陽　岱鋼（よう　だいかん）

　福岡第一高から０５年ドラフト１巡目で日本ハムファイターズに入団。大型遊撃手として期待され、１年目はファームでじっくり鍛えられ、９１試合でリーグ２位の９６安打を放ち打率.２７４。２年目は一軍出場を果たし、５５試合で２６安打の打率.２３９。順調かと思われたが、３年目の０８年は少ない守備機会でチーム最多タイの９失策。守備面の不安が影響したか、打っても打率.１４４の大不振。ファームではベストテン２位の.３４２と好調だっただけに、課題が残った。

　０９年はイースタンでは打率.２７５、１４本塁打とまずまずだったが、一軍では１５試合で２安打に留まった。しかしこの年６月頃から本格的に外野にコンバートされ、開花のきっかけとなる。現在の「陽岱鋼」に改名して臨んだ１０年は１０９試合とついに一軍定着を果たし、６２安打・３１打点とレギュラーへの足がかりを掴んだ。そして迎えた１１年は完全にライトに定着して、１４１試合で１４７安打を放ち打率.２７４。１２年は全試合出場に加え、オールスターにも出場。第３戦では先制３ランを含む３安打４打点の活躍でＭＶＰに選ばれた。この年は打率.２８７でベストテン入りを果たし、ゴールデングラブも受賞した。

　１３年は自己最多の１６２安打・１８本塁打・６７打点・４７盗塁とチームを引っ張る存在となり、初の盗塁王に輝いた。１４年は６月上旬の試合で左膝裂傷の怪我をして、約１ヵ月戦列を離れた。前年から１００打席以上減ったにもかかわらず、リーグ５位の２７本塁打に４位の８５打点は共に自己最多。打率.２９３も自己最高であり、両リーグで唯一、２０本塁打２０盗塁をクリアと能力の高さを発揮した。
　１５年は４月に右足の張りで２週間登録抹消されるなど体調が万全でない事もあり、５月初めまで打率.１６７・１本塁打と低迷。５月４日の試合で一塁にヘッドスライディングして右手を骨折し、７月３日の復帰まで約２ヵ月戦列を離れた。復帰後は少しずつ打率を上げたが、ここ５シーズンではワーストの.２５９で５年ぶりの規定打席不足。１６年は１４本塁打を含む１４５安打で打率.２９３と復調。夏場に試合中の守備で肋骨を痛め、そのまま抹消せず試合に出続けたが、９月になってから欠場もあって全体的な数字は自己ベストには及ばない部門が多かった。特に盗塁はわずか５つと１３年の盗塁王にしては寂しい数字だった。この年オフにＦＡ権を行使して巨人に移籍した。

　移籍１年目の１７年はコンディション不良で開幕から出遅れ、６月６日の西武戦でようやく初出場。９月の阪神戦では自己初の５安打固め打ちもあったが、８７安打・９本塁打・３３打点に打率.２６４と、以前に長期欠場した１５年とほぼ同様の成績に留まった。
　１８年は開幕スタメンでスタートしたが、わずか４試合目の中日戦で死球を受け左手を骨折し、５月下旬まで２ヵ月近く戦列を離れた。復帰後も打撃の調子が上がらず、通算１００本塁打は達成したものの、打率.２４５と８年ぶりの低打率に終わった。

　１９年も開幕５番でスタートしたが、先発機会は徐々に減り試合数こそ３年ぶりに１００試合を超えたが打席数は移籍後では最少の２３１止まり。打率は.２７４と上向いたが、５７安打は２０１０年以後ワーストと厳しいシーズンとなった。

　１１年６月１５日の対阪神戦から１４年６月９日の中日戦まで４４２試合連続出場。

　盗塁王１回（１３）。ゴールデングラブ４度（１２〜１４、１６）受賞。オールスター出場３度（１２〜１４）、１２年第３戦でＭＶＰ受賞。１９８７年１月１７日生まれ。右投げ右打ち。