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更新:平成12年2月10日(第17号)

寒い日が続いていますが、読者の皆さんお元気ですか。これから3寒4温で少しずつ暖かくなって行くと思いますが、お風邪などを召しませんように。

さて、この2月号では少しショッキングな話題をお伝えします。
話題は我が家の愛犬アレックスを去勢したお話なのですが、記事の裏側に手術の写真4枚が貼ってあります。この種の写真をご覧になって気分が悪くなる方は、絶対にクリックして見ないで下さい。記事の内容が相当長くなりますが、去勢をご検討しておられる方にご参考になるかと思い、手術の様子や現在までの経過等の詳細を掲載します。


 

[タマタマを取っちゃいました]
この写真は去勢手術後3日目の写真です。
経過はすごく順調で本人(犬)は元通り元気になっていますが、抜糸が済むまで特別な注意を払っています。

[アレックスの去勢手術]
アレックスは現在3才7ヶ月のオスのラブラドールですが、成犬になってから今まで、アレックスを去勢するかどうか家族で議論をしてきました。家の中では90点以上あげられるのですが、散歩へ行くと50点位になってしまうからです。パパは「反対」、ママとお姉ちゃんは「反対だけれどした方がよいかも知れない」だったんです。
「した方がよい」状況とは、散歩に連れて行くと、相手がお婆ちゃん犬であれ去勢した雄犬であれ、アレックスが気に入った相手にアタックしてゆくようになってきたことです。相手の犬によっては叱られますし、迷惑がられることしかりです。精嚢にいっぱいになった精液を廊下にぽとぽとと落としているのはまだしも、本能の性行動とはいえ見ていて哀れと言いますか、あまり良い状況ではなかったのです。

アレックスは「万年3歳児」の我が家の大事な次男坊ですから、もし手術をして命を落とすようなことがあったら、悔やんでも悔やみ切れません。病気や怪我でもないのに、人間の勝手で彼の身体にメスを入れて良いものかどうかも悩みました。色々調べましたが、獣医さんによっても賛否両論があり、散歩中に会った方にも「去勢すると顔の形も変わってしまうし、肥満になるから止めておいた方がよい」とも言われました。アレックスの主治医のA先生も、基本的に去勢を勧めることはせず、飼い主から希望されれば手術をすると言うスタンスでした。同じ団地内のラブラドールで5才の時に去勢手術をした飼い主の方や、シェトランド・シープの飼い主にもいろいろと聞きましたが、危険はなかったという事でした。

こんな訳でやっと決断をしたのが1月半ばでした。ところが、手術の予約をすることになって判ったことは、パパが手術の時の麻酔に立ち会える土曜日は予約がいっぱいで、かろうじて1月29日が開いていることでした。予約をしてからもアレックスに「どうしようか」と話しかけましたが、本人(犬)が理解できるはずもありません。
手術の前日の夕食後は一切の食べ物や水を与えず、当日の朝食や水も与えてはならないと指示されていました。理由は、麻酔をかけると胃袋の中身を戻し、それが気管に詰まってしまって危険な場合があるからだそうです。ですから、人間の朝食はアレックスに隠れて取りましたし、空腹を訴えるアレックスを散歩に連れていってごまかしたりしました。

A先生の一般診療が終わって手術が始まったのは、12時10分頃でした。まず、後ろ足の血管に麻酔の注射をして(前足の方が血管が太いので前足にする獣医さんが多いとのこと)、その後は看護婦さんが二人がかりで手術室の手術台へアレックスを運び、弱い催眠ガスと酸素の混合ガス吸入用のマスクを付けられて眠りについたのです。一人の看護婦さんは麻酔の状況を監視するのに専念し、もう一人の看護婦さんは先生の補助役でした。
眠っているアレックスを上向きに固定するために4本の足に細いロープを付けて手術台に固定します。そして電気バリカンでタマタマと開腹する場所の毛を剃ります。そして念入りに消毒した後、去勢手術専用の布が掛けられいよいよ切開です。完全消毒した専用のキットが用意されており、先生も開封したばかりのゴム手袋を使用します。切開場所は、タマタマとペニスの丁度中間くらいで、先生は傷口を出来るだけ小さくするために、タマを押し出せる最小限にするとおっしゃっていました。

手術中の出血は予想したよりも少ないと思ったのですが、アレックスの血管が太いため、先生はこれでも多い方だとおっしゃっていました。タマタマの取り出しは片方ずつで、切開口から片方を取り出してから血管や器官を糸で縛り、その後タマを切除します。タマを覆っている膜が真っ白ですので、ライチという果物の外皮を剥いたようでしたが、膜の中からタマを取り出すと、タマ自体は当然ながら肌色でした。これを2度繰り返したあと、切開部に化膿止めの薬を注入し、溶けてしまう縫合糸と抜糸が必要な縫合糸で二重に縫合し、縫合部に化膿止めの薬を塗って完了でした。

普通はこれで手術が完了なのですが、アレックスの場合は、麻酔をしているついでにと言ってはかわいそうなのですが、もう一カ所手術をしてもらったのです。左脇腹に出来た大豆大のポリープでした。前から大きくなったり小さくなったりしていたので気にしていた物ですが、悪性の物だったら大変なので切り取って調べてもらったのです。組織分析の依頼はしませんでしたが、先生によりますと、幸いにも悪性のポリープではなかったようです。これの切除跡は3針縫合しました。ここまでにかかった時間は1時間ほどでした。

アレックスの麻酔がさめてから迎えに来て欲しいと言うことで、夕方の5時過ぎに迎えに行くことにしたのですが、アレックスの元気な姿を見るまでは何も手に着きませんでした。迎えに行ったら傷口が痛いはずなのに、尻尾を振りながら元気に飛び出してきましたので一安心。一日二回・三日分の飲み薬をもらって家に連れて帰って来ると、「傷口が痛いよー」か「僕寂しかったよー」か「お腹が空いたよー」のどれを意味しているのか判りませんでしたが、少しクークーと言っていました。犬によっては一晩中クークーと言っている場合もあるそうですが、アレックスの場合は我慢強かったのかも知れません。腸の活動を停止させる注射をしてあり、夕食は出来るだけ食べさせないようにと指示されていましたので、ほんの少しペディグリーをあげただけで我慢してもらいました。

ところで、切除したタマタマをどうしたかと言いますと、実はホルマリン漬けにして持って帰ってきました。A先生は相当な数の去勢手術をした非常に信頼できる獣医さんですが、保存を申し出た飼い主は私で二人目だそうです。一人目は人間の外科医で、医学的な理由で保存を申し出たそうですが、私達の場合は別の理由です。
「悪趣味ダー」と思われる読者の方もいらっしゃるかも知れませんが、理由はこうです。先にも述べましたように、「人間の勝手」で切除してしまったのですから、アレックスの寿命が来て天国へ行くときには、彼に返してあげなければならないと思ったからです。人間のように自分の死亡後に臓器提供を了承しているのとは異なるわけですし、「一時預かり」であるべきだと考えています。A先生は写真のようにタマタマを洗浄した後、ホルマリンを入れたプラスチック容器に入れて熱封印してくれましたので、更に3重にプラスチックの袋に入れて床下の冷暗所に保存してあります。

去勢手術の費用は2万8000円で、ポリープの分が2000円でしたから合計3万円ですが、雌犬の卵巣摘出よりは安いと思います。
アレックスのその後の経過ですが、4日目から元の本調子になり、散歩に出ると元気に走り回っています。ポリープの手術跡は全く気にならないようで、去勢手術跡は時々なめています。現在の陰嚢の大きさは元の四分の一程ですが、年数が経てば退化してペッチャンコになってしまうそうです。問題の性行動も手術後直ぐには止まらないそうですが、今後様子を見守りながらご報告できると思います。

手術の「取材」を許可して下さった上、丁寧に慎重に手術をして下さったA先生と二人の看護婦さんにお礼を申し上げるとともに、アレックスにも「よく頑張ったね」の言葉を贈ります。


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