太陽の「2000年問題」ってなに?
〈太陽の「二〇〇〇年問題」とは。また、太陽はなぜ燃えつづけているのですか?〉
=東京都・会社員 ●●●●さんたちの疑問
◆11年ぶり活動の極大期 人工衛星破壊しカーナビ支障も

 太陽はいつも変わらずに輝いていると思われていますが、活動的なときもあれば、あまり活動的でないときもあります。最も活動的なときを「極大期」といい、周期は約十一年です。ただ、なぜ十一年周期になるのかはっきりわかってません。

 文部省宇宙科学研究所の太陽観測衛星「ようこう」などによる観測から、太陽は今年から極大期に入り、二―四年続くとみられています。極大期には太陽表面で「太陽フレア」と呼ばれる爆発的なエネルギー放出が度々起き、エネルギーの高い電子、陽子などの粒子が大量に宇宙に放たれます。

 この粒子は、太陽から約一億五千万キロ離れている地球まで早ければ約十分で、遅くても数日以内で届きます。一方地球は、地磁気による強い磁場でくるまれていて、こうした粒子をはじき飛ばすので、磁場のすき間のある北極と南極の周辺を除くと、地上ではあまり直接の被害はありません。

 両極地方でよく見られるオーロラも、太陽からの粒子と地球の磁場、大気の相互作用で起こる現象ですが、極大期の今年に入ってからは、米国北部や北海道など、比較的緯度の低い地域でも観測されています。

◆前回はカナダで大停電 猛烈な磁気嵐

 美しいオーロラだけなら良いのですが、前回の極大期(一九八九年三月)には、緯度の高いカナダ・ケベック州で大規模に磁気が乱れる現象(磁気嵐(あらし))が発生。六百万人が停電の被害を受けました。このほか、太陽から飛んでくる荷電粒子が人工衛星の電子機器に過剰な電圧をかけるなどして、衛星に異常が生じたり、壊れたりするケースが数多く報告されています。

2000年5月15日 東京読売夕刊
 



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