ちょっとしたコラム      
                
05.7.2付


長打

通算記録では王貞治(巨人)の1315長打がトップ。何といっても868本塁打が効いている。この本塁打数だけでも長打ランキングの10位に入れる数字である。22年間、平均60本の長打を打ち続けた計算だ。もう一人1000の大台に乗せているのが野村克也(西武)。本塁打に続き王の後塵を拝しているものの、堂々たる数字である。
 歴代ベストテンの顔ぶれを見ると、通算500本塁打以上が7人。長嶋と秋山が400本台で、山内が唯一400本未満の396本塁打。しかし山内は歴代3位の448二塁打が効いている。ベストテン内で通算二塁打が通算本塁打より多いのは山内だけである。

 現役1番手は清原和博(巨人)で、今季に史上11人目の通算850長打を達成。その後856長打まで伸ばしてベストテン入りを果たした。清原は史上8人目の500本塁打も今季に達成したが、前述の通りこれまでの500本塁打達成者はすべて通算長打でベストテン入りしている。清原も当然の10傑入りと言える。通算900長打も来年には達成可能である。
 清原に続くのは田中幸雄(日本ハム)で、今季の27安打中11長打とまだまだ長打力は健在である。特にここへ来て好調で、昨年ゼロだった本塁打を6月22日・24日と2試合連続で放ち、28日には二塁打2本・三塁打1本と3長打。通算696長打として史上20人目の通算700長打が近づいている。

 立浪(中日)は完全に二塁打主導型。今季通算二塁打の日本新記録を達成。通算456二塁打に対し本塁打は160本と半分以下である。600長打以上は今季達成したローズ(巨人)と金本(阪神)を含め37人だが、200本塁打未満は立浪・川上(巨人)、広瀬(南海)の3人だけ。今季も15二塁打と順調に二塁打数を伸ばす立浪は現在通算652長打。来年中には700長打に届きそうだ。
 近年長打が増えているのが金本知憲(阪神)。昨年自己最多の70長打をマークすると、今季もすでに46長打を放つ快ペース。通算621長打で現役4位に進出している。

 昨年両リーグトップの82長打を記録した松中信彦(ソフトバンク)は今季もリーグトップの39長打をマークしているが、レギュラー定着が遅く通算では417長打とまだまだ。今季で32歳であり、通算800長打くらいはいきそうだが歴代10傑入りは難しいだろう。

 500本塁打プラス400二塁打で900長打だが、今後新たに10傑入りするにはその位の数字が目安になってくる。松中より3歳年下の城島健司(ダイエー)は10傑入り候補の筆頭だろう。昨年まで395長打。今季はリーグ2位タイの38長打で通算433長打。今季中の450長打そして来季の500長打達成は確実視される。03年はリーグ1位の75長打、04年も116試合の出場ながらリーグ4位の62長打と実績十分。平均60本ペースで行けば、37歳となる2013年には900長打に届く計算だ。

 その他では、昨年まで27歳で303長打の福留(中日)や25歳で255長打の岩村(ヤクルト)らに期待したい。今季は岩村が28長打、福留が26長打とやや少なめ。自己ベストは岩村が63長打(04年)、福留が75長打(03年)だけに、後半戦のペースアップが期待される。

 日本人メジャー選手では松井秀喜が在籍10年で593長打。ペースから見ても1000長打は確実だったが、これまた移籍でジ・エンド。日米通算では昨年までで719長打まで伸ばしており、来季早々には800長打に届きそうだ。

<通算長打ベストテン>
歴代 選手名(最終所属) 記録   現役 選手名(所属) 記録 04年実績
1 王貞治(巨人) 1315長打   1 清原和博(巨人) 834長打 14長打
2 野村克也(西武) 1077長打   2 田中幸雄(日本ハム) 685長打 5長打
3 張本勲(ロッテ) 996長打   3 立浪和義(中日) 633長打 30長打
4 門田博光(ダイエー) 969長打   4 初芝清(ロッテ) 596長打 18長打
5 落合博満(日本ハム) 936長打   5 江藤智(巨人) 592長打 8長打
6 山本浩二(広島) 929長打   6 古田敦也(ヤクルト) 578長打 47長打
7 衣笠祥雄(広島) 900長打   7 T・ローズ(巨人) 576長打 62長打
8 山内一弘(広島) 898長打   8 金本知憲(阪神) 575長打 70長打
9 落合博満(日本ハム) 896長打   9 小久保裕紀(巨人) 515長打 67長打
10 秋山幸二(ダイエー) 855長打   9 野村謙二郎(広島) 511長打 25長打

 年間記録は02年松井稼頭央(西武)の88長打がトップ。50年に小鶴誠(松竹)が作った記録を実に52年ぶりに更新した。昨年三冠王の松中も82長打で歴代5位にランクイン。歴代10傑のうち、ここ10年間の記録が半分を占めている。試合数増加も追い風だったが、最近の打撃上位傾向を反映していると言える。

 現役ランキングを見ると、パ・リーグ勢の独占状態。10位タイまでの延べ12人中、セはラミレスと福留の二人だけ。狭い球場が多いセ・リーグではパより二塁打が出にくい傾向があるのかもしれない。ここ10年間で40二塁打以上はセの3人に対し、パは10人と圧倒している。50二塁打もパ・リーグのみで達成されている。ただ、今季から両リーグの試合数には10試合の差が生じており、これがハンデを埋めて両リーグでほぼ釣り合った長打数争いが展開されるかもしれない。

 今季は75試合で46長打の金本(阪神)が出色。146試合では89長打ペースであり、日本新の期待もかかる。また、セ・リーグ記録の85本を破れば実に55年ぶりの新記録となる。また、現在24二塁打・20本塁打だが、これまで同一シーズン40二塁打・40本塁打を達成した選手は出ておらず、史上初のダブル40も期待される。

 パ・リーグでは松中(ソフトバンク)の39長打を城島・ズレータのソフトバンク勢が38長打で追っている。試合数は半分を過ぎており、ペース的には80長打以上は厳しい感じだ。

参考 年度別リーダーズ(長打)

<年間長打ベストテン>
歴代 選手名(当時の所属) 記録 年度   現役 選手名(当時の所属) 記録 年度
1 松井稼頭央(西武) 88長打 2002   1 松中信彦(ダイエー) 82長打 2004
2 小鶴誠(松竹) 85長打 1950   2 T・ローズ(近鉄) 79長打 1999
3 藤村富美男(阪神) 84長打 1949   2 T・ローズ(近鉄) 79長打 2002
4 藤村富美男(阪神) 83長打 1950   4 A・カブレラ(西武) 78長打 2002
5 松中信彦(ダイエー) 82長打 2004   5 小久保裕紀(ダイエー) 77長打 2001
6 P・クラーク(近鉄) 81長打 1998   5 A・ラミレス(ヤクルト) 77長打 2003
7 R・バース(阪神) 80長打 1986   7 小久保裕紀(ダイエー) 76長打 1997
8 王貞治(巨人) 79長打 1964   8 福留孝介(中日) 75長打 2003
8 T・ローズ(近鉄) 79長打 1999   8 城島健司(ダイエー) 75長打 2003
8 T・ローズ(近鉄) 79長打 2002   10 T・ローズ(近鉄) 74長打 2001
          10 小笠原道大(日本ハム) 74長打 2001
          10 A・カブレラ(西武) 74長打 2003

ランキングの記録は2004年まで。今季の記録は今季の記録は7月1日まで。

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