消化器症状
1、吐出
鳥の場合、胃からではなくそ嚢から吐き戻すため、嘔吐ではなく吐出である。吐出はほとんどの疾病や感染症に伴う症状である。主な原因には次のようなものがある。

吐出跡(セキセイインコ):粘液付着 吐出跡(コザクラインコ):摂取物付着
そ嚢が炎症を起こした状態である。炎症を起こす原因は細菌やカンジダというカビやトリコモナスが原因となる。特に人間食を食していた鳥やふやかしたアワを長期に食していた場合、そ嚢内でこれらが腐敗して細菌やカンジダが増殖し粘膜に感染する。そ嚢炎の原因で、特に多いのはカンジダ性そ嚢炎で口内炎や下痢の原因にもなる。またビタミンAの欠乏によりそ嚢粘膜の免疫低下や脱落、出血を起こし感染を受けやすくなる。
高温の餌のさし餌によりそ嚢の火傷(やけど)を起こすことがある。重症の例では、そ嚢が潰瘍を起こし、穴が開く。
そ嚢から胃へ落ちない状態であり、ふやけた粟がそ嚢内で固まってしまったり、そ嚢炎や多発性神経炎等の神経障害によるそ嚢蠕動の低下、異物による閉塞、腺胃拡張症による胃蠕動の低下、カンジダによる噴門・中間帯、幽門の狭窄による胃内容物流出低下などによって起こる。食帯に続いて吐き気がみられる。
トリコモナス
そ嚢炎によるそ嚢蠕動低下や細菌の増加に伴い、二次的にトリコモナスが増加する。トリコモナスにかかった鳥はそ嚢内に粘液質の液体が貯留し、吐出が起こる。ブンチョウではトリコモナスが副鼻腔内に迷入し、耳から袋状のものが突出することがある。また口腔内にチーズ様の塊を形成することもある。

そ嚢内異物には結石や誤嚥物がある。そ嚢内結石はセキセイインコに多く見られる。小型鳥では誤嚥することはまれであるが、ブンチョウが床材に使っていた牧草の穂を飲んでいた例がある。胃腸内異物も小型鳥ではまれだが、ニワトリが毛糸やネジ等を飲んでいた例やウズラが輪ゴムを飲んでしまった例がある。

そ嚢結石(セキセイインコ)
家の中には鳥が食べたり、吸ったりすると危険なものが多く存在する。鳥が中毒を起こすものには壁紙、ペンキ、揮発物(シンナー、マジック、接着剤等)、ホルムアルデヒド、防虫剤、殺虫剤、たばこ、化粧品、観用植物、肥料、薬剤、廃油、菓子類(チョコレート等)、古いナッツ類、陶器、金属類(鉛、亜鉛、錫等)、ストーブ(一酸化炭素)などがある。原因により、吐出、下痢、呼吸困難、神経症状など様々な症状を呈す。
グリットとは消化を助けるための砂粒のことである。この砂粒を食べ過ぎることによって筋胃内に充満して通過障害をおこし、吐き気が出ることがある。日本では砂粒を与えることは少なく、塩土を与えるため、発生はまれである。

塩土の過食(セキセイインコ):腸内まで砂粒が詰まっている
一つ目の胃である腺胃が弛緩し、蠕動が起こらず、通過障害を起こし、吐出が起こる。小型鳥ではカンジダによる胃炎が主な原因である。またPDS(proventricular dilatation syndrome)、macaw wasting disease、NGD(neurotropic gastric dilatation)などウイルスが原因ではないかとみられている病気もある。
インコ・オウム類の雄は求愛行動として、餌を吐き戻して雌に与えるといった行動をとる。手乗り鳥は、これを人やおもちゃ、鏡といったお気に入りのものに対して行う。発情の亢進が原因である。

発情吐出(セキセイインコ) 発情吐出(コザクラインコ)
巣立ち前後のインコ・オウム類の若鳥は餌を吐出することがある。口に戻した後に、まき散らすわけではなく、また飲み込むといった行動をとる。現在のところ理由はわかっていない。しかし環境の温度不足や冷えた餌のさし餌によっても吐出することがあるので、これを正常なものと勘違いしてはならない。
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