山田 哲人(やまだ てつと)

 大阪・履正社高から10年ドラフト1位で東京ヤクルトスワローズに入団。高校時代は3年夏の甲子園に出場し、聖光学院戦で本塁打を放つ。プロ1年目はファームでじっくり育てられ、114試合で打率.259、5本塁打、17盗塁。この年のクライマックスシリーズ第2ステージで一軍デビューしたが、3試合で打率.182に終わった。2年目は4月の阪神戦で初打席初安打、8月の巨人戦で初本塁打初打点を記録。3年目の13年に後半二塁のレギュラーに定着。94試合で99安打を放ち、打率.283と合格点の数字を残した。

 14年はリーグ最多の193安打で打率.324をマークして一気にリーグを代表するバッターとなった。長打力も大きく成長して、リーグ3位の29本塁打を記録してベストナインに輝いた。15年も勢いは止まらず、球団初となる年間3割30本塁打30盗塁を達成。同一シーズンでの本塁打王と盗塁王の獲得は史上初の快挙。チームも優勝して文句なしのMVPに選ばれた。
 16年も好調で夏場までは打撃タイトル独占の勢いだったが、7月下旬に死球を受け背中を痛めて登録抹消。10試合欠場して復帰し、9月に入ると8試合で5本塁打と調子を取り戻した。6日の試合で30盗塁も決めたが、11日の試合でまたも死球を受け、以後閉幕まで42打数3安打の打率.071と大苦戦。それでも最終戦まで休まず出場し、史上初の2年連続トリプルスリーを達成して3年連続ベストナインに選ばれた。

 17年は開幕前のWBCに選ばれ、全試合に先発出場して7試合で打率.296。2次ラウンドのキューバ戦では2本塁打を放った。しかし公式戦に入るとバットは湿り、4月末で打率.191と低迷。7月末でも.223と不振は続き、8月以降で.295と巻き返したが年間打率.247と過去3シーズンからは大きく数字を落とした。
 18年は4月末で打率.264とスタートこそ悪かったが、シーズンが進むにつれ調子を上げ、7月には月間打率.425で6度目の月間MVPを受賞。そのまま波に乗り、前年の不振を振り払う打率.315、34本塁打、33盗塁で3度目のトリプルスリーを達成した。
 19年は月間3割が4月だけとシーズンを通して打率が上がらず、35本塁打・33盗塁を記録しながら打率.271で4度目のトリプルスリーは逃した。それでも4度目の年間30本塁打30盗塁は秋山幸二の3度を更新する歴代最多記録で、2年連続5度目のベストナインに選ばれた。この年オフのプレミア12では、決勝の韓国戦で決勝点となる逆転3ランを放つ活躍を見せた。

 20年は7月に打率.206、10月も.178と波が大きく安定感に欠けた。規定打席には達したものの、12本塁打・8盗塁はトリプル3の半分にも届かず、打率も.254と17年に次ぐ低打率に終わった。FA権の取得でこの年オフの動向が注目されたが、7年の長期契約を結びヤクルトに残留した。
 21年は2年ぶり5度目の30本塁打と5年ぶり3度目の100打点を達成し、チームの20年ぶり日本一の原動力となった。東京五輪にも出場し、金メダル獲得に貢献した。半面、盗塁数は4盗塁と激減してしまった。

 22年は23本塁打を放ちリーグ連覇に貢献したものの、打率.243と17年の数字をも下回る不振のシーズンとなった。それでも3年ぶり二桁の10盗塁で、通算200盗塁が見えてきた。23年は開幕前のWBC出場メンバーに選ばれ、14年ぶり3度目の優勝に貢献。だがシーズンでは打撃不振が続き、体調不良もあって105試合で87安打に留まった。打率.231もレギュラー定着以後ワーストで、2024年の巻き返しが期待される。

 15年8月20日の中日戦から21日の中日戦にかけて4打数連続本塁打の日本タイ記録(当時)。15・16・18年に年間3割30本塁打30盗塁で、3度達成及び2年連続は共に史上唯一の記録。15年の日本シリーズ第3戦で史上初の1試合3本塁打。

 MVP1回(15)、本塁打王1回(15)、盗塁王3回(15、16、18)、最多安打1回(14)、最高出塁率1回(15)。ベストナイン6度(14〜16、18、19、21)受賞。月間MVP6回(14年8月、15年7月、8月、9月、16年6月、18年7月)。オールスター出場6度(14〜16、18、21、22)。日本シリーズで15年に敢闘賞受賞。五輪出場1度(21)、WBC出場2度(17、23)、プレミア12出場2度(15、19)。1992年7月16日生まれ。右投げ右打ち。

年度別打撃成績(赤字はその年のリーグ最多記録)
    試合 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率(順位)
11 ヤクルト 一軍出場なし                       .
12 ヤクルト 26 44 5 11 2 0 1 16 1 0 0 0 5 11 .250
13 ヤクルト 94 350 50 99 13 2 3 125 26 9 3 3 40 37 .283
14 ヤクルト 143 596 106 193 39 1 29 321 89 15 2 5 82 95 .324(3位)
15 ヤクルト 143 557 119 183 39 2 38 340 100 34 0 3 86 111 .329(2位)
16 ヤクルト 133 481 102 146 26 3 38 292 102 30 0 4 105 101 .304(6位)
17 ヤクルト 143 526 79 130 25 1 24 229 78 14 0 1 97 132 .247(24位)
18 ヤクルト 140 524 130 165 30 4 34 305 89 33 0 3 110 119 .315(10位)
19 ヤクルト 142 520 102 141 35 5 35 291 98 33 0 5 116 121 .271(19位)
20 ヤクルト 94 334 52 85 17 1 12 140 52 8 0 2 48 83 .254(22位)
21 ヤクルト 137 493 84 134 18 0 34 254 101 4 0 7 81 100 .272(19位)
22 ヤクルト 130 469 69 114 31 0 23 214 65 10 0 5 66 140 .243(25位)
23 ヤクルト 105 376 43 87 21 3 14 156 40 4 0 4 42 102 .231
                                 
13年 1430 5270 941 1488 296 22 285 2683 841 194 5 42 878 1152 .282