中村 紀洋(なかむら のりひろ)

 大阪・渋谷高校から91年ドラフト4位で地元の近鉄バファローズに入団。1年目に早くも11試合で2本塁打し、大器の片鱗を見せる。2年目は8試合で1安打に終るが、3年目の94年は後半から3塁のレギュラーに定着し101試合で8本塁打を含む54安打、打率.281、36打点の成績を残す。
 95年は初めて規定打席をクリアし、打率こそ.228と低かったが20本塁打、64打点をマーク。翌96年は9月上旬まで本塁打王争いに加わっていたが、左手有鉤骨骨折で終盤戦を棒に振る。それでも26本塁打、67打点と前年を上回る成績を残した。

 97年は故障明けということもあり、打率.240、19本塁打、64打点と平凡な成績に終る。
 98年は開幕時は7番打者だったが徐々に調子を上げ、後半戦は完全に3番に定着。自己最多の125安打で打率.260。本塁打はタイトルを獲得したウィルソン(日本ハム)にわずか1本差の32本。打点もリーグ4位の90打点と打率を除く各部門で自己最高の成績を残した。

 99年は8年目で初の全試合出場を果たし、31本塁打・95打点をマークするが両部門ともリーグ2位に終った。
 00年はシドニー五輪に出場し、2本塁打を含む39打数12安打で打率.308、8打点と4番打者として活躍。公式戦でも自己最多の39本塁打・110打点で二冠王に輝き、待望の初タイトルを手にした。
 01年は首位打者争いを展開するなど確実性において大きな成長を見せ、最終的に打率.320をマーク。さらに46本塁打、132打点と自己記録を更新して2年連続の打点王に輝き、チーム12年ぶりの優勝に大きく貢献した。

 02年も2年連続40本塁打、3年連続100打点と活躍。5月29日のロッテ戦では通算1000本安打をホームランで飾った。シーズンオフにFA宣言し、大リーグ行きも視野に入れて進路を模索したが最終的には4年契約で近鉄に残留した。
 03年は前半戦で右膝を痛めて苦戦。5月23日には連続出場が694試合でストップ。6月10日には治療のため一軍登録を抹消された。その後復帰して、万全でない体調ながら出場を続けたものの打率.236、23本塁打と不振に終った。

 04年は五輪参加による離脱と足の怪我で19本塁打に終ったが、2年ぶりに100安打をクリアして打率も.274と回復した。五輪では2本塁打を含む30打数7安打、打率.233だった。この年オフにポスティングシステムを活用してロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を結んだ。
 05年は開幕直後にメジャー昇格し4月10日のダイヤモンドバックス戦で初打席初ヒットを記録するが、以後はヒットが続かず結局17試合で5安打、打率.128の数字を残して5月8日にはマイナー落ち。3Aラスベガスでチームトップタイの22本塁打を放ったが、打率.249と確実性を欠いた事もあり再びメジャーへ昇格することなくシーズンを終えた。

 05年オフに日本球界に復帰、オリックスバファローズに入団した。しかし06年の成績は85試合で76安打の打率.232と低迷。期待された本塁打も12本に終わった。この年オフの契約更改で球団と交渉決裂し自由契約となり、07年は育成選手として中日ドラゴンズに入団した。ゼロからの再出発だったが開幕から三塁の定位置を確保、3年ぶりの20本塁打に打率も自己3番目の.293と上々の成績を収めた。日本シリーズでも打率.444と活躍し、MVPに選ばれた。08年も打率こそ下がったが、前年を上回る24本塁打で6年ぶりに140試合出場するなど活躍。オフに2度目のFA宣言をして東北楽天イーグルスに移籍した。

 期待されての楽天1年目は開幕3試合目に1号本塁打を含む4安打5打点と活躍を見せたが、以後は低迷。2度の登録抹消もあって、77試合の出場にとどまり2本塁打・打率.221と期待外れの成績に終わった。2年契約2年目の10年は交流戦で8本塁打、打率.333を残すなど前半戦は好調で、チーム62試合目の6月12日に10号本塁打に到達。しかしそれ以後は閉幕まで3本塁打と完全に失速し、打率も.266止まり。それでも126安打を放つなど前年の不振からは巻き返したかに見えたが、シーズン終了後に戦力外通告を受けた。
 現役続行を目指すも入団先が決まらないまま2011年開幕を迎えた。5月に横浜ベイスターズから声が掛り、日本で5球団目となるユニフォームに袖を通したが、62試合で24安打の打率.209に留まった。

 12年は開幕からレギュラーとして起用され、11本塁打を含む121安打で2000本安打まで32本と完全に射程圏に捉えた。打率も.274とまずまずで、実に10年ぶりとなる打撃ベストテン入りを果たした。オールスターにも8年ぶりに選出され、第1戦では逆転2ランでMVPに選ばれた。
 2013年は開幕1・2戦こそ先発から外れたものの3試合目から先発起用されると、4月末まで26安打の打率.306と順調に安打を積み重ねた。迎えた5月5日の中日戦で待望の2000本安打達成。6月30日には先制10号ソロで史上18人目の400号本塁打も達成した。後半は本塁打ペースも落ちて14本に終わったが、打率は.281と6年ぶりに2割8分以上を記録して健在ぶりを見せた。

 94年9月18日の日本ハム戦でサイクルヒット達成。00年と01年に年間満塁本塁打3本。00年6月3日から9日まで5試合連続本塁打。01年5月29日の日本ハム戦で1試合9打点。03年5月3日の日本ハム戦で1試合5四球のパ・リーグタイ記録。07年10月6日のヤクルト戦で代打満塁本塁打。通算満塁本塁打14本は歴代2位。2013年5月5日の中日戦で中田投手から史上43人目の通算2000本安打達成。

 本塁打王1回(00)、打点王2回(00、01)。ベストナイン5度(96、99〜02)、ゴールデングラブ7度(99〜02、04、07、08)受賞。月間MVP5回(99年8月、00年5月・9月、01年5月、02年5月)。オールスター出場9度(95、96、99〜02、04、12、13)、01年第3戦と12年第1戦でMVP受賞。日本シリーズで07年にMVP受賞。五輪出場2度(00、04)。1973年7月24日生まれ。右投げ右打ち。

年度別成績(赤字はその年のリーグ最多記録)
    試合 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率(順位)
92 近鉄 11 27 4 6 1 0 2 13 5 0 0 0 0 8 .222
93 近鉄 8 9 1 1 0 0 0 1 1 0 0 1 2 4 .111
94 近鉄 101 192 23 54 13 1 8 93 36 0 2 2 19 49 .281
95 近鉄 129 470 62 107 19 1 20 188 64 0 3 1 54 92 .228(29位)
96 近鉄 110 411 60 112 15 1 26 207 67 4 0 0 43 89 .273(14位)
97 近鉄 128 455 54 109 22 3 19 194 68 3 2 3 59 105 .240(36位)
98 近鉄 132 481 74 125 14 1 32 237 90 1 2 2 79 114 .260(24位)
99 近鉄 135 514 83 134 23 0 31 250 95 3 1 3 83 116 .261(23位)
00 近鉄 127 476 82 132 26 0 39 275 110 1 0 5 83 112 .277(19位)
01 近鉄 140 525 109 168 25 0 46 331 132 3 0 3 108 106 .320(7位)
02 近鉄 140 511 87 150 27 1 42 305 115 2 0 0 91 136 .294(9位)
03 近鉄 117 381 54 90 14 1 23 175 67 1 0 2 73 96 .236(30位)
04 近鉄 105 387 59 106 16 1 19 181 66 0 0 1 74 88 .274(27位)
06 オリックス 85 328 39 76 22 0 12 134 45 0 0 2 29 70 .232
07 中日 130 457 64 134 24 0 20 218 79 2 4 8 51 87 .293(15位)
08 中日 140 493 56 135 20 0 24 227 72 0 10 3 51 119 .274(24位)
09 楽天 77 263 16 58 11 0 2 75 26 0 1 1 29 41 .221
10 楽天 129 473 51 126 23 0 13 188 64 0 1 2 45 84 .266(25位)
11 横浜 62 115 6 24 3 1 1 32 14 0 0 2 9 27 .209
12 DeNA 126 442 50 121 24 1 11 180 61 1 0 6 52 72 .274(10位)
13 DeNA 122 431 37 121 19 1 14 184 61 1 0 5 37 66 .281(11位)
                                 
日本21年 2254 7841 1071 2089 361 13 404 3688 1338 22 26 52 1071 1681 .266
                                 
05 ドジャース 17 39 1 5 2 0 0 7 3 0 0 0 2 7 .128
MLB1年 17 39 1 5 2 0 0 7 3 0 0 0 2 7 .128
                                 
  日米計22年 2271 7880 1072 2094 363 13 404 3695 1341 22 26 52 1073 1688 .266