特集 第一部 (一般向け改定版)
ニッケル水素電池と充電器
(知っていて得するお話・メーカーが公表しない話) このページには画像は1枚しかありませんが、A4用紙換算で13ページ以上あります。お知りになりたい項目へすぐにジャンプできるようにしましたので、ご利用ください。
筆者: アレックスのおじさん (hiro580@mvi.biglobe.ne.jp)
加筆・修正・変更の記録 |
加筆・修正・変更 |
場所 |
日付 |
初版: |
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平成12年9月23日 |
改訂版: |
ホームページの引っ越しによる更新 |
平成17年4月 |
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前書き
今まで使っていたデジカメをより高性能のデジカメに買い換えたのですが、取扱説明書通りの操作をしても電池がすぐに無くなってしまい、予備の電池二組(一組2本)を持っていたにも関わらず、シャッターチャンスを逃してしまうことになってしまいました。 これがきっかけで、それまではほとんど無知だった電池について猛勉強やら実験・測定などをして、筆者なりに電池についての知識を深めましたし、メーカーが公表したくない裏情報も得ることができました。
使い捨ての一次電池や繰り返して充電・放電ができる二次電池などを、日常何も気にしないで使っている人が多いと思いますが、実はすべての電池は化学反応を持った生き物なのです。
電池が生き物であるということになると、その取り扱い方法を知っているのと知らないとでは、おのずから電池を生かしきるかそうでないかが大きく変わってきます。
こうしたことから、筆者が素人なりに得た知識をこのホームページ上で読者の皆さんと共有できるようにしました。
初版はあるデジカメメーカーに対する苦情の一部でもあったのですが、このページの記述内容は、技術的な事柄や内容にご興味がない方にもできるだけ正確にわかりやすいようにまとめたつもりです。 もし間違いや誤解などが発見された場合には改定します。
ちなみに、毎年11月11日は十一月十一日と言うことで、プラス・マイナスの「電池の日」だそうです。
目次 (お知りになりたい項目をクリックすると、その項目にジャンプできます。)
1.電池を取り扱う上で知っていた方がよい用語集
一次電池とは一般的に乾電池と呼ばれる電池で、マンガン電池・アルカリ電池・酸化銀電池・リチウム電池などの使い捨ての電池を指します。 充電が出来ないと言うよりは、一次電池は充電してはいけません。
二次電池とは放電と充電を繰り返し行える電池を指します。 ニカド電池やニッケル水素電池・リチウムイオン電池などがあります。
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一次電池・二次電池から外部に電流を取り出すことを放電と言いますが、この放電には必ず電池内部の化学反応が伴います。
二次電池の放電の際の化学反応と逆の反応をさせるために、外部から電圧をかける(電流を流し込む)ことを充電と言います。 それぞれの電池の特性や容量に合った充電器を使用する必要があります。
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外部に電流を取り出さなくても少しずつ化学反応が進みますので、これを自己放電とか自然放電と言います。 電池を長期間放置したり保存しているときの周囲温度が高いほど反応が早く進み自己放電量が大きくなります。
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一次電池や二次電池を使い切った時(完全放電)の電圧で、0ボルト(V)ではありません。
ニカドやニッケル水素電池の放電終止電圧は1.0Vです。 0V近くまで放電させてしまう事を過放電と言いますが、これは繰り返し可能な充放電回数(寿命)を短くしてしまったり、電池の容量を減らしてしまいます。
代表的な電池の放電終止電圧は下の表の通りです。
一次電池 |
アルカリ・マンガン電池(単1〜単5、1.5V) |
0.8V〜0.9V |
2CR5 リチウム電池(6.0V) |
4.0V |
二次電池 |
ニカド・ニッケル水素電池 (1.2V) |
1.0V |
リチウムイオン電池(3.7V) |
3.0V/セル |
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一般的に一次電池には1.5Vなどの公称電圧しか表示されていませんが、二次電池には1.2Vなどの公称電圧と、1550mAhなどの最小容量(min.)あるいは1600mAhなどの平均容量が表示されています。 電池工業界では表記の統一化を図り、総てmin.表示になりました。
容量の単位のmAhは、1550mA(ミリアンペアー:1000分の1アンペアー)を1時間(hourのh)流せることを表しています。 これだけの容量を使い切った時の電圧が放電終止電圧の1.0Vです。
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円筒型の電池が一番よく使われていますが、一次・二次電池とも単1型から単5型まであります。 単1の「単」は英語のunity
cell(単位電池)の単位から取ったもので、一番大きなものから1・2・3と番号が付けられたそうです。 このほかにゲーム機や時計に使われているボタン型や、MDプレーヤーなどに使われているガム型など、ほかにも色々あります。
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ニカドとニッケル水素電池の公称電圧は1.2Vですが、この電圧は必ずしも充電状態や充電容量を表していません。 満充電した後の電圧は必ず1.3V以上になっています。
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「メモリー効果とは、電池を使い切らずに継ぎ足し充電を繰り返すと、見かけ上の電池の充電容量がどんどん減って行き、電池の寿命が来ていないのに短時間しか使用できなくなってしまう現象」だそうです。 主にニカド電池で起こりやすいのですが、どんな形状のニッケル水素電池でも起こります。 セットメーカーが「継ぎ足し充電が出来ます」と表記しているのは、電池メーカー側から言うと実際には無理があるようです。 ただし、メモリー効果の影響を受けることをはっきりと指摘している機器は、その設計が最適でない事を表す一つの指標になります。(通常、製品を購入してパッケージを開けてから始めてわかります。)
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ニッケル水素電池が不活性状態になる、「不活性化状態」という表現は学術的な表現ではないそうですが、電池自体の自己放電により電池の内部電極表面に電流が流れ難くなる膜が出来てしまう現象を言い、「メモリー効果」とは異なるそうです。 電池メーカーは製品のイメージダウンになるためこれを積極的に公表しておらず、一部のデジカメメーカーがこの表現を使用しています。
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充電をしても容量いっぱいに充電できなくなったり、あるいは全く充電できなくなった電池は寿命が来たことを示します。 実際に何回充放電ができるか数えた人はいないと思いますが、500回が公表されている回数です。 高性能の充電器を使用すれば更に寿命を延ばせる事が分かっています。 メモリー効果が起きている電池が「寿命が来た」とか機器の不良と誤解される場合があります。 カメラ側の設計が不適切のため、電池の不良と誤解されて返品される電池が増えているそうですので、本当の状態をよく調べる必要があります。
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2.充電式電池の取り扱い上の注意
冒頭にも書きましたように電池は生き物です。 取り扱い方を間違ったりいくつかの注意点を知らないで使用すると、十分に電池の性能を発揮できないばかりか、危険な場合がありますので、ここにまとめました。
2−1.電池をできるだけ長持ちさせるには
撮影時に光学ビューファインダーを使用して、液晶モニターを極力使用しないことが一番電池の節約になります。
一般的に1.8インチ位のTFT型液晶モニターが使われています。 液晶の駆動回路を含む液晶板自体の消費電力はごく小さいのですが、バックライトといって、液晶板の裏から蛍光灯に似たランプで照明していますので、このランプの消費電力がカメラ全体の消費電力の大きな部分を占めてしまいます。 あるカメラの場合、モニターをオンにした状態では3.9ワットの消費電力が、モニターをオフにすると1.2ワットまで下がりますので、消費電力が半分以下になることが分かります。
日本ではカシオが液晶モニター付きの初代デジカメを販売して以来、液晶モニターを撮影時も使用することが常識のようになってしまっているため、どのメーカーも撮影時にモニターをオンにする初期設定になっています。 一方、海外向けのカメラではモニターオフが初期設定になっているらしいんです。
確かにモニターを使用するとシーンを決め易いのですが、はっきり言ってフォーカスをびしっと決めるのにはほとんど役に立たないことを経験をされた方も多いと思います。 それならば撮影時にモニターを使う習慣を止めることが、電池の節約には大きく役に立ちます。
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2−2.充電器について
PL法が施行されてから、ほとんどの充電器に下の写真のような「危険 他社の電池の充電に使用してはいけない!」という危険マークが付くようになったのですが、この危険マークの意味は、「取り扱いを誤った場合に、人が死亡または重傷を負う可能性が想定され、軽症または物的損害が発生する可能性が高い内容」と言うことになっています。
「本当にそんなに危険な製品を一般の消費者に販売して使用させているの?」という疑問を持ちますが、PL法が施行されてから、メーカーが過剰なくらいに事故が起きた場合のリスクの軽減を計っているようです。 実際に破裂したり火傷や火災の危険性がゼロではないからだそうです。
特に、10年以上の歴史を持つニッケル水素電池なのですが、初期の頃の製品の特性が揃っておらず、このような古い電池や他社の電池を使用されると、何が起きるか判らないと言うことでした。
安全装置が幾重にも施されている最近の急速充電器などは、この表示を外せそうなものですが、外してしまうと逆に消費者団体などからクレームを付けられる恐れがあるので、外せないと言っているメーカーがありました。
一度あるメーカーの充電器を購入すると、その充電器が壊れるかその電池が必要でなくなるまで、同じメーカー(ブランド)の指定された型番の電池を購入するしかありません。 それ以外の電池の充電はすべて消費者のリスクになります。
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2−3.電池の電極の汚れについて
電池はプラスとマイナスの電極に直接リード線を半田付けして電子回路に電気を供給するような使い方はしません。 電池の取り外しが出来なくてはなりませんから、必ず電池ボックスに挿入して使用します。 電池ボックス内にはプラスの電極側とマイナスの電極側に接点板が付いています。 電池の電極や接点板には、ニッケルなどの空気中でサビない金属を使用していたり、その形状に工夫がなされていますが、電池の電極と接点版の金属を接触させることによって電気を伝えています。
この接触面を指などで触れると皮脂等が付着する事があり、これが電気を流れにくくする(抵抗が大きくなる)ことになります。 電気を通さないような異物が付着した場合には、機器が動作しないことになります。
充電器の場合には大きな充電電流を流しませんが、接点に汚れがあると充電器が充電を自動的に止める電圧に狂いが生じて、満充電されないことになります。 大きな電流を消費するデジカメの場合には、汚れの部分で電圧が落ちてしまうため、カメラが「電池が無くなった」と判断してしまう結果にもなります。
電池の電極や機器の接点を斜めから見ると、指紋が付いていれば見えますが、やっかいなのは車のフロントガラスに付いた油膜のように目に見えない障害膜もありますので、これは無水アルコール(エタノール)で拭くことでしか除去できません。 ただし、良く設計されたデジタルカメラの場合には、接点板のバネの圧力を大きくしたり、電池を入れるときにこれらの汚れをこぜってクリーニングする構造にしてあります。 したがって、電池の汚れについて説明書に強調して書いてあるカメラは、電池ボックスに弱点を持っていると解釈して間違いがないようです。
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2−4.購入したばかりや、長い間使用しないで放置しておいたニッケル水素電池について
買ったばかりの新品の電池でも流通在庫期間(製造してからユーザーの手に渡るまでの期間)が、メーカーや販売店によって異なりますから、製造してから1年以上の長期間放置されていた電池は、程度の差こそあれ、間違いなく不活性化状態になっているそうです。 この事は、ニッケル水素電池のイメージダウンになりますので、電池メーカーは積極的に公表していません。
長期間使用していなかった(不活性化状態になっている)ニッケル水素電池は、2〜3度充電・放電を繰り返し行うことにより元の状態に戻ります。(正に活を入れることになります。)
ただし、一般的にカメラに付属している充電器は、満充電にするのに13時間以上かかるものが多いですから、「充放電を繰り返して下さい」と簡単に言われても、放電作業と充電作業は非常に面倒です。高価でも急速充電器を購入するしかありませんし、現在のところ誰でも手に入り信頼できる急速放電器はありませんから、ニッケル水素電池は高性能でもやっかいな電池と言うほかありません。 放電方法については2−6.を参照して下さい。
長い間放置しておいた電池は、いずれにしても機器を使用する前に必ず充電する必要があります。
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2−5.電池を入れたまま長期間放置しないこと
電池を機器に入れたまま長期放置すると、電源を切っていても電池が機器に内臓されている時計を動かしていますから、電池がごく少しずつ消耗します。 通常、電源を切っている時の内臓時計用の電流は、ごく少量なのですが、常識よりも多く消費しているデジカメがあります。 このようなデジカメの場合、電池の自己放電と時計のバックアップのための消費により、2週間以上は電池を入れたままにしないほうがよいようです
さらに、最近の一次・二次電池は液漏れが起きないようにシールドが改善されていますが、マンガン・アルカリ・安物のニカド電池などは必ず液漏れすると思ってください。 強アルカリ性の漏れた液は、手に付くとやけどをしたようになりますし、電池ケース内の接点版を腐食して使えなくしてしまいます。
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2−6.電池の放電方法について
市販のニカド電池用放電器の中には、放電終止電圧以下まで放電させてしまって、電池の寿命を縮めてしまう恐れのあるものがありますから注意が必要です。(放電器の詳細については、技術志向編をご覧ください。) また、懐中電灯を放電器として使用すると、ランプの明るさが暗くなるまで長い時間がかかるため、点灯したまま放置してしまって、気が付いたら消えてしまっているようになりがちですが、これも電池の寿命を縮めてしまいますますから、付きっ切りで監視できない限りこの方法はお勧めできません。
活性化には完全放電の必要がありませんので、一般的に消費電力が大きいデジカメを使って、次の方法で放電してみて下さい。
デジカメには電池が消耗したときに自動的に電源を切ってしまう機能が必ず付いていますから、次の手順で安全に放電できます。
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パワーセーブ機能をオフにして、一番消費電力が大きい撮影モードで電源を入れ、自動的に電源が切れてしまうまで放置します。
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一度電池ボックスを開いてから閉じて、今度は再生モードで自動的に切れるまで放置します。 一度電池ボックスを開くのは、カメラが「ダメ電池]を覚えてしまう機種があるからです。
なお、ある一定の電圧まで放電させても放電を止めると、内部の化学反応のために少しずつ電圧が上昇して来て、安定な電圧まで復帰します。 放電が終わってすぐに取り出して電圧を測定すると、徐々に電圧が上がってくるのはこのためです。
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2−7.バッテリーチェッカーについて
市販のバッテリーチェッカーは、電池の電圧を単純にメーターに表示しているものがほとんどで、このようなチェッカーは二次電池の充電状態チェックには役に立ちません。
ニッケル水素電池の放電特性は、充電初期には1.3V以上あり、放電を始めると短時間内に1.2V近辺まで下がって長時間この電圧が続き(これがこの電池の長所)、ある点から急に1.1V以下まで下がってしまいます。 このため、1.2Vあるからといってもどれだけ使った後の1.2Vか分からないからです。
一次電池の場合は、電池の電圧と残量はほぼ対照が付きますから、マンガンやアルカリ電池にはチェッカーが役に立ちます。 技術志向版の改訂版では5種類のチェッカーを紹介しています。
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2−8.ニッケル水素・ニカド電池などの二次電池は、買ったばかりの時には必ず充電が必要
電池のパッケージには「工場出荷時には充電されていません」と書いてあるメーカーが多いのですが、これは「満充電されていません」、あるいは「すぐには使えません」と言うことです。 電池の検査のために製造ラインで必ず全数テスト充電するようですので、OKになった後、完全放電をしないで出荷します。 このため製造後、強度の不活性状態になっていたり、自然放電が大きかったりしない限り、少しの間は使える機器が多いようです。
面倒でも必ず満充電をして使用を始める必要があります。 最初の1回目の充電で使用できる時間は一般的に短いようです。
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2−9.ニッケル水素電池の自己放電特性
ニッケル水素電池もニカド電池も自己放電をします。 この自己放電量は電池の保存温度に大きく影響されます。 電池の特性についての説明の中には、保存温度範囲:−20°C〜30°Cとか10°C〜30°Cと表示してあります。 この30°Cという保存温度の上限は見落とされやすいのですが、自己放電を最小にするために重要な意味を持っています。
ニッケル水素電池の場合、20°Cで満充電した電池の電池容量は、45°Cで2週間放置すると、一般的に24%位減少してしまいます。
ですから、30度を越える真夏には、車の中にデジカメを放置するのは避けた方がよいのと、満充電して使用しないで2週間以上放置して置いた電池でも、使用前に充電する方がよいことになります。
また、2−5.で指摘したデジカメの場合、カメラの電源を切っていても比較的大きく電池を消費(約1.2mWh)していますので、このようなカメラに満充電した電池を20°Cの環境で2週間放置しておくと、電池容量1600mAhの約17%が消耗してしまうことになります。
ニカド電池時代には、充電した電池を冷蔵庫に入れて保管するような話が一部流れていましたが、取り出したときに電池表面に水滴が着いてしまいますので、漏電したり機器の接点を錆びさせてしまいます。 冷蔵庫に入れない方がよいと思います。 どうしても低温保存をしたい場合には、真空パックに入れて保存しておき、使用の前に十分時間をかけてパックごと室温に戻してから使用してください。
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2−10.電池の温度特性について
充電式の二次電池は、多少性能が落ちてもマイナス10度近くでも使用できるようですが、機器側の温度使用範囲がプラス10度以上に制限されているものがありますので、寒冷地で電池で働く機器を使用する場合は、機器の仕様と電池の種類に注意が必要です。 一次電池のマンガンやアルカリ電池は、低温での放電性能が極度に落ちますので、真冬の寒冷地での使用ができません。
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2−11.電池の極性について
プラスとマイナスの極性を逆にして機器に入れても、機器が壊れないように保護してあるものがほとんどですが、正しい向きに入れる必要があります。
また、一次電池でも二次電池でも、2本以上を直列にして使用する機器がほとんどですから、プラスとマイナスの極性を1本でも逆にして入れると、例え正常に動作する機器であっても、逆挿入された電池が他の電池によって充電されるため、電池が過放電になったり、異常に発熱して安全弁が働き液漏れをしてしまうことがあります。
電池を4本使用するカメラの場合、一本だけ逆に入れてしまっていても暫く動作するものがありますから、極性には十分に注意してください。
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2−12.同じブランドで充電状態の揃った電池を使用すること
電池のブランドが異なるとそれそれの特性が違うことがありますので、混ぜて使わないようにしなくてはなりません。 また同じブランドの電池でも、1本だけ少し使った電池を満充電したばかりの電池と混ぜて使用するのも好ましくありません。 電圧の低い電池が高い方の電池で充電され、その分機器に供給される電圧が落ちてしまうからです。 逆充電されて電池をダメにしてしまう可能性もあります。
2本や4本の偶数個の電池を使うカメラがほとんどですから、同じブランドの電池をいつも同じ組み合わせで使用するようにし、充電するときも同じ組み合わせで同時に充電することが大切です。
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2−13.充電器を買うときには、充電できる容量を確かめること
最近の単3型ニッケル水素電池は、容量の公称値が1600mAh(最小値:1550mAh)がほとんどですが、最小値が1900mAhという製品まで発売されています。 しかし、例えば1300mAhまでの容量の電池しか充電できない充電器では、これらの高容量の電池を満充電できませんので注意してください。(現在主流の1600mAh対応の充電器では2000mAhの電池を満充電できません。)2000mAhまで充電できる充電器は、この値よりも小さな容量の電池の充電に問題なく使用できます。
また、一部の雑誌や新聞のメールオーダーに、マンガンやアルカリ電池などの一次電池が充電できるという機能をうたった充電器があります。
使い捨ての一次電池でも充電できることは事実です。
ただし新品のようにはなりませんし、電池メーカーは一次電池の充電を一切認めていません。
理由は、充電した一次電池は、電池内部の圧力が上がっており容易に液漏れを起こしてしまうためです。
充電をして節約したつもりでも、電池の液漏れにより機器を壊してしまったのでは大損と言うことになります。
充電した電池の様子を十分に観察できないような状態で充電した乾電池をするのは避けた方が賢明です。(平成14年9月20日)
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2−14.電池をショートさせてはいけません!
乾電池でも銅線でショートさせると火傷をしますが、ニカドやニッケル水素電池では、一次電池よりももっと大きな瞬間電流(数十アンペア)が流れますから大変危険です。 プラスチック製の電池ケースは、最近ホームセンターなどで手軽に入手できますから、これを使って電池を使用する装置を自分で作る場合などには、特にショートさせないように注意してください。
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2−15.使用済みや寿命が切れた電池でも火の中に投げ込まないこと
冒頭にも書きましたように、電池は化学反応を持った製品です。 たとえ使用済みの電池でも火の中に投げ込むと、内部の充填材が分解してガスが発生し、ガス抜きの安全弁が十分に働かずに破裂してしまう可能性があります。
破裂した際に金属製の電池ケースが飛んで来る可能性がありますので、絶対に火の中に投げ込んだり、燃えるゴミの中に混入しないようにしてください。
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2−16.使用済み電池のリサイクル
小型のシール鉛蓄電池を含めて、ニカドやニッケル水素電池は「再生資源の利用の促進に関する法律」の対象品目に指定されています。 寿命が尽きたこれらの電池は、販売店に持って行って備え付けの回収箱に入れるシステムが確立されています。
アルカリ・酸化銀・空気などのボタン電池も資源回収対象の電池です。
乾電池やリチウム電池などの一次電池は燃えないゴミとして捨てます。(希少金属であるリチウムを使った電池でも、一次電池だったら回収しないのは不思議です。)
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3.ニッケル水素電池用の充電器について
ニッケル水素電池用の充電器には、低速(準定電流充電)型や急速充電型があり、ニカド電池の充電と共用できます。(ニカド電池の充電専用に設計された充電器は、できるだけニッケル水素電池の充電にしないほうがよいといわれています。) 充電式の電池の場合、一般的にチョロチョロ充電する準電流充電の方が電池の性能劣化を防ぐためには適しているそうですが、満充電が終わるまでに10時間以上かかるデジカメにオマケ的に付属している低速充電器は、実用上あまり歓迎されません。
急いで充電したい場合がほとんどですから、本体だけでも3000円以上しても、これを購入するしかないようです。 最近の急速充電器は比較的高価でも、電池の寿命を縮めてしまわないように充電電流をマイコンで精密に制御したり、火傷や液漏れを防止するというような色々な安全機構を装備していますから、それだけの値打ちはあると思います。 信頼できる急速充電器を選ぶ必要がありますが、ほとんどの急速充電器は、電池メーカーやその関連会社が開発したものばかりですから、電池の特性をよく考慮した設計になっているはずです。
それでも使用上のいくつかの注意点がありますので、ピックアップしました。 目次に戻る
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4.後書き
ニッケル水素電池は容量が大きくて比較的安価な電池なのですが、2本しか使用しないデジカメなどでは、はっきり言って使いにくい電池だと思います。 この電池は不便ですが、買った時に必ず2〜3回充放電を繰り返して使用しなければならないことを再認識して下さい。
それでも電池の持ちが悪い場合は、充電器の不良かデジカメ本体に問題がある可能性があります。
筆者はお問い合わせに即答できないと思いますので、お急ぎやもっと詳しく電池のことをお知りになりたい方は、直接メーカーにお問い合わせ下さい。 (アルファベット順)
ブランド名 |
電話番号 |
備考 |
電池工業会 |
03−3434−0261 |
民生用小型電池のメーカーの団体 |
日立マクセル |
03−5467−9198 |
電池に対する問い合わせ
|
パナソニック |
06−6991−1141 |
松下電池(株) |
三洋 |
03−3837−6246 |
三洋電気(株) |
ソニー |
03−5448−3311 |
お客様相談センター経由 |
東芝 |
03−5460−7577 |
東芝電池(株) |
ユアサ |
0726−86−6181 |
(代表) |
(註)電池工業会というのは、主に日本の小型電池メーカーが構成員の団体です。
5.参考資料など
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Matsushita Technical Journal Vol. 44 No. 4, Aug. 1998
-
Sanyo Technical Review Vol. 31 No. 2, Nov. 1999
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「最新電池ハンドブクック」 朝倉書店 1996年
-
[電池の本] 西村昭義著 CQ出版社
-
電池工業会のホームページ
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電池メーカー各社のホームページ
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ソニーブランドの充電器のパッケージ
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パナソニック 電池総合カタログ (2000年10月)
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