新井 貴浩(あらい たかひろ)

 広島工高から駒沢大を経て98年ドラフト6位で広島カープに入団。大学時代は4年秋に2本塁打して、そのシーズンにベストナイン獲得。

 広島では1年目から長打力を発揮。2年目まで通算303打数で23本塁打と13.1打数に1本塁打のハイペース。3年目の01年には.284と打率も飛躍的に向上。02年にはレギュラー定着を果たし、全試合出場で打率.287、28本塁打、75打点と各部門で自己最高の成績を残した。初出場したオールスター第2戦では本塁打も放っている。
 入団以来、年々数字をアップし続けていたが03年は大きな壁にぶつかった。主砲・金本のFA移籍により新4番打者に指名されたが意気込みが空回り。厳しいマークにも遭い、19本塁打を放ったものの打率.236と低迷した。

 04年は規定打席にも不足して本塁打もわずか10本と2年続きの不振。しかし05年は鮮やかに復活を遂げた。自己最高の43本塁打で堂々のホームランキング。三振も多かったが、打率.305と初の3割打者になり安定感もアピール。初のベストナインにも選ばれ、チームの顔からリーグの顔へと飛躍した。
 06年は本塁打こそ25本と大幅ダウンしたものの、4年ぶり2度目の全試合出場に自己最多の100打点と4番の重責を果たした。07年も2年連続の全試合出場で、160安打・25本塁打・100打点をクリアし安定した成績を残した。オフにFA宣言して阪神タイガースに移籍した。

 08年は開幕から打撃好調でチームの快進撃に貢献。北京五輪にも出場したが、その後腰椎の疲労骨折が発覚し終盤戦を棒に振った。期待された本塁打は9年ぶりに一桁に終わったが、それでも2度目の3割をマークするなど移籍1年目のプレッシャーを跳ね返す活躍を見せた。09年は本塁打数アップを掲げてスタートしたが序盤から打撃不振に陥り、終盤復調を見せたものの04年以来の打率2割6分台に終わった。
 10年は金本の故障もあり、4月中盤から4番に座った。本塁打こそ19本止まりだったが、自己最多の177安打を放ち打率.311と112打点も自己最高と4番として十分な活躍を見せた。

 11年は開幕から4番を任された。時に不振から打順の下がる事もあったが、7月30日の横浜戦で通算1500安打を達成。また、93打点で初の打点王に輝いた。12年は怪我もあって4年ぶりの一桁本塁打。8年連続100安打は達成したが、打率.250に52打点は中軸を打つには物足りない成績だった。13年は大きな怪我もなく140試合に出場したが、127安打の打率.267。本塁打・打点こそ前年より増えたものの、好調時の数字には遠かった。
 14年は一塁を守る新外国人選手の加入で控えに回り、三塁での先発はあっものの出場機会が激減。それでも8月10日まで打率.311と好調を維持していた。しかし8月12日から15日にかけて26打席ノーヒットの打撃不振もあり、最終的には打率.248まで落ち込んだ。最終的に43安打・3本塁打・31打点はプロ1年目以来の低数値だった。この年オフに自ら自由契約となり古巣の広島カープに8年ぶりに復帰した。

 心機一転で臨んだ15年は4月中旬から先発メンバーに名を連ねると、5月は打率.363に20打点と好調でチームに欠かせぬ存在となった。オールスターにもファン投票で選出され、第2戦で2安打1打点と活躍。シーズン後半は打率を下げたが、.275はチームトップの数字だった。
 16年もコンスタントに打って、6年ぶりの3割返り咲き。4月27日の2000本安打、8月2日の300本塁打と節目の記録に到達。6月まで5本塁打が7月以降は14本塁打と後半戦は長打も増えた。6年ぶり4度目の100打点も達成してチームの25年ぶりVに大きく貢献。自身18年目で初の優勝を経験し、11年ぶりのベストナインと共に初のMVPに選ばれる最高のシーズンとなった。

 17年は出場機会が減る中で、71安打ながら打率.292と健在ぶりを見せた。7月7日のヤクルト戦では9回二死から代打逆転3ランを放つなど、得点圏打率.342で勝負強さを随所に発揮した。通算記録でも試合数で歴代15位、安打が20位、二塁打と打点が18位と各部門で数字を伸ばして歴代20傑入りを果たした。

 05年5月21日の楽天戦で代打満塁本塁打。05年6月22日のヤクルト戦から28日の阪神戦まで6試合連続本塁打。16年4月26日の対ヤクルト戦で成瀬投手から二塁打を放ち、史上47人目の通算2000本安打達成。

 MVP1回(16)、本塁打王1回(05)、打点王1回(11)。ベストナイン2度(05、16)、ゴールデングラブ1度(08)受賞。月間MVP2回(05年6月、08年4月)。オールスター出場8度(02、05、07、08、13、15〜17)、13年第2戦でMVP受賞。WBC出場1度(06)、五輪出場1度(08)。1977年1月30日生まれ。右投げ右打ち。

年度別打撃成績(赤字はその年のリーグ最多記録)
    試合 打数 得点 安打 二塁打 三塁打 本塁打 塁打 打点 盗塁 犠打 犠飛 四死球 三振 打率(順位)
99 広島 53 95 14 21 2 1 7 46 14 1 1 0 9 31 .221
00 広島 92 208 26 51 6 0 16 105 35 3 0 2 23 54 .245
01 広島 124 313 38 89 12 0 18 155 56 2 1 1 39 86 .284
02 広島 140 512 63 147 28 2 28 263 75 1 0 3 44 124 .287(17位)
03 広島 137 488 58 115 20 2 19 196 62 2 1 3 45 120 .236(27位)
04 広島 103 262 36 69 10 1 10 111 36 3 0 1 31 55 .263
05 広島 142 541 91 165 30 1 43 326 94 3 1 3 42 126 .305(12位)
06 広島 146 566 78 169 23 2 25 271 100 1 0 9 36 117 .299(11位)
07 広島 144 556 84 161 22 0 28 267 102 1 0 7 56 136 .290(16位)
08 阪神 94 366 54 112 22 4 8 166 59 2 0 4 40 83 .306(13位)
09 阪神 144 558 68 145 32 1 15 224 82 4 0 7 34 82 .260(21位)
10 阪神 144 570 96 177 42 0 19 276 112 7 0 8 63 89 .311(7位)
11 阪神 144 550 68 148 25 3 17 230 93 5 0 7 45 106 .269(12位)
12 阪神 122 460 46 115 25 0 9 167 52 1 0 2 31 85 .250(18位)
13 阪神 140 476 60 127 20 0 15 192 70 2 0 7 65 110 .267(16位)
14 阪神 94 176 13 43 6 0 3 58 31 0 0 1 17 33 .244
15 広島 125 426 52 117 22 2 7 164 57 3 0 4 50 73 .275(11位)
16 広島 132 454 66 136 23 2 19 220 101 0 0 4 55 101 .300(9位)
17 広島 100 243 36 71 14 0 9 112 48 2 0 4 41 56 .292
                                 
19年 2320 7820 1047 2178 384 21 315 3549 1279 43 4 77 766 1667 .279