大村 直之(おおむら なおゆき) 1976年2月13日生まれ・左投げ左打ち

 兵庫・育英高校から93年ドラフト3位で近鉄バファローズに入団。94年は一軍では6試合に出たのみで安打もゼロだったが、ファームでは112安打を放ち打率.296(8位)、31盗塁で盗塁王を獲得。

 95年は1軍定着を果たし110試合で76安打の打率.270、15盗塁をマーク。この時まだ19歳。この年で37歳になった大石に代わって、向こう15年はトップバッターを任せられる選手の登場と思われた。
しかし、96年は開幕から1番でスタメン起用されながら一転してスランプに陥り打率.232、5盗塁と不本意な成績に終り、つかみかけたレギュラーの座を確かなものにするチャンスを逃す。

 97年は開幕からファーム暮らし。しかし34試合で.315のアベレージを残し、5月24日のダイエー戦から「1番・センター」の定位置で一軍復帰。これがチームの39試合目だったが、この日から閉幕まで全試合出場。打撃も快調で一時は.350を超えるハイアベレージをマークし、大幅に規定打席には不足していたものの「陰の首位打者」と言われるほどの好調ぶり。
最終的には97試合で92安打、打率.281で15盗塁と95年を上回る数字を残し、今度こそ本物の1番打者にという期待の中で98年を迎えた。

 98年は終始コンスタントな活躍を見せ、133試合で162安打(リーグ4位)を放ち打率.310(6位)、23盗塁と自己最高の成績。オールスターにも監督推薦で選ばれ、第2戦では川村投手(横浜)から球宴初打席で本塁打を放ち、優秀選手賞を獲得。
また、近鉄の外野手では87年新井宏昌以来12年ぶりにベストナイン・ゴールデングラブのダブル受賞も果たす。

 この活躍が認められ背番号も「7」に変わって臨んだ99年。安定期に入るかと思われたが、良かったのは開幕直後だけ。3節終了時点では4割台をマークして打撃成績のトップだったが、4月末に3割を割るとズルズルと後退し、浮上の気配も見られないまま打率.259、7盗塁という低調な成績。
 00年も開幕から不振でスタメンを外される事が多くなり、ようやく夏場以降調子を上げたものの、結局93安打どまりで打率も.254と2年連続の不本意な成績に終った。

 01年は長打力に進境著しく、過去7年で16本だった本塁打が1年間で同じ本数を記録。年間20本以上がなかった二塁打も34本と大幅に増加させた。後半戦、打率低下に歯止めをかける事が出来ず、.271に終ったが近鉄打線の核弾頭として自己2番目の160安打は復活を感じさせた。
 02年も引き続き30二塁打・二桁本塁打を達成したが、出塁率が.307と低く前半の1番打者も後半戦は下位打線を打つ事が多くなった。

 03年は積極的に盗塁にチャレンジして自己最多の27盗塁。前年わずか1盗塁に終わった「走れない1番打者」の汚名を返上した。打撃面でも自己最多の165安打を放って5年ぶり2度目の3割打者となった。04年も2年連続で3割20盗塁をクリア。オフにFA宣言して福岡ソフトバンクホークスに移籍した。
 移籍1年目の05年は出足が悪かったが、それでも最終的に打率.270をマーク。自己最多の31盗塁も記録、2年ぶりにゴールデングラブに返り咲いた。06年は2年ぶりの3割は逃したが初の全試合出場に自己タイの165安打で最多安打のタイトルを獲得、通算1500安打も達成した。

 07年も引き続き好調で自己最高の打率.319をマーク。8月に背筋痛で登録抹消され、打率以外は前年の数字を下回ったが9年ぶり2度目のベストナインに選出された。08年は右足の故障で開幕から出遅れ、打率こそ3割台を保ったが79試合・74安打はいずれも97年以降で最少に終わった。オフにトレードでオリックスに移籍した。
 09年は開幕から好調で5月末では.346の高打率と健在ぶりを見せた。しかし6月以降は.248と不振が続き、年間でも.291と3割を逃した。それでも2年ぶりの規定打席到達で、2000本安打まであと135本とした。しかし10年は新監督の構想から外れ、開幕直後に代打で2試合出たのみの安打ゼロに終わった。シーズン終了後に戦力外通告を受けた。

 最多安打1回(06)。ベストナイン2度(98、07)、ゴールデングラブ3度(98、03、05)受賞。月間MVP1回(98年4月)。オールスター出場5度(98、02、06、07、09)。

年度別打撃成績(赤字はその年のリーグ最多記録)
    試合 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 四死球 三振 打率(順位)
94 近鉄 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
95 近鉄 110 282 37 76 7 4 3 100 19 15 20 56 .270
96 近鉄 78 194 28 45 6 0 3 60 13 5 19 21 .232
97 近鉄 97 327 53 92 17 5 1 122 30 15 27 44 .281
98 近鉄 133 522 61 162 19 7 4 207 40 23 40 40 .310(6位)
99 近鉄 132 494 54 128 19 3 2 159 36 7 19 40 .259(26位)
00 近鉄 124 366 45 93 17 5 3 129 44 7 25 38 .254(25位)
01 近鉄 136 590 82 160 34 2 16 246 53 5 42 74 .271(20位)
02 近鉄 135 531 65 144 31 4 11 216 47 1 28 61 .271(18位)
03 近鉄 136 550 94 165 34 7 16 261 61 27 50 77 .300(19位)
04 近鉄 120 498 74 151 25 2 2 186 34 22 41 65 .303(13位)
05 ソフトバンク 133 529 68 143 21 3 8 194 48 31 34 76 .270(23位)
06 ソフトバンク 136 562 74 165 19 3 6 208 60 22 45 70 .294(16位)
07 ソフトバンク 113 455 44 145 20 0 1 168 31 11 19 51 .319(3位)
08 ソフトバンク 79 245 11 74 9 0 2 89 22 7 13 29 .302
09 オリックス 119 419 32 122 21 0 0 143 30 5 24 35 .291(12位)
10 オリックス 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 .000
                             
17年 1789 6566 822 1865 299 45 78 2488 568 203 446 777 .284