-「おうふくプラレール」-
かつてそう呼ばれたプラレールが2種ありました
そのひとつが「ED70」そしてもうひとつがこの「EF66」です
EF66自体は、ロングセラーモデルとして現在も生産されていますが
動力機構、車体も含め当初のものとは全く別物となっています
「おうふくプラレール」の初代はED70…
鮮やかな黄色を身にまとい、颯爽と登場したその車両は、今までになかった「往復機構」を備えており
専用のリタ―ンレールを用いることで、レイアウトの任意の位置で進行方向を切り替えることができました
また、リターンレールを2組用いることで、2点間を無限に往復させられることを利用し
専用の積み下ろし駅と貨車をセットした「積み下ろしセット」も発売され、一つの時代を築きました
そんなED70の後継機がこの「おうふくEF66」です
何故EF66が選ばれたのかは定かではありませんが、当時の新鋭機であったことや
当初は貨物専用機だったことが、貨車を連結することが多い往復プラレールにマッチすると判断されたことなどが考えられます
そして、よくある車種の変更だけに留まらず、足回りにも新たな改良が加えられていました
…それは、前後両方に連結器を付けたことです
ED70は片方にしか連結器がなかったので、運用上多少の制約がありましたが
EF66は前後に同じ形の連結器を設けたことで、プラレール史上空前絶後の
いわば「前後の区別が存在しないプラレール」となっています
発売は1976年
極初期の生産品は、貨車付きの3両編成で、箱も上下箱のデザインに類似した通称「うわぶた箱」と呼ばれるタイプでした
余談ですが、この「うわぶた箱」は、現在までにこの「EF66」と「ED70(緑)」の2種しか確認されていません
2種とも往復プラレールなのは単なる偶然なのでしょうか
この3両編成のEF66は生産期間が1年足らずと短く、従って現存数も少ないと思われます
そして、1977年からは、機関車単品としてでんしゃ箱、そしてEC箱での発売となりますが
間もなく足回りに大きな変更が行われました
それは、何故かせっかくの新機構の両方の連結器を廃止し、ED70と同じ片側の連結器のみとなってしまった事です
スイッチも、側面にあるスライド式のものから、前面に移され、通常の金属製のタイプものに変更されました
そしてこの時、車体色も紺色の強い濃い目のものに変更され、ほぼこの色のまま現在に至っています
この変更後、10年以上に渡って、往復EF66は生産されましたが、この間出たセットは
「森林鉄道積み下ろしセット」「往復EF66立体積み下ろしセット」「往復EF66ブルートレインセット」の3つだけ
しかも「立体積み下ろし」は「森林鉄道」の単なる色替えとなっており
先代のED70に比べると、あまりセットに恵まれなかったと言えましょうか
そして90年代に入り、ひっそりと往復機構が廃止され
近年、新動力化にあたって車体がパンタが一体成形のものに変更されて今日に至っています
…ロングセラーであるがゆえに、逆に目に止まりにくい
そんな発売当初の3両編成のEF66を今回は御紹介します
ちなみにこの状態で現存するものは極めて少ないと思われます
EF66とタンク車、無蓋車の3両編成 |
箱絵の側面写真に合わせ、両側に貨車を連結 これができるのはEF66だけです! |
箱のデザインは上下箱を踏襲した写真入りのものとなっていますが、上ふたが一体化した通称「うわぶた箱」と呼ばれる珍しいものです
連結器は両側に、スイッチは側面に付いています 車体の色もやや明るめの青色となっています |
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ふたが箱と一体化:「うわぶた箱」の特徴です | |
もうひとつのうわぶた箱「おうふくED70(緑)」です
今まで数回見たことがありますが、箱・中身とも緑色の物のみで、黄色はこの箱では出ていないようです
「おうふくマーク」
注意書きからも、ED70とEF66が併売されていた期間があったのがわかります
往復EF66とED70の比較写真です
両側に連結器のあるEF66と、片側のみとなっているED70の違いがよくわかります
足回りの比較 グレーがEF66、黒がED70のもの |
このところの復刻ブームでも、モーターユニットの異なる往復プラレールが復刻される事はまずないでしょう…
プラレールの一時代を築いた往復プラレールの姿を、せめて記憶の中に留めておいていただければ幸いです
(2003年6月16日ページ作成)