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AVIAN CULTURE

 ここでは鳥を飼育する上で、気をつけなければならないことや間違った飼い方による弊害について、何故そうしなければならないのか、何故そうなるのかという説明付けをしながら解説する。

項目

  1. 発情の問題
  2. 飼鳥に人の食事を与える問題
  3. 飼鳥と口移しをする問題
  4. 風切羽を切る問題
  5. 放し飼いの問題
  6. 水浴びの問題
  7. 足環の問題

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1、発情の問題

 飼鳥を人の環境下で飼育する場合、どうしてもこの発情という問題が付きまとう。本来鳥は野生においては、通常繁殖期と非繁殖期存在する。ところが人の環境下では、季節に関係無く発情してしまう。この発情の亢進は鳥が病気となる大きな原因となっている。ここではまず何故発情するのかを知り、そしてその弊害について解説する。

 飼育指導書にはよく発情させるには、発情促進飼料であるあわ玉を与えるなどと記載されている。しかし鳥は、栄養価の高いものを食べるから発情するのではなく、その条件が揃うことにより発情が発来する。まずここでは鳥がなぜ発情するのかを解説する。

@光周期

 通常飼育されている鳥は、温帯から熱帯気候に生息する種類がほとんどである。温帯には季節があり、繁殖は暖かい時期に行われる。つまり日が延びて暖かくなり、明るい時間が長くなると温帯鳥は発情するのである。よって鳥を人の生活に合わせて、夜も明るくして、起こしておくことは発情の原因となる。養鶏場では鳥のこの特徴を利用して、夜も照明をつけ、毎日卵を産ませている。熱帯鳥は常に日が長い地域に生息しているため、温帯鳥ほど日の長さには影響されないが、日が長いという条件が発情につながるのは同様である。

A相手の存在

 通常鳥は好適条件が揃うと、まず雄が先に発情期を迎える。そして雌鳥は、雄鳥の求愛行動によって発情が促進される。しかし一羽飼いにもかかわらず、手乗り鳥のほとんどが発情している。

 これは人によって育てられた鳥は、種の識別能力が低いためとされている。つまり手乗り鳥にとっての相手は、人で十分なのである。鳥と人の種の違いを認識しておらず、雄鳥は人に対して求愛をし、雌鳥は人によって発情が促進されてしまう。

 また中にはおもちゃや鏡に映った自分など、お気に入りのものに対して発情してしまう。さらには雄同士や雌同士でも発情の発来が起こるものがいる。

B巣や巣材の存在

 巣の存在や巣を構築する行動は、特に雌において発情の促進刺激となる。手乗り鳥では種それぞれの巣の形、構造に対する認識が薄く、本来の巣の形でなくとも、また完全に隠れることが出来なくても、巣と思ってしまう。

C温度

 人の環境下では、四季を通じ繁殖に適さない時期がなくなってしまっていることが多い。これは特に冬に言えることなのだが、本来寒ければ、繁殖どこではないはずなのだが、人の環境下では冬でも暖かいため、発情するのである。

 上記に示した3つが大きな発情要因である。よって発情させないためには、次のことに気をつけなければならない。

@光周期を短くする。

 理想的には日の入りと共に寝かせ、日の出と共に起こし、季節感を持たせるかい方が良い。これでも発情する場合には、さらになるべく早く寝かせ、遅く起こす必要があるだろう。

A過剰に相手をしない。

 雄は発情すると、人やおもちゃ(ブランコ、鏡など)などお気に入りの場所に対して、求愛行動を行う。雌の場合は、人に話しかけられたり、触られたりすることにより、発情が促進される。これをそのまま放置してはならない。雄が求愛行動をして来た場合は、相手をせず、またお気に入りの物は与えないようにする。また雌に対して過剰に話しかけたり、触ったりしてはならない。

B巣や巣材を与えない。

 巣は本来繁殖のために用いる物であり、寝る場所を与えるために用いる物ではない。しばしば文鳥などのフィンチ類においてわら巣が入れられてるが、これは間違いであり、発情の原因となる。また人に育てられた雌鳥は、その鳥特有の巣の形の認識が薄く、どこでも気に入った場所を巣だと思い込み、巣を構築しようとする。よって鳥が巣と思っているような物は除去し、また巣の構築行動を止めさせなければならない。また新聞紙の下や衣服にもぐるといった行動も止めさせなければならない。さらに放し飼いになっている場合には、カゴ自体を巣と思いこむものもいる。

C過保護にしない。

 冬に寒いだろうと、常に暖房やヒーターをつけて過保護にすることは、発情を促進する。

※つまり可愛がって、手を掛けてあげるほど鳥は発情するのである。しかしこの上記4つを厳密に実行すると、非常につまらない飼い方であり、手乗りとして飼っている意味がなくなってしまう。よって作者は発情している時はとにかく出来るだけ早く寝かせ、相手をするのを控え、発情がおさっまっている時には、少し長く起こして遊ぶようにし、冬も過保護にしすぎないようにすると良いと考えている。そして次に説明する発情に伴う問題を踏まえた上で、どのくらい妥協できるかが、その方の飼い方になるであろう。しかし大型の知能レベルの高い鳥種に関しては、上記のことを行うと、大きなストレスと感じさせてしまうことが考えられる。もしこの飼育方が、逆効果で異常な結果をもたらすようであれば、その時はその鳥に合わせた飼育を考えなければならないであろう。これは小型鳥に関しても同様である。

 ここでは鳥が発情した時にはどのような行動をとるか、またそれによりどのような問題を生じるかを解説する。

@雄の場合(求愛行動)とその問題点

  1. インコ類では発情吐出を起こす。インコ類の雄は求愛行動の一環で餌を吐き戻し、雌に与える。これを人やお気に入りの場所に対して行い、餌を吐き戻す。ひどい場合には底に盛り上がるほど吐き戻してしまう。そして時間が経ったものをもう一度食べたりするため、カンジダ症が発生する可能性がある。

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              種子食の発情吐出(セキセイインコ)            ペレット食の発情吐出(コザクラインコ)

  1. 異常に交尾をしたがり、人に対して総排泄孔を擦り付けてくる。これを許すと数分後に射精する。また人以外でも丸めたティッシュ、机の角、ブランコの上、止まり木などでも交尾体勢を取り、射精する。特にカゴ内ですることを覚えてしまったものでは、一日に数回から数十回射精することもあり、総排泄孔周囲が擦り切れ出血するものもいる。

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止まり木での交尾行動(オカメインコ)

  1. 発情期と発情休止期では精巣の大きさは数倍から数十倍の差があり、発情の亢進により精巣は常に肥大した状態となる。この肥大した精巣が座骨神経や大腿神経を圧迫し脚の麻痺を起こすことがある。

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精巣の圧迫による破行(セキセイインコ):精巣は両側に存在するため、左右片方または両方の脚が麻痺する。

A雌の場合とその問題点

  1. 季節に関係無く産卵し、産卵過多となる。特に寒い時期の産卵は卵詰まりの原因となる。

  2. カルシウムの不足または吸収不全の状態で産卵過多になると、骨密度が低下し、湾曲したり、骨折しやすくなる。また卵も薄殻卵(軟卵)や無殻卵となり、卵づまりの原因となる。

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                        無殻卵(セキセイインコ)        薄殻卵(セキセイインコ)

  1. 女性ホルモン(エストロジェン)が過剰となり、腹筋が弛み充血し、腹部が脱羽する(抱卵斑)。長期の過剰は女性ホルモン過剰は腹ヘルニアを起こし、腹部皮膚は黄色変性(黄色腫;キサントーマ)となる。また内骨膜が増殖し多発性過骨症を起こし、骨のカルシウム代謝が低下する。

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多発性過骨症(セキセイインコ)大腿骨、脛足根骨、上腕骨、烏口骨の内腔が白色化している。

  1. 発情期には卵巣に複数の卵胞(卵黄)が形成される。発情の亢進により常に発達した卵巣が座骨神経や大腿神経を圧迫し脚の麻痺を起こすことがある。

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卵巣の圧迫による破行(オカメインコ):卵巣は左側のみ存在するため、左脚が麻痺する。

  1. 気性が荒くなり、温厚であったものが攻撃的になることがある。

 以上のように鳥は非常に感受性豊かな動物であるため、無神経な飼い方は、鳥を病気にしてしまう原因となる。なるべく発情をさせない飼い方を心がけるべきであろう。

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2、飼鳥に人の食事を与える問題

 よく飼鳥に、人の食べ物を与えてしまう人がいるが、これは絶対にやってはならない。このために鳥を病気にしてしまう人が後を断たない。ここではなぜ鳥に人の食べ物を与えてはいけないのかを解説する。

 人の食べ物といっても、特にでんぷん質の強い、炊いたご飯やパン、麺類、お菓子類などの調理加工食品がいけない。鳥には腐りやすい物を食べさせてはいけないという原則がある。通常飼鳥が食べているアワ、ヒエなどは生米を食べているのと同様である。つまり生米は腐りにくいが、一度熱をかけて調理した物は非常に腐りやすくなってしまう。

 ではこれら腐りやすい物を食べるとどうなるかというと、まず鳥にはそ嚢という食道が膨らんだ、食べた餌を一時的に貯める器官が存在する。しかしここは胃ではないので、酸や消化酵素は出てこない。つまりもともとそ嚢の中は、非常に腐りやすい環境になっているのである。

 そしてそ嚢の中にはもともと細菌やカンジダというカビが常在している。この細菌やカビにとって、腐りやすい食べ物は絶好の栄養源となる。よって人の食べ物を食べると、そ嚢の中でこの細菌やカビが増えてしまい、これが粘膜に感染し、そ嚢炎を起こすのである。

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糞便中に見られるカンジダの仮性菌糸

 このことから雛鳥に、熱をかけてふやかしたアワを与えて育てるということは、炊いたご飯を与えているのと同じということになる。実際、ふやかしたアワを与え、雛鳥をカンジダ症やそ嚢炎にしてしまう人が後を断たない。(手乗り鳥の上手な選び方、育て方参照

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3、飼鳥と口移しをする問題

 飼鳥の中でも、特にインコ・オウム類のペアはよくキスをする。この性質からインコ・オウム類の飼鳥は飼い主に対し、よくキスをしようとする。しかしこれは絶対にやってはならない。

 人の口の中には何千億という数の細菌が住んでいる。しかし一部を除いて、そのほとんどは人に対して無害である。ところが、この細菌が鳥に対して無害であるとは限らない。通常鳥の体内にはいない細菌を、人の唾液を通して大量に摂取した場合、体調を崩す原因となる可能性がある。

 また鳥から人にうつる病気にオウム病がある。オウム病は発見が遅れれば、人の命にかかわる病気なので、鳥と口移しは絶対にしてはならない。しかしオウム病自体はしばしば発生する病気ではないので、極端に恐れる必要はない。もし心配であれば、専門病院で検査をするとよいであろう。

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4、風切羽を切る問題

 風切羽の切除に関しては、賛否両論がある。ここではまず切った場合と、切らない場合に起こる問題について解説する。

  1. 飛んで逃げてしまう。
  2. 高い所に上がってしまい、降りてこなくなる。
  3. ガラスに激突してしまう。
  1. 高い所から落ちる。
  2. 踏んだり、座ったりしてしまう。
  3. お湯や油に入ってしまう。
  4. 外敵に襲われやすい。

 以上のように、どちらの場合にも短所が存在する。しかし事故が発生して病院に来る事由は、圧倒的に風切羽を切った場合の方が多くなっている。よって作者は次のように考えている。

 鳥はもともと飛ぶ動物である。よってそれを不自然に羽を切って、飛べないようにすることは、不慮の事故を引き起こす原因となるので、羽は切らないようにする。ただ実際には、飛んで逃げてしまう事故も、しばしば発生している。しかしこれは人が注意すれば良いことであり、鳥自体には、負担をかけない飼い方をしたほうが良いであろう。

 ただしこれは小型から中型鳥に関して言える事であり、大型鳥に関してはまた少し違ってくる。大型鳥では羽を切らないと、狭い部屋で飛んだ場合、どこかに引っ掛かったり、激突するという事故が起こることがある。よって場合によっては、風切羽の切断を考える。

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5、放し飼いの問題

 飼い主の方の中には、鳥をほとんどカゴに入れずに、部屋で放し飼いにしている人がいる。しかしこれは医者の立場から見ると、芳しくない。ここではカゴで飼育されていない鳥に発生する問題について解説する。

  1. 部屋が自分の居場所だと思い込む。
  2. カゴは寝る場所、もしくは巣だと思い込む。
  3. カゴの中で落ち着いていられなくなる。
  4. 落ち着きがなくなり、わがままになる。
  1. 病気で安静にしなければいけない時に、カゴの中で落ち着いていられない。
  2. カゴの中で餌を食べない。
  3. 雌鳥では、カゴを巣だと思い込むと、カゴの中で糞をしなくなったり、床に座り込む。
  4. 特にラブバードでは、わがままになると、加減無く噛みつくようになってしまう。
  5. 人の見ていない所で、動けなくなっているなどの事故が発生する。
  6. 人の見ていない所で、何か変な物を食べて中毒症状を示し、原因が特定できない。

 これらの問題が発生すると、非常に治療がしづらく、また病気が治り難くなってしまう。よって常日頃からカゴには慣らせておく必要がある。鳥を出すときは、時間を決めて出すようにし、時間が来たら、しつけをする意味でカゴに戻すようにしなければならない。出たがるから、喜ぶからと鳥の思いどうりになるような飼い方は、わがままになる原因となるので、気をつけるべきである。鳥に対しても、しつけをする心構えを持ってほしい。

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6、水浴びの問題

飼鳥のほとんどは水浴びを大変好む。一般にセキセイインコは水浴びをしないと言われるが、水浴びをすものも多く存在する。そこで飼い主の方の中には、水浴びはしなければいけないものと思い、鳥自身が水浴びをしないと、強制的に水をかけたり、お風呂にいれてしまったりしてしまいまう人がいる。これは絶対に行ってはならない。

 鳥は通常、水浴びする時に頭部以外のダウンフェザーを濡らすような浴び方はしない。ところが人為的に鳥に水をかけたり、お風呂に入れてしまうと、濡らしてはいけないダウンフェザーまで水がしみ込んでしまう。こうなると鳥は体温を保持することが出来ず、体が冷えてしまう。また羽毛の油脂分も流れてしまい、羽が傷み易くなってしまいまう。

 これは呼吸器の感染症を引き起こす原因となるので、鳥が喜ぶからといって、人の方から水をかけたりせず、鳥が自らするのに任せるようにしなければならない。水浴びをしなくても死ぬことはないが、水浴びをさせたがために死ぬこともあるのである。十分気を付けてほしい。

7、足環の問題

 フィンチ類やカナリヤ、中型・大型鳥にはよく足環がされている。これにはブリーダー(繁殖家)が加入している協会名や、鳥の出生日などを記録しておくものや、鎖を繋ぐためのS字環などがある。しかしこれは一般家庭で飼う上ではつけている必要がなく、また鎖でつないでおくこともあまり芳しくない。それどころか鳥が終始気にしたり、ひどい場合には脚を締め付けてしまったり、鎖が絡まったりなどの事故が起こる。できるだけ事故が起こる前に、取った方が良いだろう。

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足環による圧迫(セキセイインコ)

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