電池管理システムを使用したガーデンソーラライトの測定
ホームセンターなどで入手できる製品を解析してみました。

製作・著作: (有)テクノアート
 (初版:2007年5月11日)


太陽電池パネル、ニカド電池および高輝度LEDを使用したソーラガーデンライトは、以前は一番安いものでも1000円近くしましたが、最近では500円以下の製品が入手できるようになっています。関東地方では、ホームセンターの潟Pヨーと潟Jインズが、それぞれGW-PL110とCH108などの製品を販売しています。ここではこれらの製品について性能などを調べましたので、簡単に結果をご紹介します。

1.製品の紹介
2007年5月現在で販売されているもっとも安価な2製品を取り上げてみました。
 
ケーヨーD2のGW−PL110
(税抜き実買価格:448円)
カインズホームのCH108
(税抜き実買価格:480円)
単3Ni−Cd電池1本使用 単3Ni−Cd電池2本使用
(どちらの写真も同じ縮尺で表示しています。)

これらの製品は、晴天の昼間時に太陽電池で太陽光発電をし、この電力を内臓のニカド電池に蓄えておき、日没後にニカド電池に蓄えた電力で白または電球色(アンバーイエロー)のLEDを点灯します。玄関先や庭先に設置すると日没後に独特の雰囲気を作り出しますので、製品価格が安くなると共に急速に普及しているようです。ただ、クリーンエネルギーの活用は大歓迎ですが、残念ながら環境汚染物質の一つのカドミウムを利用したニカド電池をまだ使用しています。
両製品とも、夏季の晴天時に直射日光下で満充電した場合、LEDが6〜8時間点灯することになっています。

両製品の実売価格に大きな差はありませんが、全体の大きさに少し差があるほか、使用しているニカド電池の本数が、前者は単3型(600mAh)1本に対して、後者は2本になっています。1.2Vのニカド電池1本ではLEDを点灯することはできませんので、前者は1.2Vを3V以上の直流電圧(約330kHzのパルス)に変換するDC-DCコンバータICを使用しています。このことから、内臓の電池が老朽化して交換する場合、前者のほうが安上がりと言えるかも知れません。旧製品はどちらの販売元の製品も2本使用していましたし、日照の検出に硫化カドミウムセル(CDSセル)を使用していましたが、現在ではソーラパネル(太陽電池)の電圧を利用しています。

2.性能を調べることになったきっかけ
約2年前に購入した製品が点灯しなくなったことが、この記事を書くきっかけになったのですが、300回以上の内臓電池の充放電、またはこの電池の過放電による早期劣化が原因で、電池がだめになってしまっていることが分かりました。CDSセンサがだめになっている製品も2台見つかっています。最新の製品は今後様子を見なければなりませんが、すべての旧製品の太陽電池のプラスチック表面が紫外線で劣化してしまっています。
この製品の基本動作から、毎日、電池の充放電を繰り返していますので、もし過放電になっていれば電池寿命を短くしてしまうことになりますし、Ni−Cd電池の繰り返し充電でメモリー効果がが出てしまうのではないかと言う懸念もありました。

3.内部回路
内部回路を調べてみました。この結果を以下に示しています。

[ケーヨーD2のGW−PL110]

U1は中国のメーカ(LAWN LANTERNS)の製品で、インダクタを使用したLED点灯用のDC−DCコンバータです。0.9〜1.4Vの入力を受け付け、1個のLEDの場合に10〜30mAを流せます。D1は順方向電圧の低下が少ないショットキダイオードで、Q1はLEDの点灯制御をしています。

[カインズホームのCH108]

最も単純な電子回路で、ソーラパネルの電圧でQ2のオン/オフ、すなわち、LEDのオン/オフと充電の制御をしています。D1は、同じく順方向電圧の低下が少ないショットキダイオードです。

4.動作状態の測定結果
2機種の測定は、2006年10月に行いましたので、「つるべ落とし」と表現される短時間内での日没になる日照時間が真夏に比べて短い条件下でした。
日当たりが良い庭先に設置したガーデンライトの電池ボックスから屋内に配線し、これを電池管理システムに接続しました。ソフトはノートPCを立ち上げたままにして2日間連続測定し、電池電圧、充放電電流、電池残容量の3つの測定結果を一つに合成しました。測定の開始時前にNi−Cd電池は充電器で満充電してあります。

[ケーヨーD2のGW−PL110]

[カインズホームのCH108]

どちらの製品も、秋の日照では1日中晴天であっても電池が満充電されることはなく、次第に残容量が減ってゆくと共に、日没後のLEDの点灯時間が短くなってゆきます。電池の残容量が十分なときには、一晩中LEDが点灯しています。これらの製品は、内臓電池を過放電にしてしまうことはありませんでした。

点灯時間の変化や残容量変化をもっとはっきり示したのが下の測定結果です。測定に使用した製品は、カインズホームが2002年に販売したSL341PW-49という製品ですが、電池2本とトランジスタ2本によるDC−DCコンバータを使用しており、LEDに無駄な電流が流れている初期の製品です。1000mAhのNi−MH電池を満充電して測定しました。


SL341PW-49の充放電電流の72時間測定
(1日の日照状態がそのまま充電電流カーブに現れています。)


SL341PW-49の電池残容量の72時間測定

なお、現在ではこの製品の回路を改造して、省電力化を図っています。
また、先にご紹介しましたCH108Aの方も、点灯開始照度を改造して遅らせています。

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