風祭文庫・異性変身の館






「配達」

作・風祭玲

Vol.517





「890」

「893」

「895」

「896!!」

「896!!!」

「間違いない!

 やった…」

まだ冬の冷たさが残る早春の午前、

受験票を握りしめた僕はジッと合格発表番を見つめていた。

そして、自分の受験番号を見つけると、

うれしさと、感慨でしばしの間立ち止まっていた。



そう、僕は難問と言われたA高校に合格することが出来た。

進路指導で志望校を聞かれ、

僕が志望校の名前をいった途端、担任から即座に否定されると、

その学校よりも遙かにランクの低い学校はどうかと進められた。

しかし、僕の目にはA高校しか眼中になかった。

理由は…あの娘がA高校に通っているから…

そう、それは半年前、

僕の自宅の隣に一人の少女が家族と共に引っ越してきた。

少女の名前は歩(あゆむ)と言う名前で、

年は僕よりも一つ上、

しかも地元でもレベルの高いA高校に転入することが出来たと、

僕も周りでは評判になっていた。



洒落っ気の少なく、

そしてどこか落ち着いた表情の彼女にいつしか僕は惹かれ、

そして、

「おはよう…」

大阪から引っ越してきたせいか関西訛りのある挨拶の声に

僕は至福の時を感じるようになっていた。

そして僕はそのA高校に合格することが出来た。

春から毎日、僕は彼女と一緒に学校へ行くことが出来る。

まさにサクサラクの心境であった。



ところが、それは3月にある日に起こった。

僕の手元にA高校の制服が届けられ、

そして、それを見たとき、

「え?」

僕の目は思わず点と化した。

色の薄い赤系のセラーの上着と、

そして、えんじ色のプリーツのスカート…

どう見てもそれは女子の制服だった。

「なんだこれは…」

セーラー服を広げながら僕は呆気にとられていると、

いつしか手が電話へと伸び、

カチャッ!!

僕は電話を取ると、販売元の電話番号を押していた。

「もしもし!!」

と声を荒げながら出てきた相手に話しかけた。

「はいっ

 どちら様でしょうか」

僕の剣幕にもかかわらず電話の向こうは冷静に対処をするが、

その頃が逆に僕の神経を逆撫で、

「なにが、どちら様だ、

 おいっどうなっているんだ。
 
 僕の所に女物の制服が送られてきたぞ、
 
 理由を説明しろ!」

と受話器に向かって怒鳴り込んむ。

すると、

「失礼ですが、
 
 お名前の方を確認させてください」

僕に怒鳴られながらも相手は悪までに冷静に受け答え、

そして、僕の氏名を尋ねた。

「ちっ、

 役所みたいだな」

そんな電話の様子に僕は舌打ちをし、

「あぁ…

 僕の名前は須坂岬だ」

と電話に向かって自分の名前を言う。

すると、

「失礼ですが、

 住所と電話番号もよろしいでしょうか、
 
 注文リストに紹介を行いますので」

と相変わらず冷静な応対を電話がすると、

「はぁ?

 まったく、
 
 いいかっ良く聞け、
 
 僕は一回しか言わないからな」

と啖呵を切りながら怒鳴ると、

○○県□□市××町と自分の住所を申告し、

最後に電話番号も告げると、

「はいっ

 ただ御今注文を確認したところ、
 
 間違いはございません。
 
 須坂美咲さまには、A高校の指定の制服をお送り致しました」
 
と電話は僕に間違いがないことを告げた。

「間違いないって…

 いっていくが僕は男だぞ!
 
 なんで女の制服を着なくてはならないんだ?」

電話に向かって僕は怒鳴ると、

「はぁ、

 そうは申されましても、
 
 私どもは学校より送られた資料を基に
 
 お客様に制服をお送りしているわけでして、

 判りました、
 
 それではお客様の方をお送り致しました制服に合わさせて貰います」
 
と電話の相手はそうなり電話を切る。

「あっ

 もしもし…

 ったく…
 
 何が体に合わせるだ」

一方的に切られたことに腹を立てながら僕は文句を言うと、

ゴホッ

ゴホッ

っと2回咳払いをした。

「あぁん、もぅ

 なんか喉がおかしなぁ…」

いがらっぽいと言うか、

喉を締め付けられているというか、

そんな不快感を感じつつ僕は洗面所へと向かうとうがいをした。

そして、うがいのあと顔を上げてみると、

「え?

 コレが僕の顔?」

と洗面所の鏡に映る自分の顔を見て小さく驚いた。

確かに僕の顔は男の顔と言うより女のような顔で、

それが元で小学生の頃いじめられもした。

しかし、いま鏡に映る自分の顔はさらに女のような輪郭になり、

男とも女とも区別が付きにくい表情へと変化していたのであった。

「なんで…?

 え?
 
 僕ってこんな顔だっけ?」

しばらくの間自分の顔をしっかり見たことがなかったので、

鏡に映るに顔に違和感を覚えていると、

ブルッ!!

急に尿意を催した。

「あれ?

 小便ならさっきいったはず…」

あまりにも早い尿意に僕は慌ててトイレに駆け込んだが

しかし、

「え?

 あれ?
 
 どこだ?」

とズボンを下ろした僕はそこにあるはずのシンボルを探しまくった。

「くそっ

 どうなっているんだ、
 
 やばっ
 
 漏れる。
 
 漏れる」
 
次第に切迫してくる尿意に僕は必死になって探しまくるが、

しかし、いくら探しまくっても僕のシンボル・チンポは僕の股間には存在していなかった。

そして、ついに、

シャッ!

シャァァァァァァ!!!

限界を超えた僕は便器の前に立ちながら小便を漏らしてしまった。

「あっあっあぁ…」

まるで股間から吹き出してくるようなその感覚に僕は戸惑い、

そして、慌ててペーパーで股間を押さえる。

ピチャピチャ…

「あーぁ」

体温と同じ温度の温水をまき散らし、

僕はズボンをずぶぬれにしてしまったコトを頭に来ながら後かたづけをし、

そして、足下を気にしながら浴室へ向かっていった。



「まったく…どうなっているんだ」

文句を言いながら僕は濡れたズボンを脱ぎ捨て、

そしてシャツを脱いで裸になったとき、

「え?」

プクッ!

僕の両胸に小さな膨らみが盛り上がっていることに気づいた。

「なんだコレは?」

そう思いながら膨らみの上でプクッと充血をしている乳首を触った途端、

ビクビク!!!

「くはぁ!!!」

僕の体の中に電撃が走り抜け、

思わずその快感に酔いしれる。

「くはぁ

 はぁ
 
 はぁ
 
 はぁ
 
 うっくっ
 
 何…この感覚は…」

体中から汗を吹き上げながら僕はがっくりと腰を落とすと、

ポタポタ…

額から流れる汗が床にこぼれ落ち小さな水たまりを作る。

「一体…

 なんだ…これは…」

体の変化を感じながら僕は波のように押し寄せてくる快感に耐え、

そして、ようやく静まった頃、

ヨロッ

僕は立ち上がるとバスルームへと入った。

そして、頭から

シャァ…

とシャワーを浴びたが、

ビクッ!!

「うっ」

そこでも肌に湯に当たる感覚に僕は悶える。

「なっなんだよぉ…

 ただシャワーに浴びているだけじゃないなかよ」
 
壁を叩きながら僕は文句を言っていると、

ピチャ

ピチャ

体を流れるお湯か股間から一直線に落ちていることに気づいた。

「……まさか…」

いつもながらペニスを伝って落ちるはずなのだが、

しかし、その時にはその感覚はなく、

陰毛越しに落ちている感覚に

「おいっ

 まさか…」

僕は震える手で股間をまさぐってみると

スルリ

僕の手に伝わってきたのは縦に走る溝と、

その溝に指が触れたと同時に、

ジンッ…

剥いたばかりのペニスを触ったような快感が走る。

「うっ

 くっ」

すー

すー

幾度も溝を撫でながら僕は次第に激しく愛撫をしていく、

すると、

ヌルッ!!

溝の中より粘性を持った体液があふれ始め、

そして、

「くはぁ

 はぁ
 
 はぁ
 
 はぁ」

僕は次第に上気し、

そして、激しく攻め始める。

「あっ

 だめっ
 
 指が
 
 指が止まらない」

クチュクチュ

淫靡な音をあげながら僕はペタリと腰を落とした。

「あっ

 あっ
 
 いぃっ
 
 いぃ!」

クチュクチュ

クチュクチュ

指を溝の中奥深くに入れ、

その真ん中の穴に僕は薬指を差し込んでいた。

「あっ

 あっ
 
 あぁ…
 
 いぃ…
 
 うくっ
 
 いっいっ」
 

指を動かしながら僕は次第に上り始めた快感に体を預ける。

そして、その快感に溺れながら僕は…

「あっ

 あっ
 
 あぁ…」
 
はじけ飛んだ。



ピチョン…

フラッ…

バスルームから出てきた僕は大きく膨らんだ胸をバスタオルで隠し、

そして、置かれたままの制服の所に行くと、

「…あたし…」

と呟き、そのまま座り込んでしまうと、

「はは…

 体を合わせるって、

 何もあたしを女の子にしなくても…」

言うや否や、

パサッ

胸に撒いていたバスタオルが外れ、

すっかり女性化した体が晒された。



おわり