BC-880を改造したNi-MH電池用のチェッカーの技術説明

製作・著作: (有)テクノアート
 (初版:2007年8月4日)


(有)テクノアートが採用しています2次電池のチェックに使える電池チェッカーの技術を以下にご紹介します。

  1. 内臓電池(3Vのリチウム電池)が必要な理由
    弊社のチェッカーは、市販品のチェッカーのような抵抗のみのパッシブ回路による電池電圧表示をしておらず、トランジスタなどを使用したアクティブ回路による電池電圧表示をしています。したがって、この回路を動作させる電源が必要になります。
    チェックする電池の電圧が約0.6V以上あると、電源スイッチ用のトランジスタが動作し、回路に電源が入ると共にLEDが点灯し、内部回路用の標準電圧が発生します。この回路は、内臓電池の電圧が2Vになるまで正常に動作しますので、通常の使用状態では1万回以上の測定が可能です。
    各種電池に一定の負荷をかけた時の電圧が0.8V以上ある場合で、各種電池の2個以上の同時挿入が出来ない機構的の場合には、DC-DCコンバータを採用できますので、内蔵電池が不要になります。
     
  2. 充電式電池の特長
    ニカド電池やニッケル水素電池(Ni-MH電池)の放電特性は下図のようになります。


図1. 各種電池の放電カーブ

すなわち、公称電圧が1.2VのNi-MH電池などは、満充電終了後の電圧は1.4V以上ありますが、放電が進むに従って次第に1.2Vに近づき、この電圧を過ぎると急激に電圧が低下し、放電終了で1.0Vになります。
このため、Ni-MH電池の消耗具合は、1.3Vから1.2Vまでの僅か0.1Vの電圧値を読み取る必要があります。この0.1Vの電圧を従来のパッシブ型の回路を使用したメータ表示では、図2左側の図の青色範囲のように、非常に狭い範囲となってしまいます。
一方、弊社が開発したアクティブ回路では、図2右側の上段黄色領域のように、非常に広い範囲で表示できるようになります。
ちなみに、上段下部の細いスケールは、公称電圧8.4Vの角型の充電式電池(6TH22Gなど)で、下段の乾電池用のフルスケールは、1.7Vあるオキシライド乾電池に対応しています。

BC-880のメータースケール
(上段の青領域が1.2Vから1.3V)
SBC-880のメータースケール
(上段の黄色領域が1.2Vから1.3V)
図2. 電池チェッカーのスケールの違い

(註) BC-880のメータースケールは2段になっていますが、これは古いモデルのメーターを流用しているためで、このモデルでは使用していません。また、上段の青領域は筆者が加筆したものです。

回路図はこちらです。

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