坂口　智隆（さかぐち　ともたか）

　兵庫・神戸国際大付高から０２年ドラフト１巡目で大阪近鉄バファローズに入団。高校時代は投手兼外野手だったが、プロ入り後は打撃を生かすため外野に専念。１年目にウエスタンでいきなり打率.３０２(７位)と、高卒ルーキーながらその打撃センスを発揮。シーズン最終戦に「１番・センター」で一軍デビューを飾り初打席初安打。翌０４年はウエスタンで打率.２６６と伸び悩み、一軍での安打もゼロ。チームがオリックスに変わった０５年もウエスタンでは.２８５とまずまずだったが一軍では６試合で１安打に終わった。

　４年目の０６年はかなりプロの水にも慣れ、ウエスタンでは打率.３２８と好調だった。しかし一軍では２８試合でわずか２安打の打率.０９１とまたも厚い壁に跳ね返された。０７年は開幕戦で先発出場と期待されたが４６試合で打率.２４１。それでも前年までの低打率からは脱出の兆しが見え、翌年に希望を繋いだ。
　そして迎えた６年目の０８年はついに一軍定着を果たし、１４２試合で１５０安打を放ち打率.２７８。初のゴールデングラブに選ばれた。これに自信を付け０９年はリーグ２位の打率.３１７と躍進。１０年もリーグ最多の１０三塁打を含む自己最多の１７２安打で２年連続３割打者となった。１１年は初の全試合出場を果たし、３割は逃したものの前年を上回る１７５安打で最多安打のタイトルを獲得。６月には.４４７の高打率で初の月間ＭＶＰも受賞した。

　１２年は開幕から打撃不振が続き、さらに５月の巨人戦でダイビングキャッチを試みた際に右肩関節脱臼と靱帯断裂の大怪我を負い、長期間の戦列離脱を余儀なくされた。１０月に復帰したが年間では打率.２２８と低迷した。復活を期した１３年も打撃不振が続き、さらに８月上旬からは腰痛で２ヶ月の戦列離脱。終盤に復帰したものの、規定打席不足の８８安打で打率.２３０と２年続きの不振に終わった。
　１４年は１２２試合と３年ぶりに１００試合を超えたが、打率.２３５と打撃不振からの復調はならなかった。それでも得点圏打率は.３４４と高く、勝負強さを発揮した。１５年は０７年以降では最少の３６試合・２８安打に留まり、オフの契約で大幅減俸を提示されたが、これを断り自由契約となり東京ヤクルトと契約した。

　ヤクルト１年目の２０１６年は外野の定位置を確保し、１４１試合で１５５安打の打率.２９５と復活。５年ぶり３度目の打撃ベストテン入りを果たした。翌１７年も同じ１５５安打で打率.２９０と安定した活躍を見せた。
　１８年は外野に青木選手が加入した影響で、プロ入り以来守った事のない一塁にチャレンジ。守備の負担が打撃に影響する事なく、移籍後最多の１６１安打を放ち、８年ぶりに３割打者に返り咲いた。
　１９年も引続き活躍が期待されたが、開幕３試合目に死球を受け左手親指を骨折。５月１７日に復帰したが、打撃不振で６月９日に登録抹消され、そのまま一軍復帰する事無くシーズンを終えた。怪我の影響は大きかったか、シーズン打率.１２０。特に５月２６日以降は２６打数１安打とヒットが出なかった。

　２０２０年は２年ぶりに規定打席に到達したが、９８安打と１００安打に届かず打率.２４６と完全復活とはいかなかった。それでも１８年目にして自己最多の９本塁打を放ち、シーズン終盤には１５００安打も達成した。

　最多安打１回（１１）。ゴールデングラブ４度（０８〜１１）受賞。月間ＭＶＰ１回（１１年６月）。オールスター出場２度(１１、１８)。１９８４年７月７日生まれ。右投げ左打ち。