松中 信彦(まつなか のぶひこ)
熊本・八代第一高から新日鉄君津を経て、96年ドラフト2位で福岡ダイエーホークスに入団。96年アトランタ五輪では4番を務め、33打数11安打の打率.333。さらに決勝のキューバ戦で放った満塁ホームランを含む5本塁打・16打点でチーム二冠の活躍。
1年目のウエスタンでは打率.291は残したものの、58試合で4本塁打と持ち前の長打力は影を潜め、金属バット後遺症も感じられた。しかし、翌98年はこれを克服し19本塁打でウエスタン本塁打王。一軍でも9月以降に3本塁打を放ち、翌年への期待感を残した。
99年は一軍定着を果たし23本塁打をマーク。続く00年はさらに数字を伸ばして打率.312、33本塁打、106打点でチーム三冠王となりリーグ2連覇に大きく貢献。この活躍が認められ、リーグMVPに選出された。この年9月にはシドニー五輪代表に選出され、2大会連続の五輪出場。35打数13安打で.371の高打率だったが、木製バットである事や相手チームにもプロ選手がいた事などもあって1本塁打、2打点と中軸としては不満の残る数字だった。
01年も打率.334、36本塁打、122打点と3部門全てに前年を上回る活躍。通算打率も3割に乗せ順調だったが、02年は一転してスランプに見舞われた。この年から高目に広がったストライクゾーンの影響もあったか、開幕から波に乗れず、レギュラー定着後最低の打率.260に終わった。
03年は主砲・小久保欠場の穴を埋めて4番打者として活躍。打率.324に30本塁打と見事な復活を見せた。また、自己最多の123打点で初の打点王に輝き、チームの3年ぶりとなる優勝に大きく貢献した。
その兄貴と慕う小久保が移籍した04年は精神的にも一本立ち。不動の4番打者として打率.358、44本塁打、120打点で史上7人目(11度目)の三冠王に輝いた。また、打撃3部門に加え安打・出塁率・得点でもリーグ1位で、この6部門トップは1973年王貞治に次ぐ史上2人目の快挙だった。
05年も2年連続本塁打王、そして史上6人目となる3年連続打点王に輝いた。打率こそ7厘差の3位で2年連続三冠王は逃したが、球界ナンバーワンスラッガーの地位を不動のものにした。この年オフに7年の長期契約を結び、生涯ホークスを宣言。06年は開幕前のWBC対策での打法改造などから長打が激減。19本塁打、76打点と不本意な数字に終わった。それでも打率.324で2度目の首位打者を獲得。07年は再び本塁打量産を目指したが、打率.266と低迷。15本塁打・68打点も99年のレギュラー定着以来最低の数字に終わった。
復活を期した08年は終盤打率を落とし3割は逃したが、25本塁打・92打点は共にチームトップの数字とまずまずの成績。12年目にして初の全試合出場も達成した。09年は打撃3部門の数字が全て前年を下回るなど苦戦したが、通算1500安打と1000打点を達成。オールスター第2戦では2打席連続本塁打を放ちMVPに輝いた。
10年は打撃不振に苦しみ、打率2割台前半と低迷。8月には左手首を痛めて登録抹消され、9月に復帰したものの79試合で56安打の打率.235と、99年の一軍定着以後ワーストの成績に終わった。
11年も5月に左手親指痛、9月には死球による右膝骨折と2度の離脱があり88試合の出場に留まった。しかし内容的には復調が見られ、規定打席不足ながら5年ぶりの打率3割台をマーク。驚異的な回復で復帰したクライマックスシリーズでは代打満塁ホームランを放ち、存在を強烈にアピールした。
完全復活が期待された12年は怪我に泣いた。4月末で打率.184と出遅れたが5月に.308と復調すると、6月に左手首捻挫で登録抹消。7月に復帰して.369と上昇気配を見せると、今度は左大腿二頭筋の挫傷で2ヶ月以上の長期離脱。結局7月16日の試合で放った決勝本塁打がシーズン最後の安打となった。13年はレギュラー奪回に向けて、選手生命を懸けたシーズンとなる。
MVP2回(00、04)、本塁打王2回(04、05)、打点王3回(03〜05)、首位打者2回(04、06)、最多安打1回(04)、最高出塁率3回(04〜06)。ベストナイン5度(00、03〜06)、ゴールデングラブ1度(04)受賞。月間MVP6回(01年9月、03年8月、04年5月、05年7月・9月、06年6月)。オールスター出場10度(99〜01、03〜09)、09年第2戦でMVP受賞。WBC出場1度(06)、五輪出場2度(96、00)。1973年12月26日生まれ。左投げ左打ち。
試合 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 塁打 | 打点 | 盗塁 | 犠打 | 犠飛 | 四死球 | 三振 | 打率(順位) | ||
97 | ダイエー | 20 | 43 | 4 | 9 | 1 | 0 | 0 | 10 | 6 | 0 | 1 | 1 | 3 | 13 | .209 |
98 | ダイエー | 34 | 71 | 9 | 19 | 6 | 0 | 3 | 34 | 10 | 2 | 0 | 1 | 11 | 12 | .268 |
99 | ダイエー | 126 | 395 | 57 | 106 | 20 | 4 | 23 | 203 | 71 | 5 | 5 | 4 | 58 | 60 | .268(19位) |
00 | ダイエー | 130 | 471 | 76 | 147 | 26 | 1 | 33 | 274 | 106 | 0 | 0 | 7 | 62 | 49 | .312(6位) |
01 | ダイエー | 130 | 479 | 81 | 160 | 29 | 0 | 36 | 297 | 122 | 2 | 0 | 5 | 67 | 77 | .334(3位) |
02 | ダイエー | 136 | 485 | 75 | 126 | 23 | 1 | 28 | 235 | 83 | 1 | 0 | 7 | 69 | 80 | .260(23位) |
03 | ダイエー | 135 | 494 | 99 | 160 | 31 | 1 | 30 | 283 | 123 | 2 | 0 | 3 | 93 | 69 | .324(9位) |
04 | ダイエー | 130 | 478 | 118 | 171 | 37 | 1 | 44 | 342 | 120 | 2 | 0 | 2 | 96 | 67 | .358(1位) |
05 | ソフトバンク | 132 | 483 | 109 | 152 | 26 | 2 | 46 | 320 | 121 | 2 | 0 | 7 | 85 | 85 | .315(3位) |
06 | ソフトバンク | 131 | 447 | 79 | 145 | 32 | 1 | 19 | 236 | 76 | 2 | 0 | 4 | 108 | 37 | .324(1位) |
07 | ソフトバンク | 123 | 440 | 60 | 117 | 26 | 1 | 15 | 190 | 68 | 1 | 0 | 6 | 73 | 66 | .266(26位) |
08 | ソフトバンク | 144 | 538 | 79 | 156 | 28 | 2 | 25 | 263 | 92 | 3 | 0 | 8 | 85 | 91 | .290(13位) |
09 | ソフトバンク | 126 | 448 | 62 | 125 | 21 | 0 | 23 | 215 | 80 | 2 | 0 | 3 | 70 | 77 | .279(18位) |
10 | ソフトバンク | 79 | 238 | 28 | 56 | 5 | 1 | 11 | 96 | 35 | 3 | 0 | 2 | 27 | 44 | .235 |
11 | ソフトバンク | 88 | 266 | 26 | 82 | 16 | 0 | 12 | 134 | 36 | 0 | 0 | 3 | 34 | 38 | .308 |
12 | ソフトバンク | 65 | 136 | 10 | 30 | 2 | 0 | 4 | 44 | 13 | 1 | 0 | 0 | 28 | 26 | .221 |
計 | 16年 | 1729 | 5912 | 972 | 1761 | 329 | 15 | 352 | 3176 | 1162 | 28 | 6 | 63 | 969 | 891 | .298 |