俺の好きなプラレール:第9章

「ちんちんでんしゃ先行量産型」

「プラレ番長の部屋」がオープンしてもう8年近くたっちまったな〜(ふっ)
気が付いたら21世紀かよ
おまけに100万ヒット行っちゃったし
ま、俺の功績も大きいな (*^_^*)


というわけで「先行量産型」だっ
どんなおもちゃでも、設計→試作→量産という形をたどる
試作は、つい最近までは大体が手造りの「モックアップ」と呼ばれるものだった
(今はCADから立体造形器であっという間に試作品ができる時代になっちまったが)

初期のプラレールには、この試作品の写真が箱絵に使われているものが多数ある
今だったら、箱絵と中身が違うとクレームが付くとこだが、昔は大らかだったからな〜

そして、試作品ができた後、テスト版として一定数を先行販売することがある
それに対しての消費者の反応を見て、改良を加えることがままあるわけだ
また、そういった意図が無くても、初期版に対して消費者よりクレームが付き、2回目の生産分からは
改良して発売することもある

そのような場合、結果的に初期のロットのみ量産品と違う部分が出来てしまう
これが結果的に「先行量産型」と言われるものだ



そして俺は、「ちんちんでんしゃ」でそれを発見したぜ

ちんちんでんしゃの初期箱といえば、こいつだ↑
箱絵に使われているのは、明らかに手造りの試作品
手造りならではの粗い仕上げはさておいて、正面窓が開口しているのが分かるだろう

ちんちんでんしゃといえばこの写真のように正面の窓には運転手さんのシールが貼られたものが普通だ
まあぁ、コレだな





しかし、次に驚愕の写真をお見せしよう
こいつだっ!

正面窓が開口している!?
裏側から見ても、明らかに金型が違っている

…プラレールはおもちゃであり、今ほどではないにせよ、当然安全性が要求される
正面が開口していた方がリアルだが、それでは子供が指を入れてケガをしてしまう可能性がある…

おそらくそんなクレームがあったのだろう
とりあえず正面側の窓には
裏側から金属板をはめて、ケガの防止を考えていたようだ
(金属板はメッキされていたが、特に運転手の絵がプリントされていたわけではなかったようだ)
だが当初はメッキされ光沢のあった金属板も、子供が繰り返し手でさわれば錆で黒ずんでしまう
そう、この写真のようにな

そしてトミーは、最終的に金型を変更し、リアルさを犠牲にして正面窓をふさいだ
だが、そこに運転士のシールを貼ることで、おもちゃとしてのアピール度は逆に上がったかもしれない
皮肉なことだが「ちんちんでんしゃ」は特殊な動力方式にもかかわらず
意外なロングセラーになった
メーりーゴーランド箱時代から、ひかり号箱時代まで生産され続けた
(1972年〜77年)


…プラレールの全車両の中で、集電器(パンタグラフ:ピューゲル)が可動式になっているのは
実は「ちんちんでんしゃ」だけだ
近年復刻された「ちんちん電車」は別金型で、ピューゲルは屋根に1体モールドされている
たしかに、プラレールの建築限界を考えると、ピューゲルやパンタを可動式にすることは難しいだろう

だがそれでもピューゲルを立ててチンチンと音を鳴らし走るその姿は
今は失われたある種のこだわりを感じさせるぜ


最後に、「ちんちんでんしゃ」の内部構造を紹介して締めくくろう
永久連結となっており、先頭車側が電池、後尾車側がモーターとベルという特殊な構造になっている
連結部分は、軟質樹脂製で、しかも通電用のコードが通っている


そして、ひかり号マーク時代の箱では、正式な製品版に写真が差し替えられているのがお分かりだろうか


…そうそう「ちんちんでんしゃセット」まだ探しているから
ぜひ連絡くれよな!ずっと待ってるぜ
高く買うぜっ!


(2007年1月18日写真:記事作成)