福留 孝介(ふくどめ こうすけ)

 大阪・PL学園高から日本生命を経て98年ドラフト1位で中日ドラゴンズに入団。高校時代は3年春の選抜と夏の全国大会に出場。春は15打数4安打だったが、夏は北海道工高戦で2打席連続本塁打するなど3ホーマーを含む19打数8安打の打率.421と活躍してチームのベスト8進出に貢献した。
 日本生命でも96年はアトランタ五輪で全試合に先発出場して2本塁打含む32打数9安打の成績を残した。97年は都市対抗で優勝し、98年は日本選手権準優勝。

 中日でも入団1年目からショートに定着して16本塁打、打率.284の好成績を残しオールスターにも監督推薦で選ばれた。しかし翌00年、01年と伸び悩み2割5分台の成績が続いた。守備面での不安からサードそして外野を守ることが多くなりポジションも不安定な2年間だった。
 そして臨んだ4年目の02年、ついに飛躍の時を迎えた。この年は完全にライトに定着して球団新記録の186安打を放つ活躍。終盤の激しい首位打者争いを制して.343をマーク、松井(巨人)の三冠王を阻止した。

 03年も安定した打撃でヒットを量産。長打力にも進境著しく自己最多の34本塁打、96打点をマーク。セ・リーグ23年ぶりの二桁三塁打を放ち、また四死球増加で出塁率のタイトルを獲得するなど攻撃面で一段の飛躍を見せた。
 04年はシーズンではなかなか調子が上がらなかったが、2度目の五輪出場では打率.316、3本塁打、10打点と活躍。しかし五輪から復帰直後の9月1日に阪神戦で死球を受け左手人差し指を骨折、終盤戦を棒に振った。

 05年は自己最多の103打点に2年ぶり3度目の3割をマーク、2度目の最高出塁率も獲得しチームの主砲としての役割を果たした。そして06年は夏場に膝を痛めての欠場はあったものの、日本人選手ではリーグ23年ぶりとなる打率.350超えを果たし、2度目の首位打者獲得。加えて30本塁打・100打点・100得点に二桁盗塁とオールラウンドぶりを見せチームの優勝に大きく貢献。見事にMVPに選ばれた。
 07年は右ひじ痛で後半戦を棒に振り、プロ入り以来最少の81試合出場に留まった。この年オフにFA宣言してメジャーリーグのシカゴ・カブスに移籍した。

 08年のカブスでは開幕戦で1号3ランを含む3安打と最高のスタートを切ったが、月を追うごとに打率は低下して結局.257の10本塁打と期待外れの成績に終わった。2年目の飛躍が期待された09年も安打数が全く同じなど、ほとんど前年並みの成績。打率の割に出塁率は高かったものの、打撃面では存在感をアピールするには程遠い数字に終わった。
 メジャー3年目の10年は4月に満塁ホームランを含む5本塁打・16打点と最高のスタートを切った。しかしこの年も5月末に3割を切ると6月は月間打率.189と大不振でまたも春男に終わった。8月に打率.365と復調を見せたが、終わってみれば13本塁打に.263と過去2年並みのレベルから脱することは出来なかった。それでも8月には日米通算1500安打をクリアした。

 11年は自己最高の打率.273を残していたが、7月末にトレードでクリーブランド・インディアンスに移籍。シーズン成績ではメジャー移籍後最多の139安打を放ったが、逆に8本塁打・35打点は共にワースト。この年オフにシカゴ・ホワイトソックスに移籍した。
 メジャー3球団目となるホワイトソックスでの12年は、出場機会の減少もあったが5月末でわずかに7安打で打率.171と不振に陥った。6月に戦力外通告を受け、7月にヤンキースとマイナー契約したもののメジャー昇格出来ないままシーズンを終えた。2013年は日本復帰を決意し、阪神タイガースに入団した。

 6年ぶりの日本復帰となった2013年は厳しいシーズンとなった。開幕から波に乗れず、4月のヤクルト戦でサヨナラ満塁本塁打の快挙はあったものの、5月初めで打率.170と低迷。左膝を痛めて5月8日に登録抹消され、復帰は8月13日と3ヵ月以上を要した。復帰後は100打数23安打で打率.230と、前半よりは上向いたが本来の数字からは程遠く、年間通算でも.198と前年の不振を引きずったような1年だった。
 14年も7月末で打率.209と低迷が続いたが、8月に月間.273と回復気配を見せると9月以降は70打数25安打の打率.357と活躍しチームの2位死守に貢献。クライマックスシリーズでも6試合で2本塁打を含む打率.333と日本シリーズ進出の原動力となった。

 15年も前年終盤からの好調さを保ち、9年ぶりの20本塁打に打率も復帰後最高の.281でベストテン8位となった。ベストナイン・ゴールデングラブも9年ぶりにダブル受賞して、復活を強く印象付けたシーズンとなった。16年は4月末で打率.342と好スタート。5月に調子を落としたが、6月は日米通算2000本安打を達成するなど月間.338と盛り返し、7月は.397とさらに打ちまくった。最終的に本塁打・打点は前年を下回ったが、141安打で実に10年ぶりの3割となる打率.311でリーグ5位となった。
 17年は体調面の考慮から先発を外れる事も増えたため、116安打に留まり打率も.263と前年からは大きく低下。それでも日本復帰後最多となる79打点に加え、80四死球とよく出塁した。
 18年も引き続き、休養しながらの出場となり前年と同じ116安打。本塁打・打点は減ったものの打率.280と盛り返した。

 19年は怪我もあって5年ぶりの規定打席不足。10本塁打を含む89安打で打率.256と14年以来の低い成績に留まった。20年も開幕の6月に打率.095と出遅れ、7月中旬には2試合で5安打8打点の活躍もあったが、8月以降は1安打。終盤は9月23日を最後にコロナ絡みで登録抹消となり、年間12安打の打率.154と散々な成績に終わった。この年オフに自由契約となり、14年ぶりに古巣の中日ドラゴンズに復帰する事となった。
 21年は91試合で42安打と、前年を上回る数字を残した。5月29日の日本ハム戦では先制打を含む4安打、7月10日のDeNA戦では2号ソロを含む3安打で共に勝利に貢献。通算2000試合に400二塁打と節目の記録も達成した。

 03年6月8日の対広島戦と16年7月30日の対中日戦でサイクルヒットを達成し、2度達成は史上4人目。03年9月9日の広島戦から13日の阪神戦まで5試合連続本塁打。03年9月9日の広島戦から19日の横浜戦まで10試合連続打点。06年の年間47二塁打はセ・リーグ記録(当時)。13年4月19日の対ヤクルト戦でサヨナラ満塁本塁打。16年6月25日の広島戦で岡田投手から二塁内野安打を放ち日米通算2000本安打達成。

 MVP1回(06)、首位打者2回(02、06)、最高出塁率3回(03、05、06)。ベストナイン4度(02、03、06、15)、ゴールデングラブ5度(02、03、05、06、15)受賞。月間MVP1回(02年9月)。オールスター出場5度(99、02〜04、07)。WBC出場2度(06、09)。五輪出場2度(96、04)。1977年4月26日生まれ。右投げ左打ち。

[MLB]
 オールスター出場1度(08)。

年度別打撃成績(赤字はその年のリーグ最多記録)
    試合 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率(順位)
99 中日 132 461 76 131 25 2 16 208 52 4 8 2 55 121 .284(24位)
00 中日 97 316 50 80 18 2 13 141 42 8 2 2 48 79 .253
01 中日 120 375 51 94 22 2 15 165 56 8 4 3 60 90 .251(33位)
02 中日 140 542 85 186 42 3 19 291 65 4 0 5 61 96 .343(1位)
03 中日 140 528 107 165 30 11 34 319 96 10 1 6 82 118 .313(7位)
04 中日 92 350 61 97 19 7 23 199 81 8 1 2 51 93 .277(34位)
05 中日 142 515 102 169 39 6 28 304 103 13 0 3 94 128 .328(2位)
06 中日 130 496 117 174 47 5 31 324 104 11 0 3 79 94 .351(1位)
07 中日 81 269 64 79 22 0 13 140 48 5 0 4 75 66 .294
13 阪神 63 212 18 42 11 0 6 71 31 0 0 0 29 43 .198
14 阪神 104 312 20 79 8 0 9 114 34 1 3 4 48 48 .253
15 阪神 140 495 53 139 24 3 20 229 76 1 1 7 66 75 .281(8位)
16 阪神 131 453 52 141 25 3 11 205 59 0 0 6 64 78 .311(5位)
17 阪神 127 441 68 116 20 3 18 196 79 1 1 4 80 92 .263(19位)
18 阪神 123 414 57 116 26 2 14 188 72 2 0 7 78 90 .280(21位)
19 阪神 104 348 39 89 16 1 10 137 47 0 2 3 50 85 .256
20 阪神 43 78 3 12 2 0 1 17 12 0 0 3 11 31 .154
21 中日 91 193 17 42 12 0 4 66 18 0 0 0 23 56 .218
                                 
日本18年 2000 6798 1040 1951 408 50 285 3314 1075 76 23 64 1054 1483 .287
                                 
08 カブス 150 501 79 129 25 3 10 190 58 12 2 5 82 104 .257(57位)
09 カブス 146 499 79 129 38 5 11 210 54 6 3 5 96 112 .259(62位)
10 カブス 130 358 45 94 20 2 13 157 44 7 3 4 64 67 .263
11 カブス 87 293 33 80 15 2 3 108 13 2 5 0 47 57 .273
インディアンス 59 237 26 59 12 1 5 88 22 2 1 2 18 53 .249
12 ホワイトソックス 24 41 2 7 1 0 0 8 4 0 0 2 8 9 .171
MLB5年 596 1929 264 498 111 13 42 761 195 29 14 18 315 402 .258
                                 
  日米計23年 2596 8727 1304 2449 519 63 327 4075 1270 105 37 82 1369 1885 .281