風祭文庫・異性変身の館






「痒み撃退法」


作・風祭玲

Vol.638





ポリポリ

ポリポリ

”痒い…”

長かった梅雨がようやく明け、

カーテンの隙間より強い日差しが差し込み始めた休日の朝、

俺はベッドの上で自分の股間を掻いていた。

ポリポリ

ポリポリ

”くぅぅ痒い…”

ジワジワと広がってくる痒みに最初は堪えることを試みるが、

しかし、執拗に襲いかかってる痒みについいに俺は負けてしまい、

股間を掻き始めてしまっていた。

ポリポリ

ポリポリ

はっきり言おう、

俺はとある皮膚病にかかっている。

そして、何時、何処でこの病気に感染したのか大体予想はついている。

それは…一ヶ月前に行われた校内クラス対抗相撲大会。

なんでも19世紀末より延々と行われているこの行事に、

剣道の経験があると言うだけで無理矢理参加させられたのだ。

剣道と相撲…

全く違う競技なのに日本古来からの武道であるということと、

漢字で書くからというアホな理由で俺は参加させられたのだ。

”でぇぇいっ、何で俺が、

 相撲だったら相撲部のヤツが居るじゃないか。

 格闘だったら柔道部のヤツが居るじゃないか。

 第一、俺が剣道をしていたのは小学生の時だ。

 いまではない。

 もっと適任なヤツが居るだろうが”

クラスに向かってそう訴えたが、

しかし、俺のクラスにそのような部に所属するヤツは1人としていなかった。

使えねぇ…

全く使えねぇ…

野球部バレー部卓球部、

バスケに美術華道科学部とゴロゴロ居るのに

肝心要の武道格闘技部のヤツが居なかった。



”いやだ”

そう言い張る俺の前に置かれた小汚い布の塊。

剣道も結構臭いがキツかったが、

それよりも遙かにキツイ臭いが布の束から湧いてくる。

”なんだこれは”

顔を背けながら俺が尋ねる俺に、

”あぁ、廻しだよ、相撲で使うま・わ・し”

と持ってきたヤツは説明した。

”あぁ?

 これがか?

 ってちょっと待て、

 俺にこれをつけろっていうのか?”

”ご名答”

”あのなぁ…

 こんなボロを締めろっていうのか、
 
 せめて、洗ってもってこい”

”貴様っ

 この廻しの御利益を知らないのかっ

 良いか良く聞けっ

 この廻しは歴代相撲部員達の汗が染みこんだ由緒あるものだ。

 それを洗い落とせとは…
 
 男の風上にも置いておけない奴め、
 
 えぇぃっそこに直れっ、
 
 刀のサビにしてれる”

”うるせーっ

 訳のわからないご託を並べるんだったらお前が締めろ”

”誰がそんな汚いモノを身につけるか”

”俺だってごめんだ!”

”貴様っ、

 クラスを愛する気持ちがないのかっ
 
 それでも、日本人か”

”だったら、お前がやれ!”

そんなやりとりの果てに、

結局、俺はこのボロ廻しを締め、土俵へと上る羽目になってしまったのである。



そしてこのボロ廻しの御利益か、

対戦相手が弱かったのかは知らないが、

俺は順当に勝ち進み、

なんと賞杯を手にすることが出来たのだが、

しかし、その賞杯と引き替えに

ボロ廻しは俺にある置き土産を置いていったのであった。

ボロ廻しに巣くっていた白癬菌と言う名前の細菌が

俺の竿やタマにへばりつき、増殖を始めだしたのだ。

「陰部カンジダ感染」

と呼ばれる病気…ぶっちゃけ”インキン”と言う奴だ。



”なんで…”

感染を知ったときその言葉が俺の脳裏を巡り、

”えんがちょっ”

またそれを知ったクラスの連中も俺から距離を置く。

”ちょっと、待て、

 俺はお前達の為にこの病気にかかったんだぞ、

 なんだその態度は”

そんな奴らに俺は吠えたが、

”うるせーつ

 このインキン野郎!

 俺に触るんじゃねぇ!
 
 感染するだろうが!”

と怒鳴り返してきた。

無論、このバカ野郎には

この後たっぷりとスキンシップしてやって

ケツの穴の奥にまでインキンを感染させてやったが、

はっきり言って…痒い。

居ても立っても居られないほど痒いのだ。

ポリポリ

ポリポリ

寝ていても起きていてもふと気がつくと俺の手は陰部を掻いている。

まずいっ

非常にまずい。

こんな所、誰かに見られたらそれこそ大問題。

学校はまだ良い…野郎しか居ない所だから、

問題は登下校…

特に那須野美和子にはこんな姿、絶対に見られ無くないのだ。



那須野美和子。

白桃女学院に通う2年生。

白桃の女の子は俺たちにとってはまさに高嶺の花…

しかし、俺はそんな高貴な彼女と俺は知り合ったのだ。

まだ、彼氏彼女の仲には至らないが、

でも、友達以上の存在になりつつある。

彼女の出会いはとある夜のこと、

酔っぱらいに絡まれた彼女を助けたことが切っ掛けだった。

そんな経緯から人は俺を電車男と呼ぶが、

厳密に言うと違う。

なぜなら、俺と彼女が乗っていたのがモノレールだから…

そして、某物語よろしく俺は彼女にエルメスとあだ名を付けたが、

その名前が良くなかった。

彼女に男が居た。

別に彼氏という存在では無いらしい。

全てが赤ずくめのキザでストーカー野郎…

なんでも、人の三倍がそいつのキャッチフレーズらしい。

そんな奴に対抗して俺は白ずくめにした。

白と黒ならプリュキュアだが、

白と赤なら源平だ。

そんな俺に親がつけた名前は義昭。

そう、足利幕府最後の将軍であり、

織田信長に追い出され、

豊臣秀吉に拾われた負け組の大将と同じ名前。

もし義経と言う名前だったら、

今頃、逆落としでこんな邪悪な奴はとっととお家に帰す所だが、

残念ながらまだそこまでに至っていない。

まさに闘いの日々を送っているのだ。

ポリポリ

あっまた掻いていた。

とにかく薬を買ってこよう。

一番効く奴を…

そう決心して俺は自宅を出た。

”向かう先は…

 そうだ、あの国道沿いのディスカウント店が良い、

 確か、ドラッグストアもあったはずだ。”

そう思いながら俺は道を急いだ。

そのとき、

「おはよー」

俺の耳にハッキリときこえた。

エルメスこと那須野美和子の声が、

慌てて俺が振り返ると、

ニコッ

なんと俺の後ろに白桃の制服を着た美和子が立っていたのだった。

「なっ那須野さん?!」

驚きながら俺は彼女の名前を呼ぶと、

「?

 どうしたの…

 気むずかしい顔をしちゃって、

 義昭君らしくないね」

俺の顔をのぞき込むようにして美和子は尋ねてくる。

「そっそうですか?」

アップで迫る彼女の顔に俺は頭を掻きながら返事をすると、

「らしくなですよ、

 義昭さんにはそんな顔は似合わないって、
 
 何か悩み事ですか?」

「え?

 あっいやっ」

こういう細かいところに気がつく美和子の良いところ。

「…うん、まぁ」

「うん…って、

 それだけじゃ判らないよ、
 
 なにか深刻な事なのですか?
 
 良ければ相談に乗りますが」

そう言いながら美和子は心配そうな顔をすると、

「うん…

 あっありがとう…でも」

俺は彼女を心配させてはいけないと思いつつ、

あの赤い野郎が近くに居ないか周囲を確認した。

うん、どうやら居ないみたいだ。

「大丈夫、

 ちょっと薬を買いに行こうとしていた所なんです」

「薬って?」

「あぁ、大したこと無いですよ」

「そうなの?」

俺の口から出た薬って言葉に美和子は驚くが、

俺は至って平静さを装った。

ポリッ

”ダメっ掻いては!”

股間に移動しかけた手を俺は払いのけ、

「なっ那須野さん、

 制服着ていますけど、なにか予定はあるのですか?」

と制服姿の理由を尋ねると、

「え?

 うっうん、

 これからクラブ活動で学校に行かないとならないの」

と残念そうな顔をする。

「そうですか…」

「ごめんなさい、

 あまり力になれなくて…」

「え?

 っいえっ
 
 いいんですよっ
 
 ではクラブ頑張ってください」

「はっはい…」

美和子に向かって俺は手を振ると、

”とにかく、一刻も早くこの忌々しい病気を治さないと…”

と俺は決意を新たに向かい始めた。



「んーと、どれが良いかな…」

国道沿いにあるディスカウントストア。

その中に併設されているドラッグストアに俺の姿はあった。

”これなんてどうかな…

 レーザー光線で患部を一気に焼き払う”ソーラ・レイ”か

 なんかあまり効きそうにもないな…”

”うーん

 あっこれはどうかな…”

”なんかいまいち”

薬棚に並ぶ薬を品定めしていると、

「どれがいいのか判らないな」

俺は独り言を呟く。

その時、

「お探し物ですか?」

と言う声が響き、

俺が顔を上げると、

ニコッ

白衣を摸したコスチュームを身につけた女性が笑みを見せていた。

”うわっ

 俺好み”

女子大生だろうか、

やや大人びた雰囲気を漂わせる彼女の登場に俺は驚きながら立ち上がると、

「水虫でお悩みですか?」

と彼女は尋ねる。

「え?、

 いっいやっ

 その…

 なんていうか…」

まさか、ストレートにインキンで悩んでいます。

なんて言えるわけ無く、俺は返答に窮していると、

「あぁ、ひょっとしてインキンでお悩みで?」

と呆気なく、喉まで出かかっていたその台詞を言い当てた。

「いぐっ!」

まさに那須与一である。

遠く離れた平家の船上に掲げられた扇の的を射抜くような

その発言に俺の心は飛び上がると、

「決して恥ずかしくはありません。

 ”インキン”は立派な病気です」

と彼女は力説する。

いやっ、お姉さん。

そうインキンインキンと言わないで欲しい。

俺を相手に差痴プレイをしているのなら話は別だけど、

じゃないと、俺が差痴プレイされているみたいじゃないか…

周囲の視線を気にしながら俺は俯いてしますと、

「インキンを治すには元から絶たないとダメです。

 と言うわけで、この薬をお勧めします」

そんな俺に向かってお姉さんはある薬を差しだした。

「超強力!インキンにお悩みのあなた。その根元をスパッと削除!」

誰が考えたのか、三流コピーの香りがプンプンと漂う箱を手にすると、

「本当に効くんですか?」

と俺はお姉さんに尋ねた。

すると、

「ちょっとしみるけど、

 でも、大丈夫。

 あたしだってそれで治したんだから」

そうお姉さんは言い、

「頑張ってね…」

と言う声に俺は背中を押されながらレジへと向かっていった。

そして、

「ありがとうございました」

店員の笑みに送られてディスカウントストアから出ると

「まっ、

 あのお姉さんの言うことを信じるか…」

そう呟き自宅へと向かっていった。



「ふむ」

自宅に戻るのと同時に俺は紙パッケージから中身を取り出し、

じっくりとその説明書に目を通す。

”なるほど…

 ただ薬を塗ればいいのか”

パッケージの中からでてきた薬瓶を眺めながらそう思うと、

「黒蛇堂製薬か…

 聞いたことないメーカーだな…」

パッケージに書かれているメーカー名を見ながら俺は首を捻る。

”まぁ、いいか

 一発で効くなら何処のメーカーでも…”

俺はこの忌々しい病気を退治できるのなら、

どんな薬でも使う覚悟はできていた。

「よっよし…」

気合いを込めて俺は下着を取ると、

ブラン…

俺の股間から皮膚が病んでいる竿と玉袋が垂れ下がる。

ジワジワ

ジワジワ

表に飛び出した途端、

竿と玉袋から痒みが染み出してくる。

”この野郎…”

それを見ながら俺は歯を食いしばり、

ペチョ

親の敵の如く俺は患部に薬を塗りつけた。

その瞬間、

ピキーーーーーン!!!

薬を塗りつけた患部に電撃が走ると、

ズシィィィィィィンンン!!!

強烈な痛みが俺を襲った。

「うごわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

あまりものの激痛に股間を押さえながら突っ伏し、

俺はうめき声を上げるが、

ビリビリビリ!!!

股間を襲う痛みは俺を容赦なく翻弄し、

波状攻撃の如く散々俺を苦しめた後、

ゆっくりと引いていった。

「くはぁ…

 はぁはぁ…」

やっと感じられないレベルにまで痛みが落ち着いたところで、

肩で息をしながら俺は顔を上げると、

ツツーッ

額から大粒の汗が流れ落ちる。

良薬口に苦し…

と言うからこの薬は効くのかも知れない。

そう思いながら、

俺は薬瓶を取ると、

ペチョ!

さっきとは違うところに薬を落とした。

そして、

「うごわぁぁぁぁぁ!!!」

またさっきと同じ激痛にのたうち回ったのである。

ベチョ!

「うぎゃぁぁぁ!」

ベチョ!

「ごわぁぁぁぁ!」

ベチョ!

「うがぁぁぁぁ!」

薬を付ける度に俺は悲鳴を上げ、

身体を痙攣させる。

しかし、それだけの痛みを堪えただけに、

痒みはいつしか消え、

薬で染まったのか青紫色なった竿と袋が俺の股間に下がっていた。

「はぁはぁはぁ

 こっこれなら…
 
 治るはず…」

俺は色が変わったそれらを見ながら薬の効き目を実感していた。



そして、翌朝…

ポリポリ

ポリポリ

俺はいつものようにベッドの上で股間を掻いていた。

”うー痒い…”

毎朝繰り返される儀式を無意識のうちに行っていたが、

しかし、その朝の痒みはいつもと少し違っていた。

なんか瘡蓋が剥がれる前の痒みに似ているような、

そんな痒みを感じながら、

俺は次第に掻き方を強くしていった。

そして、

ガリッ!

思いっきり竿…チンポの付け根を引っ掻いたとき、

バリッ!

何かが剥がれ、

ポト

俺の掌の上にそれが落ちてきた。

「え?

 なにこれ?」

掌に落ちたものを握りしめ、

俺は目の前に持ってくると、

”ちんぽ…”

そうまさに男の象徴である俺のチンポであった。

”はぁ…

 チンポ?
 
 俺のチンポか?
 
 え?
 
 えぇ?”

チンポが剥がれ落ちた後、

姿を見せた縦溝に手を這わせながら俺は呟いていると、

「!!!!!!っ

 ぬわにぃ!!!」

俺は飛び起きると、

そして、ズボンを引き下げ自分の股間を見た。

すると、

クニュッ!

チンポが無くなった俺の股間にはくっきりと縦溝がピンク色の口を開き、

その溝の上では小さな肉の突起が盛り上がっていたのであった。

「オ・マ・ン・コ?」

無修正のエロ本などで見たことがある女性の性器の名前が俺の口から漏れてから

約20秒後。

「ぬわにぃ!!!!」

俺の部屋に俺の悲鳴が響き渡った。



クニュッ

クニュクニュ!

散々俺を苦しめてきたインキンは見事治った。

確かにあの薬の効き目は絶大だ。

でも、

クニュクニュ!

クニュクニュ!

インキンの完治と共に俺は…

俺は…

クニュクニュ!

クニュクニュ!

”うっ

 これ、なんだか気持ちいい…”

クニュクニュ!

クニュクニュ!

クチョッ!

俺は溝の中に入れていた指を引き離し、

ツーッ

透明な糸を伸ばす指を見つめた。

そう、チンポもキンタマも無くなってしまえば

インキンなんて簡単に治る。

でも、チンポもキンタマを無くした俺は…

俺は……女になってしまっていた。

指を暫く見つめた後、

俺はその指を股間へ潜り込ませると、

クチュッ!

「あんっ」

媚びた声を上げた。

さっきよりも声のトーンが上がっている。

身体もどこか丸みを帯びてきているし、

乳首の周りも痛痒くなってきている。

クチュクチュ

クチュクチュ

次第に細くなって行く指を縦溝の中に入れ、

その奥で窄まっている穴の周りを丹念に探る。

そして、指が少し動くだけで

ビクッ!

ビクッ!

俺の身体は敏感に反応するようになってきた。

「あぁ…

 気持ちいい…」

クチュクチュ

クチュクチュ

穴の奥からわき出てくる粘液をかき回しながら、

俺は快感に身を委ね、

「あっ

 あっ
 
 あぁ〜
 
 あぁ〜ん」

堅く隆起するピンク色の乳首を弄びながら、

喘ぎ声を高らかに上げた。



美和子さん…

白桃女学園の制服ってあたしに似合うかな…



おわり