えっと、

 さ・サインですね」

と気を取り直して女性に言う

「毎度ありがとうございました」

「ど・どうも…」

荷物を受け取った駿は作り笑いをしながら

去っていく女性を見送り、

そして、その姿が消えてしまうのと同時に、

シュッシュッ

シュッシュッ

「うっ…くぅぅ…」

またしても一発抜いたのであった。

そして、その日からあの宅配業者の女性を自宅に訪問させるため、

駿は通販で品物を買うようになり、

また、女性も幾度も瞬の部屋を訪れたために

徐々に顔見知りへとなっていったのであった。



「うーん、次は何を注文するか」

めぼしいモノを大方注文をしてしまった駿は、

次に何を頼もうかと通販雑誌を捲っていると、

ふとあるページでその指が止まった。

そこには

「中国4千年の奇跡。

 コレを食べれば貧弱な身体も

 たちまち逞しくナイスな身体に…」

と言ううたい文句でザクロの実が紹介されていたのであった。

「はぁ?

 なんか妖しいなぁ…」

そのページを見ながら駿はそう言うモノの、

しかし、駿にはある悩みがあった。

それは、

モヤシと言う言葉がピッタリと当てはまってしまう

貧相な自分の体であった。

「うーん…」

その身体を思いつつ、

駿はしばし考えていると、

ふとある考えが浮かび上がる。

それは、このザクロの実を食べて、

逞しいマッチョな男の身体を手に入れ、

そして、あの宅配の女性に呼び寄せて襲いかかる。

と言う、もはや犯罪であるトンでもない計画だった。

だが、

「えへへ…

 それはいいかも…」

シュッシュッ

すっかりその妄想に駆られてしまった駿は

股間のイチモツを扱きながらその業者のHPへアクセスをした。



「金子さーん、

 宅配です」

それから数日後、

あの女性に抱かれてザクロは瞬の元へと届けられた。

「どうも…」

「海外から取り寄せですか?」

「えぇ、ちょっと面白いモノを見つけましてね」

「それは良かったですね」

玄関先でいつもの会話をした後、

駿は荷物を受け取ると、

「あの…」

と女性に声を掛ける。

「はい?」

彼のその声に女性は振り返ると、

「今度来られたとき、

 僕は変身していると思いますから、
 
 驚かないでくださいね」

と駿は女性に告げた。

「はぁ…」

「うふふ…」

キョトンとする女性に駿は意味深な笑みを浮かべると、

ゆっくりとドアを閉めた。



「さて」

女性から荷物を受け取った駿は早速箱の封を切り、

中に入っていたザクロの実を取り出した。

そして、

「ふーん、

 全部で6つか…

 えーとなになに?

 5日おきに1個食べると、

 1ヶ月後にはナイスな身体になるのか

 ふーん…

 まぁ、このまま食べれば良いんだな…」

と同封されていた説明書を読みながら、

駿は1つの実を手に取り、

それを丸かじりにした。

「うぇっ

 酷い味だ…」

駿はザクロの味に思わず吐き出しそうになるが、

「と言っても折角買ったんだし、
 
 それに俺は変身をしないとならないんだ」

と自分に言い聞かせ、

かじりついたザクロを皮ごと、種ごと食べてしまった。

しかし、

「うー…

 気持ち悪い…

 胃持ち悪い…」

そのザクロに当たってしまったのか、

強烈な吐き気と気持ち悪さにベッドに倒れ込み、

そのまま寝てしまったのであった。

そして翌日、

「うっ」

気がついた駿が起きあがると、

「あれ…

 なんか、身体が軽いし、
 
 それに力が湧いてくる…」

と身体がいつもと違うことに気がついた。

「これって、ザクロのおかげかな?」

身体の奥から湧いてくる力に駿は感心しながらも、

「そうだ…」

とあることに気づくと、

ウシッ

ウシッ

コレまでしたことがなかった腕立て伏せをし始め、

さらに腹筋運動までもし始めてしまったのであった。

こうして、4日間の間、

駿は部屋の中で運動ばかりを行い。

5日目に説明書通りに2個目のザクロを口にした。

「う…

 相変わらず酷い味だ…

 それに気持ち悪い…」

と初めて口にしたときと同じように寝込んでしまった。

だが、

それも、口にしたときの日だけで、

翌日には湧いてくる力に突き動かされるように、

駿は筋力トレーニングを始めていた。

幸いと言って良いのかどうか判らないが、

コレまでに通販で買ったものの中に、

いくつかのトレーニング機材があり、

駿はそれらを使ってトレーニングに励んだ。

こうして、3つ目のザクロを口にするときには、

駿の腕には力瘤が姿を見せ、

弛みが生じていたお腹はキュッと引き締まっていた。

「へえぇぇ…

 すげぇぇ」

腕を折り曲げ、

浮き出る力瘤に駿は嬉しく感じるが、

だが、駿の胸では乳首が以前より一回り大きくなり、

また、乳輪から乳首が飛び出してしまうと、

その周りもふっくらとした膨らみが姿を見せていた。

そして、彼が毎日散々扱いていたイチモツは勃起をしても、

以前の半分程度の大きさと萎縮をしてしまっていたのだが、

しかし、トレーニングに夢中になり、

すっかり扱くことを忘れていた駿は気づくことがなかった。



ガリッ!

駿は3個目のザクロを口にし、

「うー気持ち悪い…」

2個目の時と同じように寝込んでしまうと、

ムリッ

ムリムリムリ!!

寝込んでしまった瞬の身体がゆっくりと変化し始める。

ハッハッ

ハッハッ

翌朝、

いつもと同じように筋力トレーニングをする瞬だったが、

しかし、その胸では

プルン

プルン

っと揺れるほど膨らんでしまった左右の膨らみが

身体の動きに合わせて規則的に揺れ、

ツンと盛り上がる乳首がシャツに影を作るようになっていた。

「うっ

 くっ
 
 あんっ」

ハスキーな声を上げ、

駿は胸から来る刺激に思わず声を漏らしてしまうと、

「はぁ…

 なにかな…
 
 胸が…
 
 痛いと言うか、
 
 シャツに擦れて…
 
 感じちゃう…」

と膨らんだ乳首から生じる刺激に困惑をし始めていた。

だが、

駿はトレーニングをザクロを食べることは止めなかった。

トレーニングに明け暮れながら4個目のザクロを食べ、

そして、その翌日には、

さらに駿の身体は変化をする。

「ハァハァ

 ハァハァ
 
 アンッ
 
 うっ
 
 んくっ…」

クニクニ

クニクニ…

5つ目のザクロを食べた翌朝。

ムッチリと膨らんだ乳房を揉みながら、

駿は股間で小指ほどになってしまったイチモツを細い指でつまみ、

盛んにそれをいじり回していた。

「うんっ

 んっ
 
 んあっ
 
 かはっ
 
 いいっ
 
 いいよ、
 
 あぁ、
 
 ビク
 
 ビクってくるぅ…」

甘い声を上げながら、

駿は身体をくねらせ、

クニクニ

クニクニ

っと透明な液体を流すイチモツを扱き続けた。

そして、

「あっ

 だめっ
 
 あぁっ
 
 あぁっ、
 
 イク
 
 イク
 
 イクぅ
 
 あぁんっ」

ビクビクビク!!

身体を小刻みに痙攣させながら、

駿は男とは違う絶頂を味わってしまうと、

「あっ

 あっ
 
 あぁ…」

身体を震わせ続けながら、

ベッドの上で天井を眺めていた。

「はぁはぁ

 はぁはぁ
 
 おっ俺…
 
 どれだけ変身したのかな…
 
 胸がこんなに膨らんじゃったのは予想外だったけど、
 
 でも、力瘤はこんなに盛り上がるし、
 
 それに、腹筋だって…こんなに…」

伸びた髪を背中に流しながら瞬は起きあがると、

この一月近くで変化した自分の身体を見た。

そして、

「後もう少し…で、

 俺は変身するんだ。
 
 あはは…
 
 あの宅配の…あの人を…
 
 あれ?
 
 俺って彼女に何をしようとしていたんだっけ、
 
 まぁいいか、
 
 ふふっ
 
 とにかく、この身体を見て貰おう…
 
 変身したあたし…じゃなかった俺のこの身体を…」

身体の変化の影響だろうか、

駿は当初の目的を忘れしまいながらも、

再び筋力トレーニングを始め出す。

そして、

6つ目のザクロを口にしたとき、

「うっ

 くぅぅぅ…
 
 お腹が…
 
 お腹が痛い…」

ザクロを食べた駿はシクシクと来る痛みに思わず、

腹筋が盛り上がるお腹を押さえてしまうと、

そのまま蹲ってしまった。

生理であった。



股間を血で染めながら、

駿はトイレに駆け込むと、

ピチョンピチョン

と鮮血を滴らせる股間をペーパーで拭き始める。

だが、

「あっ

 ない…
 
 チンコがない…」

その時になって駿は自分の股間からペニスが消え失せていることに気づくと、

あわてて股を広げるが、

しかし、そこには血を流す縦溝はあるものの、

つい1ヶ月前まで盛んに扱いてきたペニスはもちろん、

皺まみれの陰嚢も影も形も消え失せていたのであった。

「うそっ

 これって、
 
 女?
 
 なんで、
 
 いつから、
 
 おっ俺って女になってしまったのか…」

Eカップ近くにまで膨らんだ乳房を持ち上げながら駿は呆然とするが、

「あっ箱…」

箱のことを思い出すなり、

スグにトイレから飛び出し

股間から血を滴らせながら、

あのザクロが入っていた箱をゴミ箱から取り出しすと

それを詳しく調べた。

すると、

【女性専用です。男性の方はご遠慮ください】

と言う一文が箱の隅に書かれていたのであった。

「うそ…

 じゃぁ、俺は女用の食べて…

 …女になったの?」

その時になって自分が女性に変身してしまった事を認識したのであった。



ピンポーン!

「金子さん、宅配便です。

 お届け物です」

瞬の部屋に呼び鈴が鳴り、

あの女性の声が外から響いた。

しかし、いつもながら帰ってくる返事は返らず。

カチャッ…

無言のままドアが小さく開くと、

「金子さん?」

女性は怖々とそのドアを開けた。

すると、

「待っていたわ…」

と女性の声が響き、

「うふっ、

 あたしって逞しい?」

と乳房を揺らし、

発達した筋肉を見せつけながら女性が彼女に尋ねた。



「うふっ

 俺だよ…
 
 この部屋に住んでいる金子駿だよ。

 だけど、もぅ女なんだ…」



おわり