電動工具用の充電器

製作・著作: (有)テクノアート
 (初版:2006年6月10日)


新聞やインターネットショッピングで、「えっ、そんな値段でこれが購入できるの?!」と驚くほどの、下の写真1のような充電式電動ドリルセットが見つかります。これは広島県のS商事が中国から輸入して販売している製品ですが、もしドリルそのものが使用できなくなっても、セットに含まれている豊富な刃物が使用できることから、購入してみました。(すべての刃物を単品などでそろえたとしても、絶対にこのセットの価格以上になってしまいます。)
使用結果についてですが、充電式電動ドリル単体でも8000円以上する製品と比較すると、トルクを最大に設定しても不足しているように感じますが、一応ちゃんと使用出来ます。(耐久性については、今後、様子を見る必要があります。)
しかし、あえて難点があるとすれば充電器でしょうか。初期の購入時には充電式のバッテリーの残量が分かりませんから、説明書にあるとおり5時間以上充電してみました。緑色のランプ(LED)が充電中を表示しているようですが、何時間充電しても消えることはありませんでした。


写真1. S商事が販売しているお買い得の充電式電動ドリルセット

取扱説明書には「充電が終われば緑のランプが消えます」とは書いてありませんから、不良ではありません。緑ランプが消えない理由は簡単で、写真2のように最もシンプルな充電回路になっているからです。
ローコストの要求から来る回路でしょうが、同じ理由で、付属のACアダプタは、平滑コンデンサなしのブリッジ整流回路が入っているのみで、しかも最大電圧が25Vを超えています。

写真2. 充電スタンドと内部の回路基板 写真3. ACアダプタの出力電圧
(負荷がかかった状態)

このような状態では、バッテリパック内の1.2V/1200mAhのニカド電池(12本の直列接続、14.4V)が過充電になってしまい、電池寿命を縮めてしまうばかりか、液漏れなどの心配も出てきます。
そこで、マキシム社のMAX713という従来からある充電用のICの無料サンプルを入手して、ちゃんとした充電器を製作してみました。
このICは、1.2Vのニカドまたはニッケル水素の充電式セルを16個まで(回路の追加により最大22セルまで)急速充電でき、マイナスデルタV方式の充電完了検知モードが使用できます。回路は比較的簡単で、部品点数は20点です。電池の温度検出は省略していますが、電池の素性が不明ですので、充電電流を250mAに設定しています。
一台しか試作しませんので、廃材のユニバーサル基板を使用しましたが、これで安心して充電することが出来ます。

購入時のままで充電器を使用する場合には、時計を見ながら充電時間を調整するようにしないと、バッテリパックを短期間でダメにしてしまう可能性があります。

回路図はこちらです。

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