鳥の事故と外傷管理.BMP (214710 バイト)

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ACCIDENT

 鳥という動物が人間と生活していることから起こる不慮の事故はしばしば発生する。これはカゴの中ではなく、部屋の中で放鳥している時に起こる。事故の発生件数が一番多いのは、踏んでしまった、座ってしまったなどの事故である。また火やお湯に飛びこんでしまったがための火傷や廃油に落ちて油まみれになってしまったという事故や猫や大型鳥に噛まれたりといった事故も発生している。これらはそのほとんどが飼い主の不注意や管理失宜が原因と言っても過言ではない。ここではまず事故が発生した時の対処法と看護法について解説する。そして普段から事故が発生しないよう十分な注意を払って欲しい。

1、踏んだり、座ったりしてしまう事故

 この事故の発生が多くなる原因は、鳥自体が危機感を持たないと言ったことも挙げられるが、それ以前に人が鳥を放鳥しているにもかかわらず、鳥のいる位置を常に確認していないことが大きな原因である。とにかく放鳥時は常に鳥が何処で何をしているかを把握するよう心がけなければならない。また風切羽を切っているがために回避能力が落ちていることも原因となる。特別な理由が無い限り、小型鳥、中型鳥に関しては風切羽は切らないようにする。

 この事故は、打ち所によっては生死に関わってくる。実際即死してしまったというケースはしばしば発生している。皆さんの事故発生時に心配な点は、次の2つであろう。

@踏んでしまったが、何処を踏んだのかわからず、一見何でもなさそうだが死なないだろうか?

 生死を分ける点は内臓にダメージを受けたかどうかである。まず内臓破裂を起こせば、即死か、数分で死に至ってしまう。よって内臓破裂を起こせば、病院に行く間に亡くなってしまうことが多い。内臓破裂を起こしたかどうかは、腹部の羽毛を掻き分けて腹腔内の色を見れば確認できる。内臓破裂によって腹腔内に出血が起こっていれば、黒く見えるはずである。黒くなければ腹腔内で出血は起こっていないということなので、一先ずは安心である。

Aこの時、直に病院へ連れて行った方が良いのか、それともまず安静を保って様子を観察した方が良いのか。

 病院には直に連れて行った方が良いと作者は考えている。というのはもしその時は腹腔内が黒くなくても、内臓ではなく細い血管に損傷があった場合、後から徐々に出血してくることがあるからである。これもほとんどの場合、自然に止まってしまうが、最善を尽くすに越したことはない。しかし外見上特に問題がない場合、病院だからといって精密検査による細かい異常が発見できるわけではない。小型鳥や中型鳥では、その大きさゆえ細かい異常まで発見することは極めて困難である。よっ外見上異常がない場合には、詳しく検査して鳥にストレスをかけるよりは、症状に合わせた治療によって様子を観察した方が良い。もちろんこの判断は病院にて行う。

 では次にこの事故発生後どのような点に注目して欲しいかを解説する。病院での診察にも大きく関わってくるため良く観察して欲しい。

  1. 鳥の状態の変化を見る。

 事故後の鳥の状態に変化があるかどうかを見る。驚いてはいるが元気であるか、それとも元気がないのか。元気が無くなったのは突然か、徐々にか。最初元気がなかったが、時間が経つに連れて元気になって来ているのか。

  1. 食欲はあるか。

     事故後餌を食べるかどうかを確認する。食べ方についても良く観察しておくと良い。

  2. 排便はしたか。

     事故後便をしているかどうかを確認する。

  3. 呼吸の状態を見る。

     呼吸が通常より速くなっていないかを見る。事故直後は興奮により、速くなっていることが多いが、それが治まって来ているのか、より速くなっていないかを観察する。

 事故により怪我や骨折、捻挫など外傷があった場合、直に異常に気づけるが、その時は異常がなくても次の日に異常が見つかることがある。気嚢破裂がその一例である。これは呼吸器である気嚢が破れ、皮下に空気が漏出し、体の一部が膨らんでしまうものである。よって翌日も良く観察する必要がある。

2、ドアに挟んでしまう事故、ドアの上に止まっている時に閉めてしまう事故

 この事故の場合起こりやすいのは、脚や趾の骨折である。ひどい時には複雑骨折を起こし、出血を伴う。もし出血を伴っている場合には、直にその部位を押さえ、止血しなければならない。そして直に病院へ連れて行くようにする。しかし出血さえなければ、緊急ではないので、鳥の興奮が治まってから病院へ連れて行っても良い。もし体や頭を挟んでしまった場合には、上記1と同様の観察と対処を行う。

3、火やお湯に入ってしまう事故

 鳥が火傷を起こしやすい部位は、肌が露出している脚である。体躯は羽毛に覆われているため、深くお湯が染み込みさえしなければ、火傷を起こすことは少ない。よってお湯に体が浸かったからといって、直に浸かった部分全部を水で冷やしたりしてはならない。ただ単に体温を奪う結果になりかねない。まず焦らずに火やお湯が羽毛深部まで達したかどうかを確かめ、達していなければ、火傷する率の高い脚のみを冷やすようにする。その後病院に連れて行くようにする。もし羽毛深部まで火やお湯が達している場合、非常に危険性が高いため、直に病院へ連れて行くようにする。

4、油に入ってしまう事故

 料理用油に鳥が入ってしまうことがある。油は羽毛深部まで染み込んでしまうことが多く、羽毛の機能を失い、体温が失われる。また放置すれば皮膚呼吸が阻害される可能性もある。この場合直に洗剤で洗われがちであるが、洗っただけでは羽毛に染み込んだ油を除去するのは困難である。また水が羽毛に染み込めば、余計に体温を奪う結果にもなりかねない。油の除去には油を吸着させる散剤が必要である。散剤を鳥の体躯に振りかけ、指でこするときれいに油を除去することができる。直に洗うのではなく、病院で処置してもらうようにする。

5、ガラスや壁に激突する事故

 ガラスが分からずにぶつかってしまったり、驚いて壁に激突したりといった事故が起こることがある。ほとんどの場合問題ないが、打ち所によっては脳震盪を起こすことがある。脳震盪を起こした鳥は、元気がなくなる、食欲低下、脚がもつれる、視力異常、気が荒くなる、噛みつく、眠らないなど様々な症状が見られる。軽い脳震盪であれば、一時的に症状が見られる程度で直に回復するが、ひどい場合には数日の間症状を呈し、最悪の場合改善が見られないこともある。とにかくこの事故が発生した時には、カゴの中で安静を保つようにする。そして半日以上経っても食欲が戻らない場合には、病院で診察を受けるようにする。

 

 鳥が怪我をした時に注意し欲しいことは、鳥の管理の仕方と共に、飼い主の動揺から来る”かまい過ぎ”である。もちろん何の病気をした時もそうなのであるが、怪我は突然、しかも飼い主自身に原因があることが多いため、その罪悪感や動揺から”かまい過ぎ”てしまうことが多い。何の病気でもそうなのであるが、病気の時の基本は安静である。とにかく終始出して触ったり、話しかけたりせずに安静を保つよう心がけて欲しい。

1、痛みについて

 皆さんがまず心配する点は鳥の痛みについてであろう。人同様に痛いのではないかと考えがちである。しかし鳥は痛みに対しては、人と比較すればかなり鈍感である。もちろん痛みは感じるのだが、人のように痛みから動けない、眠れないなどといったことは少ない。中には食欲が落ちる個体もいるが、ほとんどの場合食欲は正常である。よって痛みに関しては、それほど心配する必要はない。逆に少し痛みを感じていた方が、動き回らず安静にしていることのが多い。

2、膨羽と保温について

 一般に鳥は病気になると体温が下がり膨羽するが、怪我をした時には体温が低下するということは少ない。しかしその痛みから膨羽することはしばしばである。ここで注意しなければならないのが、寒くて膨羽しているのか、痛くて膨羽しているのかを勘違いしないことである。痛みで膨羽している場合、いくら温めても膨羽をやめないことがある。この時には膨羽しながら暑がることがあるため、注意が必要である。ただし痛みで食欲が無くなったり、外傷性の出血から体温が低下した場合には、寒さで膨羽するため、十分な保温が必要であり、保温とその必要性には十分な注意と観察が必要である。

3、鳥の精神的変化について

 突然の事故による怪我の場合、ショック状態に陥ることがある。特にこれはラブバード類によく見られ、事故後体を硬直させ動かなくなってしまい、餌も食べなくなってしまう状態になる。しかし多くは遅くとも半日ほどすれば正常に戻ってくる。病院で診察を受けた後は、とにかく触らず安静にすべきである。また興奮や痛みから攻撃的になる場合もある。この行動も通常は興奮と痛みが軽減すれば元に戻る。無理してかまわずに、安静にしておいた方がよい。

 

 事故の際、骨折はしばしば発生する。鳥では骨折する頻度の多い骨は脚では脛足根骨(人でいう脛骨)、翼では上腕骨である。破行や翼の下垂などの症状を呈するので直にわかる。鳥の骨折で人と異なる点は、治癒の速度と治療法、鳥が骨折とその治療を理解できないことである。ここでは鳥が骨折した時の注意点と管理法について解説する。

1、骨折をした時の対処法

 まず事故が起こった時には骨折をしていないかどうか見なければならない。通常通り歩いたり、飛べれば問題無いが、破行があったり、飛べない場合は骨折した可能性がある。もし骨折が分からなくても、疑いがあれば直に病院で診察を受けるようにする。鳥は骨折の治癒速度が速く、10〜20日あれば骨が着いてしまう。よって骨折をしてから日数が経てってしまえば、既に曲って着いてしまうこともある。ただし外傷を伴っていなければ、命に関わる緊急事態ではないので、夜間に起こったとしても、翌日に連れて行けば大丈夫である。

 また飼育書等に書かれているように、直に副木を当てる等の応急処置は家ではしない方が良い。作者の経験上、正しく固定されていたことは一度も無い。逆に鳥が患部を気にして、噛んで出血することすらある。

2、病院での治療法と自宅での注意点

 鳥の骨折の治療法には次のような方法がある。

  1. 自然治癒法

 主に小型鳥に適用されるもので、固定をせずに自然に治癒させる方法である。骨折しても筋肉に大きなダメージが無く固定をせずとも真っ直ぐになっており、鳥が患肢(骨折した脚や翼)を使わずに、カゴ内で落ち着いていられる場合に適用される。もし真っ直ぐになっていても、鳥がカゴの中で落ち着かず動いてしまい、患肢を使用してしまう場合には適用できない。また出来ればテーピング固定や手術をした方が良いが、鳥が他の病気を併発しており、身体の状態が悪い場合にも適用されることがある。外見上は正常、もしくは若干曲った状態で治癒する。実際には骨が少々ズレてしまっていることもあるが、鳥が生活に不自由になることは少ない。

 この方法を適用した時に自宅で注意しなければならないことは、常に真っ直ぐになっているか(趾が正常方向に向いているか、翼が下がりすぎたり、ねじれたりしていないか)を見ることである。小型鳥であれば、10日もすれば骨が着くため、その間に曲っているのを放置すればそのまま着いてしまうので注意が必要である。一週間もすれば患肢を使い始めるので、その時点で真っ直ぐになっていれば大丈夫である。また、まだ骨が着いていないのに患肢を使ってしまい、骨折部位からブラブラするようであれば、直に病院へ連れて行くようにする。

  1. テーピング法

 テープや副木を使って患肢を固定する方法である。脚の脛足根骨、足根中足骨、翼の橈尺骨、指骨の骨折に適用でき、大腿骨、上腕骨の骨折には適用できない。通常麻酔下で不動化してテーピングを施す。外見上は正常、もしくは若干曲った状態で治癒する。骨のズレは少ない。

 この方法を適用した時に自宅で注意しなければならないことは、鳥がテーピングを壊していないか、趾や翼が正常方向へ向いているか、血流が止まっていないかを見ることである。当然ながら鳥はテーピングを齧ったり、突ついたりして壊そうとする。適切にテーピングを施せば、壊されることはほとんどないが、不適切に施されたテーピングは直に鳥が壊してしまい、齧ることにより患部が曲ってしまうこともある。またテープの端を齧ることにより、テープが締まってしまい、血行障害を起こすことがある。

  1. ピンニング法

 骨の中にピンを挿入する手術をして、骨を固定する方法である。大腿骨、脛足根骨、足根中足骨、上腕骨、橈尺骨に適用できる。骨にピンを入れて固定しても、テーピングによる外固定が必要である。骨がズレることはなく、曲ることもない。しかし関節からピンを抜くため、関節の機能不全を起こすことがある。

 この方法を適用した時に自宅で注意しなければならないことは、テーピング法と同様にテーピングを壊さないか、血流が止まっていないかを見ることである。ピンが入っているため、患部が曲ることはないが、ピンを軸に骨が回転するため、趾や翼が正常方向に向いているかを見るようにする。

3、骨折した鳥の自宅管理法

 骨折した時の自宅管理法は、基本的には自宅看護の仕方の項で説明したのと同様である。しかし鳥がカゴ内で落ち着いていられない場合、カゴを使わずプラスチックケースやダンボール箱で管理した方が良い場合もある。これはカゴを登ってしまい、落ちたりといったことを防ぐためである。カゴの床で落ち着いていられない個体には実行した方が良い。この場合も必ず止まり木は、下に固定して付けておく必要がある。

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