1、オウム類の嘴・羽毛病;Psittacine Beak and Feather Disease
全身性の羽毛形成不全、羽毛欠損、嘴の形成異常を起こし、ついには死に至る慢性疾患が、1970年代初期にオーストラリアのオウムにおいて初めて報告された。後にPsittacine Beak and Feather Disease (PBFD)と名付けられ、オウム目のほとんどの鳥に感染することが判明した。
1970年代から1980年代初期にかけてPBFDは感染症と非感染症の2つの説が言われ議論されてきた。当初、内分泌系の異常が言われたが、証明することはできなかった。また様々な既存の原因ウイルス、細菌、マイコプラズマなどの検査をしたが検出されることはなかった。BFD(セキセイインコ雛病)の原因であるポリオーマウイルスが当初最も疑われていたが、PBFDの症状を示す鳥から一貫して検出されることはなかった。
約10年前にオウム科の鳥に感受性の高いPBFDの原因ウイルスが発見された。これはPBFD感染鳥の羽根検体から分離されたもので、14-19nmの大きさのウイルス粒子であった。
PBFDウイルスは渦状の一本鎖DNAを含み、エンベロープを持たない、大きさ14-19nmの粒子である。ウイルス粒子の大きさ、蛋白質構成、核酸の大きさ・構造から既に知られているウイルスの仲間に当てはまらないことが明らかになった。ウイルス粒子の大きさや核酸の特徴は鶏貧血ウイルス(chicken anemia virus;CAV), 鳩サーコウイルス(pigeon circovirus)、豚サーコウイルス(porcine circovirus;PCV)と同様であった。よってPBFDウイルスは、その特徴から新しい動物の病原ウイルスであるサーコウイルス科(Circoviridae)分類された。サーコウイルスは現在確認されている中で最も小さい動物の病原ウイルスである。
PBFDは、オーストラリア、北アメリカ、ヨーロッパ、およびアジアで報告されている。PBFDウイルスはオーストラリア産のオウム類起源であるようだが、ペットとしてこれらの鳥が世界中に広まると共に、他の大陸にも広がっていったと考えられている。今後鳥の輸出入が続けば、PBFDウイルスのみならず様々な病原ウイルスが世界中に広がる可能性がある。
以前は、PBFDウイルスはアフリカと南太平洋に生息するオウム類、特に、白色およびピンク色のコカトゥーのみに感受性があると考えられていた。しかし、PBFDは、黒色コカトゥーや南アメリカに生息するボウシインコ類やコンゴウインコ類やアケボノインコ属などのインコ・オウム類にも組織学的、臨床的にも症状を示すことが報告されている。現在40種類以上のオウム類の報告があり、年々感受性のある種類が報告されている。1993年まで、PBFDはオウム目の鳥にのみ感染するとされてきたが、オーストラリアのハトにおいて、オウム類と同様な症状を示すサーコウイルスが発見されている。PBFDウイルスの実際の宿主の範囲はまだ明確には分かっていない。
現在わかっている鳥種の中でも、感受性に違いがあり、症状の出かたにも違いが見られる。DNAプローブテストよる検査により、南太平洋のオウム類が最も感染しやすいことがわかっている。このことから、これら感受性が高い鳥種は、南アメリカのオウム類よりも羽根に異常が出やすいことがわかっている。
オウム目鳥の多くの種がPBFDに感受性があることが分かっているが、症状の進行具合や最初にいつ症状が出るかは、その鳥種と感染時期に基づいている。一般に、PBFDは、3歳までの若鳥の病気であるとされているが、20歳以上の、それまで臨床症状を示さなかった鳥においても、感染が報告されている。成鳥ではPBFDウイルスを暴露させても、一般的に抗体が産生され、臨床症状を示さない。このことから3歳以上で発症した個体は若鳥時に感染し、潜伏期を経て発症している可能性がある。
以前の報告では雄の方が雌よりもPBFDに感染しやすいことが言われていたが、現在では性別差はないとされている。
獣医師と飼鳥家はPBFDウイルスがどのように伝播するかを知らなければならない。伝播様式を知り、DNAプローブテストによる感染鳥の早期発見をし、PBFDの発生を極力抑えて行くべきである。
卸業者やペッショップのような非常に多くの雛鳥が集まる場所は、PBFDウイルスが感染する絶好の機会である。PBFDに感受性が高い鳥種の雛鳥の群れでは、直接の接触や汚染された飲み水などによって、容易に伝染する。よってペットショップにて雛鳥を触り、手を洗わずに家に帰って鳥を触ることによる伝染も考えられるため、注意が必要である。
オウム目鳥の雛鳥は、経口、経気管、経総排泄腔内、皮下注射、筋肉注射、経眼、経鼻のルートによって、PBFDウイルスを実験的に感染させることが出来る。一般的には空気感染と汚染された水からの経口感染が自然の伝播ルートであることが示唆されている。
PBFD陽性の鳥の羽根にはたくさんの封入体が含まれていることから、羽毛塵がPBFDウイルスの主な排泄伝染源となると推測されてきた。高濃度のウイルスが、PBFDを鳥を飼育している場所から収集される羽毛塵から検出される。またこれ以外にも、羽鞘や乾燥して飛沫した糞便なども大きな伝染源となる。羽毛塵が、衣類、網、キャリヤー、餌箱、または昆虫や自然な空気の流れによって容易に拡散するため、やはり羽毛塵が主要な伝染源であり、環境汚染の原因であると考えられる。鳥を飼育する環境にウイルスが存在するかどうかは、綿棒によって収集されたサンプルをDNAプローブテストにて検査することができる。
PBFDウイルスは様々な種類の感染鳥の糞便やそ嚢液からも検出される。口蓋、食道、そ嚢、腸、およびファブリキュウス嚢の粘膜細胞からPBFDウイルスを含む封入体が検出される。このことは汚染された排泄物や分泌物は伝染源になることを示唆している。
感染した鳥の血液からウイルスのDNAが検出できるため、垂直感染も疑われている。PBFDに感染した雌鳥の産んだ卵を人工孵化すると常にPBFDとなる。これはウイルスが垂直感染していることを示唆している。従って人口孵化によってPBFD感染を防ぐことはできない。ある報告では、無症状のペアから産まれた雛が何度繁殖させてもPBFDの症状を出すことがある。これはキャリヤー状態のペアから雛に垂直または水平することを示唆している。
いくつか感染実験により、羽根の異常が出現するまでの最短潜伏期は21から25日ということが明らかになっている。また臨床症状の出現する年齢とウイルスのDNAを証明するDNAプローブテスト結果から、PBFDの最大潜伏期間は、年単位に及ぶことが明らかになっている。
PBFDウイルスに感染した幼鳥は、雛綿羽から抜け変わる時に最初の症状を示すことが多い。種々のオウム目の幼鳥の間で発生する発症までの期間差は、抗体価やウイルス量、ウイルスに対する宿主の感受性に起因している。しかし、同じ時、同じルート、同じウイルス量にて感染しても、自然潜伏期は様々である。
PBFDウイルスは自然感染してより2日目のすぐから、既に発症して長い鳥まで、血液からDNAプローブテストにより検出することができる。ほとんどのPBFDウイルスに感染した成鳥は、外見は異常なくても、一時的なウイルス血症を起こすため、DNAプローブテストにより検出することが出来る。
PBFDを最初に気づく臨床症状は羽根の壊死、形成異常である。換羽時に正常な羽根に混じって、異常な羽根が出現する。異常な羽根の出現率は鳥の感染した月齢により異なってくる。2ヵ月齢以内に感染した場合、感染後1週間で全身の羽根が抜けてしまうこともある。2ヶ月齢以上で感染した場合、換羽を重ねるに連れ徐々に異常な羽根や欠損部位が増え、換羽が起こらない間は異常羽毛が増えることは通常観察されない。
症状が甚急性、急性、慢性に経過し、またいつ最初に異常羽毛が出現するかは、主に鳥の感染した月齢に影響されるが、この他にもウイルスの感染経路や摂取したウイウスの量、また感染時の鳥のコンディションも関与している。
PBFDウイルスに甚急性感染した幼鳥は肺炎や腸炎、急激な体重減少を伴う敗血症を示し、羽根に異常が出る前に死亡する。剖検をおこなっても羽嚢やファブリキウス嚢、胸腺の細胞の浮腫が認められる程度で、PBFDであることを診断するのは難しい。
PBFDウイルスに急性感染した鳥の症状は、オーストラリアでは"Trench moult"と呼ばれており、幼鳥のダウンフェザーから正羽に生え変わった後に発症することが多い。数日の沈鬱に続き、部分的な羽根の壊死、破損、曲ねじれ、出血、新生途中での脱落が起こる。あるものは発症後1、2週間の内に死亡するが、ほとんどの感染鳥は1週間の内に全身の80−100%の羽根が脱落、壊死する。また再生不良性貧血を起こす個体もおり、これら感染鳥のファブリキウス嚢、胸腺、骨髄の細胞には封入体が出現する。しかし貧血は直接PBFDウイルスによるものではなく、免疫不全症による2時的なものであるとの報告もある。
慢性のPBFDの特徴は全身羽毛の形成異常と連続した換羽である。これは急性症状に耐過した後の症状である。慢性に移行した鳥の羽根は、羽鞘の残存した未成長羽、羽軸内の出血や破損、ねじれ、ストレス線、萎縮が観察される。そして連続した換羽により、萎縮した羽軸が突出するのみとなり、さらに鳥は異常な様相となる。
若鳥以上の月齢の鳥が、PBFDに感染した時の最初の症状は紛羽の減少と正羽の壊死や未成長である。紛羽はPBFDにより最初に影響を受ける羽根であり、これは紛羽が他の正羽に比べ、季節性がなく常に産成さているためである。続いて体躯正羽、初列・次列風切羽、尾羽、冠羽に異常が現れる。長生きしている感染鳥は徐々に皮膚が露出し、羽包は活性を失う。
皮膚が露出した鳥は、皮膚の色が茶褐色に変化する。これは通常羽根に覆われている皮膚が日光にあたるためとされている。またある種のオウムでは、羽包組織の障害により、羽根が変色する。これは特にヨウムに見られ、灰色が赤色に変色する。しかし羽根の変色は、PBFDウイルスによる直接的変化ではない。また白色オウム類において、黒い羽根が出現することがある。これもPBFDの影響ではないかと議論されてきたが、ある研究で75%のキバタンは成長過程において、黒い羽根が出現することから、これは正常である。
PBFDウイルスは羽根以外にも障害を起こす。嘴もPBFDウイルスによる障害を受ける部位である。感染1年以上の鳥は、1年以下の鳥よりも嘴に病変が現れることが多い。嘴は全ての感染鳥に現れる障害ではないが、なかでもキバタン、モモイロインコ、アカビタイムジオウム、オオバタンでは比較的良く現れる。
PBFDウイルスに嘴や口腔粘膜に障害を受けると嘴の横や内側、縦の過長やヒビ、潰瘍が現れる。上嘴が下嘴に比べて障害を受けやすい。また正常なオウムの嘴は紛羽が付着し、灰色で艶が無いが、紛羽が減少した鳥は、嘴が黒く光沢を有するようになる。またまれに爪の過長や破損が起こる。
PBFDによる羽根と嘴の病理学的変化の報告は多いが、剖検による内臓の変化の報告は少ない。羽根や嘴の変化は様々であり、これは感染鳥の年齢や2次感染があったかどうかで違ってくる。若い鳥では、ファブリキウス嚢の萎縮や胸腺の壊死が見られる。成鳥では脾臓の萎縮とリンパ球の消失が見られる。
PBFDによる主な顕微鏡学的変化は羽軸の壊死と外皮細胞の退行と膨張である。羽包上皮も壊死することがあるが、これは良く見られる変化ではない。PBFDウイルスは羽包上皮よりも羽根の細胞に良く見られる。PBFDにより厚くなった羽鞘は伸びた羽根から剥がれ難くなる。また羽軸の中央部が圧縮され、根元から折れ曲がる。形質細胞、リンパ球、マクロファージ、ヘテロフィルなどの炎症細胞が感染した羽根の羽軸に良く見られる。PBFDに感染したラブバード類では、水疱形成を伴う増殖性皮膚炎が見られる。
甚急性感染では、ファブリキュウス嚢と胸腺細胞に萎縮と壊死細胞塊が観察される。甚急性感染では羽根には異常が出る場合と出ない場合がある。もし異常が合った場合、感染細胞の壊死よりも、羽包細胞の緩やかな腫脹が見られる。
PBFD感染鳥の嘴の顕微鏡観察による変化は、表皮細胞の壊死など、羽根に見られる変化に似ている。過角化症、嘴の外層剥離、骨髄炎やそれに伴う組織細胞の壊死が観察される。この他に舌、口腔、そ嚢細胞にも壊死や炎症が報告されている。嘴病変からは、グラム陰性細菌や真菌が普通に分離される。
PBFDに伴う萎縮等を伴う内蔵障害はファブリキュウス嚢と胸腺にのみ観察され、嚢胞の萎縮と胸腺内リンパ細胞の枯渇が見られる。
PBFDウイルスは感染鳥の羽根、ファブリキュウス嚢、胸腺細胞の核内および細胞質内に封入体を形成する。これに加え嘴や硬口蓋、舌、副甲状腺、そ嚢、食道、脾臓、腸、骨髄、肝臓、甲状腺、精巣、卵巣、および副腎にも封入体を形成する。特に感染初期においては、細胞質内封入体が核内封入体よりも多く出現することが報告されている。核内封入体は皮膚細胞にのみ見られ、細胞質内封入体はマクロファージによく観察される。
細胞質内封入体は最初に表皮細胞に形成され、マクロファージがこの感染細胞を貪食した後に、大きくなると考えられている。しかし、骨髄のマクロファージと循環単球内のウイルス抗原の発生は、ウイルスがこれらの細胞に直接感染する可能性があることを示唆している。
PBFDは進行的な羽毛欠損と羽毛形成不全をともなういかなる鳥においても疑われるべきである。しかし厳密には羽根を検査しただけではPBFDウイルスに感染していると確定はできない。PBFDに良く似た羽根の変化を起こす病気には、ポリオーマウイルス病、アデノウイルス病、外傷、細菌性・真菌性羽包炎、敗血症、栄養失調、内分泌異常、ペニシリンやセファロスポリンなどの薬剤の影響などがある。PBFDウイルスによる羽根の障害は新生羽の羽鞘やその周辺を摘むことによって起こすことができる。逆にいえば、正常な羽根も血流によってウイルスに感染するのである。羽根の障害が出る前にPBFDを診断できる唯一の方法はDNAプローブテストである。
羽根の異形成を持つ鳥においてPBFD感染は、顕微鏡観察による細胞質内封入体の存在確認とDNAプローブテストによる血液中のPBFDウイルスDNAの検出により立証できる。障害羽毛中の好塩基性の細胞質内封入体の同定は、診断と考えられる。しかしアデノウイルスとポリオーマウイルスはPBFDウイルスが起こす封入体に似た核内封入体を形成する。それゆえPBFDの診断確認にはHIテスト(赤血球凝集抑制反応)によるPBFDウイルス抗体の検出またはDNAプローブテストによるPBFDウイルスDNAの検出が必要である。
血球計算(CBC)または血清生化学の変化は、慢性経過のBFDウイルス感染鳥において、典型的ではない。いくつかの研究において、同じ種の正常な鳥とPBFDウイルスに感染した鳥を比較した時に、白血球計算、赤血球計算、または血清生化学に違いが見られなかった。従って、多くのPBFD感染鳥の血球計算や血清生化学の変化の報告は、、おそらくPBFDウイルスにより直接引き起こされた物ではなく、2次感染によるものである。一般的に、血球計算または血清生化学の変化は、PBFDウイルス伝染を診断する時の評価に考慮されるべきではない。著しい例外は、急性感染を起こしたヨウムの貧血である。
ウイルスのDNAプローブを使った検査法は、PBFDウイルスを検出する最も感度が高く、特異性を持っている。これらのプローブは、羽根の臨床症状が出現する前に、感染した鳥の循環白血球のウイルスのDNAの証明するための血液検体や、疑わしい羽根のバイオプシー検体が使用できる。このテストは、アメリカやいくつかのヨーロッパの国の検査機関にて依頼、利用が可能である。しかし血液や羽根と言えど、ワシントン条約に基づいた許可申請が必要なため、事前に手続きが必要である。
羽根の異形成を示す鳥がDNAプローブテスト陽性の場合、その鳥は活動的なPBFDウイルスに感染していることを示している。羽根の異形成がない鳥の血液が陽性の場合、その鳥は潜伏感染であるか、最近PBFDウイルスに感染し、ウイルス血症を起こしていることを示している。羽根の異形成がない鳥が陽性の場合、90日後再検査するべきである。もし鳥がまだ陽性ならば、それは潜伏感染しているか、または継続的にウイルスに暴露されていると考えられる。90日後のテストで陰性であった場合、血液中にはウイルスDNAが検出されず、ウイルスは取り除かれたことを示している。
DNAプローブテストにより、PBFDウイルス陰性の場合、提出された検体にはウイルスDNAが含まれていないことを示しているが、あるPBFD感染鳥は、DNAプローブテスト陰性である。これらの鳥は一般的に、羽根に大きな異常を示すいくつかの感染を持っている。これらの鳥は、白血球が2次感染ため減少し、検出されるウイルスを含む細胞の数が不十分であることが結果が陰性となっているか、またはウイルスは体から排除されたが、羽根の障害が残っているため、正常に回復していないことが原因であると考えられる。
DNAプローブテストは、総排泄腔のぬぐい検体や糞便中のウイルスDNAの検出にも利用できる。しかしこれら検体を利用した場合、糞便中にウイルスが排泄されていなければ、陰性となる。よって数回の検査が必要となる。またDNAプローブテストは壁や禽舎、換気扇や家のほこりっぽい場所の汚染のスクリーニング検査にも利用できる。環境汚染を検査するための適切な検体は、疑いのある場所から綿棒にて収集する。
DNAプローブテストは、現在鳥にウイルスが存在するかどうかを証明する方法である。よって現在ウイルスを持っていなくても、将来ウイルスの暴露を受けた際、感染しないかどうかはわからない。しかし一度陰性が確認されれば、一般家庭内であれば感染源がないため、PBFDになることは無いであろう。よって新しく鳥を購入する際には、DNAプローブテストで陰性が証明されるまでは、家内の鳥とは接触させないようにする必要がある。
PBFDウイルスの環境での安定性は未だ知られていない。よってPBFDウイルスと構造およびDNA構成が類似するCAV(鶏貧血ウイルス)と同様であると考えられている。CAVは環境で安定し、不活性化にかなり抵抗力があることが分かっている。CAVは、オルソジクロロベンゼン (10%)、ヨウ素(1%)、次亜塩素酸塩ナトリウム(1%、漂白剤)、メチルアルコール、エチルアルコール、クロロホルム、2時間のEOG(エチレンオキサイドガス)処理、および5分間の煮沸をしても、感染力を持っている。ホルムアルデヒド(ホルマリン)の24時間薫蒸消毒は、CAVを部分的に不活性化しただけであった。10%次亜塩素酸ナトリウムまたはヨウ素水溶液が、ウイルスを不活性化するのに必要である。
PBFDウイルス伝染を防止する安全なサブユニットまたは培養ワクチンが実用化されるまで、DNAプローブテストと十分な衛生管理を連携させるのが、PBFDを防止するのに最も良い方法である。アメリカやヨーロッパでは事実上、羽根に異常がなく、DNAプローブ陰性のが確認された鳥のみを加えたグループや禽舎の鳥にウイルスが陰性であるとされている。PBFDの発生を最小限にするためには、PBFDウイルスに潜伏感染していないかどうかを確認するために、感受性がある種のすべての鳥がテストされることが得策である。これは特に繁殖鳥、陰性が確認された禽舎、ペット用として小売業者に送られた鳥、販売後の調査される鳥に関して行うと良い。
様々な抗ウイルス剤、免疫賦活剤、および漢方薬等を使った多くの治療が、PBFDウイルス感染鳥に試みられている。これら治療により、セキセイインコでは早期であれば治癒するものも存在する。しかしほとんどのオウム目鳥においては、これらの療法により症状が軽減、回復するが、完全な症状の改善、体内からのウイルスの排除をすることは出来ない。
PBFD感染鳥は、免疫の低下により、他のウイルス、細菌、真菌などの病原体に感染しやすくなる。よって2次感染の徴候が見られた場合には、早期治療が必要である。
DNAプローブテストによりPBFDウイルスに感染またはPBFDウイルスに潜伏感染していると診断された鳥は、ストレスの無い環境や治療を施せば、長生きすることができる。しかし、PBFDウイルスは、特にオウム目鳥の新生児に伝染性が強いため、PBFD陽性鳥はオウム目鳥の新生児や危惧種との直接または間接的な接触が無いようにするべきである。あわせて、オウム目鳥の新生児をPBFD陽性鳥の排泄物や羽塵により汚染されたかもしれないエリアには決してさらしてはならない。
つまり現在のところPBFDを治す治療法は確立されていない。セイキセイインコ等での治癒例も治療に反応したものなのか、自然治癒したものなのかも明らかではない。よってPBFDに罹患しないよう予防を推進して行かなければならない。しかしまだワクチン自体が開発研究段階であるため、ワクチンによる予防はできない。よっていかに早くPBFD陽性の鳥を見出して健康鳥から隔離し、また汚染が疑われる環境に鳥を曝さないことが現在における最大の予防法である。
参考文献
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