万能型電池チェッカーのご紹介

筆者: アレックスのおじさん

加筆・修正・変更の記録
加筆・修正・変更 場所 日付
初版:   平成15年10月16日
更新 写真の入れ替えと説明の更新 平成16年2月15日

 


第一部の技術志向版 6.バッテリーチェッカーについてに、市販の電池チェッカーをご紹介しています。 しかし、いずれも乾電池(一次電池)のみに使用できる製品で、充電式の電池(二次電池)にも使用できる実用的な製品はありませんでした。

ところが、「独自開発した超小型急速放電器」に以前掲載したことがあるのですが、個別部品を使用した急速充電器を3年前に開発しました。 こ時には、この回路に少し手を加えれば電池チェッカーになることが分かっていました。 当時は改造に着手する時間がなかったのですが、やっと本格的に開発に着手できるようになり、充分実用になるチェッカーが出来ましたので、ここで宣伝用として概略をご紹介させて頂きます。


  1. 充電式電池用のチェッカーが無い理由

    第一部に紹介している図と同じですが、下の図を見てください。 ニカドやニッケル水素電池の放電カーブは、マンガンやアルカリ乾電池のそれと比べると、1.2V近辺のほぼ平坦な電圧変化が長く続きます。 基本的にこの微妙な電圧を正確に読みとれれば、充電式電池の状態を知ることが出来ます。
    しかし、アナログ式・デジタル式のいずれの技術を採用しても、精密測定器並みの回路になってしまい、安価に販売できるようなチェッカーを作るのは難しかったのです。


各種電池の放電特性

  1. 二次電池にも使用できるチェッカーが出来た理由

    筆者が開発したチェッカーの元となる急速放電器は、「弛張発振」という電池の回路では嫌われる動作を利用しています。 電池から一定の電流(負荷電流)を取りだした時の電圧値が交流信号に変換され、これを処理してメーターの駆動電流に直すことによって、マンガン・アルカリ・ニッケルなどの乾電池と、ニカド・ニッケル水素などの充電式電池の両方に使えるようになりました。 これがユニバーサル(万能)と名付けたゆえんです。
    個人ではありませんが特許を申請済みです。
     

  2. 廉価版ユニバーサル電池チェッカー

    左の写真は100円ショップのダイソーで買ったチェッカーを改造して試作したモデルです。 データーを取るために3台試作しました。 もとのチェッカーには、抵抗4個と針式のメーターが入っているだけで、おもちゃに毛が生えた程度の製品ですが、ほぼ実用になります。 オリジナルのままでは回路基板や電池が入りませんので、一個の裏側のケースを輪切りにしてもう一個の裏側ケースに張り合わせて作りました。
    メーターは中国製の簡単な物で、表示の直線性はあまり良くありませんが、メーター内部のスケールを自作した物に取り替えてあります。 日本製で同じような物があれば300円はするのですが、さすが中国製、100円の製品に使われています。
    写真では見えませんが、機構を改造しませんでしたので、内蔵電池チェック・電源のオンオフ用のスライドスイッチを付けています。 最新版ではこのスイッチを取り除いています。
    この試作品のメーターのスケールは3段になっており、一番上の段が内蔵の3Vの電池のチェック用で、中段が充電式電池用、下段が乾電池用になっています。 スイッチなしのモデルでは2段表示になります。
    緑色のLEDランプは、電源が入っているときに点灯しますが、LEDの電圧を一部の回路の標準電圧として使用しています。
    チェッカー上部の白いレバーが上下にスライドしますので、測定する電池をこれで挟んで電池の状態をメーターで見ます。 オリジナルの接点では電池との接触状態があまり良くありません。
    外形は88 x 43 x 32 mm3の手のひらに入る小さな物です。 もう「おもちゃに毛が生えた」電池チェッカーではありません。
     

  3. 高級版ユニバーサル電池チェッカー

    ダイソーのチェッカーを改造したモデルでは、他の電池チェッカーと同じように電池電極とチェッカー端子との接触がどうしても不安定になります。
    そこで趣味の工作技術を使って自作したのが、左の写真のような高級版です。 現時点では世界に一つしかないユニバーサル電池チェッカーです。 友人はみんな気に入ってくれています。
    外形は大人の手のひらに入るサイズで、廉価版よりも大型になりますが、測定する電池をソケットに入れますので、安定した測定が出来ます。 アタッチメントを付ければパック電池にも使用できます。
    この最新モデルでは内部回路を改良してメータの表示も変えていますし、プッシュスイッチを省いています。この高級版でも中国で生産すれば、実売価格は1000円以下になるのは確実です。
    ソケットの左側を変更すれば、充電式電池の急速放電器や電池容量チェッカーに展開できます。 また、基板に空きスペースがふんだんにありますので、回路や機能を豪華にすることが可能です。
    測定可能回数は1万回以上です。
     

  4. 回路と使用部品の点数

    回路図やこれ以上の内容は公開できませんが、機構部品を除くメーター・3Vの内臓電池・内蔵電池ソケット・ジャンパー(0オームの抵抗)などを含めた使用部品点数は30点以下で、廉価版も高級版もリード線による配線はありません。
    ディスクリート部品のみを使用しており、ICは使用していません。 開発費が膨大になりますのでバイポーラIC化は計画していませんが、IC化すれば10点以下の部品点数になります。
     

  5. その他

    アナログメーターの代わりにLEDメーター・LCDバーグラフ・7セグメントLEDなどを使えばよいという意見がありますが、コスト最優先を考慮すると、超安いアナログメーターが総てにまさるという結論に達しました。 また人間が古いのかも知れませんが、アナログメーターの方が電池電圧の微妙な違いが読みとれて良いように思いました。
     

  6. お断り

    まだ市場に出ていない製品ですので、技術的な詳細のお問い合わせをいただいてもお答えできませんので、悪しからずご了承ください。

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