ドラレコ用パーキングコントローラーの紹介
2台のドラレコを約40分のパーキングモードに切り替え

製作・著作: (有)テクノアート
 (初版:2018年12月10日)
(追記:2019年1月19日


あおり運転などの報道で、ドライブレコーダー(ドラレコ)を車に装備する人がずいぶん増えたようです。私はずいぶん前から装備していましたが、後ろ専用のドラレコを装備したのが昨年でした。これがあいにく物損事故に遭遇した時に役立ちました。ただ、事故直前にバックした私がバックミラーを見たかどうかの証拠がありませんので、3台目のドラレコを運転席の監視用に追加しています。

ご存知の方も多いと思いますが、ドラレコ本体や映像記録に使用しているSDメモリーについては、下記のような注意が必要だと思いますので、以下に列記しておきます。

  1. ドラレコを装備しても、ほとんどの場合、事故に遭うことがありませんので、初期にその操作方法を知っていても忘れてしまいますし、パニック状態では操作方法などを思い起こせないかもしれません。ダッシュボードのポケットに取り扱い方を書いた簡易メモを入れておくのが良いかもしれません。
     
  2. 事故が起きたら、ドラレコの電源コードをカメラから抜くか、あるいはシガーソケットのプラグを抜いてしまい、メモリーカードを保存することが大切です。万一人身事故でこの操作が出来なくても、エンジンキーを切れば、一般的にドラレコの動作を停止できます。パーキング中もセキュリティ上動作しているようにしてあると、特に注意が必要で、SDメモリーを取り外す必要があります。
     
  3. ドラレコの時計は充分に正確ではありません。GPS電波を受信して正確な時計にするようにしたモデルもあります。現状では、ドラレコの設置時から数か月以上の時間が経過していると、映像に記録されている時間は実時間とずれます。従って、事故発生時刻がはっきりしているならば、その時刻との差異をメモしておく方が良いようです。出来たら、一か月に一回ぐらいは、時刻をチェックをするのも必要です。
     
  4. 16GBのカードを入れていても、記録させる映像が高精細になればなるほど、メモリーに書き込めるファイル数が少なくなります。したがってわずか一時間余りで古い方から順番に消去され、そのあと上書きされます
    このため、大きな容量のメモリーカードを用意するほか、必要以上に高精細に設定しない方が良いと思います。横方向の画素数は1280ピクセルくらいでしょうか。
    購入時に付属している8GBでは役に立たないと思った方が良いです。
     
  5. SDメモリーのような半導体記録デバイスでも、何度も消去・記録を繰り返すと劣化してきます。ドラレコのシステムがそれを通知してくれるようなものなら安心ですが、2年くらいで取り換えた方が良いかもしれません。
     
  6. ディジタル記録の画質は、警察では100万画素以下では取り合わないと聞いたことがあります。安いドラレコが販売されていますが、68万画素から100万画素の製品も出回っています。100万画素では前の車のナンバープレートの表示内容を十分に視認できません。200万画素以上がお勧めです
     
  7. 余談ですが、事故現場で確認した重要な記録映像が、家に帰ってみてみると消去されてしまっており、真っ青になりました。幸いにも10年以上前に買っていたファイナルデータというソフトでSDメモリー内を見たら、6個の消去されたファイルが見つかり、復元してみると重要なファイルが含まれていてほっとしました。上書きするまえに消去するシステムであったために救われました。

本題に入ります。

ドラレコにパーキングモードが付いているモデルがありますが、カメラに内蔵のバッテリーで一定時間監視するタイプと、車の常時電源端子に接続して、監視時間を自由な時間に設定するタイプがあるようです。前者はあまり長い時間動作しないか動き検出などで録画するようですが、常時電源に接続するアダプターは6000円以上するようです。
常時電源に接続する作業をしたことがありますが、大変面倒でした。
筆者は自前の予備電池を採用して、ショッピングセンターの駐車場などでの短時間内の動作を求めました。

そこで、2台のドラレコを1台のパーキングコントローラーで使用できるように自作してみました。12Vの大電流源に接続する回路・装置ですので、注意深く設計・製作する必要がありました。
ここに公開する情報はあくまで参考用ですので、完全動作や安全を保証したりするものではありません。
(これ以降の説明文ではです・ますを省きます。)

1.車に搭載する試作品
 
 

左側の12Vの密封型鉛電池はトランクルームに収納するが、転倒しないように底面に薄い合板を張ってある。そしてこの電池の状態をチェックするために、古い大型のアナログメーターを取り付け、約10Vから15Vまでを拡大して見れるように工夫している。(写真は12Vを指している。)加工が簡単なように羊かんの包装トレイを使用し、これにメーターと電圧チェックの時にだけ押すタクトスイッチを取り付けた。電池とコントローラの接続ケーブルには1Aのヒューズボックスを取り付けてある。

中央のパーキンングコントローラーは後部座席の下に配置しているが、パーキングモード切り替えスイッチやタイマー時間の切り替えジャンパーは触れる必要はない。第一回目の試作には穴あきベーク基板を使用したが、ランドが剥がれやすいなどの問題があったために、ガラスエポキシの感光基板でパターンを作成して信頼性を向上した。車の振動を受けやすい大型電子部品はシリコンで振動防止している。

このコントローラーから1Aのヒューズを経由して、シガーソケットを二本接続できるソケットに接続して、2台のドラレコを接続できるようにした。このソケットと車のシガーソケットからの延長ケーブルに接続するシガープラグは、助手席の下に配置している。
 

作図した回路基板

断捨離モードに入っている筆者なので新たに部品を購入せず、ジャンクボックスなどを探しまくって部品を集めた。あとになって気がついたのだが、3Aのショットキーダイオードにアキシャル品と表面実装品を使用している。後者に統一すればよかった。

PNP型パワートランジスタの2SA1244のNPN型が欲しかったが無いので一回り大きなパワートランジスタを使用した。また、抵抗・トランジスタ・小容量コンデンサ等は表面実装部品を使用できるが、老眼鏡をかけて2.3倍のルーぺを使用するのは避けたいために使用しないことにした。
 

2.試作品の回路
 

回路図中の半導体は廃品種になっている物があるかもしれないが、ネット上で素性を調べることができる。

  • サブバッテリー充電用のトランジスタ2SC2562のVcesatは0.4Vなのですが、ベース電流設定用の抵抗値が2.2KΩになっていたため充電していませんでした。100オームに変更すれば充電できますが、逆流防止用のショットキーダイオードCMS01の順方向電圧が0.37Vであるため、車からのバッテリー電圧が約0.8V低下してしまいます。
    このためトランジスタを取り外してC-E間を直結して使用しています。
     

  • また、パーキングモード保持時間を約40分に設定していましたが、動き検出機能を使用できないため、SDメモリーの使用量が大きくなってしまいます。そこで約半分の20分で妥協することにして、220µFのコンデンサを100µFに変更しています。
    (2019年1月19日追記)

3.回路の簡易説明
 
車のアクセサリー端子(シガーソケット)からの12Vは、リレーによって切り替える。これはエンジンキーを切った時にリレー出力をグランドに落とすためで、こうすることによってタイマーICの短時間のトリガーパルスを得るようにしている。タイマーICは12Vでも使用できるが、5Vの三端子レギュレータで5Vで使用している。

タイマーの時間は、10Mオームの固定抵抗に対してコンデンサーの値で決まる(1µF X 10MΩ X 1.1 = 1X10-6 X 10X106 X 1.1= 1 X 10 X 1.1 = 11sec)が、ショートプラグをオープンにすると1µFのみが接続されるので、タイマーの動作のチェックが容易になる。メインのコンデンサを220µFから470µFにすれば、約1時間のタイマー設定にできる。

回路内のLEDはタイマー動作を目視するためで、省略できる。

接続するドラレコ2台の合計消費電流は450mAあるので、パーキング用の電池の消耗は無視できない。従ってエンジンがかかっている時に消耗分を補充できるようにしている。もし助手席前のグローブボックス裏のヒューズボックスから常時12Vを得るようにすれば、充電用のトランジスタや補助電池を省略できる。

補助電池に直列に接続されている1Ωの抵抗は、補助電池が劣化した時に流れる充電電流を押さえるための気休めだ。

現状の回路では、車又は補助電池に装置を最初に接続したらパーキングモードがオンしてしまう欠点がある。従って初期接続の時だけ約40分20分待つか、エンジンを切った後の1回目の動作だけタイマーの動作時間を不問にする必要がある。
 

3.メーター表示の工夫

 

どういう使い方をするために製造されたメータかは不明だが、以前直列抵抗を入れるだけで使っていた大型のバッテリーメーターをジャンクボックス内で見つけたので再利用したが、鉛電池の放電終止電圧〜収束電圧〜充電電圧をスケール全体で表示したい。

そのためには、メーターに流れる電流を非線形素子(デガンマ特性を持った回路)を通せばよいわけだが、結構複雑な回路を組みたくない。そこで、すでに誰かが実施しているかもしれないが、ここでは右側の写真のように6個のLEDを直列に接続して、LEDの非線形特性部分がメーターのスケール内に入るようにした。ダイオードの直列接続場合にはこれだけの拡大表示ができないだろうが、もっと小型のµAタイプのアナログメーターならダイオードを使用できるだろう。
このメーターは1mAくらいの電流が流れるので、12V以上ではLEDがうっすらと点灯するが、メーターの裏側に配置するので全く問題にならず、左側の写真のようにメーターの指示を最適化できた。直列抵抗の値は1650Ωになった。

【おことわり】
本来ならばこのような記事にはQ&Aを付けた方が良いのでしょうが、メールアドレスを開示すると大量のスパムメールが入ってきますので開示できません。
悪しからずご了承ください。(2019年2月5日)

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