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Last Update 2021.03.24
佐藤 善幸さんが開発されている、シェアウェアの地図作成ソフトです。(ホームページ「世界地図を作ろう」はこちら。)
色々な投影方法であらゆる地域を表示できます。また、表示するオブジェクトをユーザーが任意に編集できるので例えば航跡などをプロットするなどの利用方法もあります。
カスタムな投影が出来るということは、通常では手に入らない場所を中心とした地図を自由に作れるわけです。
その昔BCLという趣味がはやった時期がありました。海外の短波放送を聴き、受信レポートを放送局に送ると貰えるベリカードというものを集める趣味です。
とりわけ受信が難しかったのが、南米のアルゼンチン放送などです。電波の来る方向、南米が遠いことの説明によく登場するのが正距方位図法です。しかし、このような投影図は月刊短波(今もあるんだ...(1))とかに小さく出ていたくらいでしかも代表都市だけだったと記憶しています。場所によって違うということは判ってはいましたが、自分の場所中心のものがないことに不満を感じていました。(持ったところで子供の趣味では活かす方法はありませんでしたが...)
東京と広島を中心にPTOLEMYで投影して、5,000km毎の同心円、方位線(16方位)を描いてみました。南米大陸の拡がり加減が違うことが判ると思います。
こんな図を簡単に作れちゃうのもPTOLEMYのお蔭です。
先日のバージョンアップで2.11となりました。このバージョンでテキストファイルで用意したデータファイルを取り込むことができるようになりました。(2)
世界地図を色々な方法で投影できることが最大の売りのソフトですが、緯度経度を指定して線や点を描けるという機能は色々な活用ができると思います。アプリの機能上10万分の1までの表示ができ、データは1秒の精度で作成できます。ですから、本来の使い方とは若干離れますが、パソコン画面上で市町村、都道府県くらいの図形だって細かいデータさえ揃えればなんとかなるはずです。
そこで、国土交通省のサイトで配布されている国土数値情報をPTOLEMY用に変換してみました。
ダウンロードしたデータを、PTOLEMYで取りこむことができるフォーマットに変換します。変換にはperlを利用しました。もともと配布されている国土数値情報データは0.1秒精度ですが、これを変換の際に1秒精度に丸め、取り込み前にエディタで重複行の削除という方法でデータを間引いています。
25万分の1で大阪湾周辺を表示(海岸線・道路・鉄道)
現在国土交通省で配布されている国土数値情報は日本測地系及び世界測地系の両方になっていますが、このサイトで提供しているデータは、作成時期の関係で日本測地系に基づくものです。(測地系に関する国土地理院の説明はこちら)
測地系の違いは400~500メートル(北西~南東方向)くらいです。船舶の運航などにおいては、特に沿岸航海においては安全運航に直結するため、現在の海図はWGS-84で統一されています(PTOLEMYで作図した物で航海できるわけはありませんが、海図の場合は“廃版”海図は航海に使用してはいけないとされるほど、情報の鮮度も重要です。)。しかし、地形自体は変わらないので、使用する範囲・目的によっては緯度経度のグリッドが微妙に違うということ、日本測地系だということに目をつむれば、PTOLEMYで作図した図が利用できないわけではありません。(たとえば、このサイトにある航跡図のような使い方とか...公式な地図類は世界測地系に移行していますので、地形が同じだから良いという理屈での「利用」には当然限度があるとは思いますが...)
問題があるとすれば、最近のGPSロガーなどのデータを重ね合わせる場合などです。
緯度経度情報からポイントを打つ場合、ポイントの数が少なければ、国土地理院の変換サイトなどで変換します。また、変換プログラムのソースも入手できるようです。また、一部のソフトでは測地系を変換しながら読み書きできるものもあります。
ここでは、アルバトロスが利用している方法を参考に紹介します。アルバトロスはGPSロガーはDG-100、変換ツールにはDAN杉本さんの開発されたカシミール3D(フリーソフト)を使用しています。
これは特段変わったことはしません。付属のGlobalSat Data Logger PC Utilityで必要なログを選択し、gpx形式でエクスポートします。
メニュー:[File]-[Export]-[GPX File]
カシミールでは、先ほどエクスポートしたgpx形式ファイルを読み込みます。
メニュー:[ファイル]-[GPS各種ファイルを読む]
GPSデータエディタを起動し、書き出すトラックを選択します。
メニュー:[ファイル]-[GPS各種ファイルに書き出す]
ファイル名と書き出し形式を選択して、再度書き出します。
メニュー:[ファイル]-[選択したGPSデータの書き出し]
このときの設定は、ファイルの種類は「Waypoint+ファイル[*.TXT]」、緯度経度形式は「DEG(ddd.ddddd)」、保存するデータの測地系オプションは「Tokyo」を選択します。
書き出したファイルをテキストエディタなどで","をタブに置換して表計算ソフトにコピペするか、カンマ区切りとして認識させて直接開くなどします。
1行目は不要ですので削ります。
経度と緯度を入れ替え、その2列をコピーする
アルバトロスはテキストエディタと表計算ソフトを併用していますが、この段階の作業のポイントは、
(1)最初の行を削除する、
(2)緯度と経度の列を入れ替える、
(3)その2列分のみをクリップボードにコピーする
ことですので、個人の趣味で違うツールを使っても良いと思います。なお、表計算ソフトによっては、小数点以下5桁を表示しない(2桁程度に丸めてしまう)ものがあり、その状態でコピーすると小数点以下5桁の精度が失われます。使用するソフトに応じて、セルの書式設定などを追加で行ってください。
最後のPTOLEMYでの作業です。新規地図を作成します(又はログを追加する地図を開きます)。
連続線図形プロパティダイアログボックスの、[貼り付け]ボタンをクリックすると、クリップボードの内容に基づいて連続線データが生成されます。行政区名、事象名等は適宜選択してください。
メニュー:[編集]-[地図図形追加]-[連続線]
完成です。
四国へのツーリング時のログをPTOLEMYで取り込んだ状態。
(実際のツーレポでは、ログのラインを参考にグラフィックソフトで別途描画している。)
1. 日本BCL連盟が発行していた月刊誌。1983年に廃刊になったらしい。この記事を書いた時に今もあると思ったものは別物らしい。