風祭文庫・異性変身の館






「純の欲望」


作・風祭玲

Vol.664





「どうした。

 元気がないみたいだけど」

残暑が相変わらず厳しい初秋の午後、

6時限目の体育の授業が終わり、

更衣室へと戻っていく行列の中で隼人駿は

クラスメイトと混じって歩く親友の田原純に声を掛けた。

「え?

 あぁ、駿…」

駿が掛けた声にジャージ姿の純は振り向くが、

しかし、その表情はどこか虚ろであり、

その目線は駿をちゃんと捕らえてはなかった。

「純?

 本当にどうしたんだよ

 身体でも悪いのか」

そんな純の様子を見て

駿はハッパを掛けるつもりで、

その肩をパンッと叩くと、

「あんっ、

 痛い…」

と純は女のような声を上げ、

身体を捩った。

「うっ

 なっなんだよっ

 その声は…

 き・気持ち悪いじゃないか…」

純の口から飛び出した声に駿は飛び上がって驚くと、

ジッ

純は何も言い返さずに顔を赤らめ駿を見つめた。

「うっ…」

いつもの純ならここでパンチの応酬となるはずなのだが

しかし、今日の彼の様子は確かにおかしく、

まるで、女子が初恋の彼氏を見つめるような見つめ方に、

駿の背筋に冷たいモノが走る。

たじろぐ駿の姿を見つめながら純はゆっくりと近づくと、

「駿…

 放課後…
 
 更衣室で…」

と駿の耳元で囁き、

タタタタ…

向かっていたはずの更衣室とは

違う方向へと走り去ってしまった。

「あっおいっ

 何処に行くんだよ、

 そっちは更衣室じゃ…」

走り去っていく純に向かって駿は声を上げると、

「おーぃっ、

 隼人っ

 田原となにチチクリ合って居るんよ」

と先を行くクラスメイトから冷やかしの声が上がる。

「だっだれが!!

 俺はただ純の奴の様子がおかしかったから!」

その声に向かって駿はそう言い返すが、

「判ってるって、

 判ってるって、

 お前達がどう愛し合おうとも

 俺たちは温かく見守ってやるからな」

「ケツの穴にはちゃんとワセリンを塗っておけよ、

 じゃないと、痛い初体験で終わるぞ」

と誰1人、純の様子に気を配る者は居なかった。



「ちっ

 純の野郎、
 
 結局、ホームルームには出てこなかったな…」

放課後、制服姿の駿は純に言われたとおり更衣室へと向かっていた。

そして、

ガラッ!

「おーぃ、純っ

 居るんだろう?

 ホームルームばっくれて、
 
 何の悪巧みをして居るんだよ」

と更衣室のドアを開けながら

駿は中に居るであろう純に向かって声を上げた。

しかし、

「………」

更衣室の中からは何も返事が返って来ず、

「あれ?

 居ないのかな?」

シンと静まりかえっている更衣室の中をのぞき込みながら

駿は首を捻った。

すると、

カタン…

更衣室の奥・ロッカーの向こう側から物音が響くと、

「なんだよ、

 居るのなら居るといえよ」

それを聞いた駿は安心したような表情で更衣室の中へと入っていく、

そして、

「純っ

 なにを始めようって言うんだよ、
 
 いい加減に教えろよ」

と声を掛けながらロッカーの列の向こう側をのぞき込むと、

ヌッ!

いきなり2本の腕が伸び、

駿の襟首を掴むと、

グィッ!

っと引っ張り込んでしまった。

「うわっ!」

更衣室に駿の叫び声が上がるのと同時に

ドタン!

人間がひっくり返る音が響き渡った。

「痛てぇ〜っ

 いきなりなにをするんだよっ」

犯人が純だと即座に判断した駿は

しこたま打ってしまったお尻をさすりながら文句を言うと、

スッ

そんな駿の目の前に人影が立ち、

「駿…」

と声を掛ける。

「んな?」

その声に駿が顔を上げると、

ジッ…

っと自分の顔を見つめるジャージ姿の純の姿が目に入った。

「純、まだ着替えて…

 お前…
 
 どうした?」

自分の目の前に立つ純に向かって駿はそう話しかけるが、

「ハァハァハァ…

 ハァハァハァ…」

純は次第に呼吸を荒らげると、

顔色も見る見る赤く染まり、

彼が上気して行っているのが駿の目でも見て取れる。

「なっなんだよ、

 お前、まさか…

 おっ俺に…

 ちょっと待て、

 落ち着け、

 なっ、

 落ち着いて話そう。

 いいか、

 俺とお前は男と男だ。

 それ、判るよな」

純のただならない様子に駿は後退りしながら、

そう言って聞かせようとするが、

「駿…

 おっお前に…

 見て貰いたいモノがあるんだ」

と純は胸に手を重ね、話しかける。

「俺に見て貰いたいモノ?」

純の口から出た言葉に駿は怪訝そうな顔をすると、

スッ

純は震える手で穿いているジャージのズボンに手を掛け、

そして、それを一気に引き下ろした。

「うわっ、

 なにをする気だ純っ
 
 お前まさか、
 
 マジなのか…

 悪いか、

 おっ俺は男になんか興味はねぇよ」

純がとった行動に

駿はクラスメイトからからかわれた事を思い出しながら怒鳴ると、

思いっきり純を突き飛ばしてしまった。

しかし、

「いっ?

 じゅっ・純っ

 お前、それは…」

突き飛ばされ、

座り込んでしまった純の股間を見た途端、

駿の表情は驚きの色へと変わり、

指さしながら声を上げてしまうと、

「……駿…」

上目遣いで純は駿を見つめながら、

ゆっくりと立ち上がった。

そして、

「駿…」

駿の目の前に立った純は彼の名前を呟き、

手を再び股間へと持って行くと、

クニッ

その股間に縦に刻まれているクレパスに指を当て、

それを大きく開いてみせる。

「ヤ・ヤメロ、純っ!」

それを見た駿は慌てて声を上げるが、

しかし、

「駿…」

純は艶めかしい視線で駿を見つめ、

その直後、

「見て、

 ほら、見て駿。

 僕のお股に出来た新しいお口が出来たんだ」

と言いながら、

腰を突き出し、指で開いているクレパスを見せつける。

「うわっ」

純の指の間より顔を覗かせている

紅葉をおもわせる紅色に染まる肉ヒダと、

肉ヒダより滴り落ちる愛液に駿は顔を背けるが、

しかし、愛液が放つ臭いを嗅いでしまうと、

ビクッ

駿の肉棒が見る見る大きく、

そして、固くなり、

ムクッ

駿が穿いているズボンを真下から持ち上げてしまった。

「うふっ、

 大きい…」

テントを張ってしまっている駿のズボンを見て

純はそう囁き、その上に手を重ね合わせると、

ササッ

ササッ

と撫で始めだした。

「うっ

 あっ
 
 あぁっ
 
 ヤメ
 
 ヤメテくれ」

思いがけない純の行為に駿は身体を強ばらせながら、

自分の股間から手を離すようにして言うが、

純は一向に止める気配はなく、

それどころか、

駿のテントに顔を近づけると、

盛り上がるテントを甘噛みをしはじめた。

「うわぁぁ!!」

純の行為のさらなるエスカレートに駿は悲鳴を上げ、

ドンッ!

純の身体を再び蹴飛ばしてしまった。

「キャッ!」

ドスン!

悲鳴と共に純の身体が横に飛び、

尻餅を付いてしまうと、

「いたーぃ!」

純はまるで女のような声を上げ、

「やったなぁ…」

さっきまでとは違う獲物を狙うネコを思わせる視線で駿を見つめ、

そして、駿に飛びかかると、

「うわぁ」

駿と共に倒れ込んでしまった。



ドスン

バタン

「ヤメロ!

 純!」

駿は抱きついてくる純を引き離そうとするが、

しかし、純はそんな駿の手から巧みに逃れ、

瞬く間に駿のズボンを脱がせてしまった。

「純ッ

 おまえ…
 
 女に…」

下半身を裸にされてしまった駿は純に尋ねると、

「うふっ

 そう、

 僕の新しいお口はオマンコって言うんだよ、

 とっても食いしん坊のお口でね。

 大好物は大きくて固いオチンチンが出す精液・ザーメンだよ、

 さぁ、駿のザーメンを頂戴」

と言いながら純は駿の上にのしかかると、

駿の勃起しているペニスを掴み上げ、

股間で愛液を滴らせる口へと近づけていく、

「やめろぉ!」

駿の叫び声が響き渡るのと同時に、

ヌプッ!

その駿のペニスを生暖かいモノが包み込むと、

ギュッ!

一気に締め上げた。

「あぁん、

 美味しい、
 
 美味しいよぉ」

駿のペニスを体内に飲み込んだ純は、

喘ぎ声を上げて腰を上下に動かし始める。

「あっあっあっ」

「うっうっうっ」

駿と純は一つになり、

そして、激しく動かし会う。

「あぁっ

 いいよぉ
 
 いいよぉ」

「うっ動くな…

 これ以上…
 
 動くと、
 
 おっ俺…」

「あぁん、

 もっと、
 
 もっと、
 
 濃いのを頂戴」

すっかり女と化してしまった純は男の体液を求めて、

腰を大きく振り始めた途端。

「くぅぅぅぅ…

 あっ熱いし…
 
 それにうねって…
 
 うわっ
 
 動くなっ
 
 動くなっ

 あっ
 
 でっ出るっ

 出る
 
 出るぅ!」

「いっいぃ、

 あぁっ
 
 いっイっちゃう、
 
 イク
 
 イク
 
 イクゥ!!」

日頃のオナニーではたっぷりと時間を掛けて出すのだが、

しかし、粘膜の感触にはひとたまりもなく、

純の絶頂と歩調を合わせるかのように、

プクッ!

駿のペニスは見る見る膨らんでしまうと、

「あぁーーーん」

「うくぅぅぅぅ」

シュシュッ!

まるで弾け飛ぶようにして、

純の体内奥深くに精を放ってしまった。



…駿、

 嬉しいよ、
 
 僕、ずっと前から駿のことが好きだった。
 
 でも、男同士ではどんなに好きでも友達。
 
 けっして恋人になれない。
 
 だから、お願いしたんだよ。
 
 僕にオマンコを付けてくださいって…
 
 そうしたら、
 
 神様がその願いを叶えてくれたんだよ…



射精し、うつろな目で更衣室の天井を見続ける駿の耳に、

純の告白が響いたが、

しかし、その時、

駿はその言葉を理解してはいなかった。

そして、それから数ヶ月後…

「駿…」

学校帰りの駿に

あの日から姿を消していた純が声を掛けた。

「純っ、

 何処に行っていた」

突然、姿を見せた純に駿は驚くと、

思わず駆け寄ったが、

しかし、純の姿を見た途端、

駿の表情が凍り付いた。

「じゅ純、

 その身体は…」

「うふっ、

 見て、駿。

 僕のお腹には駿の赤ちゃんがいるの
 
 僕、もうすぐママになるんだ。
 
 当然、パパは駿だよ…」

驚く駿に向かって純は大きく膨らんだお腹をさすると、

笑みを見せる。



おわり